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検索対象: 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡
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1. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

101 第 188 ~ 193 段 じゅ三 ^ ニ 0 なだか しが 浦はをふの浦。しほがまの浦。志賀の浦。名高の浦。こりずまの浦。和歌一三「須磨」に「こりずま」 ( 失敗に こりることなく ) をかけた歌枕。 ニ三和歌山市。 の浦。 一西奈良県高市郡。南法華寺。 かさぎ 一宝京都府相楽郡笠置山。 あらしやま ニ六京都市右京区、嵐山の東部。 一九一寺は ・一ん′一うぶじ 毛和歌山県金剛峰寺の寺域。 ニ六 ニ七 ニ四 夭空海。真言宗の開祖。弘仁七 つばさか ほふりんかうや 寺は壺坂。笠置。法輪。高野は、弘法大師の御すみかなるがあはれなるな年 ( 八一六 ) 高野山に金剛峰寺創建 三 0 ニ九滋賀県大津市。 こかは三一 三 0 和歌山県那賀郡 り。石山。粉河。志賀。 そうふくじ 三一大津市崇福寺。中世以来廃絶。 三ニ八巻二十八品。諸経中第一の 経として尊ばれた。 一九二経は 三三『千手千眼観世音菩薩広大円 三六 三四 満無碍大悲心陀羅尼経』の略 あみだのだい せんじゅきゃうふげんじふぐわんずいぐきゃうそんしゃうだらに 経は法華経さらなり。千手経。普賢十願。随求経。尊勝陀羅尼。阿弥陀大三四『華厳経』の普賢行願品。 三五『普遍光明清浄熾盛如意宝印 心無能勝大明王大随求陀羅尼経』。 呪。千手陀羅尼。 三六『仏頂尊勝陀羅尼経』中の陀羅 尼。陀羅尼は梵語のまま読む経文。 三セ阿弥陀如来の陀羅尼。 一九三文は 三 ^ 千手観音の陀羅尼。 三九白楽天の詩文集 りよう るいじゅう 四 0 梁までの詩文を類聚したもの。 文は文集。文選。博士の申文。 もんじ・よら・ 四一文章博士の書いた官位昇進 などについての申請書 ふみ ニ九 三ニ ほけきゃう 三九 四 0 ぶんじふもんぜんはかせ ニ五 かイ、ギ一 三三 まうしぶみ ニ ^ 三七 ばん ) 一

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

213 ( 付 ) 第 3 ~ 6 段 みちみち 道々しくあらがひわきまへなどはせで、ただうち泣きなどして居たれば、見る解く。一説「次々し」 ( 次から次に しゃべる ) か。 ぐる 一三「言ひっく」は、事実と異なっ 人おのづから心苦しうてことわるかし。 たことを強いてそのように付会す すごろく一 ^ あそ らん′ ) 女の遊びはふるめかしけれども、乱碁。けふせに。双六。はしらき。扁つる意。 一四道理にかなっている。理屈っ 一五弁明する。言い訳をする。 一六碁石を指につけて多く取るの を勝とする遊びという。 五いみじう暑き昼中に 宅一 ^ 未詳。 つくり 一九漢字の扁を示して旁を付け合 あつひる いみじう暑き昼中に、、かなるわざをせむと、扇の風もぬるし、氷水に手をせる文字遊び。↓一九九段。 あかうすやう からなでしこ ひたし、もてさわぐほどに、こちたう赤き薄様を、唐撫子のいみじう咲きたる = 0 氷に涼を求めることは『源氏 物語』蜻蛉巻などにみえる。 あさ か に結びつけて、とり入れたるこそ、書きつらむほどの暑さ、心ざしのほど浅かニ一石竹。紅の濃い色の花が咲く。 一三氷に手をひたしながらも、一 あふぎニ三お 方では使っていてさえ物足りなか らずおしはかられて、かっ使ひつるだにあかずおばゆる扇もうち置かれぬれ。 った扇も。 ニ三自然に思わず手から離してし 六南ならずは たたみ みなみ ひんがしひさしいた 南ならすは東の廂の板の、かげ見ゅばかりなるに、あざやかなる畳をうち置 = 四物の姿が映るほどよく磨き込 んである所に。 ニ五 きちゃうかたびら 一宝板の上をすべって。 きて、三尺の几帳の帷子いと涼しげに見えたるを押しゃれば、ながれて思ふほ つか あふぎ ひみづて ニ 0 一九 へん 、ま、つ

