一説 - みる会図書館


検索対象: 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡
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1. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一人目につくから格別に品格が めり。ましてまじらひする人は、いとこよなし。猫の土におりたるやうにて。 あってほしいものだ、の意向。 ニ前とのつながり不審。猫が土 の上におりているように人目につ 子 三一二人の顔にとりつきてよしと見ゆる所は くから、と仮にみる。一説「 : ・猫 草 のように品格がなくては困る。 枕人の顔にとりつきてよしと見ゆる所は、日ごとに見れど、あなをかしと見ゅ = = 一巻本「とりわきて」。 四道具類。一説、顔の造作。 れ。絵などは、あまたたび見つれば、目も立たずかし。近く立てる屏風の絵な五自然に見つめられる。 六「さ」は「常にまもらるる」こと とみるが、下文の「まもらるる」が しとめでたけれど、見もやられず。人のかたちは、をかしうこそあれ。 重複するので不審。三巻本「さこ にくげなる調度の中にも、一つつよき所の、常にまもらるる。にくきも、さこそはあらめと思ふこそわびしけ セこの段三巻本にはない。大工 そはあらめとまもらるるこそわびしけれ。 の食事を活写する珍しい一段。 ^ 寝殿の東面。 九「取りて : こにかかる。 二一三たくみの物食ふこそ、いとあやしけれ 一 0 汁物の容器として用いた素焼 の陶器。 しんでん たくみの物食ふこそ、いとあやしけれ。寝殿を建てて、東の対だちたる屋を = 「突き据う」の音便。もう不用 だという意味の動作をいうか ひんがしおもてい 三副食物。おかず。 造るとて、たくみどもゐ並みて、物食ふを、東面に出でゐて見れば、まづ、 一三副食に対する「飯」。 まら・け一 持て来るやおそきと、汁物取りてみな飲みて、土器はついすゑつ。次にあはせ一四たちまち食べ尽したさま。 一五そうしたのだから。 をみな食ひつれば、おものは不用なンめりと見るほどに、やがてこそ失せにし一六多分そういうものだ、と思う。 てうど しるもの っち びやうぶ や

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

165 第 265 ~ 270 段 一九「おばえ」は、自分にとって感 じられる意、「させたまふ」は、春 、、二六七崎は 日に対する尊敬語。 ニ 0 奈良市佐保にある藤原氏のや かた。春日などに参詣の折の宿所。 いかが崎。みほが崎。 三京都市北区平野神社。 しんよ 一三神輿を納める屋。一説行幸の そうかれん 折祭典の間葱花輦を納めておく庫。 二六八屋は ニ三神社の垣。 がき ニ四「ちはやぶる神の斎垣にはふ くず 葛も秋にはあへずうつろひにけ 屋はまろ屋。あづま屋。 り」 ( 古今・秋下貫之 ) による。 一宝「みくまり」の転という。数多 くあるが吉野の水分神社が有名。 一一六九時奏するいみじうをかし びわ ニ六滋賀県大津市。琵琶湖畔 毛同大津市石山の南にある崎か。 よなか 時奏するいみじうをかし。いみじう寒きに、夜中ばかりなどに、こほこほとニ ^ 島根県美保の崎か。 あしかや ニ九葦や茅などで簡単に造った家。 くっ うしみ 三 0 四方に軒を葺きおろした民家。 こほめき、沓すりて来て、弦打ちなどして、「なん家のなにがし。時丑三つ、 三一宮中で左右近衛の夜警が時を おと ねよ 子四つ」など、時のくひさす音など、いみじうをかし。「子九つ、丑八つーな奏上すること。一時を四刻に分け 亥の一刻から寅の一刻まで行う。 三ニ「何家」とみる。「何の某」と姓 どこそ、里びたる人は言へ、すべて四つのみそくひはさしける。 名を名のること。 ふだ 三三時を示す簡に時の杭を刺込む。 三四鼓の時報の音による俗称。 二七〇日のうらうらとある昼つかた 三五四刻分を宮中ではさすのだ。 や ニ六 さき からさきニセ 崎は唐崎。 ニ九 三三 三 0 つる 三四ここの や

