て、えんびつをとりました。 「さあ、おまえたちは、どんなそりを作りたいの。」 「ばく、エドがもっているようなのがほしいなあ。」 「エドのは何人のり ? , ふたり 「二人。」 「じゃ、わたしたちのは、三人のりにしましよう。たまにはケートちゃんものれるよう にね。」 ライト家では、ふつうはカザリンをケートとよんでいます。それは、おかあさんの名 まえがスーザン。カザリンで、おなじだったからです。ついでにいうと、ウイルバーは ウイル、オービルはオープとよばれていました。 おかあさんは、紙の上にそりの図をかきながら、話しつづけました。 「たしか、ふつうのそりは、長さが一メートルぐらいでしたね。ええ、それくらいのこ なんにん かみうえ なが つく
「でも、ぼくたちは空をとんだんだ。」 「そうだ、空をとんだんだ、あのかもめのように。」 ふたり 一一人はだきあって、よろこびました。 なんかい それから兄弟は、こわれたグライダーをしゅうりし、かじをとりつけて、何回も何回 もとびました。 ふたり じしん す「かり自信をつけた二人は、「新しく、も「と大きなグライダーを作ろう。」と、ひ し とまずデートン市へかえることにしました。 「来年、また、おせわになります。」 ゅうびんきよく そうい「て、郵便局のケートさんに、グライダーの翼のぬのを切りと「て、おくりま ふたり した。ケートさんは、それで二人のおさないむすめのために、ドレスを作りました。 あき ライト兄弟は、そのあくる年も、そのつぎの年も、秋になると、キティホークへやっ てきました。 らいねん きようだい おお よく き つく つく なんかい 178
「いや、こんどは、ぼくたち二人だけでやってみないか。」 「さんせい。おかあさんをびつくりさせてやろう。」 家が近づいてきました。三人は走りだしました。い たかったからです。 「おかあさん、おかあさん。」 だいどころ 台所にとびこむなり、三人はせきをきったように、しゃべりだしました。 「ぼくたち、勝ったよ、勝ったよ。エドたちのそりを、百メートルもひきはなし 「すばらしかったよ、このそり。町いちばんのそりだって、大ひょうばんさ。みんなが 作り方を教えてくれってせがむので、ぼくたち、こまっちゃった : 「まあ、それはよかったわね。おかあさんも、とてもうれしいわ。ケートちゃんものせ てもらったの。」 いえちか かたおし ふたり にんはし まち だいしようり っときもはやく、大勝利を知らせ
の子どもも、むねをわくわくさせてまっています。 ばくし としれんごうどうほうきようかい ミルトンライトは、まえの年、連合同胞教会の牧師として、アイオワ州のセダーラ ピッズというところへいき、一年ぶりにかえってくるのです。 「おうい いまもどったぞ。」 こ - ん こえ ひる 昼すぎ、なっかしい声をきくと、子どもたちは、「わあっ。」と、よろこびの声をあげ て、とびだしていきました。 「おいおい、そんなにぶらさがっちゃ、おみやげがつぶれてしまうよ。」 「えつ、おみやげつて、なに、よに ? 」 にんぎよう 「さあ、なんだろうな。はい、ケートちゃんにはお人形 : : : 。」 「まあ、うれしい。あたし、ほしくてほしくて、たまらなかったの。」 「ぼくたちのは ? 」 「あけてごらん。」 ねん しゅう
ケートさん一家とも、かもめとも、すっかりおなじみになりました。 1 」うき グライダーも、二号機、三号機となるにつれて、新しいくふうをかさね、そのころの せかいきろく 世界記録もたてました。 ふたり しかし、二人はまんぞくしませんでした。 エンジンとプロペラ ある日、ウイレヾ ノノーカオービレこ、いました。 「なるほど、ぼくらのグライダーは、安定している。また、あげかじ・さげかじ・右か そうしゅう じゅう たか じかん じ・左かじの操縦も自由だ。しかし、うんと高くはとべないし、長い時間もとべない。 かぜ なによりも、グライダーは風のないときは、とべないということだ。」 オービルもうなずいて、 ひだり ひ 1 」・つき あんてい あたら みぎ 180