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

おも 一五ゆき丈が長いことか。 はかま重くぞあらむかし。 一六今ふうで、姿のいい方が、ご いまやう・ さよノ」く 自分に似合うからというので私に 清らなる装束の織物、薄物など、今はみなさこそあンめれ。今様に、またさ もくださるなら、そうではない私 としては困る、と仮にみる。 と便なきものそかし。 まよき人の給はむ、い 宅三巻本では本書五二段にあた る段の末尾にこの一文がある。 一 ^ 弾正台の官人。内外の罪状を 三〇四かたちよき君達の、弾正にておはする つかさど 問い正し風俗粛正を司った官。 一九 かめしい感じの不適合をいうか みやのちゅうじゃう だんじゃう きんだち かたちよき君達の、弾正にておはする、いと見苦し。宮中将などの、くち一九源頼定。為平親圧二男。正暦 三年 ( 究一 I) 八月弾正大弼、長徳四 年 ( 九九八 ) 十月左近中将。 を一しかり - 1 しか・な。 ニ 0 胸が急に痛む胃、肝臓の病気。 三生霊などがとりついて病気と 三〇五病は なると考えられたもの。 一三「脚気」を『和名抄』に「阿之乃 ニ 0 ものけ 介」と読む。 病は胸。物の怪。あしの気。ただそこはかとなく物食はぬ。 ニ三「十八九ばかりの人」「ふさや 段 かなる ( 人 ) 」「見ゆる ( 人 ) 」は同格。 十八九ばかりの人の、髪いとうるはしくて、たけばかり、裾ふさやかなるが、 「歯をいみじく・ : 」に続く。この一 いとよく肥えて、いみじう色白う、顔愛敬づきて、よしと見ゆるが、歯をいみ節別段とみる考えもある。 ニ四 ニ四前髪の一部をやや短くして左 第 ひたひがみ じく病みまどひて、額髪もしとどに泣き濡らし、髪の乱れかかるも知らず、面右に垂らしたもの。 一宝うつくしく若い女性の病む姿 9 が与える感動をいう。 赤くて、おさへゐたるこそ、をかしけれ。 やまひ びん あいぎゃう すそ おもて

4. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

すきかげ の透影や妻戸をあけ格子を上げな をかしう見ゅ。 どしてーー・それでも他の舟と同じ ほど重そうでもないので・ーーまる はし舟とつけていみじう小さきに乗りて漕ぎありく、つとめてなど、いとあ で家の小さいのといったふうなも ゅ しらなみ はれなり。「あとの白波」はまことにこそ消えもて行け。よろしき人は乗りてのだ」のようにみる。 一四笹舟。 ありくまじき事とこそ、なほおばゆれ。かちもまたいとおそろし。されど、そ一五現在のはしけ。『和名抄』に 「艇 [ を「波師不禰」と読む。 っち 一六「世の中を何にたとへむ朝ば 。いとたのもしと田 5 ふに。 れは、いかにもいかにも土に着きたれ、 ニ 0 らけ漕ぎ行く舟のあとの白波」 ( 拾 た 。しかかせ遺・哀傷 ) による。 あまのかづきしたるは、憂きわざなり。腰につきたる物堪へね、 宅漁師。ここは海女のこと。 一 ^ 海に潜水しているのは。 むとなむ。をのこだにせば、さてもありぬべきを、女はおばろけの心ならじ。 一九下文に見える「栲縄」。海女の とあやふ腰につけて一方は舟に結び付ける。 男は乗りて、歌などうちうたひて、この栲縄を海に浮けてありく。い ニ 0 こらえぎれずに切れる時には。 く、うしろめたくはあらぬにや。あまものばらむとては、その縄をなむ引くと三楮の皮で作った縄。歌語。前 文の「腰につきたる物」と同じ。 か。まどひ繰り入るるさまそことわりなるや。舟のはたをおさへて放ちたる息一三男が女に対して。 ニ三長い間ためていた息を吐くの ニ四 段などこそ、まことにただ見る人だに、しほたるるに、落とし入れてただよひあで鋭い笛のような音がする。 一西水に濡れて滴が垂れることか 2 りくをのこは、目もあやにあさましかし。さらに人の思ひかくべきわギ、にもあら、涙で袖が濡れる意にかける。 第 一宝「目もあやに」は多くすばらし さの形容であるが、ここは意外な らぬ事にこそあンめれ。 ことに対して用いられている。 一セ たくなは 一九 たくなは

