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検索対象: 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡
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1. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

ものを」と田 5 ひたるに、さしも思ひたらず、ねたげにもてなしたるに、さても一六妻から見て「ねたし」と思われ るような態度を夫がとる。「ねた 、」まいめしし し」は、してやられたという気持 え旅立ちゐたらねば、心と出で来たる。狛犬、獅子舞ふ者の、おもしろがりは で、相手に対してひけ目を感じる あしおと こと やりて、出でをどる足音。 宅「旅」は、自分の家以外の場所 に行くこと。外泊 ~ が′、 - つら・い嚇ルく 天雅楽高麗楽曲中の「狛犬の舞」。 一三〇修法は 一九興に乗って調子づく。自分た ニ 0 ちだけ興にのってしまう野卑なさ ずほふ ぶつげんしんごん わがしさをいうのであろう。 修法は、仏眼真一言などよみたてまつりたる、なまめかしくたふとし。 ニ 0 「仏眼」は大日如来の化身。こ の仏に対して息災延命などを祈る ずほう 修法。「真言」は仏・菩薩の本願を 三一はしたなきもの あみだ 示す秘密語。阿弥陀。密教の神秘 的な修法を尊しとしたもの。三巻 はしたなきものこと人を呼ぶに、われかとてさし出でたる者。まして、物本「奈良方。仏の護身どもなど」。 ニ一どっちつかずで、間の悪いも 取らするをりはいとど。おのづから人の上などうち言ひ、そしりなどしたるを、の。ばつの悪いもの。 一三相手をして物を取らせる。物 をさな まへ をくれる。 暇幼き人の聞き取りて、その人のある前に言ひ出でたる。 ニ三自然に。わざわざ言うのでは あはれなる事など、人の言ひてうち泣くに、げにいとあはれとは聞きながら、なく、たまたま話が及んで。 ニ四悪口を言った相手。 第 ニ五擬態語。ばっと・ひょっと。 涙のふっと出で来ぬ、いとはしたなし。泣き顔つくり、けしきことになせど、 ニ六むやみに。 ニ七き いとかひなし。めでたき事を聞くには、また、すずろにただ出で来にこそ出で毛「出で来」を重ね強調した表現 ニ四 ニ六 一九 ばさっ 、一まいめ

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

いまいづくにか」といふ事を、うち出だしたまへりしかば、いみじうめでたし。一これほどびったりした句を。 -4 ニ中宮様の御座所。 いかでかは思ひ出でたまひけむ。おはします所に分けまゐるほどに、立ち出で三中宮様は立ってお出ましにな 子 四宴の半ばで中座して。 草させたまひて、「めでたしな。いみじう今日の事に言ひたることにこそあれ」 五頭中将 ( 斉信 ) びいきのお前 枕 ( 清少納言 ) にとっては。 とのたまはすれば、「それ啓しにとて、物も見さしてまゐりはべりつるなり。 六頭中将は私を。 なほいみじくめでたくこそ思ひはべれ」と聞えさすれば、「ましてさおばゆらセ「まほは「かたほ」の対。まと もに。夫婦として、の意。 ^ 古いなじみ、ひいき。 むーと仰せらるる。 九あなた ( 作者 ) とのお付合の思 わざと呼びも出で、おのづから会ふ所にては、「などかまろをまほに近くは 一 0 親しいお付合をするのは、む ずかしくはありませんが、仮にそ 語らひたまはぬ。さすがににくしなど思ひたるさまにはあらずと知りたるを、 うなったあとでは。 とくい = まるで役目のようにおほめ申 いとあやしくなむ。さばかり年ごろになりぬる得意の、うとくてやむはなし。 九 しあげるのに。 なに′」と てんじゃう あ 殿上などに、明け暮れなきをりもあらば、何事をか思ひ出でにせむ」とのたま三私に御好意だけお持ちくださ いませね。 のち かしやく へば、「さらなり。かたかるべき事にもあらぬを、さもあらむ後には、えほめ一三 ( 夫婦となったら ) 良心の苛責 にたえかねて、ほめ言葉も口にし おまへ にノ、 , っ′ギ、い士ー ) よ , っ・ものを一。 たてまつらざらむが、くちをしきなり。うへの御前などにて、やくとあつまり 一四そういう人こそ夫を他人の目 てほめきこゆるこ、 しいかでか。ただおばせかし。かたはらいたく、心の鬼出で以上にほめる連中が多いのだ。 一五それが私の気にさわらないの ならそれでもよいでしようが : 来て、言ひにくくはべりなむものを」と言へば、笑ひて「など。さる人しも、 きこ

