しいから持ってらっしゃいよ」 ンてつ 父さんは、あせびっしよりになっていた。 たま 玉ちゃんが消しゴムを持ってきた。 「ま ) 、消しゴム」 「まあ、 しい子ねえ」 かあ 母さんは、消しゴムをだいこんおろしのように、 してしまった。 たちまち、消しゴムのかすが山のようになった。 「えんびつには消しゴム、消しゴム」 と、つ くちなか なんていいながら、父さんのロの中におしこんだ。 と、つ かお 父さんは顔をしかめながら、しばらく、もぐもぐやっていたが、その うちに、なおってしまったらしい 「ふう、すっきりした」 かお けろっとした顔になった。 やま ごりごりとすりおろ
と、つ 父さんは、がたがたふるえだした。 かおいろ さお 顔色がまっ青だ。 「ひやーっ / ろくろっくびだー」 かあ かお はんたいに、母さんはすすしい顔だ 「おかげで、のどがスーツとしたわ」 のんきなものだ。 じぶん 自分のくびがどうなっているのか、わかっているのかなあ : たま かあ 玉ちゃんはおもしろがって、母さんのくびにだきついたりしている。 あたま 父さんは、頭からふとんをかぶって、ねてしまった。 と、つ
ばくはとびあがった。 すぐに、ほかのところも消していった。 ページをめくって、消しゴムをうごかした。 、ってかいたノなるほど、 ) しごし肖した。 つくえの上に、かすかいつばいできた。 「わっはつは。みんな、とんでいけー おも ばくは、大きく息をすって、田 5 いっきり、ふきとばしてやった。 さつばりした。 かあ 母さんのくびも、みしかくなった。 かあ 「母さん、くびはなんともない ? 」 かあ かお はくか聞くと、母さんはヘんな顔をした。 「くびって ? なんともないわよ。どうして ? 」 ぜんぜん話がつうじなかった。 おお
かえ ばくが帰ってきたのに気がっかないのだ。 いいながら、かたをふるわせていた。 ちか おも ないているのかと思って、こっそり近づいてみると、わらっていた。 につき ばくの日記を読んでいたのだ、母さんは。 本がばっとあっくなった。はずかしくてたまらない。 「ああっ、ひどい」 につき いそいで日記をひったくった。 「わっ、びつくりした。 かえ のり なんだ、則ちゃん、帰ってたの ? 」 かえ 「帰ってたのじゃないよ。 につ」 どうして、人の日記をかってに見るんだよ」 かお 母さんはすました顔で、 じかん 「あら、もうこんな時間なのねえ。 からだ かあ ひと かあ
こ、て お 朝、玉ちゃんの声で起こされた。 「お兄ちゃん、ちこくするよ、ちこくするよ」 じかん お 目ざまし時計を見ると、とっくに起きる時間はすぎている。 「あれー、おかしいな。 ベルがならなかったのかなあ」 よる その夜、ばくはふとんにねてから考えた。 かお につ」 かあ 母さんが、あの日記を読んだら、どんな顔をするかな ? あわてて、トイレのそうじをするぞ。 いつひつひ : ひとりで、おもしろがっているうちに、ばくはねむってしまった。 ところが、つぎの日、つまり四日になってみると、へんなことになっ あさ 0 よっか かんカ
おも ばくはどきっとした。しんぞ、つが止まるかと田 5 った。 かお テレピのアナウンサーが、まじめな顔で、 「青れ、ときどき、ぶた」 いったのだ。 ゅうべ、ばくが日記に書いたとおりだ。 と、つ 父さんが、わらいなからいった。 ばんぐみ 「なんだい、 この番組は ? ばんぐみ おわらい番組か。 ふざけてやってるんだよ、きっと」 父さんは、テレビのチャンネルを、がちゃがちゃまわした。 てんき すると、よそのチャンネルでも、天気よはうをやっていた。 がめん 白い字が、画面にうつっていた。 「はれときどきぶた」 そう書いてあった。 と、つ しろ につ」
だから、こんどからは、先生にも見せなくていいわ。 そのかわり、はんとうの了とを書きなさい しいことばかりじゃなくて、しつばいした一、と、まちがったこと、み んなちゃんと書いておく 字のまちがいなら、消しゴムで消せるけど、その日にあったことは、 消しゴムじや消せないでしよう。 おも はすかしいなんて思っちゃだめ。 ごまかさないで、自分を見つめるということなのね。 につ、 そのために日記をつけるんです。 ひやくえんだか そうすれば、十円やすなんていわれないで、百円高くらいになれるわ かおあか でも、ときには、日記をつけながら、顔が赤くなることがある。 えんびつで、ぐちゃぐちゃにしてやりたくなる。 こんなことを書いたとき。 じゅうえん につ せんせい
ばくは、母さんの顔をじっくりと、かんさっした。 「見やしませんよ。 母さんのいうことが、しんようできないっていうの ? み 母さん、悲しいわ。はら、この目を見てちょうだい」 母さんの目から、なみだがこばれた。 たまねぎをきざんでいたからだ。 まったく、 女はあっかましい おおごえ そのとき、父さんが大声でさけんだ。 「おい、ちょっときてみろ。 いいだしたぞ」 テレビがへんなこと てんき ってみると、テレビでは天気よほうをやっていた。 かぜ 「南よりの風が、いちじ強く吹くでしよ、つ。 はれ てんき お天気は晴ですが、午後から所により、ときどき、ぶたがふるでし かあ みなみ み かあ おんな と、つ か つよ ところ め -4 4
日記に書いたことか、ほんとうにおきている。 きん、きょ すると、きのうの金魚のことも、おとといのえんびつの天ぶらも、ほ んとだったのかな。 いや、そんなはすはない。 と、つ かあ あれは、父さんや、母さんのおしはいだ。 しんぶん み ばくは、もういちど新聞を見た。 〇ぶたのしるしが目にはいった。 「はんとに、ぶたがふってきたら、どうしよう」 かお 父さんは、むつかしそうな顔をした。 「うーん・ ぶたがふると、こまるぞ」 と、つ おも ばくは、やつばり、父さんもしんばいなんだなと、思った。 「そ、そうだよ。 ぶたなんか、ふらないよね」 ところかあとかし。オし と、つ につ」 め てん
上のはうから、ぶたのなき声が聞こえた。 ぶう ばくは、こわくなってきた。 ごえ なき声が、だんだんふえてきた。 あっちのほ、つから、ぶ、つ。 こっちのほ、つからも、ぶ、つ。 聞こ、たる、聞こ、たる。 ぶうぶうぶうぶう かお ばくは、こわごわ、まどから顔を出して、空を見上げた。 びやくとう ぜんとう なん百頭、なん千頭というぶたが、空いちめんにうかんでいた。 ぶた、ぶた、ぶた、ぶた、ぶただらけ。 しまにもふってきそうだった。 ぶたは、 ) ごえ みあ