しれないほど大きくかがやいています。 うちゅう そら キティホークの空は、世界の空につうじ、さらに宇宙へとつづいているのです。 はくぶつかん そら いま、ワシントンのスミソニアン博物館をおとずれる人は、ライト兄弟がはじめて空 ひこう・き力い をとんだ飛行機械がかざられてあるのを見るでしよう。そして、 くしん きたい 「この機体も、エンジンも、いまから八十年ほどまえ、兄弟が苦心のすえに作ったの とおもったとき、こ , つかんじはしないでしょ , つか きようだい 「ライト兄弟は生きている。人類のむねの中に、永遠に生きている。」と。 おお せかい じんるい ねん えいえん ひと きようだい きようだい ( おわり ) 217
ひこうきづく このことには、よほどこりたとみえて、のちに大きくなって、しんけんに飛行機作り けんきゅう て にのりだしてからも、ヘリコプターの研究には、あまり手をつけませんでした。 もっとも、ぜんぜんやらなかったわけではありません。のちには、おもちゃのヘリコ はつめいしゃ けんきゅう とっきょ あんていそうち プターの発明者、ペノーのことを研究し、ペノーが特許をとっていた安定装置について けんきゅう の研究もしています。 けんきゅう せつけい ジョージ日ケイレーが何年もまえにやった実験についても研究し、その設計に もとづいて、ヘリコプターを作ったりしています。 し きようだい ケイレーは、一八五七年、つまりライト兄弟が生まれる十年ばかりまえに死んでいま うみ そらおお すが、「空の大きな海ーという、ゆうめいなことばをのこしています。 いえとぐち そらおお 「すべての人の家の戸口まできている空の大きな海は、たえず航海ができ、人類によろ そらみち こびとりえきとをもたらすみなもととなるだろう。わたしたちは空の道によって、海の みち あんぜん かぞく 道よりも安全に、よりはやく、じぶんや家族はもちろん、ざいさんまではこぶことがで ひと ねん つく なんねん うみ おお ・つ じつけん ねん ) 」・つ力、 じんるい うみ
は・り やたいみせ 原つばにこだまし、キャンデーや、。ハン売りなどの屋台店がでるほどのにぎわいです。 しようねん 町のあちらこちらから、じまんのたこをかかえ、ほおをほてらせた少年たちがあっ まってきました。 かぜ 「オープ、この風なら尾の長いほうだな。」 「そうだね。じゅんびま、 しし、力し」 「オーケー。」 きようだい そら かたち ライト兄弟が、たこをあげはじめたときは、すでに原つばの空は、さまざまな形、さ まざまな色どりのたこでいつばいでした。。 フーン、プーン : : : 百万のはちが、い がっそら にうなりだしたようなひびきが、三月の空にながれます。 「それ、あがれ、あがれ。」 「あっ、おちる、おちる。」 こんな声が、あちこちでします。 まち お まん
あんてい あんてい でしょ , つか 「わかったぞ。」 おおごえ そのと 0 、ウイレヾ ノノーか、とっぜん、大声でさけびました。オービルがびつくりして、 「な、なんだい、 にいさん。」 あんてい そら 「空をとぶのに、いちばんたいせつなことがわかったのだ。それは安定だよ。 そら オープ。 丿丿エンタールだって、ピルチャーだって、マキシムだって、アデーだって、空 へまいあがることでは、けっしてしつばいしてはいない。あるていど成功しているのだ。 かぜ じゅう ただ、あがることはあがっても、自由がきかず、ぐらぐらして、ちょっとした風にも くうちゅう そうしゅう もんだい よくつく ついらくしたのだ。問題は、翼の作り方と、空中でどのように操縦し、 安定をうしない、 安定をとるかだ。いままでのは、それがかけていたのだ。」 「そうだ。そのとおりだよ、にいさん。」 オービルも、おもわずこうふんしてさけびました。 かた せいこ・つ 155
「でも、ぼくたちは空をとんだんだ。」 「そうだ、空をとんだんだ、あのかもめのように。」 ふたり 一一人はだきあって、よろこびました。 なんかい それから兄弟は、こわれたグライダーをしゅうりし、かじをとりつけて、何回も何回 もとびました。 ふたり じしん す「かり自信をつけた二人は、「新しく、も「と大きなグライダーを作ろう。」と、ひ し とまずデートン市へかえることにしました。 「来年、また、おせわになります。」 ゅうびんきよく そうい「て、郵便局のケートさんに、グライダーの翼のぬのを切りと「て、おくりま ふたり した。ケートさんは、それで二人のおさないむすめのために、ドレスを作りました。 あき ライト兄弟は、そのあくる年も、そのつぎの年も、秋になると、キティホークへやっ てきました。 らいねん きようだい おお よく き つく つく なんかい 178
