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検索対象: とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟
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1. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

まだはたらきざかりの四十五さいでした。 一生のあいだ、けっこんすることもなく、また、 よくしつ 「じぶんの浴室がほしい。それがわたしののぞみのすべてさ。」 といった、そのささやかなねがいをはたすこともなく。 ーし ウイルバーの死で、いちばんがっかりしたのは、なんといっても、弟のオービルでし ( 子どものときからなかよしで、どんなときにもいっしょに力をあわせ、心から話し あってきたウイルにいさん。そのにいさんは、もういないのだ。 ) とおもうと、からだじゅうの力がぬけたようになりました。 げんき ーといっしょにたてた しごとをつづけていく元気もなくなったオービルは、ウイルヾ し ひこうきがいしやひと ライト飛行機会社も人にゆずって、デートン市のホーソーン街の家にひっこんでしまい ました。 しよう 力ら ちから おとうと こころ 212

2. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

「おかあさん。」 「おかあさん。」 「おかあさま。」 三人はよびましたが、へんじはありませんでした。 五十八さいでした。あと、もう十五年ばかり生きながらえることができたら、ウイル ひ ひこ・つき はつめい ーとオービルの飛行機の発明と成功という、かがやかしい日を見ることができたで ーしょ , つに・ ノノーカししました。 ささやかなおとむらいをすませたあと、ウイレヾ きようだい 「ばくたち兄弟は、これまでも力をあわせてきた。おかあさんがなくなったいま、 そう心と力をあわせて、がんばろう。」 がっ一」・つ 「ばく、学校をやめるよ。」 オービルがいいました。 こころ ちから 0 らから せいこ・つ ねん み っ 119

3. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

と、ねっしんにたのみました。 「いや、それはできません。わたしたちはアメリカ国民です。もし、ゆずるとすれば、 アメリカの政府のほうが先です。」 市イレヾ ーとオービルは、きつばりとことわりました。そして、ワシントンの国防省 てがみ に手紙をだしました。 ひこ・つき力し 「アメリカの陸軍が、わたしたちの飛行機械をひつようとするならば、おゆずりしても よいとかんがえています。」 ところが、へんじはそっけないものでした。陸軍は、ライト式飛行機械がどれほどす ぐれているか、これからのち、どれほどたいせつなものになるかが、すこしもわか「て いなかったのです。 ひこうきかいづく きようだい 兄弟はにがわらいをかわして、また、新しい飛行機械作りに、せいをだしました。 1 」・つ」 ねんがつだい 一九〇五年六月、第三号機ができあがりました。それからレコードはぐんぐんあがり、 せいふ さ *J りくぐん こくみん しきひこ・つき力、 こくぼ・つしよう 202

4. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

みち わり、あくしゅをもとめてきました。道をあるいていると、 「ライト、ライト。」 とさけびながら、子どもたちがおいかけてきます。 しゆくしゃ しやこ・つ いこうしてしまいました。 ( 佰企〕にもどる もともと社交ぎらいな兄弟は、これには、ヘ と、おもわずため息をついて、いうのでした。 「や「ばりぼくたちは、格納庫の中で油にまみれて、こっこっ機械をいじ「ているとき が、いちばんしあわせだな。」 でも、もうライト兄弟は、世界の空の花形です。じぶんたちだけしずかにしていたい とおも「ても、世の中がそうはさせません。 ひと 、いいばかりとはかぎりません。兄弟の成功をねたむもの、 あつまってくる人も しんけい それらの人々にかこまれて、神経がっかれてきました。 金もうけをたくらむもの ーには、人いちばいそれがいやでなりませんでした。 とくに、かんか一んぶ力いウイルヾ かね きようだい 0 きようだい き力、 せいこう 210

5. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

ねんかん 「ぼくたちには、そんな大金はない。 せいぜい一年間に五百ドルもだせるかだせないか だ。万となれば、十年かかっても、むりだよ。」 せいふ けんきゅうひ 「じゃ、政府から研究費をだしてもらうようにたのもうか。」 じてんしやや 「けれど、名も知れないただの自転車屋に、おいそれとだしてくれやしないよ。」 「それもそうだな。」 けんきゅう •YJ 力し 「ばくは、マキシムの機械をよく研究してみたんだ。それによると、マキシムの翼は、 エンジンとのり手のおもさをささえるのにじゅうぶんだった。また、エンジンは機を空 ちゅう 中にまいあがらせるだけの力もあった。ただ、どうしたら機の安定をたもち、どうした ら、かじをうごかせるかを知らなかったのだとおもう。」 まん 「それにしても、二十万ドルじゃねえ。」 「うん。ぼくたちにできるのは、やはりリリエンタールか、シャヌートのやり方しかな いな。あれなら、木のぼうと、ぬのだけだから、せいぜい三百ドルか四百ドルあればい まん ねん たいきん あんてい かた よく 153

6. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

き エンジンがうなり、機はするするとすべりだし、やがて、ふわりとうきあがりました。 「おつ、とんだぞ。ほんとうにとんだぞ。」 しようく・つ みんながおどろきの目で見あげるうちに、機はゆうゆうと原つばの上空を三回まわり きろく じかん つづけ、やがて、しずかに着陸しました。記録は一時間三十五分二十秒。 オービルがおりたっと、 「わあっ。」 しんぶんきしゃ けんぶつにん と、見物人がいっせいにかけよってきました。なみだをうかべている新聞記者もいます。 「すばらしい じつにすばらしい。」 しようぐんひとり 将軍の一人がオービルのかたをだきしめながら、こっそりいいました。 ・つ がいこくせいふ ひこ・つき力い けんり 「あなたがたは、この飛行機械の権利を、どこか外国の政府に売りましたか。」 え、ぼくたちはアメリカ人です。」 オービルは、きつばりこたえました。 ちゃくりく じん き は・り ふん びよう 力し 206

7. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

ふこ・つ がっこう ウイルヾーは不幸だ「たでしようか。たしかに不幸にはちがいありません。学校にも りよこう いけず、すきな工作もできず、旅行もできず、もしかすると、大きくな「てからも、 けっこんもできよ、ゝ オし力もしれないのです にんげんうんめい しかし、人間の運命というものは、わからないものです。これが、ウイルヾ ーの一生 ひこ・つ」 にとって大きなかわりめになろうとは、だれがおもったでしよう。飛行機の発明という 偉大なしごとへむかうきっかけは、じつに、このときに生まれたのですから。 ほんよ ッドにしばりつけられて、どこへもいけないウイルヾーは、、こつばしから本を読 みはじめました。もともとかんがえぶかいせいしつなので、読めば読むほど、すなにし みこむ水のように、ウイルヾ ーの頭をみたしていきました。 ほんよ あたら き力、 どんな本を読んだのでしようか。ちょうど、新しい機械のしくみや、エンジンなどに ついて書かれたものがではじめたころで、ウイルバ ーのまくらもとには、そんな科学・ すうがくれきし 数学・歴史などの本が、山のようにつまれていったのです。 みす おお こ・つさく ほん やま あたま おお はつめい しよう

8. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

かんがえず、どうしたらはやく走れるかばかりです りようしん ふたり このせいかくは、両親からうけついだ、生まれつきのものでもありましたが、二人の どりよく 努力によるところもおおかったのです。というのは、二人はまじめいっぽうで、町の ーティーへでかけて、さわいだりすることも、ほとんどありませんでした。 きおくしゆっ どくしんしゆっ しかし、ただ一つ、そのころデートン市ではやっていた読心術とか、記憶術とかいわ れるものには、かなりこって、よくならいにカよいました。 き しゅこころ これは、一種の心のスポーツで、気もちを一つのことに集中させ、頭のはたらきをき たえ、かんじる力をするどくさせるのです。 けんきゅう き力、 この方法をまなんだことは、おそらく機械のとりあっかいや、科学の研究のうえで、 おお ふたり 一一人には大きなプラスになっただろうとおもわれます ひ じてんしやきようそうたいか、 さて、いよいよ自転車競走大会の日がきました。 すうだい しようねん じてんしゃ 町の郊外にあつまった自転車は、ざっと五十数台。まず、少年たちのレースがおこな 0 、 まち ほ . つほ . っ にカこ し ・つ 0 0 ふたり あたま まち 134

9. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

らカら はつめいか うんめい 発明家の連命とは、そうしたものなのではないでしようか ミルトン日ライト牧師も、一九一七年になく このホーソーン街の家で、おとうさんの はつめい なりました。おかあさんにくらべて、このおとうさんは、ライト兄弟の発明に、あまり 力をかさなかったようにおもわれるかもしれません。しかし、神をうやまうつつましい ふたり 心と、くらし方をうえつけたこと、あのおもちゃのヘリコプターのおみやげが、二人の こころそら 心に空へのあこがれの火をつけたことを、わすれてはならないでしよう。 また、妺のカザリンは、一九二六年にけっこんして、ホーソーン街の家をさりました はいえん ねん が、三年ののち、肺炎にかかってなくなりました。おかあさんの死んだあと、家の中の ひとり はつめい しごとを一人でひきうけ、兄たちの発明をたすけたことは、あまりめだちませんが、こ れまた、かげの大きな力として、わすれてはならないでしよう。 つう 一九三二年、しずかにくらしているオービルのところに、一通の手紙がとどきました。 ひこ・つ *J にち 「アメリカ政府は、きたる十二月十七日、あなたがはじめて飛行機をとばしたときから こころ いもうと ねん カた おお カこ がっ ねん かみ きようだい てがみ ねん 214

10. とべ! 飛行機第一号 ライト兄弟

はつめい でんわき ベルの電話機の発明。 はつめい ちくおんき エジソンの蓄音機の発明。 カカく しんば にんげんながれきし こう書いてくると、人間の長い歴史のうえで、大きな進歩をとげた、科学の時代の夜 あけであったことがわかるでしよう。 り き力、 人々は機械のもつおどろくほどの力に目をみはり、くふうをこらし、それを産業に利 はつけんはつめい 用しようと、新しい発見と発明が、つぎつぎにあらわれました。 なんぼくせんそう ねん また、アメリカでは、ウイルバーの生まれる二年まえに南北戦争がおわり、人々はフ とち ばしゃ へんきよう ロンティア ( 辺境 ) をもとめて、西部へ、西部へと、ほろ馬車をつらね、新しい土地にす みつき、そこをきりひらきました。 ゅうき そせん ひとびと この人々は、家がらや祖先からのざいさんをあてにせず、ライフルと、おの、勇気と まち けつだん - 決断とで町をつくりました。 人々は活力にあふれていました。この活力は子どもたちの心にもったわり、あそびの よう ひとびと ひとびとかつりよく せいぶ ちからめ - っ かつりよく せい 3 こ おお こころ さんぎよう ひとびと じだい よ