オレたち - みる会図書館


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1. リング

必要であった。さて、ここで重要になるのは、何故、オレは生きているのかということ。 引これに対する回答はひとっしかないだろう。この一週間、気付かないうちに、オレはオマ ジナイを実行していたのだ ! それ以外にどんな説明がある。ようするに、オマジナイは 第三者の手を借りればだれにでもたやすくできることなんだ。しかし、ここでまた疑問点。 ではビラ・ロッグキャビンに泊まった例の四人はなぜ抜け駆けしてオマジナイを実行しな かったのか。簡単にできることなら、他の三人の前では強がって見せておいて、後でこっ そり実行してしまえばいいじゃないか。よく、考えろ。 しし力い、オレはこの一週間、な にをした。竜司は明らかにやってないことで、オレがしたことはなんなんだ ? そこまで考えると、浅川は叫び出した。 「わかるわけねえじゃねえか ! そんなこと。この一週間、オレはやったけれども竜司は やらなかったこと : 、そんなもの山程ある。冗談じゃねえ」 こぶし 浅川は、山村貞子の写真を拳で打った。 「コノヤロー。おまえ、どこまでオレを苦しめれば気がすむ」 何度も何度も山村貞子の顔面を打ち据えた。しかし、山村貞子は表情も変えず、あくま で美しさを保っている。 浅川はキッチンに行き、ウイスキーをグラスになみなみと注いだ。頭の一点に充血して しまった血を、もとに戻す必要があったからだ。グイと一気にあおろうとして、手を止め た。オマジナイの方法を思い付き、夜中に足利まで車を運転しないとも限らない、酒は控

2. リング

116 「乾杯しよう ! 」 乾杯の理由がわからず、浅川はグラスを持ち上げようとしない。 「オレは予感がするんだ」 竜司の土色の頬に少し赤みがさしてくる。 「この出来事には、普遍的な悪のイメージがっきまとうんだよな。匂ってくるんだ、どこ からともなく、あの時の衝動が : 。おまえにも話しただろ、おれが一番最初に犯した女 のこと」 「ああ、覚えている」 「もう十五年も前のことだ。あの時も、妙に胸をくすぐる予感があった。十七歳、高校一一 年の九月。オレは夜中の三時まで数学をやり、その後一時間ばかりドイツ語を勉強して頭 を休めた。いつもそうしてるんだ。疲れた脳細胞をもみほぐすには、語学がちょうどいし からな。四時になると、やはりいつも通りビールを二本飲み、日課である散歩に出かけた。 出かける時、オレの頭にはいつもと違う何かが芽生え始めていた。深夜の住宅街を歩いた ことがあるかい ? 気持ちがいいそ。犬も眠っている。おまえのべイビーちゃんのように な。オレはあるアパート の前にまで来ていた。しゃれた木造の二階建てで、このうちのど せいそ こかに時々通りで見かける清楚な感じの女子大生が住んでいることを、オレは知っていた。 どの部屋かはわからない。オレは八つある部屋の窓を順に見渡していった。この時、別に 考えがあって見回したわけじゃない。ただ、なんとなく、な。二階の南端に目が留まると、 ほお

3. リング

うが息苦しくなってしまう。この角ばった顔で笑いかけられると、普通の人間ならいやら しい印象を受けてしまうだろう。 竜司は、グラスから氷を取り出し、ロに放り込んだ。 ・ : 聞いてなかったのか、オレの話を。危険だって言っただろ」 浅川は押さえた声で言った。 「じゃあ、なんで、オレに相談を持ちかけた ? 助けてもらいたいんだろ ? ほお 竜司は頬に笑みを浮かべたまま、ロの中の氷をガリガリと噛み砕く。 「ビデオを見なくたって、手助けする方法くらいあるさ 竜司はうつむきかげんに首を振った。顔からはまだ薄笑いが取れない。浅川は不意の怒 りに襲われて、ヒステリックに声を上げた。 「おまえ、信じてないんじゃねえのか ! オレの話したこと : : : 」 爆弾と知らず開いた小包のように、何の準備もなくビデオを見てしまった浅川には、そ れ以外に竜司のニヤけた笑いを説明する言葉がなかった。あれほどの恐怖を経験したのは 初めてだ。しかも、終わったわけではない。あと六日間。恐怖は真綿で首を締めるように じわっじわっと輪を縮めてくる。先で待ち構えるのは、死。それなのに、こいつは、自ら 進んで、あのビデオを見たいなどと言う。 こわ 「でかい声出すなって。オレが恐がってないもんだから、不満なのかい ? しし、刀、浅Ⅱ . 前にも話した通り、オレはもし見れることなら、世界の終わりを見たいと思っている人間

