三巻本 - みる会図書館


検索対象: 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡
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1. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

211 ( 付 ) 第 1 ~ 2 段 三巻本系統諸本逸文 〔凡例〕 一、能因本には見えない、三巻本系統の章段を付載したが、原文・ おおむ 脚注・現代語訳などは概ね能因本についてと同様の方針に従った。 一、本文は『校本枕冊子』付巻の「三巻本系統諸本逸文」に拠っ た。これは「校本本文篇に対校できなかった三巻本系統 ( 第一 類・第二類 ) 本文を各類本の原文の順序にー田中氏が掲げられた もので、全体は四〇段に分段されている。本書の章段の分け方は 「校本」のままとした。本文の内容は次のとおりである。 、陽明文庫本 ( 一類 ) を底本とする段ーーー一一・ 2 、弥富本 ( 二類 ) を底本とする段ーー一・四・一一・三五・三 六・四〇 ( このうち四・一一・四〇は二類本のみにある ) しき 一三巻本前段に「渡りは」の段が あり、そこに相当する前田本、堺 本には「たまっくり ( 地名 ) のわた り」という名がみえる。本文に混 たちはたまっくり。 乱があり明解は得にくいが「たち」 たち たち は仮に「館」とみる。一説「太刀」。 ニ玉で飾った美しい邸宅。「太 二職におはしますころ 刀」なら玉をちりばめた飾り太刀。 三この段三巻本のみ。長徳三年 四 ( 究七 ) あるいは四年のことか うこんないしびは 職におはしますころ、八月十余日の月あかき夜、右近の内侍に琵琶ひかせて、四主上付きの女房。↓田七段。 一たちは 3 、陽明文庫本を底本とし弥富本を対校してある段 以外の章段 一、本文の意味不通の箇所などは最小限の校訂を試みたが、能因本 のごとき「校訂付記」は省略し、脚注にその旨記すにとどめた。 一、「見出し語」についても原則として「校本」に拠った。ただし 四・一一・一九・四〇の各段については、「校本」において「一 本云々」の本文が記載され、その後に項目本文があげてあるが、 本書では「一本云々」は〔〕で囲んだ。この場合、項目本文の 冒頭のみを本文部分の「見出し語」とした。さらに四・四〇段に ついては、複数とおばしき項目を含むので、目次にはその項目す べてを列挙した。

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 12 ニ十二行古活字本 ホ十三行古活字本 2 三巻本系統 田中氏の校本において底本本文の右側に対校に用いてその異同を掲出してある本文。 田中氏は三巻本の第一類本のうち陽明文庫蔵 ( 墨付一六七丁 ) 本を対校用本とされたが、第一類本は、 日本古典文学大系本 ( 三巻本 ) の段序で第七九段の「あぢきなきもの」までの部分を欠いているので、 その部分の諸段および、それ以後の段でも第一類本になくて第二類本にある数段は、第二類本の田中氏 蔵弥富破摩雄氏旧蔵本をもって補われた。便宜上、それをおしなべて「三巻本ーとして本書の「脚注ー では掲げておいたが、能因本と三巻本とでは段序にちがいがあるから、本書の段のうちどの段の対校に 用いられているのが弥富本であるかを明らかにするため、それに当る本書の段序を次に掲げる。 第一 ~ 二五段。第二八 ~ 五三段。第五五 ~ 六〇段。第六二 ~ 八一段 ( 八一段は「あぢきなきもの」の段 ) 。 第一七三段。第二二二段。第二九五段 ( この段は弥富本では本書第一〇段の末に当る部分にはいる ) 。第三 〇四段 ( この段は弥富本では本書第五二段の末に当る部分にはいる ) 。 右以外の各段は陽明文庫本であるが、ただ次の諸段は、第一、二類を通じて三巻本には全く欠けてい る段である。 第五四・六一・八二・八四・一一七・一五二・二一九 ~ 一一二一・三〇三・三一〇・三一 三一四・三一八・三二三段。 3 前田家本

