検索 - みる会図書館

検索対象: 完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧から 507件ヒットしました。

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


完 訳 日 本 の 古 典 21 源 氏 物 語 八 ク 0 0 小 学 館

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


完 訳 日 本 の 古 典 第 二 十 一 巻 源 氏 物 囚 昭 和 年 月 引 日 初 版 発 行 定 価 一 九 〇 〇 円 阿 部 秋 生 秋 山 虔 校 注 ・ 訳 者 今 井 源 衛 鈴 木 日 出 男 発 行 者 相 賀 徹 夫 印 刷 所 凸 版 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 株 式 会 社 小 学 館 〒 東 京 都 千 代 田 区 一 ッ 橋 二 ー 三 ー 振 替 口 座 東 京 八 ー 二 〇 〇 番 電 話 編 集 ( 〇 三 ) 二 九 二 ー 四 七 六 三 業 務 ( 〇 三 ) 一 一 三 〇 ー 五 三 三 三 販 売 ( 〇 三 ) 一 一 三 〇 ー 五 七 三 九 ・ 造 本 に は 十 分 注 意 し て お り ま す が 、 万 一 、 落 丁 ・ 乱 丁 な ど の 不 良 品 が あ り ま し た ら お と り か え い た し ま す 。 ・ 本 書 の 一 部 あ る い は 全 部 を 、 無 断 で 複 写 複 製 ( コ ピ ー ) す る こ と は 、 法 律 で 認 め ら れ た 場 合 を 除 き 、 著 作 者 お よ び 出 版 者 の 権 利 の 侵 害 と な り ま す 。 あ ら か し め 小 社 あ て 許 諾 を 求 め て く だ さ い Printed in Japan ( 著 者 検 印 は 省 略 A. Abe K. Akiyama G. lmai H. Suzuki い た し ま し た ) ISBN4 ・ 09 ・ 55602L5 1987

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


源 氏 物 語 498 △ 桐 壺 院 匂 宮 各 巻 の 系 図 △ 葵 の 上 朱 雀 院 △ 紫 の 上 ( 対 の 上 、 紫 ) 明 石 の 君 齎 の ) △ 源 花 散 里 女 三 の 宮 ( 黔 、 母 ) 宮 の 若 君 、 一 一 品 の 宮 の 、 若 君 、 源 中 将 、 薫 る 中 ・ 将 、 中 将 、 三 位 宰 相 、 明 石 の 中 宮 宰 相 中 将 、 右 の 中 将 秋 好 中 宮 ( 后 の 宮 ) 氏 ( 院 、 光 る 源 氏 ) 冫 , 一 完 の 帝 、 上 、 院 ) 女 宮 、 冷 泉 院 の 一 の 宮 、 姫 宮 、 院 の 姫 宮 弘 徼 殿 女 御 壮 殿 の ) 雲 居 雁 ( = 一 条 殿 ) 右 の 大 臣 、 大 殿 、 大 タ 霧 ( 矛 臣 、 右 大 臣 、 大 将 藤 典 侍 ( 典 侍 ) △ 致 仕 の 大 臣 更 衣 フ 上 帝 龕 默 、 帝 、 ) 一 、 本 巻 所 収 の 登 場 人 物 を 各 巻 ご と に ま と め た 系 図 で あ る 。 一 、 △ は 、 そ の 巻 に お け る 故 人 を 示 す 。 、 ( ) 内 は 、 そ の 巻 で の 呼 び 名 を 示 す 。 常 陸 の 宮 冫 葉 の 宮 ( 一 条 宮 ) 丑 ( 大 姫 君 ) ) 権 中 納 言 六 の 君 匂 宮 三 の 宮 兵 部 卿 兵 部 卿 宮 匂 ふ 兵 部 卿 五 の 宮 衛 門 督 大 弁 春 宮 一 の 宮 中 の 君 ( 中 姫 君 ) 二 の 宮

