久光 - みる会図書館


検索対象: 明治維新の功労者 西郷隆盛
23件見つかりました。

1. 明治維新の功労者 西郷隆盛

とのにもうしあげて、おゆるしをいただくよう、とりはからいもうそう。」 いさんでひきあげていきました。 大久保は、 ゅうじよう きちのすけ 友への友情をわすれたくなかったのでした。 吉之助は、こご、 ふたたび島ながし しものせきひさみつこう きちのすけ ひさみつこう やがて、久光公からおゆるしもでたので、吉之助は、下関で久光公をまつや か 1 」しま ひとあし くそくで、一行より一足さきに、鹿児島をでかけました。 し しさましいもの 下関についてみると、どんどんはいってくる知らせはみな、、 ひさみつこう ばかりです。それというのも、島からかえ「た西郷がうごきだし、久光公と きんのう じようきよう ( っしょに上京してくるというので、勤王の志士たちが、 おおくば しものせき とも 0 い 1 」 - っ

2. 明治維新の功労者 西郷隆盛

ひさみつこう おおくば 久光公のいかりは、なかなかとけそ 大久保は、しきりにとりなしましたが、 うにもありません ひさみつこう すると、かねて西郷をこころよくおもっていなかった、久光公のおそばづき のものが、 きようと さいごうきちのすけ 「西郷吉之助が、京都へさきにいきましたのは、諸国の浪人をかりあつめて、 なにごとか、おだやかならぬくわだてをするためであるとのうわさ。すみやか かお におよびもどしあそばさぬと、とののお顔へどろをぬるようなことを、しでか すかもわかりません。」 ひさみつこう かおいろ とたきつけるのでした。久光公の顔色は、みるみるかわり、 さい 1 」う 「ふらちなやつだ。すぐにも、西郷をよびもどせ。」 だま と、かんしやく玉が、はれっしてしまったのです。 さい」う 0 しょこくろうにん

3. 明治維新の功労者 西郷隆盛

かおあお きちのすけ もともと、あまり吉之助をこのましくおもっていなかった久光は、顔に青す じをたてると、 けん 「おまえの意見はそれだけだな。なお、よくかんがえてみるといたそう。おま えもよくかんがえてみるがよい。」 といって、席をけるようにして、ふすまのむこうにきえてしまいました。 おおくば きちのすけひさみつこう しんばい 吉之助が久光公のまえをしりぞくと、心配した大久保が、さっそくおいかけ てきて、 ひさみつこう 「西郷どん、おはんは、どうあっても、久光公のおともをしてくださらんのか とののごきげんをそこなっては、こんごなにをするにも、さしさわりがあるで くんこ - っ あろうし、そうがんこなことをいわずに、君公のためにひとはだぬいでくれな いか。それに、朝廷のめいれいは、おうけしてあるのだ。とにかく、おはんに さい 1 」 - っ せき ちょうてい ひさみつ

4. 明治維新の功労者 西郷隆盛

そんなこととはゆめにもしらず、昼となく夜となく、志士たちのとりしずめ ひさみつこう きちのすけ にかけまわ 0 ていた吉之助のところへ、「すぐにかえれ。」との、久光公からの きゅうの使いがやってきました。 ひさみつこう 吉之助が、とるものもとりあえず、久光公のいる丘 ~ 庫〈や「てくると、やど かお しんばい おおくば のまえに、大久保が、ひどく心配そうな顔をして、ま「ていました。 はなし 「西郷どん、すこし話があるから、はまべのほうへでよう。」 よみち力いがん とつれだ「て、夜道を海岸のほうへあるいていきました。 ひさみつこう 「久光公のおいかりは、おわびですむていどのものではないのだ。おいのいい わけなど、てんでうけつけぬ。おはんのつみは、いのちにかかわるとおもう。」 「では、おいにはらをきれというのか。」 「うむ。じゃが、おはんに死なれて、おいひとりで生きと「ても、どうにもな 5 さい 1 」う つか ひる よる

5. 明治維新の功労者 西郷隆盛

こうじよかずのみやこうめいてんのう これは、十四代将軍家茂と、皇女和宮 ( 孝明天皇の妹 ) をけっこんさせて、江 ど きようと ちょうてい 戸の幕府と京都の朝廷のなかを、うまくまとめようというのです。 これをきいた勤王がたの人々は、すっかりはらをたててしまいました。朝廷 でも、こうした幕府のわがままをおさえつけるために、カのあるみかたがほし いとおもい、薩摩の島津久光にたいして、 じようきよう ごしょてんのう 「御所 ( 天皇のすむところ ) をまもりに、いそいで上京せよ。」 とのめいれいがくだされました。 じようきよう ひさみつ このうえもないめいよと、久光は、いよいよ上京することにきめました。こ えど しょはんしゆく きようと のときにあたって、京都や江戸のようすがよくわかり、諸藩主や公家たちのあ いだをまとめるうでまえのものがいて、久光をたすけなくては、とても朝廷の しんらいにこたえることができません。 さつま だいしようぐんいえもち きんのう しまづひさみつ ひとびと ひさみつ いもうと ちから ちょうてい ちょうてい え