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 1 ひとり かんだちめ 一終り方として不自然。わざと 上達部の、またなきに、もてかしづかれたるいもうと一人あるばかりにぞ、 書きさした形にしたものか。三巻 本「なぐさめ所なりける」。 思ふ事をうち語らひ、なぐさめ所。 = 「定て」は三巻本の「定てう ( 澄 ) 」に従うべきか。「すひせいき みーは同「すくせ君」。三巻本には 二九五定て僧都に袿なし 本書一〇段にあたる段の末尾にも、 本段とほば同文が見える。背が高 あこめ そうづうちき い「定て僧都」に合うほど長い袿は 「定て僧都に袿なし。すひせいきみに衵なし」と言ひけむ人もをかし。「見し ない、背の低い「すくせ君」に合う あこめ 短い衵はないの意とみる。 あわう」とたれか言ひけむ。 三不審。この一節三巻本ナシ。 四「高野 -J か。歌中の滋賀県の 「伊吹」からみて不審。三巻本「や 二九六まことや、かうやヘくだると言ひける人に がてはくだる」が通じやすい 三「思ひ」の「ひ」に、も草の「火」 を、「斯からぬ」に「掛からぬ」を、 「まことや、かうやヘくだる」と言ひける人に、 「言ふ」に「いふき ( 伊吹 ) 」を、「さ ( 然 ) と」に「里」をそれぞれかける。 思ひだにかからぬ山のさせもぐさたれかいぶきのさとはっげしぞ 六相手の男がその女房と同じ宮 に仕える女をねんごろにしている と聞いて男を恨んだところ。 二九七ある女房の、遠江の守の子なる人を語らひてあるが セ男の返事を「ある女房」が人に 語った形。親などをも証人として みやびと とぼつあふみかみ ある女房の、遠江の守の子なる人を語らひてあるが、同じ宮人を語らふと聞私に誓わせてください。 ^ 「同じ宮人を語らふ」とは。 九その女とは夢の中でさえ逢っ きてうらみければ、「『親などもかけてちかはせたまへ。いみじきそら言なり。 四 六

4. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

( 現代語訳一一八七ハー ) ない普通の上達部 一六大納言藤原済時のむすめ娥子 一八五風は は長和元年 ( 一 0 一一 D 三条天皇の后と なった。従ってこの段はそれ以後 あらしこがらし とあはれなの執筆とする説がある。 風は嵐。木枯。三月ばかりの夕暮に、ゆるく吹きたる花風、い 宅自分の出世こそすばらしいと 思って、そっくり返って得意でい る様子といったら。 1 」さいえ 八月ばかりに、雨にまじりて吹きたる風、いとあはれなり。雨のあし横、ま一 ^ 宮中で御斎会に奉仕したりす ニ五 る僧職。高僧十人が選ばれる。 すず に、さわがしう吹きたるに、夏とほしたる綿衣の汗の香などせしがかわき、生一九不審。何がよいか、よい所は 全く見えない、の意に仮に解く しひとへ 絹の単衣にひき重ねて着たるも、をかし。この生絹だにいと暑かはしう、捨てニ 0 上に「み」脱か。三巻本「みめ」。 女たちが僧に対 三解きにく、 して大声をあげる意に従っておく。 まほしかりしかば、いつのまにかうなりぬらむと思ふもをかし。 一三敬意が添っているから、身分 つまど あかっきかうし 暁、格子、妻一尸などを押しあけたるに、嵐のさと吹きわたりて、顔にしみの高い方々が、ということになる。 三巻本「おちまどひ」。 ニ三用例のない語。花を吹く風と たるこそ、いみじうをかしけれ。 みる。三巻本「あまかぜ ( 雨風 ) 」。 くも ニ四夜具として用いるのであろう。 九月つごもり、十月ついたちのほどの空うち曇りたるに、風のいたう吹くに、 段 このあたり三巻本「綿衣のかかり たるを生絹の単衣重ねて」。 黄なる木の葉など、ものほろほろとこばれ落つる、いとあはれなり。桜の葉、 ニ七 ニ五練らない絹。張りがある。 第むく ニ六不審。三巻本「黄なる葉ども 椋の葉などこそ落つれ。 のほろほろと」。 こだち 毛にれ科の落葉植物。 。しとめでたし。 十月ばかりに木立おほかる所の庭ま、、 かさ ゅふぐれ わたぎめあせか かんだちめ