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


方 丈 記 神 田 秀 夫 ( 武 蔵 大 学 ) 日 本 の 古 典 」 全 巻 の 内 容 永 積 安 明 ( 神 戸 大 学 ) 徒 然 草 荻 原 浅 男 ( 千 葉 大 学 ) 国 古 事 記 国 国 と は ず カ た り ・ 久 保 田 淳 ( 東 京 大 学 ) 小 島 憲 之 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 佐 竹 昭 広 ( 成 城 大 学 ) 小 林 智 昭 ( 専 修 大 学 ) ー 萬 葉 集 7 内 木 下 正 俊 ( 関 西 大 学 ) 囮 回 宇 治 拾 遺 物 語 圄 小 林 保 治 ( 早 稲 田 大 学 ) 中 田 祝 夫 ( 筑 波 大 学 ) 回 日 本 霊 異 記 市 古 貞 次 ( 東 京 大 学 ) 囮 ー 囮 平 家 物 語 小 沢 正 夫 ( 中 京 大 学 ) 回 古 今 和 歌 集 囮 謡 曲 集 三 道 小 山 弘 志 ( 国 文 学 研 究 資 料 館 ) 佐 藤 健 一 郎 ( 武 蔵 野 美 術 大 学 ) 表 章 ( 法 政 大 学 ) 回 謡 曲 集 0 風 姿 花 伝 佐 藤 喜 久 雄 ( 学 習 院 大 学 ) 竹 取 物 語 片 桐 洋 一 ( 大 阪 女 子 大 学 ) 福 井 貞 助 ( 静 岡 大 学 ) 画 伊 勢 物 語 北 川 忠 彦 ( 京 都 女 子 大 学 ) 安 田 章 ( 京 都 大 学 ) 松 村 誠 一 ( 成 蹊 大 学 ) 囮 狂 言 集 土 佐 日 記 大 島 建 彦 ( 東 洋 大 学 ) 国 御 伽 草 子 集 伊 牟 田 経 久 ( 鹿 児 島 大 学 ) 木 村 正 中 ( 学 習 院 大 学 ) 回 蜻 蛉 日 記 好 色 一 代 男 康 隆 ( 早 稲 田 大 学 ) 永 井 和 子 ( 学 習 院 大 学 ) 松 尾 聰 ( 学 習 院 大 学 ) 回 囮 枕 草 子 冒 好 色 五 人 女 阿 部 秋 生 ( 東 京 大 学 ) 東 明 雅 ( 信 州 大 学 ) 今 井 源 衛 ( 梅 光 女 学 院 大 学 ) 国 回 ー 四 源 氏 物 語 7 田 秋 山 虔 ( 東 京 女 子 大 学 ) 鈴 木 日 出 男 ( 東 京 大 学 ) 好 色 一 代 女 和 泉 式 部 日 記 谷 協 理 史 ( 筑 波 大 学 ) 藤 岡 忠 美 ( 神 戸 大 学 ) 国 日 本 永 代 蔵 中 野 幸 一 ( 早 稲 田 大 学 ) 紫 式 部 日 記 大 養 窿 ( お 茶 の 水 女 子 大 学 ) 万 の 文 反 古 更 級 日 記 神 保 五 彌 ( 早 稲 田 大 学 ) 世 間 胸 算 用 鈴 木 一 雄 ( 明 治 大 学 ) 3 夜 の 寝 覚 井 本 農 一 ( 実 践 女 子 大 学 ) 中 村 俊 定 ( 早 稲 田 大 学 ) 図 芭 蕉 句 集 堀 信 夫 ( 神 戸 大 学 ) 堀 切 実 ( 早 稲 田 大 学 ) 堤 中 納 言 物 語 稲 賀 敬 一 ズ 広 島 大 学 ) 栗 山 理 一 ( 成 城 大 学 ) 久 保 木 哲 夫 ( 都 留 文 科 大 学 ) 芭 蕉 文 集 ・ 去 来 抄 顰 ( 実 践 女 子 大 学 ) 無 名 草 子 森 修 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 鳥 越 文 蔵 ( 早 稲 田 大 学 ) 近 松 門 左 衛 門 集 橘 健 一 ズ 岐 阜 女 子 大 学 ) 四 大 鏡 冒 雨 月 物 語 高 田 衛 ( 都 立 大 学 ) 今 昔 物 語 集 7 国 馬 淵 和 夫 ( 中 央 大 学 ) 国 東 文 管 ( 早 稲 田 大 学 ) 中 村 博 保 ( 静 岡 大 学 ) 今 野 達 ( 横 浜 国 立 大 学 ) 本 朝 世 俗 部 春 雨 物 語 栗 山 理 一 ( 成 城 大 学 ) 新 間 進 一 ( 青 山 学 院 大 学 ) 国 外 村 南 都 子 ( 白 百 合 女 子 大 学 ) 囮 蕪 村 集 ・ 一 茶 集 暉 埈 康 隆 ( 早 稲 田 大 学 ) 梁 廛 秘 抄 圈 古 典 詞 華 集 冒 山 本 健 吉 ( 文 芸 評 論 家 ) 国 新 古 今 和 歌 集 峯 村 文 人 ( 国 際 基 督 教 大 学 ) 松 田 成 穂 ( 金 城 学 院 大 学 ) 石 埜 敬 子 ( 跡 見 学 園 短 期 大 学 ) 増 古 和 子 ( 上 野 学 園 大 学 ) 丸 山 一 彦 ( 宇 都 宮 大 学 ) 松 尾 靖 秋 ( 工 学 院 大 学 )