4. リング

この映像を見た時の感覚を思い出してくれ。赤ん坊のシーンに関しては、昨日言ったとお りだな。それ以外は ? たとえば、無数の顔のシーンはどうだい ? 」 竜司はリモコンを操作して、そのシーンを映し出した。 「よーく、見ろ。この顔」 壁にはめ込まれた数十の顔が徐々に後退して、数百、数千の数に膨れ上がっていく。顔 のひとつひとつをよく見ると、人間の顔のようでいてどこか異なる。 「どんな感じだい ? 竜司が聞いた。 うそ 「なんだか、オレ自身が非難されているような : : : 、嘘つき、ペテン師と」 「そうだろ、実は、オレも同じ、いや、恐らくおまえと近い感覚を抱いた」 浅川は神経を集中させた。この事実が導く先。竜司は待っている。明確な返事を。 「どうだ ? もう一度竜司が聞いた。浅川は頭を振る。 「だめだ、何も思い浮かばない 「もっと、のんびりと時間をかけて考えりや、きっとオレと同じことを思い付くかもしれ ねえな。いいか、オレもおまえも、この映像はテレビカメラ、ようするに機械のレンズに よって撮影されたものと考えていたんじゃねえかい」 「違うのか ? 」

5. リング

心の奥で弾ける音がして、ふと心に芽生えた闇が徐々に大きくなる気配を感じた。オレは もう一度、順に見回した。やはり、同じところで闇が渦を巻く。しかも、はっきりと確信 できた。その部屋には鍵がかかっていないことをな。単なるかけ忘れなのかどうかはわか トの階段を上り、その部屋の前に らない。オレは心の中に生じた闇に導かれるままアパ 立った。表札はローマ字で書かれている。オレは右手でド アのノブを強く握った。しばらくそうやって握った後、力を込めてノブを左に回した。し かし、回らない。そんなばかなと思う。瞬間、カチッと音がして、ドアが開いた。いいか、 かけ忘れなどではなく、その瞬間に鍵があいてしまったのだ。なんらかのエネルギーが働 いてな。女は机の横に布団を敷いて眠っていた。てつきりべッドに寝ているものと思って いたが、そうじゃなかった。掛け布団の横から片方の足をのぞかせて : いったん 竜司はそこで一旦話を中断させた。そして、その後の光景を素早く脳裏に再現させたの か、いとおしさと残酷さが混ざりあった表情で遠い記憶を見つめるのだった。こんなあや ふやな竜司の顔を、浅川は初めて見る思いだった の前を通りかかると、二トントラック グ「 : : : その、二日後、学校からの帰り道、アパート ンが止まって、家具などを部屋から運び出していやがった。引っ越そうとしていたのは、 だった。父親らしい男に付き添われ、はなにするでもなく・ほーっ 片と塀に寄りかかり、運び出されていく家具を見つめていた。なぜ、娘が急に引っ越すのか、 父親は本当の理由を知らないに決まってる。そうやって、は、オレの前から はじ

6. リング

154 ・ : 待てよ、なにかがヘンだそ。 どこがどうおかしいのか浅川にはわからない。しかし、第六感は働くものだ。ビデオテ ープを手にした時の、ヘンだなという気分が思い過ごしでないという確信は徐々に高まっ ていく。ほんのちょっとした変化だった。 : どこだ ? 変わったところはどこだ ? 動悸がする。 : 悪いことなんだ。事態をよくする方向へのナニかではない。思い出せ、よく思い出 すのだ。オレが最後にこれを見終わった時、確かにオレはテープを巻き戻した。しかるに、 今、巻かれたテープの厚さは左側が二とすれば右側は一。ちょうど、録画された映像が終 わったところあたりで止まったまま、巻き戻してはない。だれかが見たのだ。オレの留守 中・ : 浅川はべッドルームに走った。静と陽子は折り重なるように眠っている。静を仰向けに なおすと、浅川はその肩を揺らした。 「おい、起きろ。おい、静 ! 」 浅川は陽子まで起こしてしまわないよう声を低めた。静は顔を不機嫌そうに歪ませ、体 を右に左にくねらせる。 「おい、起きろってば ! 」 浅川の声はいつもと違った。 どうき ゆが

