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検索対象: 完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠から 368件ヒットしました。

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


完 訳 日 本 の 古 典 25 夜 の 寝 覚 一 鈴 木 一 雄 ・ 石 埜 敬 子 校 注 ・ 訳 0 ′ ク 0

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


夜 の 寝 覚

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


完 訳 日 本 の 古 典 第 二 十 五 巻 夜 の 寝 覚 曰 5 日 初 版 発 行 定 価 一 七 〇 〇 円 ・ - 村 - 5 年 ・ 1 ー 2 校 注 ・ 訳 者 鈴 木 一 雄 石 埜 敬 子 発 行 者 相 賀 徹 夫 印 刷 所 大 日 本 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 株 式 会 社 小 学 館 〒 期 東 京 都 千 代 田 区 一 ッ 橋 二 ー 三 ー 振 替 口 座 東 京 八 ー 一 一 〇 〇 番 電 話 編 集 ( 〇 三 ) 二 三 〇 ー 五 六 六 九 業 務 ( 〇 三 ) 二 三 〇 ー 五 三 三 三 販 売 ( 0 三 ) 一 一 三 〇 ー 五 七 六 八 ・ 造 本 に は 十 分 注 意 し て お り ま す が 、 万 一 、 落 丁 ・ 乱 丁 な ど の 不 良 品 が あ り ま し た ら お と り か え い た し ま す 。 ・ 本 書 の 一 部 あ る い は 全 部 を 、 無 断 で 複 写 複 製 ( コ ビ ー ) す る こ と は 、 法 律 で 認 め ら れ た 場 合 を 除 き 、 著 作 者 お よ び 出 版 者 の 権 利 の 侵 害 と な り ま す 。 あ ら か じ め 小 社 あ て 許 諾 を 求 め て く だ さ い Printed in Japan ( 著 者 検 印 は 省 略 0 K. Suzuki K. lsino 1984 I SBN4 ・ 09 ・ 556025 ・ 8 い た し ま し た )

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


三 巻 本 系 統 前 田 家 尊 経 閣 文 庫 蔵 本 の み 。 覚 五 巻 本 と 三 巻 本 と の 関 係 は 、 巻 一 、 二 が 三 巻 本 の 上 巻 、 巻 三 、 四 、 五 が 中 ・ 下 巻 と な っ て い る 。 こ の う ち 善 の 本 と 目 さ れ る の は 島 原 本 と 前 田 家 本 で あ り 、 と も に 近 世 初 期 の 書 写 で あ る 。 五 巻 本 系 統 の 他 本 は す べ て 島 原 本 か ら 出 た 近 世 末 期 の 書 写 の も の で あ る 。 島 原 本 は 『 日 本 古 典 文 学 大 系 』 ( 岩 波 書 店 ) 、 『 日 本 古 典 文 学 全 集 』 ( 小 学 館 ) な ど の 『 夜 の 寝 覚 』 の 底 本 と な っ て お り 、 本 書 も ま た こ れ を 底 本 と し て い る 。 一 方 の 前 田 本 は 、 は や く 複 製 が 公 刊 さ れ て お り ( 尊 経 閣 叢 刊 昭 八 ) 、 関 根 慶 子 ・ 小 松 登 美 両 氏 の 『 寝 覚 物 語 全 釈 』 の 底 本 と な っ て い る 。 改 作 本 と 絵 巻 に つ い ほ か に 、 鎌 倉 時 代 末 期 か 室 町 時 代 初 期 に 成 立 し た と 考 え ら れ る 改 作 本 『 夜 寝 覚 物 語 』 の 伝 本 が 二 つ 残 さ れ て い る 。 一 つ は 三 条 家 旧 蔵 本 で 、 室 町 時 代 末 期 の 書 写 、 巻 一 と 巻 三 が 現 在 宮 内 庁 書 陵 部 に 、 巻 二 が 神 宮 文 庫 に 蔵 さ れ て い る 。 今 一 つ は 金 子 武 蔵 氏 蔵 本 で 、 普 通 中 村 本 ( 中 村 秋 香 旧 蔵 ) と 呼 ば れ て い る 。 三 条 家 旧 蔵 本 は 古 写 の 善 本 で あ る が 、 巻 四 、 五 を 欠 き 、 中 村 本 は 五 巻 の 完 本 で あ る が 、 近 世 の 書 写 で や や 誤 脱 が 多 い 。 改 作 本 の 成 立 し た 鎌 倉 末 か ら 室 町 初 期 ご ろ ま で は 『 夜 の 寝 覚 』 の 原 作 は 全 巻 揃 い で 存 在 し て い た ら し い 。 し た が っ て 改 作 本 の 存 在 は 、 原 作 『 夜 の 寝 覚 』 の 欠 巻 損 傷 部 分 の 内 容 を 知 る 貴 重 な 手 が か り の 一 と な っ て い る 。 ま た 、 鎌 倉 時 代 以 後 、 平 安 時 代 の 物 語 の 改 作 や 梗 概 化 が 多 く 行 わ れ た が 、 そ う し た 改 作 現 象 を う か が う 絶 好 の 資 料 で も あ る 。 ま た 、 徳 川 本 ・ 五 島 本 『 源 氏 物 語 絵 巻 』 を は じ め 、 平 安 時 代 末 か ら 物 語 絵 巻 の 盛 行 が 知 ら れ る が 、 『 夜 の 寝 覚 』 の 絵 巻 も 現 存 し て い る 。 右 の 『 源 氏 物 語 絵 巻 』 と と も に 国 宝 と な っ て い る 『 寝 覚 物 語 絵 巻 』 が そ れ で 、

