なんだか、しんじられません。 まちてんこうせい 知らない町、転校生、新しい友だち : : : そうか、サヤコちゃんとおな じ、みのうえになるんです。 せんせいどうきゅうせい ちゅうもく 先生や同級生からやさしくされ、みんなの注目をあつめる教室のス ター。心のどこかで、こっそりうらやんでいたあのサヤコちゃんとおな じになるのです。 だからうれしいはずなのに。 マュミのおさらには、おやつのクッキ 1 が、いつまでもへらないでの こっていました。 マュミとおかあさんのひっこしは、むかえにくるおとうさんのつごう とも
した。 放課後。 なのにマュミは、 ま じろう 「二郎くん、待ってえー。」 お きよ、フしつ 本をかかえて教室をでる二郎くんを、追いかけていったのです。 としよしつ 図書室へむかうわたりろうかで、 てんこうせい 「リョウくんとあの転校生、きみに用があったんだろ。」 じろう ゝました。 二郎くんがいし 「あら、気がっかなかったわ。かりたい本のこと考えてたから。」 じろう こたえたマュミは、二郎くんのまえからも、にげだしたくなっていま ほ , つか′」 じろう よう かんが
すを知らせてくれて、ありがとう。みんなの声が聞こえる ようで、「あれ、いま二組の教室にいるのかな ? 」と 思ってしまいます。 とも それよりうれしいのは、こちらの友だちがみんなの手紙を がっ とも 読んで、「いいお友だちがいたのねえ」「たのしそうな学 こ、つ いってくれたことです。その子たち、会っ 校だなあ」と、 たこともないリョウくんたちの手紙を、「まだ、こな い ?. なんて待ってるのよ。ことしの夏休みには、あそび とも でんわ にいけるかもしれません。おかあさんが、お友だちと電話 で話していたから。 あ、そのときは三年生ですね。 きようしつ てがみ なつやす てがみ 727
ひょうじんこうつうあんぜん 火の用心か交通安全のポスターみたい。 ばくだけのことばはないかなあと、考えて考えて、ゆうべねむるまえ じろ、つ にやっと、二郎の気もちにびったりのことばをみつけたのでした。 はなだせんせい 花田先生うまれてありがとう二郎 ・カ くろ 黒いマジックでそう書いたら、サザンカの花にもよくにあいました。 えだ かみ カードとサザンカの枝は、みんなにわからないよう、紙ぶくろにいれ て持ってきたのに。 きよ、つしつ 教室にはいったとたん、 じろう 「二郎くんそれなあに ? 」 サヤコちゃんが、目をつけてきました。 「なんだか、いい ものつばいかんじ。ねえ、見せて。 かんが じろう かんが ノ 75
がっき 三学期がはじまりました。 きようしつ なってんこう 二年二組の教室のかべには、夏に転校していったマュミちゃんの、 こんな手紙がはりだされています。 はなだせんせい 花田先生、二組のみなさん、お元気ですか ? しんがっき マュミも元気で新学期をむかえました。 がっき せいせき 二学期は、みんなとわかれてさびしかったせいか、成績が カっこ、つ すこしさがったけれど、もうだいじようぶ。こちらの学校 とも にもなれて、お友だちもできました。 じろ、つ リョウくん、サヤコちゃん、二郎くん、いつも二組のよう てがみ 720
ま マュミは校門のところで、リョウくんを待っていました。リョウくん とも につちよく せんせい は、日直ノートを先生にだしにいってるはず。まだのこっている友だ こ、つもんま きようしつ ちに、「校門で待ってるってリョウくんにいってね . とたのんで、教室 を出たのです。 サヤコちゃんが「あたしもー」と、立ちかけたけど、マュミは、気 づかないふりをしてとびだしてきました。 わる サヤコちゃんは、なにも悪くないのに。 なかよしになるチャンスだったのに。 せかいいち あたしは、世界一いじわるな女の子 , ロのなかでそういったら、マュミはなきたくなってしまいました。 せんせい 「リョウくんは、まだ先生んとこだよ。」 こ、つもん
なきわらいの顔で、頭をなでてくれる先生。 「ごめんなさい。ばく、きようは、ついてないの。」 じろう いたい ? と、聞きながら、二郎のほうがなきたくなってしまいまし はなだせんせい た。かなしいほどのことではないのに、なんだか花田先生にあまえたく なったのです。 きようしつ せんせい 教室では、みんなの先生。二組は三十九人だから、二郎のぶんは片 耳ぐらいしかありません。 はなだせんせい でも、 いまここにいるのは、まるごと二郎だけの花田先生。ピンクの じろう セーターにジー ハンで、サザンカの花みたいにわらってるのは、二郎ひ せんせい とりの先生です。 そう思ったら、おねえさんのようになっかしく、ついてない朝からの みみ あたま せんせい じろう じろう あさ かた 707