7. リング

たことを耳打ちするんじゃねえのか、昔の方一一一一口使ってよお。おまえも気付いただろうが、 ほとん この島の言葉は殆ど標準語といっていい。 あのばーさん、かなりの年寄りだぜ。鎌倉時代 に生きていたとかよお、それとも、ひょっとしたら、役小角となにか係わりがあるのかも しれねえ」 ・ : うぬはだーせんよごらをあげる。おまえは来年子供を産む。 「あの予一一一口、本当なのかな」 「ああ、あれか。次にすぐ男の赤ん坊のシーンがあるだろ。だから、オレは、最初、山村 貞子が男の赤ん坊を産んだものと考えたんだが、このファックスを見ると、どうも違うよ うな気がするな」 「生後四ヶ月で死んだ弟 : : : 」 「そう、そっちのほうだと思う 「じゃあ、どうなる、予言のほうは。老婆はどう見ても山村貞子に向かって『うぬ』と呼 びかけてるんだぜ、貞子は子供を産んだのか ? 「わからねえ、ばーさんの言葉を信じりや、たぶん、産んだんじゃねえかい 「だれの子を ? 「知るか、そんなこと。なあ、おまえ、オレがなんでも知ってると思うなよ。オレはただ 推測でものを言っているに過ぎないんだからな」 もし、山村貞子の子供が存在するのなら、それはだれの子で今何をしている ?

8. リング

のろ ・ : おい、浅川、聞いてんのか ? 生きてるんだろ、おまえ。呪いは解けた。オレたち は助かったんだ。おい、 浅川 ! そんな所で死ぬと山村貞子の二の舞だそ。死んでもオレ にだけは呪いをかけるなよ。どうせ死ぬならおとなしく成仏しろ。おい、浅川 ! 生きて るんなら、返事をしろや。 竜司の声を聞いても、助かったという実感は湧かなかった。浅川はまるで別の空間を浮 遊し、夢見心地で山村貞子のしゃれこうべを胸に抱いてうずくまっていた。

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325 これからの歴史 接潜り込む。これがどういう結果を生むか、今はまだ知りようがない。 に、いや人類の進北にどう係わってくるのか : : オレは、家族を守るために、人類を滅ぼすかもしれない疫病を世界に解き放とう としている。 浅川はこれからやろうとすることの意味を恐れた。ほんのかすかな囁き声もあるには ある。 ・ : 妻と娘を防波堤にすれば、それですむことじゃないか。宿主を失えばウイルスは 滅ぶ。人類を救うことができるんだそ。 しかし、その声はあまりに小さい。 車は東北自動車道に入った。混雑はなかった。このまま行けば、充分に間に合う。浅 川は肩に力を込め、ハンドルにしがみつく格好で車を運転していた。「後悔なんてしな 。オレの家族が防波堤になる義理などどこにもない。危機が迫った以上、どんな犠牲 を払ってでも守らねばならないものがある」 グ決意を新たにするためもあり、浅川はエンジン音に負けぬ声でそう言った。果たして ン竜司ならば、こんな場合どうするか。その点について、彼は自信があった。竜司の霊は 浅川にビデオテープの謎を教えたのだ。つまり、妻と娘を救え、と示唆したことになる。 そのことが心強い。竜司ならこう言うだろう。 ・ : 今、この瞬間の自分の気持ちに忠実になれ ! オレたちの前にはあやふやな未来 ささや

10. リング

301 リング ポチ、その時刻になろうとしていることはわかる。今、身に迫るこの気配が、偽物でない ことくらい竜司は承知の上だ。想像によって恐怖を増大させてしまったのとはわけが違う。 想像妊娠ではあり得ない。確かに、ソレはヒタヒタと近づきつつあった。たた、わからな いのは : : なぜオレのところにだけやってくるんだ ? という疑問。 : オレのところにだけ来て、なぜ、浅川のところには来なかったんだ ? おい、不公 平じゃねえか。 とめどもなく溢れる疑問。 ・一体どういうことだ ? オレたちはオマジナイの謎を解いたわけではないのか ? だとすればな・せ ? なぜ ? なぜ ? 胸は早鐘を打った。何者かの手が胸の中にまで伸び、ぎゅっと心臓を掴まれたような気 分であった。背骨がキリキリと痛んだ。首筋に冷たい感触があり、竜司は驚いて椅子から 立ち上がりかけたが、腰から背中にかけての激しい痛みに襲われていて床に倒れ込んだ。 ・ : 今から何をすべきか考えろー どうにか保ち続けている意識が、肉体に命令を下している。立て ! 立ち上がって考え ろ ! 竜司は畳の上を這って、ビデオデッキにたどり着いた。エジェクトボタンを押して、 ただ、今、他にできる 中から例のテープを引き出す。なぜ、こんな行動を取るのか : ことはなかった。張本人であるこのテープを念入りに調べる以外、この場で何ができる ? あふ つか