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


夜 の 寝 覚 344 こ の 物 語 に 関 す る 文 献 目 録 は 、 関 根 慶 子 ・ 小 松 登 美 『 寝 覚 物 語 全 釈 』 や 鈴 木 弘 道 『 平 安 末 期 物 語 研 参 考 文 献 究 史 寝 覚 ・ 浜 松 編 』 に く わ し い 。 こ こ で は 主 要 な 文 献 に と ど め 、 そ れ も 単 行 本 に 限 っ た 。 主 要 研 究 書 主 要 本 文 ・ 注 釈 書 平 安 時 代 物 語 の 研 究 松 尾 聰 昭 ( 昭 増 訂 版 武 蔵 野 校 本 夜 半 の 寝 覚 橋 本 佳 昭 8 大 岡 山 書 店 校 註 夜 半 の 寝 覚 藤 田 徳 太 郎 ・ 増 淵 恒 吉 昭 8 中 興 館 書 院 ) 東 宝 書 房 寝 覚 物 語 の 基 礎 的 研 究 鈴 木 弘 道 昭 塙 書 房 寝 覚 ( 前 田 家 本 複 製 ) 尊 経 閣 叢 刊 昭 8 育 徳 財 団 四 ・ S 古 典 文 平 安 時 代 物 語 論 考 松 尾 聰 昭 笠 間 書 院 夜 寝 覚 物 語 ( 異 本 ) 上 ・ 下 金 子 武 雄 昭 庫 平 安 末 期 物 語 論 鈴 木 弘 道 昭 塙 書 房 寝 覚 物 語 の 研 究 永 井 和 子 昭 笠 間 書 院 寝 覚 物 語 全 釈 関 根 慶 子 ・ 小 松 登 美 昭 肪 ( 昭 貯 増 訂 版 ) 平 安 末 期 物 語 研 究 史 ( 寝 覚 ・ 浜 松 編 ) 鈴 木 弘 道 昭 学 燈 社 大 学 堂 書 房 夜 の 寝 覚 ( 日 本 古 典 文 学 大 系 ) 阪 倉 篤 義 昭 岩 波 書 夜 の 寝 覚 総 索 引 阪 倉 篤 義 ・ 高 村 元 継 ・ 志 水 富 夫 昭 店 明 治 書 院 改 作 本 夜 寝 覚 物 語 ( 影 印 ) 山 岸 徳 平 ・ 鈴 木 一 雄 昭 平 安 末 期 物 語 研 究 鈴 木 弘 道 昭 大 学 堂 書 店 汲 古 書 院 絵 巻 関 係 夜 の 寝 覚 ( 日 本 古 典 文 学 全 集 ) 鈴 木 一 雄 昭 小 学 館 物 語 文 学 の 研 究 ー 本 文 と 論 考 ー 金 子 武 雄 昭 笠 間 書 寝 覚 物 語 絵 巻 ( 複 製 ) 大 8 大 和 絵 同 好 会 院 国 宝 寝 覚 物 語 絵 巻 ( 複 製 ) 昭 講 談 社 寝 覚 物 語 対 校 ・ 平 安 文 学 論 集 関 根 慶 子 昭 風 間 書 房 源 氏 物 語 絵 巻 ・ 寝 覚 物 語 絵 巻 ( 日 本 絵 巻 大 成 — ) 昭 新 中 央 公 論 社 夜 の 寝 覚 ( 影 印 校 注 ) 大 槻 脩 ・ 大 槻 節 子 昭 、 田 典 社 寝 覚 物 語 絵 巻 ほ か ( 新 修 日 本 絵 巻 物 全 集 ) 昭 角 川 書 店 校 注 夜 半 の 寝 覚 石 川 徹 昭 武 蔵 野 書 院

