クマ - みる会図書館


検索対象: 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ
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1. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

「クマハギ」のなぞ しゅ、つ こくりつこうえんひら 一九七七年、アメリカのモンタナ州にあるグレーシャー国立公園で開かれた「第 かんり こど、さし力し」 しゆっせき 四回クマの研究と管理についての国際会議」に出席して、日本のツキノワグマによ ーしよ、つ、力し しんよ、つじゅ 、カ・カし る針葉樹への加害、つまりクマハギを紹介しました。そのあと、ワシントン州のダ じゅひ グラスモミ林で、アメリカクロクマによるクマハギを見せてもらいました。樹皮のは ぎかたは、日本のモミ・ツガ・カラマツへのクマハギと、よくにたものでした。 とうぶひろぶんぶ ぶんぶ ッキノワグマは、分布のところでのべたように、アジアの東部に広く分布するので ・、つ、んい・カし げんざい すが、現在のところ、日本以外で、ツキノワグマによるクマハギは報告されていませ かいなんと、つしんりんちょ、つさ ねんちゅうごく ん。一九八七年、中国の海南島の森林調査にでかけましたが、ここにも何種類もの み しんよ、つじゅ 針葉樹かあり、ツキノワグマもかなりいるようなのに、クマハギはまったく見ません じゅひ しんりんひがい でしたし、クマが樹皮をはぐ森林被害はないといっていました。日本のツキノワグマ につほんい力し だけがクマハギをし、日本以外のツキノワグマはクマハギをしないことも、ふしぎな ことです。 ふゅ そうしゅんはっせい さて、クマハギについては、これまで、「クマハギは早春に発生する。これは冬ご すく がっ かつどう もりからさめたクマが活動をはじめた三 5 四月は、まだ食べものが少ないので、一 けん」ゅ、つ につほん ねん み につばん につほん なんしゆるい

2. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

はっせい いるのです。クマハギの発生しているところでは、どこにもクマの捕かく檻がしかけ てっていてき ひ力い られています。被害がなくなるまで、徹底的にクマの捕かくをつづけているのです。 ちいき はっせい やっと、クマハギの発生がなくなったということは、その地域のツキノワグマがぜ ぜっめつ んぶ捕かくされ、絶滅したことになるのです。クマハギさえなければ、ツキノワグマ り・んぎよ、つかんけいしゃ も、林業関係者に、そんなにきらわれないですみます。そのためにも、クマハギの おも はやし 。り・ゅ、つ 理由、なぞを早く知りたいと思っています。 ふせ クマハギを防ぐ じゅひ しんよ、つじゅ スギ・ヒノキ・カラマツなどの針葉樹は、クマに樹皮をはがされても、かれるもの も / 、さし はがれたところがくさって、木材として、高くは売れなく ゝましたが、 は少ないとしし ひ力い よっさ、 よてい なってしまいます。それも、化採を予定していなかったところでは、クマハギの被害 しじよ、つ き一ゅ、つ っンごい クを受けたスギ・ヒノキを急に佖採して、市場に出すこともできず、ほうっておくだ け、くさりつばなしにするしかありません。 おり

3. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

↓・、つュ、つ 方法がとられています。 おり おり 檻なら、猟銃ほどあぶなくないし、しかけもかんたんです。檻は、箱ワナと呼ば い - り冫っ おり れる、箱型のものですが、クマが檻に入り、えさにふれると、入口の戸が落ちて、出 られなくなる、というしかけです。 おびきよせるえさには、ハチミツや、ぶんぶんミッパチの通っている、ミッパチの 巣箱などが使われています。クマが入っているかどうか、つかまっているかどうかを、 あかぬの おり しのです。檻に長いサオを立て、それに赤い布をつけ、 A 」去」Ä」 0 、見十 ( わ . 、り・に一丁け・、はい ) クマが入れば、このサオかたおれるように、くふうしているところがありました。わ とお ざわざ見に行かなくても、遠くから、入ったかどうかがわかるのです。 ちいき はっせい おり この檻の効果は、すばらしいものでした。クマハギの発生にこまっていた地域では、 おり どこもこの檻をたくさんしかけ、ほんと、つにおもしろいほど、つぎつぎとクマをとり はっせい と、つぜん ました。そして、クマがとれなくなったとき、当然ですが、クマハギの発生もなくな ってきました。 ころ クマハギをしなければ、クマもそれほどきらわれなくてすみ、殺されないですむの すばこ ・・よ、つド」ゅ、つ つか 100

4. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

一一 = 卩カオ せなか 」ばり・ ほっかいど、つ クマか、背中にサケをかついでいる木彫を見たことがあるでしよう。これは北海道 」ばり のおみやげですから、クマはヒグマということになります。この木彫から、ヒグマは、 おも そしてッキノワグマまで、サケをよく食べていると思われています。でも、サケがの ほっかいど、つ ) 、つほ / 、ち・ほ、つ あき ほってくるのは、おもに北海道や東北地方の川です。それも秋だけのことで、ほかの きせつ かわ ほっかいど、つ 夭十 ~ 即」 ~ は、 川にサケはいません。北海道のヒグマでも、いつもサケを食べることはで きないはずなのです。 ひと また、ときどき、クマか人をおそった、というニュースもあり、クマは肉食もす おも ると思われています。しかし、あとでのべるように、実さいには、クマの食べている もののほとんどは、植物質のものなのです。 クマがどんなものを食べているのか、どうやって調べたらいいのでしよう。クマが ふかやまなか 食べているところを、直接、双眼鏡で観察すればいいのですが、クマは深い山の中 しよくぶっしつ ちよくせっそうがんきよう かんさっ かわ

5. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

色できたなく、月の輪がはっきりしなかったり、輪がとちゅうで切れていたりして いて、体は大きく、一三〇キログラムにもなるというのです。 とち きれいなクマはその土地のクマ、きたないクマは、よそからやってきたクマ、と . り・ゅ・、つ おも わた 理由もなくきめつけているだけとも思ったのですが、きたないクマ、つまり渡りグマ からだおお おお とお いどう の体が大きいというのが気になります。大きなクマは、やはり遠くまで移動するこ しめ おも とを示しているのかもしれない、と思いなおしたのです。 おな はなし いしかわけんはくさん ていじゅ、つ かせ 同じような話があちこちにありました。石川県の白山では、「定住グマ」と「稼 ごよ、つ A 」 ほくふ はんたい かせ ぎグマ」があると ) しい、ここでは京都の北部とは反対に、稼ぎグマや移動グマには、 わか あきたけんたざわこしゅうへん A 」、つ・第十つほ、つ さんかん わりあい若いクマか多いと いいます。秋田県田沢湖周辺のマタギ ( 東北地方の山間に 」り・よ、つー ) わた すむ猟師たち ) も、ここには地グマと渡りグマがいると ) しいます。地グマは子づれで、 ー ) ほ、つ わか わた 追体の脂肪ものり、肉づきがよくて、毛なみもいい若いクマで、渡りグマは脂胼が少 あしみじか なく、肢の短いやせたクマだといいます。そしてクマの胆 ( これをとることがクマ ・も / 、て医」 たざわこ マ狩りのおもな目的です ) も小さい、というのです。田沢湖では、京都北部と同じよう わた おお に、度りグマか大きいとい、つことになります。 からだ しよく からだおお つきわ おお いどう

6. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

と、つ ころ なかしら 頭のクマが殺されたということです。クマをどんどんつかまえて、胃の中を調べるわ しゆりよ、つ ねんかん ぜんとういじよう けにはいきません。それでも、現在、年間に三千頭以上ものクマが、狩猟や ころ ゅ、つ力いじゅ、つくじよ 有害獣駆除で捕かくされています。殺して、すててしまうだけでなく、胃の中に何が 入っているのかを調べてみるだけでも、クマの食べものをはじめ、いろんなことがわ かるのです。 り・ゅ、つし わたくしじしん なんど ないよ、つぶっしら 私自身も、猟師がとったクマの胃をもらって、何度か、その内容物を調べてみた ゅ、つ ふゅ ことかあります。しかし、久、ごもり中にとったクマは、胃の中には何も入っていま しえき なかしら せんでした。それよりも、胃の中を調べるときは、残っている胃液のにおいで、いっ きぶん も気分がわるくなりました。あまり好きではない作業です。そんな、はき気をもよお ころ すにおいかきらいだ、というだけでなく、殺されたクマから一つしか得られない、そ わたくしじしんもり ふんしら して一回しか調べられない胃の中よりも、糞を調べるほうが好きです。私自身で森 なかある げんき の中を歩きまわって、クマが元気にくらしている証こでもある糞をひろってきて、 せいかつおも その中から出てくるものを、クマの生活を思いうかべながら、調べたいのです。 あた 動物園などで飼われているクマに、いろんなものを与えて、食べるかどうか、どれ どうぶつえん げんざい 」よ、つ ふん

7. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

ては、このなわばり説は、あてはまらないのではと考えています。 こ、つびき 、みよ、つ ただ、このクマハギの時期が、クマの交尾期と奇妙に一致するのです。クマの せいかっ こ、つひき がっかんが , ハ 5 八月と考えられています。シカのように、群れで生活しているので 交尾期は、 じゅひ しんよ、つじゅ たんどく はなく、単独でくらしているクマが、針葉樹の樹皮をはぎ、ヤニのにおいをまきちら かんが し、ほかのクマを呼びよせているのでは、と考えたこともあります。しかし、それ おす なら、クマハギは、雄だけがすることになってしまいます。もしそうだとしても、ヤ じぶんそんざい ニのにおいを、まわりにまき散らし、ほかのクマに、自分の存在を知らせるだけなら、 ひょうめんき じゅひ 樹皮をはぐだけでじゅうぶんです。ガリガリとかんだ材の表面の木くずを、食べて こ、つび、 しまう必要はないはずです。ただ、クマの交尾期については、動物園などの確認では、 。り・よ、つー ) あき はっゆきふ , ハ 5 八月でまちかいないのですが、猟師は、秋、それも初雪の降るころだといいます じしん おも どうぶつえんきろく このことについても、動物園の記録はまちかいないと思っていますが、ちょっと自信 のないところもあります。 もう一つ、わからないことがあります。スギ・ヒノキへのクマハギか、おもに 一、つ・′つは、つ かんさいちほ、つ はっせい 関西地方に発生し、東北地方や日本海がわには、ほとんど見られないことです。分布 ひつよう がっ せつ にほん、力し かんか どうぶつえん ぶんぶ

8. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

+ っゅ、つい 山の中で、クマの食べたあとを調べているとき、同時に、よく注意してさがしてい ふん るものがあります。食べたあとでするもの、そうです、糞をさがしているのです。こ べれも、クマの食べものを知る確実な方法なのです。ほんとうは、ちょっとくさいので かお すが、人のもの ( ウンチ ) にくらべれば、ずっといい香りです。それはともかく、糞 やちょう こ、つレ」、つ やかん にすむけものですし、おまけに夜間にも行動しますから、サルや野鳥のようには、 かんさっ んたんに観察できないでしよう。 なか しぜん 結局、自然の中でのクマの食べものを調べるには、クマの食べたあとを、たしか なか やま めるということになります。山の中に入って、クマがフキやウバュリなどの野草、ネ マガリダケのタケノコなどを食べたあと、木にのばって、実を食べたあと、などをた しかめるのです。少しなれてくると、クマが食べたあとは、あんがいかんたんに見つ はるさきやそ、つ けられるようになりました。それでも、春先の野草などは、シカやイノシシなども食 じしん へますから、ときには、ほんとうにクマか食べたものかどうか、自信がもてないこと もありました。 ・か′ド ) つほ、つほ、つ やそう ふん

9. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

レ」、つほ / 、つほ、つ 冖ににん , 刀し のところでお話しましたように、もともと東北地方や日本海がわは、ツキノワグマ あきた たてやま はくさん てんねん の多いところです。そこには、秋田スギ・立山スギ・白山スギといったように、天然 しんよ、つじゅ のスギがありますし、スギ以外にも、オオシラビソ・シラベなど、ほかの針葉樹も ぶんぶ にしカオやまカたけんか 分布しています。それなのに、新潟や山形県下などで、きわめてまれに、クマハギが しずおかみえきようと わかやま 見つかっているだけです。それにひきかえ、静岡・三重・京都・滋賀・和歌山など、 たいへいよ、つ はっせい りんおお 西日本の、それも太平洋がわでクマハギの発生がひどく、スギ・ヒノキ林が大きな 被害を受けているのです。 - け・つ」よノ、 はっせいじき こ、つよ、つじゅ えださき 結局、クマハギの発生時期が梅雨ごろであること、食べるのなら、広葉樹の枝先 しんよ、つじゅ のほうがよさそうなのに、針葉樹だけをえらんでかじることから、食べものがたりな かんが いため、クマハギをするのではないと考えたものの、ざんねんながら、はっきりし , り : ゅ・、つ た理由を、まだ見つけられません。 。り・ゅ、つ たいさく その理由をはっきりさせないと、クマハギ予防の対策がたてられないのです。この はっせい ひ力い クマハギの発生で、スギ・ヒノキ林への被害がつづくかぎり、ツキノワグマは、 くじよ ゅ、つ力いじゅ、つ 有害獣として駆除されます。クマハギを防ぐため、クマがたくさんつかまえられて ひ力い おお し・カし ふせ

10. 生き生き動物の国 身近な猛獣 クマ

「クマハギ」のなぞ きひざ , り : ゅ・、つ です。クマハギをする理由がわかり、効果のある忌避剤が早く見つかればいいのにと おも 思っています。 ねもと よ、つし 一よ、つとほノ、ぶ 京都北部では、クマハギ止のために、スギやヒノキの根元に、ひもや、ロープを かん 巻いています。人町の手で巻いたものですから、人の気配を感じてクマが寄ってこな さんりんしようゆうしゃ おも いかもしれません。ほんとうに効果があるのかなと思っていますが、山林所有者の、 きもち ひ力い クマによる被害をおそれる気持は、よくわかります。 ひと はや 101