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


・ 明 け ぬ 夜 の 心 な が ら に や み に し を あ く ぞ と 言 ひ じ み し た も の と 見 る こ と だ 。 絽 し 声 は 聞 き き や ( 河 海 抄 ) 鹿 と 萩 は 伝 統 的 な 組 合 せ 。 物 語 で は 、 匂 宮 の 、 姫 君 へ の 手 お う せ 明 け る こ と の な い 夜 の 暗 闇 の ま ま の 心 で 逢 瀬 が 終 っ た の だ か 紙 の 言 葉 に 、 こ れ を 用 い た 。 「 枯 れ ゆ く 野 べ 」 は 、 晩 秋 か 語 ら 、 夜 が 明 け る と 言 っ た 声 は 聞 い た の だ ろ う か ら 冬 に か け て の 、 生 命 の 死 滅 を 象 徴 す る 語 句 で あ る 。 八 の 物 せ き 。 り ト - う 氏 出 典 未 詳 。 夜 が 明 け て も 、 心 の 暗 闇 は 明 け な い と し た 歌 。 宮 死 後 の 寂 寥 の 宇 治 に ふ さ わ し い 表 現 と も い え よ う 。 や ま し な こ は た 源 『 後 拾 遺 』 ( 雑 四 ・ 一 0 〈 = 読 人 し ら ず ) に は 、 第 二 句 「 心 地 な が ・ ・ 2 山 科 の 木 幡 の 里 に 馬 は あ れ ど 徒 歩 よ り そ 来 る 君 ら に 」 、 第 四 句 「 朝 倉 と 言 ひ し 」 と あ る 。 物 語 で は 、 八 の を 思 へ ば ( 拾 遺 ・ 雑 恋 ・ 一 = 四 三 柿 本 人 麿 ) う し な 宮 を 喪 っ た 姫 君 た ち の 深 い 悲 嘆 を か た ど る 。 恋 の 心 の 暗 闇 山 科 の 木 幡 の 山 を 、 馬 は あ る け れ ど も 、 私 は 歩 い て や っ て 来 を 、 死 へ の 悲 嘆 の 暗 闇 に 転 じ た 表 現 で あ る 。 る 。 あ な た の こ と を 思 う と : 0 4 わ が 世 を ば 今 日 か 明 日 か と 待 っ か ひ の 涙 の 滝 と も と も と 『 万 葉 集 』 巻 十 一 ・ 一 一 四 一 一 五 の 人 麻 呂 歌 集 の 歌 。 た だ 、 一 は た あ い づ れ 高 け む ( 伊 勢 物 語 ・ 八 十 七 段 ) し 歌 句 は 「 : ・ 木 幡 の 山 を ・ : 徒 歩 よ り 我 が 来 し 汝 を 思 ひ か ね 私 の 栄 え る 時 が 今 日 来 る か 明 日 来 る か と 待 っ て き た が 、 そ れ て 」 。 『 古 今 六 帖 』 ( 第 二 「 国 」 ) は 、 「 山 城 の 木 幡 の 森 に ・ : 思 め の び き を 待 っ か い も な く 流 れ 落 ち る 涙 の 滝 と 、 こ の 布 引 の 滝 と ど ち ふ が た め は 歩 み て そ 来 る 」 。 歌 詞 の 変 化 か ら も 、 伝 承 性 の ら が 高 い だ ろ う か 濃 さ が う か が わ れ る 。 「 木 幡 」 は 宇 治 市 北 部 の 平 尾 山 ・ 御 布 引 の 滝 ( 神 戸 市 葺 合 区 布 引 町 ) の ほ と り で 詠 ん だ 歌 。 物 語 蔵 山 な ど 一 群 の 丘 陵 地 。 「 山 科 」 は 古 く 、 そ の 木 幡 山 か ら で は 、 八 の 宮 の 死 に 遭 っ た 姫 君 た ち の 悲 嘆 。 こ の あ た り 、 現 在 の 京 都 市 山 科 区 一 帯 を も 呼 ん だ ら し い 。 物 語 で は 、 匂 落 葉 の 音 、 宇 治 の 川 音 な ど 宇 治 の 静 寂 悲 哀 の 景 を か た ど り 宮 の 使 者 の 、 宇 治 へ の 往 来 を 語 る の に 、 こ の 歌 を 用 い た 。 な が ら 、 涙 に 明 け 暮 れ る 姫 君 た ち の 悲 し み の 心 象 風 景 と し 下 句 に 「 : ・ 君 を 思 へ ば 」 と あ る だ け に 、 匂 宮 の 熱 つ ば い 恋 ほ う ふ つ て い る 。 宇 治 川 の 「 水 の 響 き 」 か ら 、 こ の 歌 の 「 涙 の 滝 」 情 を さ え 彷 彿 と さ せ る 。 く ま ひ の く ま が 連 想 さ れ る 趣 で あ る 。 ・ ・ 3 さ さ の 隈 檜 隈 川 に 駒 と め て し ば し 水 か へ 影 を だ は ぎ LO ・ 11 鹿 の す む 尾 の 上 の 萩 の 下 葉 よ り 枯 れ ゆ く 野 べ も に 見 む ( 古 今 ・ 神 遊 び の 歌 ・ 一 0 八 0 読 人 し ら す ) と も ひ ら あ は れ と そ 見 る ( 新 千 載 ・ 秋 下 ・ 五 一 一 六 具 平 親 王 ) 笹 の 茂 る 奥 ま っ た 、 檜 隈 川 に 馬 を と め て 、 し ば ら く 水 を 飲 ま 鹿 の す む 尾 根 の 萩 の 下 葉 よ り も 、 枯 れ て い く 野 辺 の 趣 も し み せ て や っ て く れ 、 せ め て 、 そ こ か ら 帰 る あ な た の 後 ろ 姿 な り へ く ら お