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

これは、また、世ノ中にをかしくもめでたくも人の思ふべき事を選り出でた るかは。ただ心一つに思ふ事をたはぶれに書きつけたれば、物に立ちまじり、 な 人並み並みなるべき物かはと思ひたるに、「はづかし」など、見る人の、のた 七草木の花を記した部分から虫 まふらむこそあやしけれ。また、それもさる事ぞかし。人の、物のよしあし言を記した部分まで、この草子全部 にとって、の意か ひたるは、心のほどこそおしはからるれ。ただ人に見えそむるのみぞ、草木の〈「そしらるれば」の誤りか。 九「罪避る」は陳謝する、弁明す 花よりはじめて虫にいたるまで、ねたきわざなる。何事もただわが心につきてる、の意。 一 0 「広めく」で、広く動くこと。 おばゆる事を、人の語る歌物語、世のありさま、雨、風、霜、雪の上をも言ひ一説、「ひろ」は擬態語で、ひょろ ひょろ動きまわる意。 きよう しい・かげ冫ルに。も。 段たるに、をかしく興ある事もありなむ。また、「あやしくかかる事のみ興あり、 三「痩す」の形容詞化したもので、 をかしくおばゆらむ」と、そのほどのそしられば、罪さり所なし。さて人並み肩身がせまく身も痩せる思いがす 第 る、の意が原義という。現在の やさ 並みに、物に立ちまじらはせ、見せひろめかさむとは思はぬものなれば、えせ「優し」に近い例も中古にあるが、 ここは恥ずかしい、みつともない、 にも、やさしくも、けしからずも、心づきなくもある事どももあれど、わざとの意。 御前わたりの恋しく思ひ出でらるる事あやしきを、こじゃ何やと、つきせずお れうし ほかる料紙を書きつくさむとせしほどに、、 しとど物おばえぬ事のみそおほかる ゃ。 な え

4. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一六史実によれば正暦五年 ( 究四 ) 二月二十日。 二五六関白殿、二月十日のほどに、法興院の 宅もと藤原兼家の邸。正暦元年 一八 五月法興院と改名し寺院となった。 ほこゐんさくせんじ みだう いっさいきゃうくやう 天法興院の中に正暦三年道隆が 関白殿、二月十日のほどに、法興院の尺泉寺といふ御堂にて一切経供養せさ しやくぜんじ ニ 0 新しく建立した寺。積善寺。底本 にようゐん あてじ 表記は当字。 せたまふに、女院、宮の御前もおはしますべければ、二月ついたちのほどに、 一九一切経を新しく書写して奉納 二条の宮へいらせたまふ。夜ふけて、ねぶたくなりにしかば、何事も見入れす、する際、法会を行うこと。 ニ 0 東三条女院詮子。兼家のむす いと白うあたらしめ。一条帝の生母。 っとめて、日のうららかにさし出でたるほどに起きたれば、 ニ四 ニ一積善寺の供養に ニ五 きのふ 一三中宮の里邸。正暦三年十一月 うをかしげに造りたるに、御簾よりはじめて、昨日かけたるなンめり。御しつ ニ七 道隆が中宮のために新造した。 いちぢゃう こまいぬ らひ、獅子、狛犬など、いつのほどにか入りゐけむとぞをかしき。桜の一丈ばニ三新御殿についての印象。 ニ四この一文やや整わない。 みはし かりにて、いみじう咲きたるやうにて、ただいま御階のもとにあれば、「いとニ五中宮御里邸としての装飾。 ニ六天皇・皇后の帳台の前に置く さか からじし とう咲きたるかな。梅こそただいま盛りなンめれ」と見ゆるは、作りたるなン邪気を避けるための置物。唐獅子 ・狛犬で一対。 ニ ^ 段めり。すべて、花のにほひなど、咲きたるにおとらず。いかにうるさかりけむ。毛約三。 夭光沢のある美しさ。 雨降らばしばみなむかしと見るぞ、くちをしき。小家などいふ物のおほかりけニ九どんなに面倒なことだったろ 第 う、の意か。一説「うるせし」 ( 巧 みどころ る所を、今造らせたまへれば、木立などの見所あるを、いまだなし。ただ屋ざ緻だ・上手だ ) と同じ。 三 0 この一文整わない。↓現代語 訳。 ま、近くをかしげなり。 ニ六 三 0 こだち ニ九 や - 一ま・いめ

