かいせつⅡ先生、ご両親へⅡ すすきみえきちしゆさい ※「赤い鳥」は、鈴木三重吉主宰の児童文芸雑誌で、大正七年 ( 一九一八 ) 七月に創刊され ※昭和十一年 ( 一九三六 ) 六月二十七日三重吉の逝去によって同年八月終刊号、十月号に鈴 ついとう′」う ※木三重吉追悼号を出し、終りました。昭和四年 ( 一九二九 ) 三月から六年 ( 一九三一 ) 、月まで休刊しましたが、通巻一九六冊をかぞえます。 三重吉は「赤い鳥」の創刊にさいして「童話と童謡を創作する最初の文学運動」と題し ※たプリントを発表しました。その要旨は「現在世間に行われている少年少女の読物や雑誌 ぞくあく こ、つい ※のほとんどは、その俗悪な表紙を見たばかりでも子どもに与える気にはなれない ′」、つり・ あいしよ、つ う本や雑誌の内容は、あくまで功利とセンセイショナルな刺激と、へんな哀傷とにみちた 下品なもので、その表現もはなはだ下卑ている。こんなものが子どもの品性や趣味や文章 えいきよ、つ いまだか 、かに【かー ) い 日本人は西洋人とちがい ※なりに影響するのかと思うとまことにに。 って子どものための芸術家を持ったことがない。わたしたちは子どものためにすぐれた芸 つうかん さっ せいきょ しゆみ 140
※講師を兼務し、大正七年 ( 一九一八 ) に教職を去って「赤い鳥」の企画創刊となったのです。 ぶんだん いっざい 三重吉が「赤い鳥」に文壇の一流陣をそろえることができたのは、漱石門の逸材であっ ※たからですし、文芸誌「赤い鳥」に芸術ばかりでなく歴史、地理、科学などの読物をとり ※あげたのも、長い間教育界にありその経験によるものだとうなすくことができます。 しゅし 創刊の趣旨のとおり、すぐれた芸術作品を生み出し、 ※十八年もつづいた「赤い鳥」は、 ようせき ※また多くの詩人、作家を育てあげ、近代児童文学文化の上に輝かしい業績を残したのです。 ※さて「赤い鳥一年生」におさめた作品のうち「あかいとりことり」北原白秋、「おべん しまざきとうそん おおきあつお ※とう」島崎藤村、「おんどり・めんどり」大木篤夫 ( 惇夫 ) 、「おおぐまちゅうぐまこ さとうはるお さいじようやそ すずきみえきち ※ぐま」佐藤春夫、「けが」西條八十、「おなかのかわ」鈴木三重吉の詩人と作家の作は「赤 とうこうさくひん ※い鳥」の初期に発表されたものです。ほかのすべては、投稿作品で三重吉と白秋の選によ ※って発表されたものです。 ※「赤い鳥」では大正十五年 ( 一九二六 ) に低年読物という作品募集をはじめ、三重吉選に ※よって九月号から発表されました。カタカナ書きの短い作品でした。後に幼年読物、最後 ※には幼年童話と名称がかわりました。現在の児童文学のなかで幼児から小学三年生ぐらい けんむ め し ばしゅ、つ 2
いずみきようかたかはまきよし より・お、つ力い ※術的読物をつくってやらなければならない。そこでわたしは、森鵰外、泉鏡花、高浜虚子、 ありしまいくま あくたがわりゅうのすけ しまざきとうそんきたはらはくしゅうおがわみめい とくだしゅうせし 、有島生馬、芥川龍之介の諸氏をはしめ現 / 川未明 : ※徳田秋声、島崎藤村、北原白秋、 じゅんれい ※代第一流の作家の賛同を得て、世間の小さな人たちのために、芸術として真価ある純麗な しゆさい ※童話と童謡を創作する運動をおこしたいため、月刊雑誌『赤い鳥』を主宰発行することと ※した」とうたっています。 三重吉は、明治十五年 ( 一八八二 ) 九月二十九日広島市に生まれ、少年のころから文オ ばしよ、つぶそん あり「伊勢物語」「平家物語」「万葉集」を読みはじめ、俳句にも興味を持ち芭蕉、蕪村を なつめそう 好んだといし ) ます。明治三十七年 ( 一九〇四 ) 二十三歳のとき東大英文科に入学、夏目漱 ぶたい たんべん やまい ききよ、っせいよ、つ ※石の講義を聞きましたが、病で帰郷、静養していた瀬戸内海の小島を舞台とした、短編 すいさん ※「千鳥」を書きあげ、それが漱石に認められ推賛の言葉とともに俳句雑誌「ホトトギス」 はんきよう にのり、反響をよびました。三重吉、二十五歳でした。その後、漱石門の小説家として多 しゅんようどう かひん ※くの佳品を発表、十年後には「三重吉全集」十三巻を春陽堂より刊行しました。 三重吉は、小説家として名をあげながらも、教育者としても十年間つくしました。大学 ※卒業後、千葉県成田中学校の教頭を三年間、ついで東京の海城中学校の講師、中央大学の せき ちどり さんどう ー引かいせつ
