マュミは足をとめました。 こ、つもん 見なれない女の子が、おかあさんらしいひとと、校門をはいっていっ まち なまえ まち たのです。小さな町だから、名前は知らなくても、町の子ならだいたい わかっていました。 てんこうせい 「転校生よ、きっと。あたしたちとおなじぐらい : 二年生かもしれな 「あたりー。」 リョウくんが、ニッとわらいました。 「二年生だよ、あの子。サヤコちゃんていうんだ。」 「ま、どうしてわかる ? なんで知ってるの ? 」 マュミはおどろいて聞きました。
ね。」 はなれてながめ、につこりうなずいたリョウは、おかあさんのよろこ かんが びそうなプレゼントを、あれこれと考えはじめるのでした。 げつようびきゅうしよく 月曜日の給食のとき。 び とも リョウは二年二組の友だちに、おかあさんのたんじよう日には、どん なプレゼントをしてるのか聞いてみました。 「あたし、マンガを二さっ買ってあげたわ。」 じぶん 「ちゃっかりしてるう、自分が読もうと思って。」 と、こんなのはべっとして、女の子は、花がおおいようです。マュミ ちゃんは、こういいました。
ちかみち 「きようから三人だね。よし、ひみつの近道、とくべつおしえちゃお うっと。」 リョウくんはまた一つ、ポケットからひみつをとりだします。 おおやすう なによ大安売りのとくべつなんて、と、むくれかけたマュミですが リョウくんたちの心には、どんなマュミがいるのかと思ったら、く くっとわらってしまいました。 リョウくんと、サヤコちゃんと、マュミ。 三人グループになってから五日たちました。 かぜ マュミはサヤコちゃんのことを、すがすがしい風のような女の子だと 思います。きれいな声と、きれいなことばは、なにを話してもすてきに
ま マュミは校門のところで、リョウくんを待っていました。リョウくん とも につちよく せんせい は、日直ノートを先生にだしにいってるはず。まだのこっている友だ こ、つもんま きようしつ ちに、「校門で待ってるってリョウくんにいってね . とたのんで、教室 を出たのです。 サヤコちゃんが「あたしもー」と、立ちかけたけど、マュミは、気 づかないふりをしてとびだしてきました。 わる サヤコちゃんは、なにも悪くないのに。 なかよしになるチャンスだったのに。 せかいいち あたしは、世界一いじわるな女の子 , ロのなかでそういったら、マュミはなきたくなってしまいました。 せんせい 「リョウくんは、まだ先生んとこだよ。」 こ、つもん
聞こえちゃう。サヤコちゃんが、マュミたちの知らないゲームを話し て、「たのしいのよ」といえば、すぐにでもやってみたくなるのです。 つうがくみち 三人になった通学の道は、まえよりもずっとおしゃべりがはずみ、わ らいがはじけました。ただ、まえにくらべると、マュミのおしゃべりが すこしへったかもしれません。 カっこう かえ マュミはその日、学校から帰って、手をあらっていました。 せんめんじよかがみ ゅび 洗面所の鏡にうっして、両手の指で、みじかいかみの毛をつまんでみ りようかた ます。その手をすうっと両肩までおろして、かみの長い女の子のつも りになりました。 てんこうせい ついでに転校生のつもりになって、「どうぞよろしく」と頭をさげ、 につこりわらったところへ 0
せいざ 「七月二十三日。星座のことは知らないわ。」 と、こんなおしゃべりになってしまって、さよならの話なんか、だしそ びれたのです。 やすじかん カっこ、つ 学校での休み時間は、男の子は男の子とあそぶから、ゆっくり話すひ まもありません。 なつやす それでなくてもみんなの気もちは、夏休みのことでいつばいなので きよ、つど , っ しゆくだい す。なかよしどうしが、宿題の共同グループをつくったり海へいく日 そうだん の相談をしたり どれもみんな、マュミがなかまにはいれない話でした。マュミがいな なつやす くなっても、なにもかわらない、みんなの夏休みでした。 そうぞう てんこう 転校するということが、こんなにむばそくてさびしいなんて、想像も 0 7
ん。 ップの花たばを持っていたのです。 そうか、マュミちゃんは、チュ 1 リ しんばい はなや いくさきをこと 「花屋さんへいったの ? おばさん、心配してたよ。 わっていきなさいって、さ。」 「うふふ、わざとのないしょだもん。きようね、おかあさんのたんじよ び う日だから。」 「へえ、おばさん知らないのか。」 「わすれてるのよ、いつもそうなんだ。」 ました。 マュミちゃんは、うれしそうにいい 「だからおどろかしちゃうの。きよねんなんてさ、マュミはやさしい子 にかわしし と思ったけど、男の子としては、てれくさくていえませ