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

中納言の君の、忌の日とて、くすしがり行なひたまひしを、「給べ、その数一中宮付きの女房。二五六段に ただ一み 「右兵衛督忠君と聞えけるが御む 六 珠しばし。行なひてめでたき身にならむと借る」とて、あつまりて笑へど、なすめ」とある「中納言の君」と同人 子 ほとけ ほいとこそめでたけれ。御前に聞しめして、「仏になりたらむこそ、これよりニ親族の命日。 三奇特な態度で。 枕 四関白の言葉。一説、女房。ま はまさらめ」とて、ゑませたまへるに、まためでたくなりてそ見まゐらする。 た一説、作者。いずれをとるかに 大夫殿のゐさせたまへるを、かへすがヘす聞ゆれば、「例の思ふ人」と笑はせよって以下の解釈も変ってくる。 仮に関白の冗談とみる。 のち たまふ。まして後の御ありさま見たてまつらせたまはましかば、ことわりとお五「とて」を仮に「ということな ので」の意として下文に続けた。 六関白以上の身分はないから。 ばしめされなまし。 セ仏になったら関白以上の身分 となることをさす。 ^ 「思ふ」対象は道長。一説、道 一三三九月ばかり夜一夜降り明かしたる雨の 隆。ひいきの人。 九道長は、長徳元年 ( 究五 ) 四月 あ 九月ばかり夜一夜降り明かしたる雨の、今朝はやみて、朝日のはなやかにさ十日に道隆、五月八日に道兼の二 人の兄が没すると、五月十一日に せんぎい せんじ こうむ 内覧の宣旨を蒙り、六月右大臣、 したるに、前栽の菊の露こばるばかり濡れかかりたるも、いとをかし。透垣、 以後左大臣、太政大臣、摂政、と くもす すすき らんもむ、薄などの上にかいたる蜘蛛の巣のこばれ残りて、所々に糸も絶えざ栄達を極めた。 一 0 「ましかば・ : まし」は仮定。長 まに雨のかかりたるが白きを、玉をつらぬきたるやうなるこそ、いみじうあは保二年 ( 一 000 ) 定子没後の執筆であ ることを一小す。 = 庭先の植込みの草木。 れにをかしけれ。 ず よひとよ うへ きこ 四 た すいがい

6. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

131 第 240 ~ 242 段 し吹かせたまへるは、なほいみじうめでたしと言ふも、世の常なり。御笛の師む」によって、不満不遇を嘆く意 に用いられる。この前後定子中宮 にて、その事どもなど申したまふ、いとめでたし。御簾のもとにあつまり出での身辺は道長方の勢力に圧せられ 思うにまかせなかった。 すけただ て見たてまつるをりなどは、わが身に「芹摘みし」などおばゆる事こそなけれ。一六藤原輔尹か。 宅木工寮の三等官で七位。「蔵 くら・つ / 」 もくとっ すけただは木工の允にて、蔵人にはなりたる。いみじう荒々しう、うたてあ人」は、六位蔵人を兼任したもの であろう。 一九 てんじゃうびと ろこっ れば、殿上人、女房は「あらはにーとそっけたるを、歌に作りて、「さうなし天「露骨さん」などのあだ名か。 あらわに 一説「荒鰐」。 かねとき ニ 0 イ、う をはりうど のぬし、尾張人のたねにぞありける」とうたふをば。尾張の兼時がむすめの腹一九「左右なし」で、ためらわない、 の意。一説「双なし」で天下無敵。 なりけり。これが御笛に吹かせたまふを、添ひさぶらひて、「なほ高う吹かせ = 0 感動助詞のようにみなす。 三尾張の人兼時。老年の神楽の おはしませ。え聞きさぶらはじ」と申せば、「いかでか、さりとも聞き知りな人長として『紫式部日記』寛弘五年 ( 一 000 の記事に見える。ただし兼 時女がすけただの母であると、 む」とて、みそかにのみ吹かせたまふを、あなたよりわたらせおはしまして、 すけただ 「輔尹」に関する尊卑分脈の注と合 わない 「この者なかりけり。ただいまこそ吹かめーと仰せられて、吹かせたまふ、 一三不審。「これを」の意とみる。 ニ三高遠は。一説、私たち女房は。 ニ四向こうの御殿から中宮の御許 一宝すけただ。 ニ六生れ変ること。変身 毛普通の女房としてお仕えする みじ , つをかし。 二四二身をかへたらむ人はかくやあらむと見ゆるものは さぶら 身をかへたらむ人はかくやあらむと見ゆるものは、ただの女房にて候ふ人の、人が。 ニ六 せりつ ニ四 ニ七 寺一う

