モリー - みる会図書館


検索対象: アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1
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1. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

についた。給仕の娘はモリーではなかった。その娘のいうところによると、モリーはきょ きゅうか うは休暇だということだった。 じこく ちょうど七時、まだこみあう時刻ではなかったので、その娘を相手に、ガスコイン老人 わだい の話題をもちだすのは、むずかしくはなかった。 「ええ。あのかたは、ずいぶん長いあいだ、つづけてお見えになっていましたわ。」彼女は いった。「でも、わたしたち店のものは、だれもあのかたのお名前をそんじあげなかったん しんぶんけんししんもん です。たまたま新聞に検死審問のことがでて、そこにあのかたのお写真がのっていました ろうじん の。『ねえ、これ、例の〈ひげのご老人〉じゃなくって ? 』って、わたし、モリーにいいま した。うちでは〈ひげのご老人〉でとおっていましたの。」 な 「亡くなった晩に、ここで食事をしていったそうだね ? 」 「そうですわ。三日の木曜日でした。いつでも木曜日にはおいでになるんです。火曜日と 木曜日ーー時計みたいに正確に。」 「ひょっとして、そのときなにを食べたかおぼえていないかね ? 」 A 一り・に′、い 「ええと、ちょっとお待ちくださいましよ。はじめは鶏肉入りのカレースー。フでした。ま ちがいありません。それから、ビーフステーキ・プディングーーそれともマトンだったか きゅうじむすめ ばん せいかく みせ むすめあいて しやしん ろうじん 51 ボワロの事件簿

2. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

Ⅱポニントンといっしょに、チェルシーのキ エルキ = ールⅡボワロは、友人のヘンリー エンデヴァー〉で食事をしていた。 ングズ・ロードにあるレストラン、〈ギャラント・ し エンデヴァー〉をひいきにしていたが、それはこの店の ポニントン氏は〈ギャラント・ くわ ふんいき ゆったりした雰囲気と、〈あっさり〉して、〈イギリスふう〉で、〈ごたごた手を加えない〉 ′レ、つり・ 料理が気にいっているからだった。 簿 しんせつ 彼女は件 親切なウ = イトレスのモリーが、年来の知己をむかえるように二人をむかえた。 , の きおく 客ひとりひとりの好きな食べものを、ぜんぶ記憶していることを誇りにしていた。 ワ あんない いちぐう 「いらっしゃいませ」と、モリーは男二人を一隅のテーブルに案内しながらいった。「いし こうぶつ しちめんちょう 日においでになりましたわ。きようは栗をつめた七面鳥がございますー、ーご好物でしょ きやく 二十四羽の黒っぐみ わ ゅうじん ねんらい みせ

3. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

それよりもそちらのお話をうかがいましよう。ちかごろ景気はどうです ? 」 さっこんふうちょう 「めちやめちゃだね ! 」ポニントン氏はいった。「それが昨今の風潮かもしれんが、それ こんらん しやかい にしてもひどすぎる。政府はうまいことばかりいって、それでもって社会の混乱をおしか こうりよう くしているんだ。いわば香料をたっぷりきかせたソースで、その下の魚のますさをごまか しているようなものさ。わたしはごめんだねーーー・ごてごてしたソースなんかかかっていな 、本物のひらめを食べさせてほしいものだよ。」 しゅんかん まさにその瞬間に、彼ののそむとおりのものがモリーの手ではこばれてきた。彼は満足 げに鼻を鳴らした。 「あんたはたしかにわたしの好みをこころえているな、モリー 「あら、いつもおいでいただいているんですもの、それぐらい当然ですわ。」 エルキュール日ボワロはいっこ。 「すると、だれもがきまったものばかり食べたがるというわけかな ? たまには、かえて みたくなることはないんだろうか。」 へんか とのがた 「殿方はおかえになりませんわ。ご婦人はね、変化をお好みになりますが、男のかたはい つもおなじものをめしあがります。」 ほんもの はな この ふじん この とうぜん さかな まんぞく

4. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

いましたの。」 「それはおもしろい。」ボワロはつぶやいた。「どうしていつもの習慣をやぶったのか知り たいものだな。」 しんばい′」と 「そうですわね、わたくしの見たところでは、なにか心配事か、気にかかることでもあっ たようにお見うけしましたけど。」 つもとようすがちがっていたのかね ? 」 「なぜそう思うの ? い ごようすはいつもとかわりませんでした。いつもあのとおりおしすかで、おい まとんど口をおききになり でになったときとお帰りになるときにあいさつをなさるほか、を ません。へんだったのは、それではなくて、ご注文なんですの。 ちゅうもん 「注文 ? 「ええ。こんなことをいうとお笑いになるかもしれませんけど」と、モリーはほおを赤ら きやく めて、「ひとりのお客さまが十年ちかくもかよってきてくだされば、なにがお好きで、なに じんぞう がお好きでないかたいがいわかってしまいますわ。あのお客さまは、腎臓のプディング ちゅうもん とか黒いちごはぜったいにめしあがりませんし、どろっとしたスー。フをご注文になった こともないんですーーーなのに、月曜の夜においでになったときにかぎって、濃いトマト わら しゅうかん

5. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

は地下鉄のなかでである。 しんどう み 二人はとなりあった吊り革にぶらさがって、電車の震動に身をまかせながらうなずき あった。やがてビカデリー・ サーカスまでくると、どっと客がおり、二人は車両のいちば ん前にならんですわることができた。乗り降りする客はそこまではやってこないので、そ こではおちついて話ができた。 し ポニントン氏がいった。 「ところであんた、おぼえているかな。いつだったか〈ギャラント・ エンデヴァー〉で、 よ かわった老人に会ったろう ? どうやらあの老人、あの世へいっちまったんじゃないかと 思われるふしがあるんだ。ここ一週間、まるきり姿を見せないんでね。モリーがたいへん 気にしている。 エルキュールⅱボワロはすわりなおした。目がきらっと光った。 「ほほう。それ、ほんとうのことですかな ? ポニントンはいっこ。 ろうじん しやしんさっ しよくじせいげん 「あのときいっただろうーー・あの老人は医者の診察をうけて、食餌制限をいいわたされた しよくじせいげん じようだん んだって。食餌制限はまあ冗談にしても、医者の診察をうけたことは事実じゃないのか ちかてつ ろうじん っ かわ の お すがた きやく じじっ しやりよう

6. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

じんぞう スー。フと、腎臓のパイをそえたビーフステーキ、それに黒いちごのタルトをご注文になり ましたの ! まるで、なにを注文しているか、ご自分でもわかっていらっしやらないみた 「なるほど。」エルキュールⅡボワロはいった。「いや、おもしろい、じつにおもしろい。」 まんぞく モリーは満足そうな顔で立ちさった。 「どうかね、ボワロ。」へンリー日ポニントンがくつくっ笑いながらいった。「あんたの推 理を聞かせてもらおうじゃないか。例によってあざやかなところをね。 すいり 「それよりも、あなたの推理をさきにうかがいたいですな。」 「ワトスン役をやれってわけかね ? よろしい。こういうのはどうだーーーあの老人は医者 しんさっ の診察をうけにいった。そして食事をかえろといいわたされた。 のうこう 「濃厚なトマトスープ、ステーキと腎臓の。ハイ、黒いちごのタルトにですか ? どんな藪 しゃ 医者だって、そんなばかなことはいわないはずですがね。 めいれい 「それは考えちがいだよ、ボワロ。医者なんて、どんな命令でもだすものさ。」 「それだけですかな、あなたの思いつく解答は ? 」 ヘンリー日ポニントンはいっこ。 やく じんぞう かいと、つ わら ちゅうもん ろうじん すい しゃ ゃぶ

7. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

う ? それから、スティルトン・チーズのとびきり上物がはいっております。最初はスー プになさいます ? それともお魚から ? 」 りようり ちゅうもん 料理とワインの注文がきまると、きびきびと立ちさるモリーを見送って、ポニントン氏 はほっと息をついていすの背にもたれ、ナプキンをひろげた。 くちょう しようさん 「いい娘だ、あれは ! と、彼は賞賛の口調でいった。「あれでも、むかしはなかなかの美 じん り・ようり 人でねーーー画家たちがあらそってモデルにしたがったものだ。おまけに料理にもくわしい じゅうよう もんだい しーーー・これがあんた、あんがい重要な問題でね。たいがいの女は、食べもののことではい たってたよりにならないものだ。好きな男と食事にでかけても、なにを食べるかにはまる むかんしん ちゅうもん れんちゅう きり無関心、最初に目についたものを注文してすませる、なんて連中が多いものなのさ。 エルキュール日ボワロは首をふった。 「ひどいものですな。」 「男にはそんなことはない、ありがたいことにね。」 し ポニントン氏は満足そうにいっこ。 「ほう、男はだいじようぶですかな ? 」 エルキュールボワロの目がきらめいた。 こ テ まんぞく せ さかな す じようもの し び

8. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

死んでしまった。。、 十ワロは一分か二分ほどようすを見まもっていたが、やがてかるくうな ずくと、べランダにひきかえしてきた。 そくし 「即死にちかいですな。ひじようにききめが早い。」そう彼はいった。 ハリスンはし。ほりだすようにいオ 「あなたはどこまでごそんじなんです ? ぜんばう ボワロはまっすぐ前方を見つめた。 やっきよくちょうば 「さっきも申しあげたとおり、わたしは薬局の帳簿でクロードⅡラングトンの名を見つけ ました。さっきはお話ししませんでしたが、じつはそのすぐあとで、たまたま彼にでくわ せいさん したのです。たずねてみると、あなたにたのまれて青酸カリを買ったといいましたーーー・す しまっ ずめばちの巣を始末するためにです。これを聞いて、わたしはちょっとへんに思いました。 せんじつばんさんかい せき 先日の晩餐会の席で、あなたのおっしやったことをお・ほえていたからです。あなたはガソ こうのうすいしよ、つ きけん せいさん ふひつよう リンの効能を推奨され、青酸カリをそのために買うのは、危険でもあり、不必要だと力説 されました。」 「それで ? 」 「まだあります。先日わたしは、クロード日ラングトンとモリー し す せんじっ ディーンかいっしょに りきせつ

9. アガサ=クリスティ推理・探偵小説集 1

各務三郎編 ファーブルーー虫の詩人 クリスティ推理探偵小説集 深町眞理子訳 榊原晃三訳 各務三郎編 * ハスツールーー微生物の狩人 クリスティ推理探偵小説集 榊原晃三訳 深町眞理子訳 タ . ポ 少女ポリアンナ キュリ , ・亠大人ーーー光は悲しみをこえて楙原晃三訳 菊島伊久栄訳 ル・フ一フン 鬮シートン動物一記田〈ロポ〉ほか 怪盗紳士ルバン 白柳美彦訳 竹西英夫訳 シートン ル・フ一フン シートン動物 ~ 図〈灰色大グ「の伝記〉ほか 鬮ル。ハン対ホーム、ス 白柳美彦訳 竹西英夫訳 シ 庫 蚯シートン動物一記 3 〈クラッグ〉ほか ル。ハンの冒険 白柳美彦訳 長島良三訳 文 ル・ア一フン 大久保康雄訳 蚯最後のひと葉ーオ 奇岩城 傑作短編集 長島良三訳 社 ム ハタ気ーソン 鬮ォズの魔法使い ガラスの家族 岡本浜江訳 大村美根子訳 成 タ 。ホ ヒータ ハンとウエンディ ポリアンナの青春 芹生一訳 菊島伊久栄訳 ネット の 大原興三郎 矚おじさんは原始人だった 秘密の花園田国 茅野美ど里訳 め ルコッ -= 永田耕作編訳 中国のむかし話・ 2 牆若草物語田国 安藤一郎訳 の モンゴメリ ようこそ、おまけの時間に岡田淳 赤毛のアン田国 茅野美ど里訳 キツ。フリング ネット ジャングル・、、フック ( 全 2 巻 ) 公子 金原瑞人訳 坂崎麻子訳 お訂月 A 」 1 アユマ アラジンとふしぎなラン。フ奴田原睦明訳 豐二銃士 ( 全 3 巻 ) 竹村猛訳 も リ」 バと四十人の盗賊奴田原睦明訳 幸福の王子ーワイルド童話集井村君江訳アリー 子 小泉八雲作 挈レ・ミセラブル ( 全 3 巻 ) 怪談 岩瀬孝他訳 平井呈一訳 コナントイール 那須正幹鬮シャーロツイホームズの思い出田国 一等はビキニの絵 河田智雄訳 へブナー再話 夏目漱石ベルシアのむかし話 坊っちゃん 細田理美訳 レ クリス一アイ 細菌と戦う。ハストウール 殺人事件 深町眞理子訳 山午田・和田訳 金光せつ編訳 多毛留・おとなになれなかった 米倉斉加年ロシアのむかし話・ 2 弟たちに : こ ( 2 ) (I)