ともないの。で、まつやににさとうをいれて、あまいチューインガムを作ったら、売れ るとおもうんだけど。」 「うん、売れるかもしれないな。」 「ぜったい売れるよ。じゃ、きまったら、すぐにとりかかろう。」 こうじよう さき こ , ついうとき、オービルは頭より先に、からだがうごきます。さっそくエ場からまっ だいどころおお やにのかすをたくさんもらってきて、台所の大なべで、ぐっぐっにはじめました。 「にいさん、スプーンでかきまわして。ケート、そこのおさとうをとって。」 ひとり 一人で、はりきっています。 「さあ、いよいよライトチューインガムのできあがりとござい。」 くちなか もったいぶって、ひとさじすくって、ふうふうふきながらロの中へいれましたが、 「さとうがたりないな。」 また、ひとっかみ、ごっそりいれました。 あたま
かんどう かんじました。このときの感動を、二人は一生わすれませんでした。 はつめいか ねん それは、フランスのわかい発明家、アルフォンス】ペノーが九年まえにかんがえだし た、おもちゃのヘリコプターでした。 ひこう もんだい ペノーは飛行についてのすべての問題ととりくんだ天才ですが、世の中からのけもの かね ねんじさっ にされ、うらぎられ、とうとうお金がなくな「て、一八八〇年に自殺してしまいます。 しかし、プロペラをまわすために、ねじ「たゴムバンドをつかうことをかんがえた、さ いしょの人でした。 「さあ、オープも、ケートちゃんもおいで。」 ウ -- イレヾ ノノーか外へとびだしていきました。 二まいのプロペラをつないでいるゴムバンドをまいて、ば「とはなすと、プルルーン、 ヘリコプターは、まっすぐにあがっていきました。 「わあ、とんだ、とんだ。」 ひと そと ふたり しよう てんさい
「第三に : そのとき、そばにいたカザリンが、ロをはさみました。 「おにいさん、はじめに図をかかなくていいの ? 「やあ、これはまいった。ケートにすっかりやられちゃったぞ。」 ふたり かみ 二人は紙をひろげて、たこの図をかきました。 ふつうのたこは、木のわくが、 にかわづけになっているか、木にからまったりすると、 がね すぐにはがれてしまうから、にかわと、はり金をつかう。いや、それよりも、かるくて 氏も , っ つよいピアノ線かいい。木は、わりあいかるくて、じようぶなえぞまっかいし糸 すくて、かるいほうかいし : こうして、できあがったたこをかかえて、一一人は朝はやく原つばへやってきました。 じかん た、カ、 どうしてこんな時間をえらんだかというと、「たこあげ大会」の日まで、ひみつにしてお きたかったからです。 せん くち あさ ふたり はら かみ
わされるという、みじめなありさまです。 その夜は生きたここちもなく、 ( もう、これでおしまいか。 ) と、なんべんおもったかしれません。 あさ ふね でも、ようやく、あくる朝には、あらしはしずまり、船はたすかりました。が、 それ ふね から、船のしゅうりがたいへんで、めざすキティホークについたのは、デートン市を出 しゅうかん ふつか 発してから一週間ものちでした。ふつうなら二日もあればいけるのに。 しかし、なんというさびしいところでしよう。 たいせいよう さきゅう ここは、大西洋にのぞむノースカロライナ州の海岸で、見わたすかぎり砂丘がつづき、 りようしむら きしようかんそくじよ きゅうめいじむしょ かもめがとびかい、わびしい師村と、小さな気象観測所と、救命事務所があるだけで おんなきよくちょう ウイルバーは、キャンプをつくるあいだ、村の郵便局の女局長、ケートさんの家にと ばっ しゅうかいがん むらゆうびんきよく しゆっ