四位 - みる会図書館


検索対象: 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡
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1. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

195 第 308 ~ 311 段 らも、なほさしあたりてさるをり なども言ふほどこそあれ、歩み出でぬれば、同じゃうになりぬ。 をり、いとねたきなり。はらひえ たる櫛、あかに落とし入れたるも ねたし」とある。 三〇九言ひにくきもの 一六女房には貴人の仰せ言を他に 伝達し、また言上を貴人に取り次 せうそこ 一六ごと ぐという重要な役があった。 言ひにくきもの人の消急、仰せ一言などのおほかるを、ついでのままに、は 宅貴人にお伝えしにくい かへりごと じめより奥まで、いと言ひにくし。返事また申しにくし。はづかしき人の、物天失敗、恋愛などか。当人の前 では言いにくいのである。 おとな おこせたる返事。大人になりたる子の、思はすなる事聞きつけたる、前にては一九この段三巻本にはない。前田 本を参考として「四位五位」の束帯 としては「冬」がよい、の意と仮に いと一一 = ロひに / 、し。 解く。四位は黒い袍を、五位は浅 緋色の袍を着る。 一一 0 六位の袍は深緑色。 三一〇四位五位は冬。六位は夏 ニ一正式の束帯姿に対し、夜宿直 する時に着用する簡略な装束を宿 とのゐすがた 直姿という。宿直姿などでも四位 四位五位は冬。六位は夏。宿直姿なども。 五位は冬、六位は夏がよい、とみ る。 一三品格を備えること。この段三 品こそ男も女もあらまほしき事なンめれ 巻本にはない。 ニ三主婦のことか しな わきま ニ四物事の弁えのある使者。 品こそ男も女もあらまほしき事なンめれ。家の君にてあるにも、たれかは、 一宝自然とその家の君のよしあし ニ四 つかひびとい さだ を言うにちがいない。 よしあしを定むる。それだに物見知りたる使人行きて、おのづから言ふべかン 一九 あ ニ三

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

129 第 235 ~ 239 段 宅参議で近衛中将を兼ねた者。 一 ^ 中将は従四位下であるが特に 二三六君達は 三位となったもの。 ニ七 一九東宮坊の定員外の長官。 とうぐうのすけくら くらうどのべんニ六 しゐの きんだちとうのべんとうの 君達は頭弁。頭中将。権中将。四位少将。蔵人弁。蔵人少納言。春宮亮。蔵 = 0 参議で侍従を兼ねた者。 ニ一摂関、大臣家の子弟。 くろうどのとう うどのひやうゑのすけ 一三太政官の弁官で蔵人頭兼任。 人兵衛佐。 ニ三近衛中将で蔵人頭兼任。 ニ四特に四位に任ぜられた少将。 一宝五位蔵人で弁官である者。 二三七法師は ニ六五位蔵人で少納言兼任。 毛東宮職次官。 ニ〈五位蔵人で兵衛府次官兼任。 法師は律師。内供。 ニ九僧正、僧都に次ぐ僧官。 だいごく 三 0 宮中の内道場に供奉し、大極 さいえ でん 殿の御斎会の読師、夜居の僧など 二三八女は っとめる。 ないしの 三一内侍所の二等官。長官の尚 かみ 侍が御寝に奉仕するようになった 女は内侍のすけ。内侍。 ないしのすけ ので、事実上典侍が最上官とも いえる。 三ニ内侍所の三等官。 二三九宮仕へ所は いつばんのみや 三三后宮にお生れの姫宮で一品宮、 三三 とみる。一品宮は内親王の最高位。 うちきさいのみや いつほん みやづかどころ 宮仕へ所は内。后宮。その御腹の姫宮、一品の宮。斎院は罪深けれど、を三四神に仕えるので仏法上罪深い 三五当時の斎王は選子内親王。 三五 三六東宮の御母なら重々しい かし。ましてこのごろはめでたし。春宮の御母女御。 ニ九 三 0 ごんの ニ四 三六 三四 さいゐん