「鳥のように空をとびたい。」 しんわ ギリシア神話のむかしから、人類は、 おおぞら 大空へのかぎりないゅめをかきたててきました。 ひと くしんじつけん そして、多くの人が苦心と実験をかさね、 しつばいをくりかえしてきました。 にち ぶんたか ごぜんじ 一九〇三年十二月十七日、午前十時三十分。高さ三メートル。 ばしょ じかん きより三十六メートル、時間十二秒、場所キティホーク。 にんげん ついに人間がじぶんのカで、空をつかんだしゅんかん ひと な きようだい その人の名はウイルバ ・オービルのライト兄弟。 あにどくしょ 兄は読書とスポーツずき、弟はいたずらずき。 よ でんきものがたり この伝記物語を読むまえに とり ねん おお がっ ちから おとうと じんるい びよう 0
にん 市 -- イレヾ ノノーたちは二、三日のあいだ 、友だちなかまの人気ものでしたが、おもちゃの ヘリコプターは、すぐにこわれてしまいました。 1 」う 「よし、バット二号を作ろう。」 兄弟は、おもしろがって、ただとばしていたのではなく、 ヘリコプターのしかけをよ 1 」う せいかくず く観察していました。で、こわれた一号をばらばらにして、正確な図をかきました。材 ごう 料はかんたんですから、バット二号はすぐにできあがりました。つづいて三号、四号 きようだい め おおぞら : 兄弟の目は、しぜんに大空にむけられました。 おお 「オープ、このヘリコプターの大きなのを作「て、それにの「て空をとんだら、ゆかい だろうなあ。」 「なんだ、にいさんもおなじことかんがえていたのか。ぼくも、バットをとばすたんび に、とびたいなあっておもってたんだ。」 そら 「あら、にいさんたら、空をとびたいだなんて、ゆめみたいだわ。」 りよう きようだい かんさっ にち とも 」う 1 」・つ
とりおと 「少年のころ、わたしは鳥が音もなく空をとぶのを見た。わたしはこの鳥のようにとぶ とり せいこ・つ たこを作ろうと努力したが、ひとつも成功しなかった。そのとき、わたしは鳥のつばさ とり がたいらでないことに気がついたつばさはカープしていた。そこで、わたしは鳥のつ おお ーたこはしま ばさににた大きなたこを作った。それをおかの上からとばすと、たしかこ、、 そら らく空をとんで、やがて、わけなく地面におりることができた。」 これを読んだとき、兄弟はからだがふるえてきました。 リリエンタールは。ばくたちとおなじことをやっているじゃないか。 「すばらしいなあ、 ぼくたちは、すこしカープしているたこを作ることまではかんがえっかなかった 「まったくだ 丿エンタールは、それから、何十というたこを作って実験し、とうと うそれにのって、おかの上からとんだんだ。」 「ほんとうかい。」 どりよく きよう一こ、 つく うえ じめん ・つ - ん なん じつけん とり
いたろう。」 ねんかんけんきゅう 「しかし、リリ エンタールだって、死ぬまで五年間も研究し、二千回いじようもとんだ そら じかん のに、空にうかんでいたのは、あわせてたった五時間だったというじゃないゝ。 きようだい どうも兄弟の耳にはいってくるニュースは、くらいものばかりです。そのうえ、おい うちをかけるように、とびこんできたのは、 けんきゅうか エンタールの流れをくむイギリスのグライダー研究家、 し おちて死んだ。」 ーし という知らせでした。 そら ねんがっ それは一八九九年九月のことで、ピルチャーが空をとんでいるとき、機体のうしろを き ちしよう とめているささえのはり金が切れ、グライダーは地上にたたきつけられたのです。 さすがのライト兄弟も、このニュースには、ぎくっとしました。 し 航空にとりつかれたものは、だれでも、さいごにはおちて死ぬのが運命なのではない みみ きようだい がね うんめい きたい 日ピルチャーか 154
定がとれることがわかったからです。 そら みち おお ぽぜんしん 兄弟は、空への道へ、大きく一歩前進したのです。 つく 「オープ、いよいよグライダーを作るぞ。」 ウ - イレヾ ーのことばに、 「まってました。」 そらみ そういって、オービルは空を見あげました。あたかも、そこに兄弟のグライダーがう わ かんでいるかのように。しかし、グライダーでなく、大きなとびが一わ、ゆうゆうと輪 をえがいて、とんでいました。 みせ こや ウイルバーは、店のうらにある小屋へ、・オービルをつれていきました。そのひくい木 こやあし づくりの小屋に足をふみいれたとたん、オービルは、びつくりしました。 き 小屋のすみに、ぬの地がいくまきも、また、ほかのすみには、木の長いぼうがいく た ダースも立てかけてあったからです。 きようだい こや おお きようだい 165