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


目 の 前 に こ ば れ 落 ち た の だ っ た 。 新 妻 の 手 枕 を し は じ め た 今 、 一 夜 で も 逢 わ ず に い る こ と が で き よ う か 。 憎 く も な い の に 。 前 出 ( ↓ 須 磨 3 三 五 一 ハ ー 上 段 ) 。 物 語 で は 、 薫 の い や み な 言 前 出 ( ↓ 葵 三 八 五 ハ ー 上 段 ) 。 『 古 今 六 帖 』 ( 第 五 「 一 夜 隔 て た い 方 を 受 け 流 す 大 君 の 言 葉 。 薫 の 強 調 す る 宿 世 を 否 定 的 に 語 と ら え 、 こ の 歌 に よ っ て 「 知 ら ぬ 涙 の み 霧 り ふ た が る 心 る 」 ) に は 第 五 句 「 憎 か ら な く に 」 。 物 語 で は 、 中 の 君 と の 物 は じ め て の 逢 瀬 か ら 帰 る 匂 宮 の 心 を か た ど る 。 氏 地 」 だ と し 、 将 来 の こ と は 分 ら ぬ と 言 い こ め た 。 や ま し な こ は た 0 源 あ し び き の 山 鳥 の 尾 の し だ り 尾 の 長 々 し 夜 を ひ ワ 0 1 ・ ・ 7 山 科 の 木 幡 の 里 に 馬 は あ れ ど 徒 歩 よ り ぞ 来 る 君 ( 拾 遺 ・ 雑 恋 ・ 一 一 一 四 三 柿 本 人 麿 ) ( 拾 遺 ・ 恋 三 ・ 七 天 柿 本 人 麿 ) と り か も 寝 む を 思 へ ば 山 鳥 の 尾 の 、 そ の 垂 れ さ が っ た 尾 の 長 々 し い よ う に 、 秋 の 前 出 ( ↓ 四 八 二 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 匂 宮 の 宇 治 行 を 勧 め る 長 々 し い 夜 を 、 た っ た ひ と り で 寝 る こ と に な る の だ ろ う か 。 薫 の 言 葉 。 馬 で は ど う か と 勧 め た こ と に よ る 。 こ こ ろ ) 一 こ ろ ワ 朝 1 世 の 人 の 心 々 に あ り け れ ば 思 ふ は つ ら し 憂 き は 前 出 ( ↓ タ 霧 三 九 九 ハ ー 上 段 ) 。 物 語 で は 、 薫 が 大 君 に 近 づ き ( 古 今 六 帖 ・ 第 五 「 相 思 は ぬ 」 ) な が ら 、 何 事 も な い ま ま に 夜 明 け を 迎 え よ う と す る 状 況 を 頼 ま る 世 の 人 の 心 は さ ま ざ ま な も の だ っ た か ら 、 自 分 の 頼 み に 思 う 薫 の 気 持 に 即 し て 「 山 鳥 の 心 地 し て 明 か し か ね た ま ふ 」 と 相 手 は 恨 め し く 、 つ ら く 思 う 相 手 が 頼 み に 思 わ れ た り す る 。 す る 。 一 本 、 結 句 「 頼 ま ず 」 。 物 語 で は 、 薫 が 、 中 宮 方 の 女 房 た ・ 跚 ・ 明 け ぐ れ の 空 に そ 我 は ま よ ひ ぬ る 思 ふ 心 の ゆ か ( 拾 遺 ・ 恋 一 一 ・ 七 三 六 源 順 ) ぬ ま に ま に ち の 多 様 な 心 々 を 思 う 気 持 。 な お 引 歌 と し て 認 め ら れ な い 夜 明 け 前 の 薄 暗 い 空 の も と で 私 は 心 ま ど っ て し ま う 。 満 た さ か も し れ な い が 、 女 房 た ち の さ ま ざ ま な 内 心 を 「 を か し く れ ぬ 思 い の た め に 。 も あ は れ 」 と す る 点 で 、 引 歌 表 現 と み た い 。 詞 書 に 「 女 の も と よ り 暗 き に 帰 り て 遣 は し け る 」 と あ り 、 ・ ・ 5 世 の 中 を 何 に た と へ む 朝 ば ら け 漕 ぎ ゅ く 舟 の あ き め ぎ め し や み ま ん せ い ( 拾 遺 ・ 哀 傷 ・ 一 三 一 一 七 沙 弥 満 誓 ) と の 白 波 後 朝 の 歌 。 物 語 で は 、 薫 の 「 し る べ せ し : ・ 」 の 歌 に ふ ま え こ の 世 の 中 を 何 に 喩 え よ う か 。 朝 ほ の ば の と 明 け か か る こ ろ 、 ら れ 、 匂 宮 の 案 内 役 で あ る 自 分 の ほ う が か え っ て 心 ま ど う 水 の 上 を 漕 い で 行 く 小 舟 の 跡 に 残 る 白 波 の よ う に 、 生 れ て は と す る 。 こ れ は 、 逢 わ ざ る 恋 ゆ え の 「 ま よ ひ 」 で あ る 。 に ひ た ま く ら す ぐ 消 え る は か な さ で あ る 。 ・ ・ 9 若 草 の 新 手 枕 を ま き そ め て 夜 を や 隔 て む 憎 く あ ら な く に ( 万 葉 ・ 巻 十 一 ・ 一 一 五 四 一 一 作 者 不 明 ) 物 語 で は 、 匂 宮 が 中 の 君 と 一 夜 を と も に 過 し 、 た と