代表 編集担当 赤い鳥の会 坪田譲治 与田凖一 鈴木珊吉 柴野民三 清水たみ子 赤い鳥一年生《学年別赤い鳥 1 》 1979 年 11 月 30 日第 1 刷発行 1985 年 5 月 1 日第 10 刷発行 編者 発行者 発行所 組版 本文印刷 表紙印刷 製本 N D C 9 1 8 赤い鳥の会 千葉紀雄 株式会社小峰書店 0160 東京都新宿区舟町 6 谷東京 357 ー 3521 ( 代表 ) type & たいば 株式会社厚徳社 合資会社斎藤印刷所 文勇堂製本工業株式会社 ISBN4 ー 338 ー 00301 ー 4 ◎ 1979 Printed in Japan
ー・全国学校図書館協議会選 I S B N 4 — 3 3 8 ー 0 0 3 0 ー 4 8 5 9 5 一年与。 . 、い鳥の会・ 赤、鳥、の云・、扁
※までの読者を対象とする幼年童話という分野がありますが「赤い鳥」の低年読物は、その せんく ※先駆といえます。 とうこ、つか しばのたみぞうちやきしちろう この本におさめた作品の大山義夫、柴野民三、茶木七郎の諸氏は、投稿家から作家にな しげる ちやきしちろう ※って、現在も児童文学を書きつづけています。茶木七郎は、本名を滋、あの有名な童謡「め ありがれんつづきますよ ※だかの学校」の作詩者です。童謡の有賀連、都築益世は、読者から童謡集を世に送り出す はんがか ※詩人となりました。 川上すみを ( 澄生 ) は、版画家として名を残しました。岡本太郎は、 かつやく 画家として活躍されていることは、ご存知のとおりで「きりんのくび」は、小学生時代の ( 編者 ) ※作です。 かんじ 付記、本巻では、読者対象を考慮し、現代かなづかい、分かち書きをもちい、漢字の使 せいげん ※用も制限しました。 たいしようこ、つりよ おおやまよしお 3 かいせつ
全 6 巻 赤い鳥の会・編 赤い鳥一年生 ことり・北原白秋 / おべんとう・ あかいとり 島崎藤村 / きんとと・茶木七郎 / あしをそろ えて・柴野民三 / きりんのくび・岡本太郎 / お こぐま・佐藤春夫 / け おぐまちゅうぐま が・西條八十 / おなかのかわ・鈴木三重吉ほか 赤い鳥ニ年生 ぞうさん・北原白秋 / 金魚うり・小川未明 / す すめのたまご・清水たみ子 / こうま・秋葉喜代 子 / 風のふく日・佐藤義美 / おふろ・堤文子 / 風・寺田宋一 / ふうせんだまうり・木内高音 ぶたの子・田準一 / まほう・坪田譲治ほか 赤い鳥三年生 月夜とめがね・小川未明 / てんぐわらい・豊島 ケ志雄 / びわの実・坪田譲治 / 正坊とクロ・新 美南吉 / まほうのテープル・平塚武二 / わに・ 小野浩 / とらとこじき・鈴木三重吉 / ポール・ 小林純一 / お山の大将・西條八十ほか 赤い鳥四年生 くもの糸・芥川龍之介 / ごんぎつね・新美南吉 / どろばう・久米正雄 / ろうそくをつぐ話・大 木篤夫 / おもちやは野にも畑にも・島崎藤村 / 空がある・田準一 / かなりあ・西條八十 / ば ら・北原白秋 / 月・清水たみ子ほか 赤い鳥五年生 一ふさのぶどう・有島武郎 / 木の下の宝・坪田 譲治 / 魔術・芥川龍之介 / あめチョコの天使・ 小川未明 / 手品師・豊島与志雄 / 老博士・鈴木 二重吉 / 海のむこう・北原白秋 / 遠い景色・与 田準一 / 月の中・佐藤義美ほか 赤い鳥六年生 杜子春・芥川龍之介 / かつばの話・坪田譲治 / Q ・平塚武二 / 実さんの胡弓・佐藤春夫 / くま と車掌・木内高音 / 少年駅夫・鈴木三重吉 / か らたちの花・北原白秋 / 北へ行く汽車・周郷博 / ランプのほやには・柴野民三ほか ・国学校書館協議会選 学年男リ BN 3 030 ーを 85 9 \ 0 0 すずきみえきち いまから六十年いじようもまえ、鈴木三重吉が、ざっし あか わん 「赤い鳥」をつくりました。十八年もつついたこのざっ しは、二百さっちかくにもなり、日本の子どものよみも 、 ) こまけないほどすばらしいものにしたのです。 のをせ力し ( とり・ あか この本は、「赤い鳥」にのせられたおはなしのなかから、 とくにすぐれた、たのしいものをえらびました。 「一 2 一年生 ひやく
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はじめに りことり ( どうよう ) 亠めかいと おべんとう 医、んとと おとうふやさん みすすまし ( どうよう ) こ、つさき しろいおうま おおきなおふろ ( どうよう ) 北原白秋 島崎藤村 茶木七郎 7 三美三郎 川上すみを 寺門春子 堀田山之助 有賀連