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一五業遠は自分の従者に牛を打た せたのだから。一説、牛飼童を。 三一七好き好きしくて一人住みする人の 一六そのことから考えても、自分 の心のままにいつも従者や牛飼童 を教え諭しておいてあると見えた。 好き好きしくて一人住みする人の、夜はいづこにありつらむ、暁に帰りて、 宅女性に対しても風流の道にも すみ やがて起きたる、まだねぶたげなるけしきなれど、硯取り寄せて、墨こまやか深く心を寄せること。 一 ^ 「 : ・人の」は「 : ・起きたる ( 人 ) 」 すがた に押し磨りて、事なしびにまかせてなどはあらす、心とどめて書くまひろげ姿と同格。 一九うちとけくつろいだ姿。「ま ひろぐ」↓田一〇四段。 をかしう見ゅ。 ニ 0 やまぶきくれなゐ かさね きめ 白き衣どもの上に、山吹、紅などをぞ着たる。白き単衣の、いたくしばみたニ 0 染色。襲ともみられる。 一 = 朝露に濡れた自分の衣。一説、 こどね るをうちまもりつつ書き果てて、前なる人にも取らせず、わざと立ちて、小舎女のもとから持ち帰った衣。また 一説、庭の一重の花。 のち りわらは 人童を、つきづきしきを、身近く呼び寄せてうちささめきて、いぬる後も久し一三そばに仕える召使の女房など。 ニ三近衛の中・少将の召し使う少 ニ四 くながめて、経のさるべき所々など、しのびやかに口ずさびにしゐたり。奥の年。ここはそれに類する腹心の少 年であろう。 ふづくゑ てうづかゆ かた 一西経を読むのは当時の教養。 方に、御手水、粥などしてそそのかせば、歩み入りて、文机に押しかかりて、 一宝朝食。「粥」は現在の御飯。 ニ六下着の上に直接直衣を着た姿。 しと」かし。 文をそ見る。おもしろかりける所々は、うち誦んじたるも、 毛『法華経』一一十八品中の第六巻。 そら ニ七 夭行ったのは近い所なのだろう。 手洗ひて、直衣ばかりうち着て、六巻をぞ空によむ、まことにいとたふとき さきほどの使いがすぐ帰って来て かへり つかひ ほどに、近き所なるべし、ありつる使うちけしきばめば、ふとよみさして、返合図をするので。 ニ六 なほし うへ ひとり よる あ ず すずり 一一ひとへ 一九

6. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

はなほすこしにくしと思ふ人の、おしはかり事うちし、すずろなる物うらみし、宅よりによってこんな人に養っ てもらっているとは、と感じられ るためなのだろうか。 われかしこなる。 一 ^ ご両親がこのお子様をば。 心あしき人の養ひたる子見るは、それが罪にもあらねど、かかる人にしもと一九乳母がこんな人間だとは思い 知らないのだろうか、乳母を求め おばゆるにゃあらむ。「あまたあるが中に、この君をば思ひおとしたまひてや、て泣き騒ぐ。 ニ 0 乳母が子どもの泣くのを気に 一九 にくまれたまふよ」などあららかに言ふ。ちごは思ひも知らぬにゃあらむ、も入らないと思う、と仮にみる。 ニ一まわりの人がちやほやする、 おとな とめて泣きまどふ、心づきなきなンめり。大人になりても、思ひうしろ見もてとみる。乳母がまだ世話をやく、 とも考えられよう。 一三「人」は友だちの女房など。以 さわぐほどに、なかなかなる事こそおほかンめる。 下、虫の好かない相手に親切にさ わびしくにくき人に思ふ人の、はしたなく言へど、添ひっきてねんごろなる。れる迷惑さをいう。作者が妥協し ないところがおもしろい 「いささか心地あし」など言へば、常よりも近く臥して、物食はせいとほしが = 三こちらが、その人にとって間 の悪いことを言って困らせても。 ついし、よう・ ニ四 ニ四その親切に対してこちらは何 り、その事となく思ひたるに、まつはれ追従し、取り持ちてまどふ。 とも思っていないのに。 段 一宝自分の仕事として引き受けて 夢中になるの。 三〇七宮仕へ人のもとに来などする男の、そこにて ニ六作者の好き嫌いがはっきり表 現されている一段。 第 - ニ六 みやづか 宮仕へ人のもとに来などする男の、そこにて物食ふこそいとわろけれ。食は毛自分を思ってくれる女房が。 夭好意があって言うとしたら、 ニ七 する人もいとにくし。思はむ人の、「まづーなど心ざしありて言はむを、忌みそれを。 、一こち をとこ ふ ニ五