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


、 こ の 「 引 歌 一 覧 」 は 、 本 巻 ( 匂 宮 ~ 総 角 ) の 本 文 中 に ふ ま え ら れ て い る 歌 ( 引 歌 ) で 、 脚 注 欄 に 掲 示 し た 歌 を ま と め た も の で あ る 。 一 、 掲 出 の 仕 方 は 、 は じ め に 、 引 歌 表 現 と み ら れ る 本 文 部 分 の ペ ー ジ 数 と 行 数 を あ げ 、 そ の 引 歌 お よ び 出 典 を 示 し 、 以 下 、 行 を 改 め て 、 歌 の 現 代 語 訳 と 解 説 を 付 し た 。 梅 の 香 の 人 に 移 っ た と す る 発 想 が 多 く 見 ら れ る が 、 こ の 歌 匂 宮 の よ う に 人 の 香 が 梅 に 移 っ た と す る 例 は 多 く な い 。 物 語 で 残 り な く 散 る そ め で た き 桜 花 あ り て 世 の 中 は て は 、 こ れ よ り 三 首 、 薫 の 身 に 備 っ た 薫 香 の す ば ら し さ を か ( 古 今 ・ 春 下 ・ 七 一 読 人 し ら ず ) の 憂 け れ ば た ど る 。 梅 の 花 も 、 薫 の 袖 か ら の 移 り 香 で 、 本 来 の 梅 の 香 何 一 つ 残 さ ず 散 る と こ ろ が す ば ら し い の だ 、 桜 の 花 は 。 世 の 以 上 の 、 か ぐ わ し さ を 発 揮 す る と す る 。 し ・ く け 、 習 い と し て 、 生 き 長 ら え て 最 後 が い や な も の に な る の だ か ら 。 ・ 四 ・ 6 匂 ふ 香 の 君 思 ほ ゆ る 花 な れ ば 折 れ る 雫 に 今 朝 そ ( 古 今 六 帖 ・ 第 一 「 雫 」 伊 勢 ) 桜 の 花 は は か な い か ら こ そ 美 し い 、 と す る 歌 。 物 語 で は 、 濡 れ ぬ る あ な た を 思 い 出 す 香 り の 花 な の で 、 今 朝 、 枝 を 折 る 時 に 、 こ 美 し い ま ま に 他 界 し た 紫 の 上 を 回 想 す る 表 現 。 な お 、 古 注 ば れ 落 ち る 雫 に も 、 流 れ 落 ち る 涙 に も 濡 れ て し ま っ た 。 以 来 、 「 散 れ ば こ そ い と ど 桜 は め で た け れ う き 世 に 何 か 久 し か る べ き 」 ( 伊 勢 物 語 ・ 八 十 二 段 ) 、 「 待 て と い ふ に 散 ら で し 『 伊 勢 集 』 に も 所 収 。 「 雫 ー は 「 君 」 を 思 う 涙 で も あ る 。 物 語 で は 、 前 歌 同 様 、 薫 の す ば ら し い 薫 香 を 表 す 。 と ま る も の な ら ば 何 を 桜 に 思 ひ ま さ ま し 」 ( 古 今 ・ 春 下 ・ 七 0 主 知 ら ぬ 香 こ そ に ほ へ れ 秋 の 野 に 誰 が ぬ ぎ か け 覧 読 人 し ら す ) な ど を 掲 げ る も の も あ る 。 い ず れ も 類 想 の 歌 ・ ふ ぢ ば か ま 一 で あ る 。 ( 古 今 ・ 秋 上 ・ = 四 一 素 性 法 師 ) し 藤 袴 ぞ も た そ で 歌 誰 が 使 っ て い る の か 分 ら ぬ 香 が た だ よ っ て い る 。 秋 の 野 に 咲 ・ 四 ・ 6 色 よ り も 香 こ そ あ は れ と 思 ほ ゆ れ 誰 が 袖 ふ れ し く 藤 袴 は 、 誰 が 脱 い で 掛 け た 袴 な の か し ら 。 ( 古 今 ・ 春 上 ・ 三 三 読 人 し ら ず ) 宿 の 梅 ぞ も 色 よ り も 香 こ そ す ば ら し く 思 わ れ る 。 誰 が 袖 を ふ れ て 、 そ の 「 藤 袴 」 の 花 か ら 「 袴 」 を 連 想 す る し ゃ れ 。 物 語 で は 、 こ 移 り 香 を わ が 家 の こ の 梅 の 花 に 残 し た の か 。 れ も 薫 の 香 を 表 現 。 前 二 首 が 春 の 花 の 香 で あ る の に 対 し て 、 471 引 歌 一 覧 た