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

くらゐ 位こそなほめでたきものにはあれ。同じ人ながら、大夫の君や、侍従の君な一官位をめぐっての感想。 ニ五位に叙せられた名家の子弟 ど聞ゆるをりは、、 しとあなづりやすきものを、中納言、大納言、大臣などになでまだ官職のない人。 子 三従五位下相当官。名家の子弟 が最初につく官職であることが多 草りぬれば、むげにせんかたなく、やんごとなくおばえたまふ事のこよなさよ。 ずりゃう七 ほどほどにつけては、受領もさこそあンめれ。あまた国に行きて、大弐や四位四「むげに」は、甚だしく。「せ んかたなくは、どうしようもな かんだちめ 、一ま以」 0 などになりぬれば、上達部などもやむごとながりたまふめり。 五「おばえ」は、相手によって感 うち めのと じられること。「たまふーは、中納 女こそなほわろけれ。内わたりに、御乳母は、内侍のすけ、三位などになり 言等になった人への敬語。 おもおも ぬれば、重々し。されど、さりとてはど過ぎ、何ばかりの事かはある。またお六身分身分に応じて言えば。 セ「やんごとなくこそおばゅめ きたかた ほくやはある。受領の北の方にてくだるこそ、よろしき人のさいはひには思ひれ」の意。 ^ 「あまた国ーで一語。 きさき かんだちめ 九大宰府の次官。 てあンめれ。ただ人の上達部のむすめにて后になりたまふこそめでたけれ。 一 0 大国従五位上、上国従五位下、 されど、なほ男は、わが身のなり出づるこそめでたく、うちあふぎたるけし中国正六位下、下国従六位下相当。 一九 = 男に比べて劣っている。 ぐぶ なにごと 三典侍従四位相当。 きよ。法師などの、なにがし供奉など言ひてありくなどは、何事かは見ゆる。 一三しかしそうかといってすでに 経たふとくよみ、め清げなるにつけても、女にあなづられて、なりかかりこそ老年になっているのだから、どれ くらいのよいことがあろ、つか、あ そうづ そうじゃう り・はし・ + ない すれ。僧都、僧正になりぬれば、「仏のあらはれたまへるにこそ」と、おばし 一四普通の身分の人の幸福。 せつけ 一五摂家・清華家などの家柄では まどひて、かしこまるさまは、何にかは似たる。 き - 」 ニ 0 五 一四 ないし だいじん てんじ

4. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

てみな一緒にかたまってさえいるのなら、隠れ所があるだ を刺し、化粧をする様子は、あらためて言うまでもなく、 ろうが、四人ずつ、書きあげたものに従って、「だれそれ、 髪などというものは、明日からのちは、もうどうでもよい だれそれ」と呼び立ててお乗せになって、その呼名につれ といったふうに見えるほど、今日一日に熱中している。 とら て車のもとまで歩いて行く気持は、ひどくほんとうに思い 「寅の時に、中宮様はお出かけあそばすはずだということ おうぎ がけない感じがして、あらわだといっても、世間並で、何 です。どうして今まで参上なさらなかったのですか。扇を みす 一カ 御簾の内側に、大勢のお方の御 とも言い表しようがない。 / 使いに持たせて、あなたをお探し申しあげる人がありまし ひとり 目の中でも、とりわけて中宮様が「見苦しい」と御覧あそ た」などと、一人の女房がわたしに告げる。 ばそうのは、あらためてまたやりきれない気持がすること そういうことで、ほんとうに寅の時かと思って、すっか からだ カ限りもない。身体から汗がにじみ出るので、きれいに り身支度を整えて待っているのに、時が過ぎて夜が明けて、 さかだ からびさし 日も出てしまった。「西の対の唐廂に、車を寄せて乗るは整えた髪なども、逆立つであろうと感じられる。何とかう ふたり わたどの まくそこを通り過ぎたところが、お二人ともたいへん、こ ずだ」というので、いる限りの女房が全部、渡殿を通って しんざんもの ちらが気おくれするはどおうつくしく見える御様子で、大 行く時には、まだうぶな新参者たちは、ひどく遠慮してい さんみ 、、ゝ、ここにこしてこちらを御覧になる るような様子なのに、西の対には関白様がお住いあそばす納一言と三位の中将と力し のは、現実とは感じられない。けれど、倒れないで、そこ ので、中宮様におかせられてもそこにおいであそばして、 はじめに女房たちを関白様が車にお乗せあそばすのを御覧まで行き着いてしまったことこそ、いったいえらいのか、 しげいしゃ みすうち あっかましいのかと、われながら感じられるけれど、みな あそばすということで、御簾の内に中宮様、淑景舎、三の かた 君、四の君、関白様の北の方、その御妹君がお三方、立ち乗り終ってしまったので、車を御門から引き出して、二条 第 の大路に榻を立てて、物見車のようにして立ち並べている 並んでおいであそばす。 さんみ のは、たいへんおもしろい。きっと人もそう見ているであ 車の左右に大納言と三位の中将のお二方で、簾を上げ、 00 したすだれ 下簾を引き上げて、わたしたち女房をお乗せになる。せめろうと、自然胸がどきどきする。四位、五位、六位などの けしよう すだれ おおじ しじ

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一中宮様はこの程度の人をまで めにもかろがろしう、「かばかりの人をさへおばしけむ」など、おのづから、 おかわいがりになったのだろうと。 ニ仮に下に「もどかむ」などの省 物知り、世ノ中もどきなどする人は。あいなく、かしこき御事かかりてかたじ 略とみる。 子 は。まことに身のほど過ぎたる事もあ三「あいなく」 ( そうしてみたと けなけれど、ある事などは、またいかが 草 ころでどうしようもなく ) は「かた じけなけれど」にかかる。 枕りぬべし。 四おそれ多い中宮様の御事がか 院の御桟敷、所々の桟敷ども見わたしたる、めでたし。殿はまづ院の御桟敷かわって。 五事実なのだからどうして書か ふたところさんみの にまゐりたまひて、しばしありて、ここにまゐりたまへり。大納言一一所、三位ずにいられようか。 六高貴な方々の桟敷 てうど 九 中将は、陣近うまゐりけるままにて、調度負ひて、いとっきづきしうをかしう七権大納言伊周と道頼。ただし 道頼はこの時権中納言であり、権 な 一一ともさぶら てんじゃうびと ておはす。殿上人、四位五位、こちたううち連れて、御供に候ひて並みゐたり。大納言に任じたのは六か月後の正 暦五年 ( 究四 ) 八月のこと。 もからぎめみくしげどの 入らせたまひて見たてまつらせたまふに、女房ある限り、裳、唐衣、御匣殿ま ^ 左中将隆家。従三位に叙せら れたのは同じくこの年八月。 こうちき うへ で着たまへり。殿のうへは、裳の上に小袿をそ着たまへる。「絵にかきたるや九近衛の陣屋。 きゅうせん 一 0 武官としての弓箭など。「負 うなる御さまどもを。いまいらへ今日はと申したまふぞ。三、四の君、宮の御ひて」は、一説「帯びて」。 = 関白の御供。 しゅう 裳ぬがせたまへ。この主には御前こそおはしませ。御桟敷の前に陣をすゑさせ三女房とは言えない、の意か。 一説、一番年若い御匣殿まで。 みなひと からぎめ たまへるは、おほろけの事か」とそうち泣かせたまふ。げにと皆人も涙ぐまし一三表着の上に唐衣の代りに着る 一九 もの。通常礼服 ほふぶくひと 一四不審。誤脱があろう。 きに、赤色に桜の五重の唐衣を着たるを御覧じて、「法服一くだり給へるを、 さじき六 四 一七さじき

6. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

さぶら しも・ヘ 「下部候ふ」とのたまへば、出でたるに、「さやうの物ぞ、歌よみしておこせた一下部が参上しました、という あいさっ 挨拶。「下部」は行成の戯称。 ひびしくも言ひたりつるかな。女、すこしわれはと思ひニ解文のように書いた手紙。 まへると思ひつるに、。 子 三見事に、立派に、の意という。 四 草たるは、歌よみがましくぞある。さらぬこそ語らひょけれ。まろなどに、さる四私などに歌を詠みかけるよう な人はかえって無風流というもの のりみつ むしん 枕 だろうよ。謙辞とも皮肉とも考え 事言はむ人は、かへりて無心ならむかし」とのたまふ。「則光なりや」と笑ひ られる。「無心」は有心の対。 五則光は橘則光。八八段に歌を てやみにし事を、殿の前に人々いとおほかりけるに、語り申したまひければ、 好まなかったことが見える。それ ではまるで歌を嫌った則光みたい 「『いとよく言ひたる』となむのたまはせし」と人の語りし。これこそ見苦しき なものですね。 六三巻本「上」。 わればめどもなりかし。 セ行成が。 ^ 我褒め。自慢話。 九はじめて任官した。 一三七などて官得はじめたる六位笏に くろうどしやく 一 0 六位蔵人の笏。束帯の時六位 から右手に笏を持つ。 しきみぎうし たつみすみついぢ つかさ ろくゐのしやく 「などて官得はじめたる六位笏に、職の御曹司の辰巳の隅の築地の板をせしぞ。 = 東南。「立身」をかけるという。 一ニつまらないことばかりですね。 にしひんがし さらば、西東をもせよかし。また、五位もせよかし」などいふ事を言ひ出でて、ここから女房たちの話の内容。仮 に適宜句切る。 一三根拠もない名をつけたのは全 「あちきなき事どもを。衣などをも、すずろなる名どもつけけむ、いとあやし。 く理解に苦しむ。 ーし . り↓はか 」わらは かざみ ほそなが きめ 一四細長は女子の平常着として小 衣の名に、細長をばさも言ひつべし。など、汗衫は。尻長と言へかし、男の童 うちき うわぎ 袿の上に重ねる表着。おくみがな もろこし からぎめ み′一ろ の着るやうに。なそ、唐衣は。短き衣とこそ言はめ」「されど、それは、唐土いので身頃がせまい。細長はまあ きめ 一八きめ

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

・も からぎめき 一めのと 御乳母になりたる。唐衣も着ず、裳をだに、よう言はば、着ぬさまにて、御前一高貴な方の乳母。 ニ女房の礼装として当然着るも つばね どころ みちゃう に添ひ臥して、御帳のうちをゐ所にして、女房どもを呼び使ひ、局に物言ひやのなのに、身内のような顔をして。 礼を失したさま。 子 三どうかすると。 り、文取り次がせなどして、あるさまよ。言ひ尽くすべくだにあらず。 くろうど 草 四 四蔵人所の雑色。無位。六位の みこと こぞしもっき ざふしきくらうど 枕雑色の蔵人になりたる。去年霜月の臨時の祭に、御琴持たりし人とも見えず、蔵人となると急にはなばなしい役 になる。田九二段にも「いづこな きんだち りし天くだり人ならむとこそおば 君達に連れ立ちてありくは、いづくなりし人ぞとこそおばゆれ。ほかよりなり ゆれ」とあった。 とり 五十一月下の酉の日に行われる たるなどは、同じ事なれど、さしもおばえず。 かも 賀茂の臨時の祭。 わごん 六試楽の折に雑色が二人で和琴 を舁き出すのが例。↓一四五段。 二四三雪高う降りて、今もなほ降るに 七雑色以外から蔵人になる者。 〈袍の色か。一説、顔色。 雪高う降りて、今もなほ降るに、五位も四位も、色うるはしうわかやかなる九袍。五位は蘇芳、四位以上は 黒色の袍。 とのゐすがた おび 一 0 不審。三巻本「革の帯のかた が、うへの衣の色はいと清らにて、かめの帯のつきたるを、宿直姿にて、ひき つきたるを」。 あこめくれなゐ したがさわ はこえて、紫のも雪に映えて、濃さまさりたるを着て、衵の紅ならずは、おど = 夜の略式の姿。下襲を脱ぎ、 うえのはかまさしめき 表袴を指貫にかえ帯はつけない。 ろおどろしき山吹を出だして、からかさをさしたるに、風のいたく吹きて、横三衣服をたくし上げて着ること。 袍の後ろを腰の部分に折り込む。 ふかぐっはうくわ ひとえ ざまに雪を吹きかくれば、すこしかたぶきて歩み来る深沓、半靴などのきはま一三単衣と下襲との間に着る。こ こは下襲を着ないので袍の下にな で、雪のいと白くかかりたるこそをかしけれ。 ( 現代語訳三〇六ハー ) ふみ きめ やまぶきい あ く っ る。 か すおう かは