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 200 ごと 一読経を中断して女性に心を移 事に、い入るるこそ、いとほしけれ。 すのでは御利益がないことをいう とみる。三巻本「罪得らむとをか しけれ」。 三一八清げなる若き人の、直衣も、うへの衣も、狩衣もい ニこの段三巻本にない。 のうし とよくて 三直衣であっても。 ( 四直衣などの下に重ねている衣。 気もそぞろに上の空で。別の そでぐち かりぎめ 清げなる若き人の、直衣も、うへの衣も、狩衣もいとよくて、衣がちに袖ロことに気をとられているさま。 六「前」 ( 底本原文「まへ」 ) は三巻 わらは そら 厚く見えたるが、馬に乗りて行くままに、供なる童の、立て文を、目を空にて本「松」。 セ非常に容貌がすぐれている人。 ^ 丁字染。 取りたるこそをかしけれ。 だら 九千手観音の功徳を述べた陀羅 ばん′」 尼。陀羅尼は梵語の経文を原語の まま読むもの。 三一九前の木立高う、庭ひろき家の 一 0 病人はこの家の女主人。 ものけ = 病人から物の怪を駆り移す人。 「憑坐」という。 前の木立高う、庭ひろき家の、東南の格子ども上げわたしたれば、涼しげに 三三巻本「袴長う着なして」。 す もやしさくきちゃう わらふだ 透きて見ゆるに、母屋に四尺の几帳立て、前に円座を置きて、三十余ばかりの一三僧は外側の方に身をひねって うすずみころもうすものけさ 僧の、いとにくげならぬが、薄墨の衣、薄物の袈裟など、いとあざやかにうち一四つやがあって美しいさま。た だし「独鈷」につくのはやや疑わし かうぞめあふぎ せんじゅだらに い。三巻本「あざやかなる」。 装束きて、香染の扇うち使ひ、千手陀羅尼よみゐたり。 ずほう 一五修法用の棒状の仏具。煩悩を わらはかみ ものけ ばだい 物の怪にいたうなやめば、うっすべき人とて、大きやかなる童、髪などのう砕く菩提心を表す。 六 こだち きめ かうし とも おほ たぶみ 四 きぬ 五 よりまし

6. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

そ、人歌よむかし。 子 一〇清水などにまゐりて、坂もとのばるほど 草 きよみづ 枕清水などにまゐりて、坂もとのばるほどに、柴たく香のいみじうあはれなる こそをかしけれ。 四三巻本のうち二類本のみに付 載されている。 五原本本文にこの通り記載され ている。「心にくきもの」 ( 「もの」 は漢字「物」と表記 ) は能因本では 本書一八七段。 六宮中などで夜中加持読経をし 奉る僧。 〔一本 セ僧があらわでないように、の よゐ つばね ひをけ 夜居にまゐりたる僧を、あらはなるまじうとて局にすゑて、冬は火桶など取意とみる。 ^ 別に仕切って隔ててある部屋。 おも こゑ 九夜中起きていて読経をするの らせたるに、声もせねば、いぎたなく寝たるなめりと思ひて、これかれもの言 が当然なのに、の気持。 け - っ」く ふさ 一 0 数珠の総をたばねて網のよう ひ、人の上ほめそしりなどするに、数珠のすがりの、心にもあらず脇息などに にかがった部分。 な = 静かに読経を続けていたのだ あたりて鳴りたるこそ、いにくけれ。 ) い , っこレ ) が、わかって。 一二世ノ中になほいと心憂きものは うた うへ 一一夜居にまゐりたる僧を 、いにくきものの下〕 四 キ、か この段三巻本のみにある。 「清水」は清水寺。 ニ坂の本。清水寺でいえば清水 坂の下。 三炊事のために小枝をたく煙の 匂い 三「事にこそあるべけれ」の約と みるべき語法。