6. 明治維新の功労者 西郷隆盛

「いよいよ薩摩が、天下にごうれいするときがきたのだ。西郷どん、ひとつ、 ひさみつこう 久光公をたすけて、薩摩のために、おおいにかつやくしてくれたまえ。」 きちのすけ こころも と、気おいたっていいました。そして、吉之助もかれとおなじ心持ちで、おお いによろこんでかつやくしてくれるものと、おもいこんでいるようすでした。 きちのすけ ところが、吉之助は目をつぶったまま、 「ふん、ふん。」 かお と、大きくうなずきながらきいていましたが、なにか、気のりしない顔つきで、 0 つ。はり , 、 ししました。 ひさみつこう じようきよう やくめ 「せつかくだが、おいどんは、久光公にしたがって上京するお役目を、おこと わりもうそ , つ。」 「それはまた、なぜでござるか。いま、ここで、おはんになげだされたのでは、 おお さつま さつま てんか さい 1 」 - っ

7. 明治維新の功労者 西郷隆盛

島から島へ きちのすけ きようとてらだや 吉之助がいなくなると、はたして京都の寺田屋というやど屋で、えらいさわ さつまはんどうし ぎがおこりました。き「たものも、きられたものも、おなじ薩摩藩の同士うち ひさみつこう さつま という事件です。これは、久光公のたいどにあきたりない、 はやりたっ薩摩の てらだや ばくふ 志士たちが、伏見の寺田屋にあつま「て、幕府をたおすためのはたあげをすす ひさみつこう しんばい しんか めていると、これをし「た久光公が、心配のあまり、臣下をとりしずめにつか わしたのです。 しかし、とのさまのめいれいでも、おもいとどまらせることができないほど きゅうしんは に、はかりごとがすすんでいたので、急進派と、とりしずめ派とがきりあいを ふしみ

8. 明治維新の功労者 西郷隆盛

きようと ひさみつこう でてもらわんことには、京都のようすにくらい久光公ひとりでは、どんなこと はん がおこることやら : 藩はとんでもないことになりもうす。おいのたのみ じゃ。ぜひきいてくれ。」 ごころ と、ま心をこめて、ときすすめました。 きちのすけ ゅうじよう だまってうでをくんでいた吉之助は、ふかい大久保の友情にうごかされて、 こころ ようやく心をひるがえしました。 じようきよう 「うむ、上京のことがおとどけずみとあっては、しかたがない。やれるだけは じぶん やりもうそう。しかし、自分がさきにいって、九州の諸藩のうごきをみきわめ しものせき ひさみつこう たうえ、下関で、久光公をおまちもうしあげてよいのなら、そうさせていただ きたいのだが。」 「おお、や「てくれるか。お礼をもうす。そのことならば、おいか、かならず、 きゅうしゅうしょはん おおくぼ

9. 明治維新の功労者 西郷隆盛

きんのう ししひらのじろうくにおみ ひらの 勤王の志士平野次郎国臣にあいました。平野は、月照のくしんしているすがた をみると、 「わたしが薩摩まで、おともいたしましよう。」 ばくふ にんそうが と、もうしでるのでした。幕府は、月照の人相書きを各地にくばって、これを とらえたものには、ほうびをやる、というおふれさえだしていました。 なりあきらこう きちのすけ さつま しっぽう、吉之助が、薩摩にかえってみると、斉彬公がなくなったあと、藩 なりあきらこうおとうとひさみつ のようすはすっかりかわっていました。とのさまには、斉彬公の弟の久光の子 はんせい ただよし こうけんやく で、まだわかい忠義がなり、久光が、その後見役として藩政をみていました。 月照とともに さつま ひさみつ げ げ かくち はん

10. 明治維新の功労者 西郷隆盛

すけ 久光も、このことをかんがえ、藩士たちのあいだから、いろいろとさがして とうしても、こうしたはたらきのできるものがみつかりません みましたが、、 にちゃ おお ばいちぞう そのために、日夜くるしんでいると、大久保一蔵が、 あまみおおしま さいごうきちのすけ 「いま、奄美大島にながされている西郷吉之助こそ、こうしたはたらきをさせ じんぶつ るには、またとない人物です。なにとぞ、島ながしをおゆるしくださいまして、 きようと 京都へおともをおおせつけください。」 こころ きちの と、ねっしんにおねがいしました。そのため、久光の心もとけて、ついに吉之 助をよびもどそう、ということになったのです。 ひ きちのすけ さつま 吉之助が薩摩へかえる日がやってきました。 こきくじろ・つ きちのすけ 吉之助は、その子菊次郎をだきあげると、 「では、おわかれだ。からだをだいじにな、 ひさみつ はんし ひさみつ いまにむかえにくるぞ。」 0