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


夜 の 寝 覚 小 学 館

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


夜 の 寝 覚 356 第 十 六 年 寝 覚 の 上 二 八 歳 内 大 臣 三 一 歳 石 山 の 姫 一 二 歳 ま さ こ 君 一 〇 歳 位 年 主 要 人 物 の 年 齢 巻 巻 五 事 項 。 大 皇 の 宮 、 内 大 臣 の 態 度 に 苛 立 つ 。 内 大 臣 、 女 一 の 宮 に 寝 覚 の 上 と の 仲 を 告 白 。 〔 二 一 一 〕 。 内 大 臣 、 京 と 広 沢 の 間 を 往 復 。 寝 覚 の 上 に 帰 京 を 勧 め 、 自 邸 に 迎 え る 準 備 を す る 。 人 道 、 石 山 の 姫 に 琴 、 ま さ こ 君 に 笛 を 教 え 、 慈 し む 。 〔 一 三 〇 〕 。 十 月 一 日 頃 、 寝 覚 の 上 一 行 の 帰 京 を 前 に 、 人 道 管 弦 の 宴 を 催 す 。 上 達 部 集 い 、 夜 通 し 興 を 尽 す 。 一 三 一 〕 。 三 日 夕 べ 、 内 大 臣 、 寝 覚 の 上 と 子 供 ら を 伴 っ て 公 然 と 帰 京 。 寝 覚 の 上 の も と に 一 夜 を 過 し て 後 、 女 一 の 宮 方 に 行 き 言 葉 を 尽 し て 宮 を 慰 め る 。 〔 一 三 九 〕 。 以 後 、 内 大 臣 、 女 一 の 宮 方 に 二 夜 、 寝 覚 の 上 方 に 一 夜 と 、 各 々 に 通 う 。 〔 二 三 七 〕 。 寝 覚 の 上 、 現 世 を 諦 め つ つ 子 供 ら の 世 話 に 専 念 。 〔 第 二 三 八 〕 。 帝 、 寝 覚 の 上 へ の 執 着 断 ち が た く 、 譲 位 を 志 し 、 冷 泉 院 を 急 造 す る 。 〔 二 四 〇 〕 。 十 月 頃 よ り 病 が ち で あ っ た 督 の 君 、 懐 妊 と 判 明 。 〔 第 二 四 〇 〕 。 一 月 十 日 、 督 の 君 妊 娠 四 月 と 奏 し て 内 大 臣 邸 に 退 出 。 身 重 の 寝 覚 の 上 と 対 面 。 〔 二 四 一 〕 。 一 月 晦 日 の 司 召 に 、 内 大 臣 、 右 大 臣 と な り 、 寝 覚 の 上 の 縁 者 は 各 々 に 昇 進 。 〔 盟 二 四 五 〕 。 二 月 十 日 、 寝 覚 の 上 男 児 を 出 産 。 盛 大 な 産 養 が 続 く 。 〔 盟 二 四 七 〕 。 五 十 日 、 百 日 の 祝 が 執 り 行 わ れ る 。 大 皇 の 宮 の 恨 み 深 ま る 。 〔 盟 二 五 三 〕 。 朱 雀 院 崩 御 ( 但 シ 、 コ ノ 記 事 ノ 部 分 ハ 現 存 本 デ ハ 脱 文 ニ ナ ッ テ ィ ル 。 盟 二 五 四 注 一 一 参 照 ) 。 右 大 臣 、 仏 事 に 尽 力 。 〔 二 五 四 〕 。 七 月 一 日 頃 、 督 の 君 に 男 皇 子 誕 生 。 中 宮 、 帝 よ り 慶 賀 の 文 が 届 く 。 〔 第 一 一 五 四 〕 。 右 大 臣 、 帝 の 御 文 を め ぐ り 嫉 妬 。 喪 中 を 押 し て 寝 覚 の 上 を 訪 い 、 恨 み 言 を 述 べ る 。 〔 一 一 五 八 〕 。 院 の 喪 が 明 け 、 右 大 臣 、 寝 覚 の 上 の も と に 赴 く 。 二 人 の 仲 は 表 面 平 穏 で あ る が 、 寝 覚 の 上 は 、 我 が 身 の 不 幸 を 思 い 寝 覚 め が ち な 日 々 を 送 る 。 〔 二 六 三 〕