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一昼夜六時の一。初夜に対する。 などうち出でたるも、たれならむと、いと知らまほし。 だいたい今の午前一時半から四時 ごや あ よひとよ 夜一夜いみじうののしり行なひ明かす。寝も入らざりつるを、後夜など果てころまで。 子 ニ初瀬であれば観音経。三巻本 ぶつきゃう 草て、すこしうちやすみ寝ぬる耳に、その寺の仏経を、いと荒々しう、高くうち「その寺の仏の御経」。 三この「おどろく」は、目がさめ すぎゃうじゃ 枕 る意。「れ」は自発。 出でてよみたるに、わざとたふとしともあらず、修行者だちたる法師のよむな 四暗いから顔がわからないで、 とすると、後文の「顔知らぬは」が ンめりと、ふとうちおどろかれて、あはれに聞ゅ。 四 解きにくくなろう。三巻本「籠ら おこ あをにびさしめきわたい かほ で」はわかりやすい また、夜など顔知らで、人々しき人の行なひたるが、青鈍の指貫の綿入りた 五三巻本「若き男の、をかしげ 五 なる、装束きたる童べなど」。 る、白き衣どもあまた着て、子どもなンめりと見ゆる若きをのこの、をかしう 六 六底本原文「いねうし」。「ゐね ゐねう さぶらひ さうぞ わらは うち装束きたる、童などして、侍の者どもあまたかしこまり、囲繞したるもをうし」としその「う」を撥音表記と みて「居念じ」と考える説もある。 セ寺の長官。 かし。かりそめに屏風立てて、額などすこしつくめり。 小声で物を言う。別当に女の いとゆかし。知りたるは、「さなンめり」と見る素姓などを聞くのであろう。「呼 顔知らぬはたれならむと、 びて」は不審。何を呼んだのかは ほとけ つばね もをかし。若き人どもは、とかく局どもなどのわたりにさまよひて、仏の御方はっきりしない。三巻本「うちさ さめき物語して出でぬる」。 べたう 九三巻本「しう ( 主 ) と見ゆる」。 に目見やりたてまつらず、別当など呼びて、うちささめけば、呼びていぬる、 さしぬきすそ 一 0 遠出なので、指貫の裾くくり を、すねに高くくくり上げる。 えせ者とは見えずかし。 = こちらがその気でいると自然 こも 二月つごもり、三月ついたちごろ、花盛りに籠りたるもをかし。清げなる男そのように見える。「るる」は自発。 きめ ね めか はなぎか きこ をとこ かた

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

したがさね 着て人に見えぬる同じ下襲ながら宮の御供にあらむ、わろしと人思ひなむとて、宅劣った所業だ。みつともない。 天別の下襲をお縫わせになった こと下襲縫はせたまひけるほど、おそきなりけり。、 しとすきたまへりな」とて、その間。 一九風流心がおありなことよ。一 うち笑はせたまへる、いとあきらかに晴れたる所、いますこしけざやかにめで説、前の「人」を特定の女性とみて、 好き者の意に解する。 たく、御額あげさせたまへりける釵子に、御わけめの御髪の、いささか寄りてニ 0 正装の折の頭髪の飾り。 ニ一一双。二基。 きちゃうニ一 一三畳一枚を横長に縁を出して。 しるく見えさせたまふなどさへぞ。三尺の御几帳ひとよろひをさしちがへて、 ニ三下長押 たたみひと こなたのへだてにはして、そのうしろには、畳一ひらを、ながさまにはしをしニ四女房名。 もろすけ 一宝右大臣師輔の子。兼家の弟。 なげし うへし うひやうゑのかみただきみきこ て、長押の上に敷きて、中納言の君といふは、殿の御をぢの右兵衛督忠君と聞道隆のおじに当る。 あき ニ六三巻本の「右大臣」に従う。顕 ふたり とみのこうぢニ六 ただ えけるが御むすめ、宰相の君とは富小路の左大臣殿の御孫、それ二人そ上にゐ忠。左大臣時平の子。 毛三巻本「あなたに行きて、人 うへびと て見えたまふ。御覧じわたして、「宰相はあなたにゐて、上人のとものゐたるどものゐたる所にて見よ」。 ニ ^ 自分たちと清少納言と。 所、行きて見よ」と仰せらるるに、、い得て、「ここに三人、いとよく見はべりニ九長押の上にお召しになるので。 三 0 三巻本「しもにゐたる」。 三一下にいる女房たちがそねみの 段ぬべし」と申せば、「さは」とて、召しあげさせたまへば、しもゐたる人々、 気持から冗談を言ったもの。内舎 てんじゃう 「殿上ゆるさるるうどねりあンめり」と、笑へば、「こそあらせむと思へると人は身分の低い役人。以下は三巻 第 本前田本によっても必すしも意味 おも が明らかではない。 、と面だた 言へば、「むまへのほどぞ」など言へど、そこに入りゐて見るは、し 三ニ自分の中宮からの御寵愛を吹 三ニがた し。「かかる事」などぞみづから言ふは、吹き語りにもあり、また、君の御た聴することにもなるし。 ひたひ さいしゃう ニ四 さいし ニ九 ニ七 ま′一 へり

9. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

11 凡例 凡例 一、本書の底本には学習院大学蔵三条西家旧蔵の室町時代の書写本を用いた。「能因が本」を写したとする 奥書があるのに拠って通称「能因本」といわれる。近世から昭和十年代まで広く行われた北村季吟 ( 一六 = 四 ~ 一七 0 五 ) の著『枕草子春曙抄』の本文の源をなす本である。『春曙抄』の本文が、能因本の本文に、三巻 本などを参考にして、みだりに変改の手を加えた不純本であるのにくらべて、この本は純粋度が高い本文 を保持しているが、それまでの伝写の間に、やや粗雑な書写を経過したことがあったらしくて、魯魚章草 の誤りや脱字なども少なくはないようである。従って、それらの事情によって生ずる意味不通の箇所など については、ほば確実と考えられる範囲内で、他の若干の伝本に拠り、またきわめて稀には意によって推 測して、最小限度の校訂を試みた。 一、学習院大学蔵三条西家旧蔵本 ( 以下「底本」と称する ) の校訂に用いた伝本は次のとおりであり、すべて 田中重太郎氏編著『校本枕冊子』 ( 古典文庫刊 ) 掲載のものに拠った。 能因本系統 イ吉田幸一氏蔵富岡家旧蔵本 ロ高野辰之氏 ( 斑山文庫 ) 旧蔵本〔上巻欠〕 十行古活字本

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 136 一自分の思う人が気分が悪いの りたるは、ただ物もおばえねば、何とも知らず。 で、自分も心配でたまらないころ。 ニ私に話をして慰め、頼りにさ せているの。 二五二たのもしきもの 三「住む」は妻の家に通い住む意。 しゅうと 四婿が舅に対して気の毒だと思 こ , ) ち ずほふ たのもしきもの、い地あしきころ、僧あまたして修法したる。思ふ人の心地っているだろう、の意。 めのと 五妻の乳母やまわりの人など。 のろ あしきころ、まことにたのもしき人の、言ひなぐさめ、たのめたる。物おそろ六婿を呪うような不吉なことを 言う者もあるのに。 セその婿が。 しきをりの、親どものかたはら。 〈勢力のある舅と不誠実な婿と の間柄なのにどうして。 九人々がうわさするのは、婿も 二五三いみじうしたてて婿取りたるに きっと聞いているだろうよ。 一 0 三巻本「六月」。以下夏の服装 むこ いみじうしたてて婿取りたるに、いとほどなく住まぬ婿の、さるべき所などなので三巻本に従うべきか。 = 法華八講。 しうと れう 三不審。三巻本「料」。 にて舅に会ひたる、いとほしとや思ふらむ。 一三表袴。 ひとっき ある人の、いみじう時に合ひたる人の婿になりて、ただ一月ばかりもはかば一四表薄茶、裏濃赤の襲。 一五袍と下襲との間に着る短い衣。 めのと くろうど かしうも来でやみにしかば、すべていみじう言ひさわぎ、乳母などやうの者は、蔵人は夏には黒を着用する。 一六婿の新しい衣装は世話をする くらうど まがまがしき事ども言ふもあるに、そのかへる年の正月に蔵人になりぬ。「『あ女性がいることを暗示する。 宅すっかり忘れてしまった妻が 九 さまし , つかかるなからひこ、、ゝ。 ししカて』とこそ、人は思ひゐたンめれ」など言ひ八講に来合せた、その妻の車の。 うえのはかま か * - わ