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

二四女のうは着は うす うすいろえびぞめもえぎ 女のうは着は薄色。葡萄染。萌黄。桜。紅梅。すべて薄色の類。 二五汗衫は くちば あをくちば かぎみ 汗衫は春は躑躅。桜。夏は青朽葉。朽葉。 一一六薄様色紙は ニ四 かりやすぞめあを 薄様色紙は白き。むらさき。赤き。刈安染。青きもよし。 段 二七硯の箱は ニ六 まきゑ くもとりもん 第すずり 硯の箱は重ねの蒔絵に雲鳥の紋。 付 うすやうしきし 一九 かさ しろ つつじ さくら・ あ さくらこら・ばい 一ニ麻笥。つむいだ麻を入れてお 一三水槽。または馬のかいば桶。 「舟」「船」が漢字として適当か。 一四下地が必ず汚いのに表面はき れいにみえるもの。 一五特に唐絵という理由は不明。 一六はげて来ると下地が汚い 宅お供えなどの装飾的な盛物。 かうしり 天「かうしり」は「河尻」とみる。 「かはしり」とする本もある。淀川 の川口の遊女。 一九以下、襲の色目を中心として いうとみる。 ニ 0 表裏とも薄紫色。 ニ一童女の表着。以下襲をいう。 すおう 一三表蘇枋、裏は青の襲。 ニ三薄手の鳥の子紙でできた色紙。 「色紙」は、和歌を書く料紙。 ニ四野草の刈安の茎や葉を用いた 黄色染。 一宝二段重ねた箱。↓一一一九段。 兵雲や鳥の形を紋様としたもの。 かさね

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

段 よそ目よりほかに、ほむるたぐひおほかれ」とのたまふ。「それがにくからず一六自分が愛する人のわずかな欠 点を他人が言うと。 かた 宅藤原行成。 こそはあらめ。男も女も、け近き人を方ひき、思ふ人のいささかあしき事を言 ものいみ 天宮中の御物忌なので殿上にこ へば、腹立ちなどするがわびしうおばゆるなり」と言へば、「たのもしげなのもらなければいけないから。 一九午前二時頃から四時頃まで。 ニ 0 宮中に。 事や」とのたまふも、をかし。 かんやがみ ニ一紙屋紙。紙屋院で反故紙をす き返して作った官用紙。 一三後朝の文めかして書いたもの。 一三九頭弁の、職にまゐりたまひて ニ三裏表に。一夜契ったかのよう に多く書いたことをいう。 とうのペん あす もうー ) 編つくん 頭弁の、職にまゐりたまひて、物語などしたまふに、夜いとふけぬ。「明日一西『史記』孟嘗君列伝に見える かんこくかん 一九 故事。孟嘗君は夜半函谷関に至っ こも 一 ^ ものいみ ニ 0 たが門は閉じていた。鶏鳴によっ 御物忌なるに籠るべければ、丑になりなばあしかりなむ」とてまゐりたまひぬ。 て開門と定められていたため、上 くらうどどころニ一がみ のち か * 一 っとめて、蔵人所のかや紙ひき重ねて、「後のあしたは、残りおほかる心地手な者に鶏鳴をまねさせて通るこ とができ得たという話。「孟嘗君 きこあ なむする。夜とほして、昔物語も聞え明かさむとせしを、鶏の声にもよほされのかや」は、定めし本当の鶏では なくてにせの鶏でしよう、の気持。 て」と、いみじう清げに、うらうへにことおほく書きたまへる、いとめでたし。一宝折返し。 ニ六中国河南省北西部にあった。 まうさうくん 毛孟嘗君は食客三千人をかかえ 御返りに、「いと夜深くはべりける鳥の声は、孟嘗君のかや」と聞えたれば、 ニ六 ていたと伝に見えるが、函谷関同 にはとりかんこくくわん ニセ かくニ ^ 行のことは見えない 立ち返り、「『孟嘗君の鶏函谷関をひらきて、三千の客わづかに去れり』とい ニ九 夭かろうじて。 あふさかせき あ 堯あなたと逢った夜のことです。 ふ。これは逢坂の関の事なり」とあれば、 しき ぢか とり きこ きぬぎぬ

9. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

は仏を念ずれば近きにあると説く。 一〈直行すると近い 一七〇近くて遠きもの 一九泉水や流れから飲料水を汲み 取る所。 近くて遠きもの宮のべの祭。思はぬはらから、親族の仲。鞍馬のつづらをニ 0 埼玉県狭山市堀兼。歌枕。 「武蔵野のほりかねの井もあるも しはす むつき のをうれしくも水の近づきにけ りといふ道。師走のつごもり、正月のついたちのほど。 り」 ( 千載・釈教俊成 ) 。 ニ一歌枕。「走り井の程を知らば や逢坂の関引きこゆるタかげの 一七一遠くて近きもの 駒」 ( 拾遺・雑秋元輔 ) 。走り井は 湧き流れる泉。 一三他にもあるが逢坂にあるのが 遠くて近きもの極楽。舟の道。男女の仲。 あさかやま ニ三「安積香山影さへ見ゆる山の 井の浅き心を我が思はなくに」 ( 万 葉三八 0 七 ) による。福島県郡山市。 一七二井は ニ四奈良県高市郡明日香村にある。 一宝「飛鳥井に宿りはすべし、や、 あふさか おけ、影もよし、みもひも寒し、 井はほりかねの井。走り井は逢坂なるがをかしき。山の井、さしも浅きた みま草もよし」 ( 催馬楽・飛鳥井 ) 。 あすかゐ 段めしになりはじめけむ。飛鳥井、「みもひも寒し」とほめたるこそをかしけれ。「みもひ」は水のこと。 ニ九 ニ六京都府の井手の玉川の堰。 きさいまち おおい からすま 毛烏丸の東、大炊御門の南。 玉の井。少将ノ井。桜井。后町の井。千女尺井。 ニ ^ 一条北、五辻の南。一説、奈 第 良の桜井。 じようわいでん ニ九常寧殿脇の井をさすか。 一七三受領は 三 0 東三条の「千貫の井」の誤写か。 一九 ニ 0 ニセ ごくらく一 ^ ニ四 三 0 しんぞく ニ三 くらま

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

175 第 279 ~ 280 段 とだ、の趣。『千載集』にも見える。 さかしらに柳のまゆのひろごりて春のおもてを伏する宿かな 一六と、中宮様はおっしゃいます。 宅私信 ( 公信に対する ) としては。 とこそ見えしか 宰相の君の言。 そのころ、また、同じ物忌しに、さやうの所に出でたるに、二日といふ昼っ一 ^ 「暮るるまは千年を過ぐすこ こちして待つはまことに久しかり けり」 ( 後拾遺・恋一一藤原隆方 ) に カオいとどっれづれまさりて、ただいまもまゐりぬべき心地するほどにしも 類した発想。 一いしゃう あさみどり 一九宰相の君。 あれば、し 、とうれしくて見る。浅緑の紙に、宰相の君いとをかしく書きたまへ ニ 0 うまいご返事が浮んでこない のこそ情けないことだ。下文にこ の歌が中宮の気に入らなかったこ とが見える。 ニ一「雲の上」は中宮のおられる内 あかっき 裏をさす。「所がらとも」は自分の となむ。わたくしには、今日しも千年の心地するを、暁にだにとく」とあり。 いる寂しい場所のせいと思って。 ごと 一九 この君ののたまはむだにをかしかるべきを、まして仰せ言のさまには、おろか一三作者から宰相の君への私信。 ニ三何の少将か不明。一説に小町 のもとへ通う深草少将というが後 ならぬ心地すれど、啓せむ事はおばえぬこそ。 世の説話と考えられるので従えな ニ四中宮の歌をそのまま受けとめ あかっき わたくしには、今宵のほども、少将にゃなりはべらむずらむ」とて、暁にまゐて、中宮が暮しかねていらっしゃ るのだった、と詠んだのが、少納 きのふ りたれば、「昨日の返し、暮らしかねけるこそ。いとにくし。いみじうそしり言の自信過剰でひどすぎる、の意 とみる。 一宝下に「あらむ」など省略。 き」と仰せらるる、いとわびし , つ、まことにさる事も。 「雲の上も暮らしかねける春の日を所がらともながめけるかな こよひ きのふけふ 「いかにして過ぎにし方を過ごしけむ暮らしわづらふ昨日今日かな ちとせ ニ四 ここち