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

みかど かならず来などやする。されど、すくよかなる方は、「夜ふけぬ。御門もあや一五几帳面な客は。 一六「ぬる」は疑わしい。「いぬる」 ふかンなり」と言ひてぬるもあり。まことに、いざしことなる人は、「はや」な「出でぬる」などの誤写とみる。 宅女から何度も追い払われると。 天座り込んで夜を明かす。 どあまたたびやらはるれば、なほゐ明かせば、たびたびありくに、明けぬべき 一九門番が幾度も夜回りする時に。 ニ 0 こよひニ一 けしきを、めづらかに思ひて、「いみじき御門を、今宵らいさうとあけひろげニ 0 門番が異常なことに思って。 ニ一不審。「乱散」「懶散」を当て、 あかっき だらしなく、とみる説もある。 て」と聞えごちて、あぢきなく暁にそさすなる。いかがにくき。親添ひぬるは、 一三客の耳に入るよう申しあげて。 ニ四 なほさそある。まして、まことならぬま、 。いかに思ふらむとさへつつまし , って。ニ三今更そうしたところで無意味 なのに。 ニ六 ニ四やはりこんなふうなのだ。 せうとの家なども、けにくきにはさそあらむ。 一宝本当の親ではない人は、の意 うち よなか ニ ^ ニ九 夜中、暁ともなく、尸し 、と心かしこくもなく、何の宮、内わたり、殿ばらな ニ六「せうと」は、女からみた男兄 る人々の出であひして、格子なども上げながら、冬の夜とゐ明かして、人の出弟。 毛気が合わない場合には。 のち ありあけ でぬる後も、見いだしたるこそをかしけれ。有明などは、ましていとをかし。 ニ ^ しつかりとしめるというので もなく。用例上やや疑わしい 暇笛など吹きて出でぬるに、われはいそぎても寝られず、人の上なども言ひ、歌 ニ九「殿ばら ( ノ邸 ) なる人々ーの意。 三 0 出て客に会うことか 8 など語り聞くままに寝入りぬるこそをかしけれ。 三一「とゐ」不審。仮に「を、居 ( 明 第 かして ) 」と読み変える。「とのゐ 明かして」の誤りか 一七九 , 雪のいと高くはあらで 三ニ急にも。 ふえ 一七 きこ 三 0 ニ三 ニ七 かど かうし かた うへ

4. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

宅敬意を表して、上げてある簾 ながえ を下ろす、とみる。三巻本「轅ど もある限りうちおろして」。 天自分の車の前に立っている車。 一九車の主に申入れをする。 ニ 0 不審。三巻本「よきところの 御車」。 そえぐるま ニ一副車。供の女房が乗る。 一 = 一粗末な車。 ニ三場所が空いている方。 あかっき 細殿にびんなき人なむ、暁にかさささせて出でけるを言ひ出でたるを、よく一西風流には遠いふるまい。 ひさし すのこ ニ七 一宝簀子に沿った廂の間を区切っ うへ つばわ て局としたもの。 聞けば、わが上なりけり。地下などいひても、目やすく、人にゆるされぬばか ほそどの ニ六 ( 細殿に ) 出入りしては困る男。 ふみも ニ九 りの人にもあらざンなるを、「あやしの事や」と思ふほどに、うへより御文持毛地下の身分とはいっても。 夭難のない家柄で。 かへり′】と ニ九清涼殿での中宮の御座所。 て来て、「返事ただいま」と仰せられたり。何事にかと思ひて見れば、大かさ 三 0 大傘の絵を描いて。 三一手だけに傘を持たせて。 のかたをかきて、人は見えず。手の限りかさをとらへさせて、しもに、 三ニあなたの所から傘をさして男 が出たその朝から。中宮がうわさ みかさ山やまの端明けし朝より 段 を作者にたすねられたもの。「あ 幻と書かせたまへり。なほはかなき事にても、めでたくのみおばえさせたまふに、やしくもわれ濡れ衣を着たるかな 第 三笠の山を人に借られて」 ( 拾遺・ ごと はづかしく、、いづきなき事ま、、ゝ 。し力でか御覧ぜられじと思ふに、さるそら言な雑藤原義孝 ) に拠る。 三三「させたまふ」は中宮への二重 敬語。作者に感じられあそばす。 どの出で来るは苦しけれど、をかしうて、こと紙に、雨をいみじう降らせて、 ずかし。いと清げなれど、またひなびあやしく、下衆も絶えず呼び寄せ、ちご 出だしすゑなどするもあるぞかし。 二一五細殿にびんなき人なむ、暁にかさささせて出でける を ほそどのニ六 あした ニ四 三三 ほ 0 ぎめ

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

では、しばしえこそなぐさむまじけれ」などのたまはせて、かはりたる御けし一「何そ何ぞ」の意で、左右に分 れて謎を競う遊び。 わらは ニ味方。 きもなし。童に教へられたりし事など啓すれば、いみじく笑はせたまひて、 子 三「労々じ」で、いかにも年功が 草「さる事そ。あまりあなづる古ごとは、さもありぬべし」など仰せられて、つあるような老巧な性質を持っこと。 巧者な人が。 かたうど 枕 、でに、「人のなぞなそ合せせし所に、方人にはあらで、さやうの事にらうら四左から始めるのが物合せの例。 五たのみにさせるので。 六あなたの作った謎のことは聞 うじかりけるが、『左の一番におのれ入らむ。さ思ひたまへ』などたのむるに、 こう。一説「その言葉」。 さりともわろき事言ひ出でじかしと、たのもしくうれしうて、皆人々作り出だセそのように申しあげて、しか もひどく期待外れでがっかりだと え さだ いうことはないはずです。 し、選り定むるに、『そのことは聞かむ。いかに』など問ふ。『ただまかせて物 〈非常に。思いがけなく同じ謎 したまへ。さ申して、いとくちをし , つはあらじ』と言ふを、げにとおしはかる。が二つ出るといけないから。 九それなら私にお頼みにならな いでください 日いと近うなりぬれば、『なほこの事のたまへ。ひざうに同じ事もこそあれ』 一 0 結果が待ち遠しく落ち着かな い思いで注目して。 と言ふに、『さはいさ知らず。さらばなたのまれそ』などむつかりければ、お 一一「これは何か何か」。問題を出 かたうど てんじゃうびと ばっかなしと思ひながら、その日になりて、みな方人の男女ゐわけて、殿上人す時の決り文句。左の一番が右方 にいかける。 など若き人々おほくゐ並みて合はするに、左の一番に、いみじう用意してもて三三日月。あまりにも当り前の 問題なので左右とも茫然とした。 なしたるさまの、いかなる事をか言ひ出でむと見えたれば、あなたの人もこな一三勝ったも同然なので。 一四左方。 たの人も、心もとなくうちまもりて、『なそなぞ』と言ふほど、いと、いもとな一五不審。左の一番の人の情味が な

6. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

57 第 147 段 一三きよう 右方に移っていて、と仮にみる。 し。『天に張り弓』と言ひ出でたり。右の方人は、いと興ありと思ひたるに、 一六左の一番をばかな者と思って。 あいぎゃう かた 愛敬あな宅やあやあ、全くわからない。 こなたの方の人は、物もおばえず、あさましうなりて、いとにくく、 右方がおどけた。 たに寄りて、ことさらに負けさせむと思ひけるを知らで、など、かた時のほど天ロの左右を下げて困った表情 をする。 に思ふに、右の人をこに思ひて、うち笑ひて、『やや。さらに知らず』とロひ一九ふざけたしぐさをしかけると。 ニ 0 「かず」は、勝負の点数を記録 き垂れて、さるがうしかくるに、『かずさせさせ』とて、ささせつ。『いとあやする棒。 一 = 点数を取られるはすはない。 一三一旦知らないと言った以上負 しき事。これ知らぬ者たれかあらむ。さらにかずささるまじ』と論ずれど、 けになるのは当然でしよう。 『知らずとは言ひ出でむは、などてか負くるにならざらむ』とて、つぎつぎの = 三この左の一番の人に相手との 論を勝たせたのだった。 も、この人に論勝たせける。『いみじう人の知りたる事なれど、おばえぬ事に = 四そのように、知らないと言。 ても仕方がないけれど。 のちニ六 ニ四 は、さこそはあれ、何しかはえ知らずと言ひし』と、後にうらみられて、罪さ = 五知っているのにどうして知ら ないと言ったのか おまへ りける事」を語り出でさせたまへば、御前なる限りは、「さは思ふべし。くち = 六「知らず、といった右方の人は 味方の他の人から恨まれて。「う ここ・ らむ」は上二段活用。 をしく思ひけむ。こなたの人の心地、聞きはじめたりけむ、いかににくかりけ 毛「罪避る」で罪をわびる意。 みなひと ニ九 ニ〈上から自然に地の文に続く。 む」など笑ふ。これは忘れたる事かは、皆人知りたる事にや。 ここまでが中宮の言葉の内容。 ニ九私のように忘れた話ではなく、 知っている話なのに、と中宮の思 一四七正月十日、空いと暗う いやりを感謝しているのであろう。 ニ 0 ニ七

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一物事にたくみな人。 取り立てて、人々しく人のそしるべき事もあらず。 一一「歌をよみたる歌」は不審。 じゃうずニ 上手の歌をよみたる歌を、物おばえぬ人は、そしらずやはある。かりのこ食三あひるなどの卵という。皆の 好物を嫌う人もあるように好みは 子 はぬ人もあンめり。梅の花をすさまじと思ふ人もありなむ。ざいけのこは、あさまざまだ、の意か。 草 四「在家の子」と読み、趣を知ら 枕さがほ引き捨てずやはありける。さやうにこそは、おしはからめ、げになまねぬ田舎の子とみる。故事引歌を考 えるべきか たくもおばえぬべき事ぞかし。されどなほこのすずろ事の、知らぬばかり好ま五逆を好む人がいるものだと読 む人は推測するだろう、の意か。 六この一文不審。↓現代語訳。 しくておかれぬをばいかがせむずる。 七「世に知らぬばかり」とみる。 はしかた たたみ ごんの せかみきこ 権中将のいまだ伊勢の守と聞えし時におはしたるに、端の方なる畳押し出 ^ 捨てておけないことは。 九源経房。長徳一一年 ( 究六 ) 七月 さうし でてすゑたてまつりしに、にくき物とは、草子ながら乗りて出でにけり。まど二十一日から同四年十月二十一日 まで右近権中将。 ひて取らむとするほどに、長やかにさし出でむかひなっきもかたはなるも思ふ一 0 腕のかっこうも見苦しいこと。 いつぶう変ったものだな。 に、「けしきの物かな」とて、取りてやがて持ておはしにしより、ありきはじ三源済政。左大臣源雅信の孫。 大納言時中の子。本書田八八段に なりまさ 当る三巻本本文の勘物に「蔵人式 めて、済政の式部の君など、つぎつぎ聞きてありきそめて、かく笑はるるなン 部丞三年正月叙還昇、阿波権守」 とある。同段、八五段参照。 めり - か 1 しと「 一三謙遜の表現。 一四底本はこのあと一行空白をの こす。次の奥書は改丁。 三この二字は原本にはないが便 この