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 82 いづみ ずりゃう 一紀伊は上国、和泉は下国。国 受領は紀伊守。和泉。 の規模によって別がある。都に近 ふうこうめいび く風光明媚な国の長官としてあげ たものであろう。 一七四やどりづかさの権の守は ニ宿官。叙爵した者が受領に任 ちく′ ) ゑち′ ) しもつけかひ ごんのかみごんのすけ ごんかみ ずるのを待っ間、権守・権介など やどりづかさの権の守は下野。甲斐。越後。筑後。阿波。 に一時任ぜられること。任地には 赴かない 三以下いずれも上国。 一七五大夫は 四五位に叙せられた者の称。以 しきぶのたいふ さゑもんのたいふしのたいふ 下いずれも六位相当官でありなが 大夫は式部大夫。左衛門大夫。史大夫。 ら五位に叙せられた者をあげる。 五太政官の左右大史 ( 正六位上 ) が特に五位に叙せられた者。 一七六六位の蔵人、思ひかくべき事にもあらず。かうぶり 六冒頭を前段末尾につける説も 得て ある。叙爵を希望すべきではない、 の意となる。 え くろうど 六位の蔵人、思ひかくべき事にもあらず。かうぶり得て、何の大夫、権の守六位蔵人は望むべき役ではな 九 一説、以下に述べるような小 。も くるまやどり ひがき いたや などいふ人の、板屋せばき家持たりて、またく檜垣あたらしくし、車宿に車引成に安んじてはならない。 ^ 五位に叙せられて。 ふ おほ 九板で屋根を葺いた家。 き立て、前近く、こ木を生して、牛つながせて、草など飼はするこそ、いとに あじろ 一 0 檜の薄板を網代に組んだ垣。 = 「小木」で小さい木か ノけ・ . れ - 。 四 か ひのき

9. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

117 第 216 ~ 218 段 一三人々が花や蝶よといって浮か れている日も青ざしをおくってく 二一七十月十余日の月いと明かきに れたあなたは私の心を知っていた のですね。長保二年とすれば、中 宮に親身の敬愛をよせる作者の気 十月十余日の月いと明かきに、あるきて物見むとて、女房十五六人ばかり、 持を感謝したもの。 くれなゐ きめうへ みな濃き衣を上に、引きかへしつつありし中に、中納言の君の、紅の張りたる一四濃い紫色の着物。 すそ 三裾を折り返して、の意か。 かみ くび を着て、頸より髪をかい越したまへりしかば、あたらしきそとは、よくも似た一六中宮付きの女房。↓一三二段。 宅わかりにくい 髪を後ろに垂 ゅげひのすけ まひしかな。靫負佐とそ、若き人々にはつけたりし。しりに立ちて笑ふも知らさず前に振り越してまわすことか。 そとば 一 ^ 不審。「あたらしき卒都婆」と みる説もあるが「そ」を仮に「衣」と ずかし。 解いておく。 一九衛門府の次官。↓田五二段。 赤色のを着るので、中納言の君 二一八大蔵卿ばかり耳とき人はなし の紅色のつつばった着物のこつけ いな姿をたとえたものであろう。 おほくらきゃう 大蔵卿ばかり耳とき人はなし。まことにまっ毛の落つるほども聞きつべくぞニ 0 「には」がない方が通じやすい にしおもて しきみぎうし おほいどのしゐの ありし。職の御曹司の西面に、この大殿の四位少将とて、物言ふに、うちあるニ一藤原正光。長徳四年 ( 究 0 十 月大蔵卿 あふぎ つばね 人、「この少将に、扇の絵の事言へ」とささめけば、「今かの君立ちたまひなむ一三作者の局がある場所。 ニ三「この大殿」は道隆であろう。 なになに にを」と、みそかに言ひ入るるを、その人だにえ聞きつけで、「何々」と、耳「四位少将」は誰をさすか不明。 一西大蔵卿 をかたぶくるに、手を打ちて、「にくし。さのたまはば、今日は立たじ」とのニ五下に「言はむ」を省略 ニ五 ニ四

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一六沿道の人も物見車のようだと ちゑみて見たまふ、うつつならず。されど、倒れす、そこまで行き着きぬるこ 見ているであろうと。 宅女房車の装いを直したり話を そ、かしこきか、面なきかとおばゆれど、みな乗り果てぬれば、引き出でて、 したりする。 おほぢしぢ 二条の大路に榻立てて、物見車のやうにて立ちならべたる、いとをかし。人も 一 ^ 東三条院詮子。道長の土御門 さ見るらむかしと、心ときめきせらる。四位五位六位など、いみじう出でゐて、邸におられた。 一九五位以下で昇殿できぬ人。 しやくぜんじ ニ 0 女院が積善寺においでになっ 車のもとに来て、つくろひ物言ひなどす。 たあとで。一説、こちら ( 二条大 てんじゃうびとぢげ まづ院の御むかへに、殿をはじめたてまつりて、殿上人、地下と、みなまゐ路 ) においでになったあとで、と 解き、下文のごとく中宮と女院が のち 一一条大路で合流して改めて積善寺 と、心・も りぬ。それわたらせたまひて後、宮は出でさせたまふべしとあれば、し に向うことをさすとする。 となしと思ふほどに、日さしあがりてぞおはします。御車ごめ十五、よっは尼 = 一女院は出家しておられたので お供にも尼が多いのであろう。 しりくち - すいしゃうずず から ぐるまいち 車、一の御車は唐の車なり。それにつづきて尼車、後ロより水晶の数珠、薄墨 = = 女院の車。 はふづくり ニ三屋根を唐風の破風造にした丈 つぎ の袈裟、衣などいみじく、簾は上げず、下簾も薄色のすそすこし濃き。次にた高い車。 ニ五 ニ四後方のロ。乗用ロ。簾・下簾 もくれなゐ からぎめ をかける。 うちぎめ 段だの女房十、桜の唐衣、薄色の裳、紅をおしわたし、かとりのうは着ども、 一宝紅の打衣をそろって着て。 かす みじうなまめかし。日はいとうららかなれど、空は戌緑に霞みわたるに、女房ニ六固織の約。目を細かく固く織 った薄絹。 第 ニセ 一うそく 毛統一のとれた色の美しさを、 の装束のにほひ合ひて、いみじき織物の色々、唐衣などよりも、なまめかしう さまざまの色が混じているのより かえって優雅だといったものか をかしき事限りなし。 きぬ とを おも たふ 一九 あま すだれ