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


487 よ り も 言 葉 の う え で 、 引 か れ た と み ら れ る 。 し か し 一 夜 を と も に し た 既 成 事 実 は 消 し よ う も な い 意 を 語 -8 ・ CO い か な ら む 巌 の な か に 住 ま ば か は 世 の 憂 き こ と り こ め る 。 す ぐ 後 の 薫 の 言 葉 「 人 は い か が 推 し は か り き こ ( 古 今 ・ 雑 下 ・ 九 五 一 一 読 人 し ら ず ) の 聞 こ え こ ギ 、 ら む ゅ べ き 」 な ど と も ひ び き あ う 。 ま た 、 「 む ら 鳥 」 の 「 羽 風 」 い っ た い ど ん な 岩 屋 に 住 め ば 、 世 の 中 の い や な こ と が 聞 え て が 「 夜 深 き 朝 の 鐘 の 音 」 に か す か に 交 響 し あ う 趣 が 、 こ の こ な い だ ろ う か 場 面 を 印 象 深 い も の に し て い る 。 あ か っ き っ ー っ 0 11 11 ま だ 知 ら ぬ 暁 起 き の 別 れ に は 道 さ へ ま ど ふ も 前 出 ( ↓ 須 磨 3 三 五 〇 ハ ー 上 段 な ど ) 。 物 語 で は 、 前 項 の 歌 と と の に ぞ あ り け る ( 花 鳥 余 情 ) も に 、 大 君 の 歌 に 引 か れ た 。 自 分 の い る 山 里 は 俗 世 間 と 断 ま だ 経 験 し た こ と の な か っ た 、 は じ め て の 暁 起 き の 別 れ で は 、 絶 し て い る と 思 っ て い た の に 、 世 の つ ら さ は こ こ に も 追 し 帰 る 道 ま で も が 分 ら な く な っ て し ま う も の だ っ た 。 か け て く る 、 の 発 想 で 共 通 し て い る 。 そ で お う せ 00 ・ 一 0 夜 も す が ら な づ さ は り つ る 妹 が 袖 な ご り 恋 し く 出 典 末 詳 。 「 暁 起 き 」 は 、 逢 瀬 の 後 、 ま だ 暗 い う ち に 起 き ( 古 今 六 帖 ・ 第 五 「 あ し た 」 ) 思 は ゆ る か な て 、 女 に 別 れ て 帰 る こ と 。 は じ め て の 逢 瀬 の 感 動 を 詠 ん だ よ な か 夜 中 じ ゅ う 手 に し 続 け て い た あ の 人 の 袖 が 、 別 れ た 後 も 恋 し 歌 で あ る 。 物 語 で は 薫 が 、 大 君 と と も に 過 し た 後 の 別 れ を 、 く て な ら な い こ と だ 。 「 ま だ 知 ら ぬ 」 「 暁 の 別 れ や 」 と す る 。 こ こ で は 、 逢 瀬 な き 逢 瀬 を 、 類 ま れ な も の と す る 気 持 も こ め ら れ て い よ う 。 な 物 語 で は 、 大 君 に 別 れ た 後 も な お 恋 し く 思 わ ざ る を え な い お 、 タ 顔 巻 の 源 氏 の 歌 「 い に し へ も か く や は 人 の ま ど ひ け 薫 の 執 心 ぶ り を 語 る 。 歌 の 「 夜 も す が ら ・ : 」 の 気 持 が 、 実 ん わ が ま だ 知 ら ぬ し の の め の 道 」 ( 田 一 二 九 ハ ー ) に も 類 似 す 事 が な い な が ら 、 一 夜 を と も に 過 し た 状 況 に ふ さ わ し い あ げ ま き 11 1 上 総 角 や と う と う 尋 ば か り や と う と う 離 る 歌 句 で あ る 。 り て 寝 た れ ど も ま ろ び あ ひ け り と う と う か 寄 り あ ひ ・ 烱 ・ 3 飛 ぶ 鳥 の 声 も 聞 こ え ぬ 奥 山 の 深 き 心 を 人 は 知 ら ・ け ・ り , と 一 , っ と 一 , っ ( 催 馬 楽 「 角 総 」 ) ( 古 今 ・ 恋 一 ・ 吾 一 五 読 人 し ら ず ) 飛 ぶ 鳥 の 声 も 聞 え な い 奥 山 が 奥 深 い よ う に 、 私 の 心 の 奥 深 い 前 出 ( ↓ 四 八 五 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 前 の 薫 の 「 あ げ ま き に 」 と こ ろ に 秘 め た 思 い を 、 あ の 人 に 知 っ て も ら い た い も の だ 。 の 歌 ( 一 七 六 ハ ー ) を 想 起 し な が ら 、 大 君 が 薫 と 一 夜 を 過 し た こ と を 顧 み る 言 葉 。 「 尋 ば か り 」 の 隔 て は 置 い た に し ろ 、 前 出 ( ↓ 若 菜 上 四 〇 三 ハ ー 下 段 な ど ) 。 物 語 で は 、 次 項 の 歌 と と も に 、 大 君 の 「 鳥 の 音 も き こ え ぬ 山 と : ・ 」 の 歌 に 、 内 容 と も に 過 し た 事 態 を 悔 む 気 持 。 歌 の 「 ま ろ び あ ひ け り : ・ か た ぐ い ひ ろ さ か