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

それも同じ、いにや、「しりそかせたまへ。かたじけなし」など言ふ。「恥ぢたま一どうぞ後ろにおさがりくださ いませ。もったいのうございます。 ニお立ち離れになった。 ふかな」と笑ひて、立ちたまへり。からうじておりぬれば、寄りおはして、 三不明。「少納言をむねたかな 子 どに見せないで、隠しておろせ」 「『むねたかなどに見せで、隠しておろせ』と、宮の仰せらるれば、来たるに、 草 と中宮が言われたということも、 五きこ 冗談かまた然るべき事情があった 枕思ひ隈なき」とて、引きおろして、ゐてまゐりたまふ。「さ聞えさせたまひっ つまびら か詳かでない。一説、別れた夫か。 四察しが悪い らむ」と思ふ、かたじけなし。 五中宮様が大納言様に。 まゐりたれば、はじめおりける人どもの、物の見えぬべき端に、八人ばかり六私が立ってかくして。 セどうだ、どうした。 よ ^ 「着る」の尊敬語。女院に対し 出でゐにけり。一尺余、二尺ばかりの高さの長押の上におはします。「ここに もからぎめ かしこまる意味で裳・唐衣の正装 きちゃう をしたという 立て隠して、ゐてまゐりたり」と申したまへば、「いづら」とて、几帳のこな 九一通りだろうか、それどころ から ぞハ ではないすばらしさだ。 たに出でさせたまへり。まだ唐の御衣も奉りながらおはしますそいみじき。 一 0 唐伝来の浮き織の綾絹。 くれなゐぞ九 からあややなぎぞえびぞめ ゃながさね 紅の御衣よろしからむや。中に唐綾の柳の御衣、葡萄染の五重の御衣に、赤 = 柳襲。表白、裏青。 三織物の名としては縦糸紫、横 も から ぞぢずりからうすものぎうがんかさ 色の唐の御衣、地摺の唐の薄物に象眼重ねたる御裳など奉りたり。物の色、さ糸赤。 す 一三白地に藍などで模様を摺り出 した織物 らになべて似るべきゃうなし。 こんでい 一四色糸・金泥で模様の縁を細く ふちどったものという。 「われをばいかが見る」と仰せらる。「いみじうなむ候ひつる」なども、言に 一五出発が遅れたのは。 とも 一六だいぶ 出でては、世の常そ。「久しうやありつる。それは、殿の大夫の、院の御供に一六中宮大夫道長。 ぐま し

9. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

かたうど しいらへたるとて、「すべて物聞えず。方人とたのみきこゆれば、人の言ひふちの治安一一年 ( 一 0 = 一 l) のことで疑わ しい。三巻本「閑院の左大将」。 = 当時「うち臥しの巫女」という るしたるさまに取りなしたまふ」など、いみじうまめだちてうらみたまふ。 巫女がいたことが『大鏡』『今昔物 。、かなる事をか聞えつる。さらに聞きとめたまふ事なし」など語集』などに見える。同一人物か。 一ニ『紫式部日記』に、藤原実成の 言ふ。かたはらなる人をひきゅるがせば、「さるべき事もなきをほとほり出で舞姫の付添として見える人物か。 一三左京の親「うち臥し」に「打ち たまふ、やうこそあらめ」とて、はなやかに笑ふに、「これもかの言はせたま臥して」をかけてからかったもの。 一四「なり」は伝聞。 一五自分の味方をしてくれる人。 ふならむ」と、いと物しと思へり。「さやうにさやうの事をなむ言ひはべらぬ。 一六以前から世間の人が ( 私が左 のち 人の言ふだににくきものを」と言ひて、引き入りにしかば、後にもなほ、「人京に通うと ) うわさをしていると 同じふうに事を解釈なさる。 てんじゃうびと に恥ちがましき事言ひつけたる」とうらみて、「殿上人の、笑ふとて、言ひ出宅本当に「横になる」の意味だけ で言ったのだと言いのがれた。 ひとり でたるなり」とのたまへば、「さては一人をうらみたまふべくもあらざンなる天自分の加勢をさせようと。 一九かんかんに怒る意。 ニ 0 悪口を言うのは。 に、あやし」など言へど、その後は絶えてやみたまひにけり。 三むりにこじつけて言う。 一三殿上人が、そう言えば人が笑 段 うだろうというわけで、でたらめ 一六七昔おばえて不用なるもの を言い出したのだ。 ニ三私との交際。 からゑ ふよう うげん たたみふ 昔おばえて不用なるもの繧繝ばしの畳の旧りて、ふし出で来たる。唐絵の = 四昔は立派だったが、今は役に 立たぬもの。 ニ五 ぢずりも 7 びやうぶおもて 屏風の表そこなはれたる。藤のかかりたる松の木の枯れたる。地摺の裳の花か一宝縹色があせたの。 「あなあやし 一八 きこ 一九 はなだ

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 154 関白殿、その御次の殿ばら、おはする限り、もてかしづきたてまつらせたま一内大臣道兼、権大納言・中宮 大夫道長など。 ふ、いみじうめでたし。これらまづ見たてまつりさわぐ。この車どもの、二十ニ女院を。 三私たちが乗っている車の二十 両立て並べてあるのをも、女院方 立てならべたるも、またをかしと見るらむかし。 の女房たちはまた。 しし力なるならむと心も四中宮様。 しっしか出でさせたまはばなど待ちきこえさするこ、、ゝ ひめまうちぎみ 五姫大夫。行列の先導。 ・も あをすそご うねめ うねめ 六采女は多く出身地の名を称し となく思ふに、からうじて、采女八人馬に乗せて引き出づめり。青裾濃の裳、 六 ぶぜん くんたい ひれ くすりし 裙帯、領巾などの風に吹きやられたる、いとをかし。豊前といふ采女は、くすセ薬師の約。医師。 ^ 丹波氏。長徳四年 ( 究 0 八月 えびぞめ さしめき しげまさ 、と心ことなり。「重典薬の頭。 し重雅が知り人なり。葡萄染の織物、指貫を着たれば、し 九乗馬の必要から女性も着用。 雅は色ゆるされにけり」と、山の井の大納一一 = ロ笑ひたまひて、みな乗りつづきて一 0 「色ゆるさる」は、天皇の許可 がなければ着用できない衣服の色 み - 」し ・布質 ( 禁色 ) を、特に許されるこ 立てるに、今そ御輿出でさせたまふ。めでたしと見たてまつりつる御ありさま えびぞめ と。葡萄染は禁色の紫に似ている のでたわむれて言う。 に、これはくらぶべから、りけり。 = 道頼 朝日のはなばなとさしあがるほどに、なぎの花のいとはなやかにかがやきて、三女院の御ありさまに比べよう もない中宮の御輿の御立派さだっ みつな かたびら 御輿の帷子の色、つやなどさへぞいみじき。御綱張りて出でさせたまふ。御輿 なぎ 一三水葱の花。御輿の屋の先端に かしら の帷子のうちゅるぎたるほど、まことに頭の毛など、人の言ふは、さらにそら金色の水葱の花の形をつけて飾っ そうかれん 葱花輦。 ごと のち 言ならず。さて後に、髪あしからむ人もかこちつべし。あさましういつくしう、一四輿の四隅から綱を四方に張り、 つぎ