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一五業遠は自分の従者に牛を打た せたのだから。一説、牛飼童を。 三一七好き好きしくて一人住みする人の 一六そのことから考えても、自分 の心のままにいつも従者や牛飼童 を教え諭しておいてあると見えた。 好き好きしくて一人住みする人の、夜はいづこにありつらむ、暁に帰りて、 宅女性に対しても風流の道にも すみ やがて起きたる、まだねぶたげなるけしきなれど、硯取り寄せて、墨こまやか深く心を寄せること。 一 ^ 「 : ・人の」は「 : ・起きたる ( 人 ) 」 すがた に押し磨りて、事なしびにまかせてなどはあらす、心とどめて書くまひろげ姿と同格。 一九うちとけくつろいだ姿。「ま ひろぐ」↓田一〇四段。 をかしう見ゅ。 ニ 0 やまぶきくれなゐ かさね きめ 白き衣どもの上に、山吹、紅などをぞ着たる。白き単衣の、いたくしばみたニ 0 染色。襲ともみられる。 一 = 朝露に濡れた自分の衣。一説、 こどね るをうちまもりつつ書き果てて、前なる人にも取らせず、わざと立ちて、小舎女のもとから持ち帰った衣。また 一説、庭の一重の花。 のち りわらは 人童を、つきづきしきを、身近く呼び寄せてうちささめきて、いぬる後も久し一三そばに仕える召使の女房など。 ニ三近衛の中・少将の召し使う少 ニ四 くながめて、経のさるべき所々など、しのびやかに口ずさびにしゐたり。奥の年。ここはそれに類する腹心の少 年であろう。 ふづくゑ てうづかゆ かた 一西経を読むのは当時の教養。 方に、御手水、粥などしてそそのかせば、歩み入りて、文机に押しかかりて、 一宝朝食。「粥」は現在の御飯。 ニ六下着の上に直接直衣を着た姿。 しと」かし。 文をそ見る。おもしろかりける所々は、うち誦んじたるも、 毛『法華経』一一十八品中の第六巻。 そら ニ七 夭行ったのは近い所なのだろう。 手洗ひて、直衣ばかりうち着て、六巻をぞ空によむ、まことにいとたふとき さきほどの使いがすぐ帰って来て かへり つかひ ほどに、近き所なるべし、ありつる使うちけしきばめば、ふとよみさして、返合図をするので。 ニ六 なほし うへ ひとり よる あ ず すずり 一一ひとへ 一九

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

てんじゃうわらは 一「長々しーで大人びた様子。 一つづつ、をさをさしく乗りたるしりに、殿上童乗せたるもをかし。 0 ニ行列が通り過ぎたのち、我が のち わたり果てぬる後には、などかさしもまどふらむ、われもわれもと、あやふちにその後を追おうとするさま。 三ゆっくり車を進ませなさい 子 くおそろしきまで、先に立たむといそぐを、「かうないそぎそ。のどやかにや供の者への言葉。 草 四少し通れるようになる程度に 枕れ」と、扇をさし出でて制すれど、聞きも入れねば、わりなくて、すこしひろ他の車をやりすごして。以下段末 まで三巻本とは文の順序その他異 き所に、強ひてとどめさせて立てたるを、心もとなくにくしとぞ思ひたる。き同が多い。 五うつぎの生垣。 ほひかくる車どもを見やりてあるこそをかしけれ。すこしよろしきほどにやり六驚くべき様子に。びつくりさ せるようなふうに。 五 過ごして、道の山里めき、あはれなるに、うつぎ垣根といふ物の、いと荒々しセうつぎの花、即ち卯の花。 ^ 「つばみたるものがち」の意か う、おどろかしげにさし出でたる枝どもなどおほかるに、花はまだよくもひら九桂。前ハーに「葵、かつらもう ち萎えて見ゅ」とあった。 け果てず、つばみたるがちに見ゆるを折らせて、車のこなたかなたなどにさし一 0 三巻本この前に「いとせばう、 えも通るまじう見ゆる」とある。 ゅ たるも、かつらなどのしばみたるがくちをしきに、をかしうおばゆる。行く先「さ」がはっきりしないが、近くな ってみると目的地とはちがった所 だった、の意と解する。一説、近 を、近う行きもて行けば、さしもあらざりつるこそをかしけれ。男の車のたれ 道を急いで行くと必ずしも近道で はなかった、の意。 とも知らぬが、しりにひきつづきて来るも、ただなるよりはをかしと見ゆるに、 = 「風吹けば峰にわかるる白雲 の絶えてつれなき君が心か」 ( 古 ひきわかるる所にて、「峰にわかるる」と言ひたるもをかし。 今・恋二忠岑 ) によって男が言い かける。言葉も交さぬままの別れ 四

9. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一「のたまはせたりし ( 御文は ) 」 の意とみて下文に続ける。 二八一清水に籠りたるころ ニ草仮名。万葉仮名の草体 三歌の「知るらむ」からすぐ次の 子 きよみづこも ひぐらし 清水に籠りたるころ、蜩のいみじう鳴くを、あはれと聞くに、わざと御使し「ものを」に続く。 さんろう 草 四格別長い清水の参籠なのね。 から 五散華のための造花であろう。 枕てのたまはせたりし、唐の紙の赤みたるに、さうにて、 六この草子にその歌は本来記さ いりあひ なかったものと考えられる。 「山近き入相のかねの声ごとに恋ふる心のかずは知るらむ セ年次は確定できない。一説、 四 ながゐ 長徳一一年 ( 究六 ) 。 ものを、こよなの長居や」と書かせたまへる。 ^ 中宮御所における御仏名。中 五 紙などのなめげならぬも取り忘れたる旅にて、紫なる蓮の花に書きてまゐら宮御所はどこであったか不明。↓ 田八五段。 九「御仏名」は、初半後の三夜に する。 わかれ、それそれ導師をことにす る。「初夜」は、亥の二刻から子の 一刻 ( 午前零時半ころ ) まで。 二八二十二月二十四日、宮の御仏名の初夜 一 0 唱導の師。御導師の『仏名経』 どくじゅ 読誦を聞いて、の意か。 ごぶつみやうそや よなか = 挿入句。 十二月二十四日、宮の御仏名の初夜、御導師聞きて出づる人は、夜中も過ぎ 三四段自動詞「しだる」の連体形。 ぬらむかし、里へも出で、もしは、しのびたる所へも夜のほど出づるにもあれ、仮に感動表現とみる。 くき 一三「岫」はそそり立っ峰。三巻本 「たき ( 滝 ) 」。 あひ乗りたる道のほどこそをかしけれ。 一四不審。三巻本「めでたきに、 したすだれ 下簾もかけぬ車の、簾をいと高う 日ごろ降りつる雪の、今朝はやみて、風などのいたう吹きつれば、垂氷のい 一 0 だうし はちす 六 たるひ つかひ さんげ

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

のち 一四「二十包」とも「二十 ( 枚を一 ) さて後にほど経て、すずろなる事を思ひもし、にくみて、さかにあるころ、 包みに包みて」とも読める。仮に 一四づっ めでたき紙を、二十包みに包みて給はせたり。仰せごとには「とくまゐれ」な前者とみる。 一五間に女房がいて仰せを伝える 一六 どのたまはせて、「これは聞しめしおきたる事ありしかばなむ。わろかンめれ形。女房の代筆によるお手紙。 一六「聞しめしおきたる [ は、女房 ずみやうきゃう から中宮に対する敬意を混じた表 ば、寿命経も書くまじげにこそ」と仰せられたる、いとをかし。むげに思ひ忘 現。「ただの紙 : ・」以下の作者の言 を受ける。 れたりつる事をおばしおかせたまへりけるは、なほただ人にてだにをかし。ま 宅『一切如来金剛寿命陀羅尼経』。 しておろかならぬ事にそあらぬゃ。心も乱れて、啓すべきかたもなければ、た延命祈願の経文。一説、女房の 「息災の祈り」をふまえ、短い経文 である寿命経も書けそうもないけ れど、と中宮が言われたもの。 一 ^ この一文整わない。並一通り 「かけまくもかしこき神のしるしには鶴のよはひになりぬべきかな ではないこと、と言ってすまされ つかひき だいばんどころざふし あまりにやと啓せさせたまへ」とて、まゐらせつ。台盤所の雑仕を御使に来たることではないのだ、と仮に解く。 一九「紙」に「神」をかける。「鶴の ニニひとへ よはひ」は長寿で「寿命経」をふむ。 る。青き単衣など取らせて。 ニ 0 「鶴 : ・」は、大げさすぎましょ うか、の意か 段まことに、この紙を草子に作りてもてさわぐに、むつかしき事もまぎるる心 三取次の女房への伝言。 一三作者から雑仕への禄。 地して、をかしう心のうちもおばゅ。 ニ三退紅色の狩衣。召使の服装。 第 あかきめ 二日ばかりありて、赤き衣着たる男の、畳を持て来て、「これ」と言ふ。「あ = 四庭先などに来たので、とがめ たものか。 一宝男が間が悪く感じるように。 れはたれそ。あらはなり」など、物はしたなう言へば、さし置きていぬ。「い ニ 0 一九 へ さ、つし きこ つつ ニ五 をとこ