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


十 月 と も な る と 、 毎 年 毎 年 時 雨 は 降 っ た け れ ど も 、 こ ん な に 逢 は ぬ こ ろ か も 」 。 物 語 で は 、 匂 宮 の 宇 治 行 を 邪 魔 だ て る -4 も 袖 の 濡 れ る 時 は な か っ た 。 支 障 の 多 い こ と を い う 。 カ カ い し レ - う ・ み あ 出 典 末 詳 。 前 出 ( ↓ 葵 三 八 四 ハ ー 上 段 な ど ) 。 『 河 海 抄 』 な ど ・ ・ 2 水 ご も り の 神 に 問 ひ て も 聞 き て し が 恋 ひ つ つ 逢 語 ( 古 今 六 帖 ・ 第 四 「 片 恋 」 ) 古 注 の 一 部 に は 、 「 い に し へ も 今 も 昔 も 行 く 末 も か く 袖 ひ は ぬ 何 の 罪 ぞ と 物 水 中 に 隠 れ て い る 神 に た ず ね て 聞 き た い も の だ 。 恋 し い 恋 し 氏 つ る 折 は な か り き 」 ( 出 典 末 詳 ) を も 掲 げ る 。 物 語 で は 、 匂 い と 思 い 続 け な が ら も 逢 え な い の は 、 何 の 罪 に よ る の か と 。 源 宮 が 中 の 君 へ の 「 な が む る は : ・ 」 の 歌 に さ ら に 付 け 加 え た 言 葉 。 折 か ら 時 雨 の 時 節 で あ る と こ ろ か ら 、 こ ん な 時 雨 は 物 語 で は 、 薫 が 大 君 に 、 大 君 の 病 気 は ど ん な 罪 の 報 い な の か と 問 う 言 葉 。 引 歌 と し な く て よ い か も し れ な い が 、 次 に は じ め て と 思 わ れ る ほ ど 悲 し み の 涙 に 濡 れ た と す る 。 し か し 姫 君 た ち は こ れ を 、 「 耳 馴 れ に た る 」 こ ん な 折 の 常 薫 が 冗 談 め か し く 、 「 人 の 嘆 き 負 ふ こ そ か く は あ む な れ 」 套 表 現 に す ぎ な い と 受 け と め る 。 と 言 う 文 脈 の 流 れ か ら 、 引 歌 の あ る 表 現 と み て お き た い 。 う っ せ み か ら あ ら れ み や ま け ぶ り っ ー 0 霰 降 る 深 山 の 里 の わ び し き は 来 て た は や す く ・ ・ 7 空 蝉 は 骸 を 見 つ つ も 慰 め つ 深 草 の 山 煙 だ に 立 て ( 後 撰 ・ 冬 ・ 四 六 九 読 人 し ら ず ) ( 古 今 ・ 哀 傷 ・ 八 三 一 僧 都 勝 延 ) 訪 ふ 人 も な し 霰 の 降 る 深 山 の 里 の 寂 し さ は 、 こ こ を 容 易 に 訪 ね て 来 る 人 も は か な い 蝉 で も 、 そ の 脱 け 殻 を 見 て は 慰 め ら れ る も の 。 同 じ な キ 一 が ら い な い と い う こ と で あ る 。 よ う に 亡 き 人 も 、 そ の 亡 骸 を 見 て は 慰 め ら れ た 。 深 草 の 山 よ 、 せ め て 今 は 、 煙 だ け で も 立 ち の ば っ て 、 私 の 心 を 慰 め て く れ 。 物 語 で は 、 中 の 君 の 、 匂 宮 へ の 返 歌 「 あ ら れ ふ る ・ : 」 に ふ ま え ら れ る 。 匂 宮 の い う 時 雨 の 悲 し み を 、 こ の 歌 の 霰 降 る 前 出 ( ↓ 御 法 四 〇 一 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 薫 が 大 君 の 亡 骸 を 悲 し み で 切 り 返 し た こ と に な る 。 そ の ま ま 虫 の 脱 け 殻 の よ う に し て お き た い と 願 う 一 一 = ロ 葉 。 薫 あ し わ を ぶ ね さ は っ ー っ の 限 り な い 執 着 を か た ど る 。 み な と 入 り の 葦 分 け 小 舟 障 り 多 み わ が 思 ふ 人 に い り あ ひ あ は ぬ こ ろ か な ( 拾 遺 ・ 恋 四 ・ 会 三 柿 本 人 麿 ) ・ ・ 6 山 寺 の 入 相 の 鐘 の 声 ご と に 今 日 も 暮 れ ぬ と 聞 く ( 拾 遺 ・ 哀 傷 ・ 一 三 = 九 読 人 し ら ず ) 葦 の し げ み を か き 分 け て 港 に 入 っ て 来 る 小 舟 が 邪 魔 さ れ る こ そ 悲 し き と の 多 い よ う に 、 、 し と し く 思 う 人 に 逢 え ぬ 日 々 の 続 く 今 日 こ 山 寺 の 夕 暮 時 の 鐘 の 音 を 聞 く た び ご と に 、 今 日 も 一 日 が 暮 れ の ご ろ で あ る よ 。 て し ま っ た と 思 う 、 そ れ が ど う に も 悲 し い の で あ る 。 も と も と は 万 葉 歌 ( 巻 十 一 ・ = 七 四 五 ) で 、 下 句 「 あ が 思 ふ 君 に 前 出 ( ↓ 澪 標 3 三 六 六 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 大 君 の 死 後 の 一 日 ゅ が ら

完訳 日本の古典 第二十一巻 源氏物語 ㈧


を 掲 げ る も の も あ る 。 物 語 で は 、 零 落 の ま ま 年 老 い た 自 分 治 の 「 憂 き 」 イ メ ー ジ 。 を 、 「 深 山 隠 れ の 朽 木 」 と し た 。 薫 を 相 手 に 卑 下 し た 言 い 1- ・ 1 5 0 桜 咲 く 桜 の 山 の 桜 花 散 る 桜 あ れ ば 咲 く 桜 あ り 方 で も あ る 。 ( 源 氏 釈 ) 語 桜 の 咲 く こ ろ の 桜 の 山 の 桜 花 は 、 散 る 桜 咲 く 桜 で 、 山 す べ て 声 を だ に 聞 か で 別 る る 魂 よ り も な き 床 に 寝 む 君 物 ( 古 今 ・ 哀 傷 人 夭 読 人 し ら ず ) が 桜 で あ ふ れ て い る 。 氏 そ 悲 し き 源 あ な た の 声 を さ え 聞 か ず に 死 に 別 れ る 私 の 魂 よ り も 、 任 地 か 出 典 未 詳 。 「 桜 」 を 畳 み 重 ね た 表 現 。 物 語 で は 、 匂 宮 の 一 ら 帰 っ て 、 私 の 亡 く な っ た 寝 床 に や す む あ な た の こ と が 悲 し 行 が 中 宿 り し た 時 の 、 宇 治 の 桜 の 盛 り を 表 現 。 咲 い て は 散 い の だ 。 り 、 散 っ て は 咲 く と い う 桜 の は か な い 美 し さ を 強 調 す る 。 詞 書 に よ れ ば 、 夫 の 他 国 へ の 赴 任 後 、 妻 が 病 死 す る 際 に 詠 次 項 の 歌 と 照 応 す る 。 い な む し ろ - ・ 0 一 1 ん だ 辞 世 の 歌 。 物 語 で は 、 死 を 間 近 に し た 柏 木 の 歌 に 、 こ 稲 蓆 川 添 ひ 柳 水 ゆ け ば 起 き 伏 し す れ ど そ の 根 ( 古 今 六 帖 ・ 第 六 「 柳 」 ) の 歌 の 発 想 ・ 構 文 が ふ ま え ら れ て い る 。 絶 え せ ず 川 岸 の 柳 は 水 が 流 れ る ま ま に 寝 た り 起 き た り し て い る け れ ど も 、 そ の 根 は し つ か り と 生 き 長 ら え て い る 。 ・ ・ 4 わ が 庵 は 都 の た つ み し か そ 住 む 世 を 宇 治 山 と 人 「 稲 蓆 」 は 枕 詞 。 物 語 で は 、 宇 治 の 桜 の 盛 り を 強 調 す る と は い ふ な り ( 古 今 ・ 雑 下 ・ 九 会 喜 撰 法 師 ) と も に 、 こ の 歌 に よ っ て 柳 の 緑 の 美 し さ を も 配 し た 。 色 彩 前 出 ( ↓ 四 七 七 ハ ー 下 段 な ど ) 。 物 語 で は 、 次 ハ ー の 引 歌 と と も 的 な 対 照 と 調 和 に 注 意 さ れ よ う 。 と ま ち ち ぢ に 、 宇 治 の 「 憂 き 」 イ メ ー ジ を 形 象 す る 。 6 2 桜 人 そ の 舟 止 め 島 っ 田 を 十 町 つ く れ る ・ ・ 4 忘 ら る る 身 を 宇 治 橋 の な か 絶 え て 人 も 通 は ぬ 年 見 て 帰 り 来 む や そ よ や 明 日 帰 り 来 む そ よ や 第 一 と あ す を ち か た せ な ( 古 今 ・ 恋 五 ・ 全 五 読 人 し ら ず ) そ 経 に け る 言 を こ そ 明 日 と も 言 は め 彼 方 に 妻 去 る 夫 は 明 日 も さ ね ′ 一 人 に 忘 れ ら れ る 身 は つ ら い も の だ が 、 途 中 で 切 断 さ れ た 宇 治 真 来 じ ゃ そ よ や さ 明 日 も 真 来 じ ゃ そ よ や 橋 を 誰 も 通 ら な い よ う に 、 縁 の 途 切 れ た 二 人 の 間 に は 使 者 も ( 催 馬 楽 「 桜 人 」 ) 訪 れ ぬ ま ま 、 年 月 ば か り が た っ て し ま っ た 。 桜 の 人 よ 、 そ の 舟 を 止 め て く れ 、 私 は 島 の 田 を 十 町 作 っ て い る 、 そ の 田 を 見 て 帰 っ て 来 よ う 、 ソ ョ ヤ 、 明 日 帰 っ て 来 よ う 、 「 宇 治 橋 」 「 憂 し 」 の 掛 詞 。 物 語 で は 、 前 項 の 引 歌 同 様 、 宇 へ た ま つ ま ぎ