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


夜 の 寝 覚 354 年 主 要 人 物 の 年 齢 巻 事 項 。 大 皇 の 宮 、 司 召 の た め 参 内 。 弘 黴 殿 に 開 在 す る 。 〔 一 一 六 〕 。 大 皇 の 宮 の 謀 ら い で 、 帝 、 寝 覚 の 上 を 垣 間 見 、 美 し さ に 驚 嘆 。 恋 慕 の 情 つ の る 。 〔 二 七 〕 。 二 十 五 、 六 日 の 夜 、 寝 覚 の 上 、 大 皇 の 宮 の 術 中 に 陥 り 、 弘 黴 殿 で 帝 に 捕 え ら れ る 。 帝 、 思 い の 巻 た け を 一 夜 か き く ど く が 、 寝 覚 の 上 靡 か ず 。 〔 四 〇 〕 。 大 皇 の 宮 、 帝 と 寝 覚 の 上 の こ と を 内 大 臣 の 耳 に 人 れ よ う と 画 策 。 〔 六 三 〕 。 内 大 臣 、 前 夜 の 事 を 聞 き 煩 悶 。 事 情 を 知 る 宣 旨 の 君 に 真 相 を た だ す 。 宣 旨 の 君 、 寝 覚 の 上 の 潔 白 を 強 調 。 〔 六 五 〕 。 寝 覚 の 上 、 退 出 を 願 い 出 る が 、 帝 、 輦 車 の 宣 旨 を 許 さ ず 。 〔 七 二 〕 。 内 大 臣 、 夜 、 寝 覚 の 上 の 寝 所 に 忍 び 、 恨 み つ 泣 き つ 一 夜 を 過 す 。 〔 七 四 〕 。 帝 、 寝 覚 の 上 の 身 代 り に ま さ こ 君 を 夜 の 御 殿 に 留 め 、 御 文 を 託 す 。 内 大 臣 、 文 面 を 見 て 安 堵 。 。 次 の 夜 も 、 内 大 臣 、 寝 覚 の 上 を 訪 う 。 〔 九 二 〕 。 帝 、 よ う や く 寝 覚 の 上 の 退 出 を 許 可 。 正 三 位 を 授 与 し 、 輦 車 の 宣 旨 を 下 す 。 〔 九 六 〕 。 寝 覚 の 上 、 故 関 白 邸 に 帰 り 、 夜 、 宰 相 中 将 の 上 ( 故 関 白 の 一 一 女 ) と 語 り 合 う 。 〔 九 八 〕 。 内 大 臣 、 女 一 の 宮 の も と に 戻 る も 心 落 ち 着 か ず 、 夜 、 寝 覚 の 上 を 訪 う が 、 寝 覚 の 上 逢 わ ず 。 宰 相 中 将 の 上 と 悲 運 を 嘆 き 合 う 。 〔 九 九 〕 巻 。 内 大 臣 、 寝 覚 の 上 を 再 訪 。 帝 か ら の 文 に 不 安 を 強 め 、 内 大 臣 邸 に 移 る よ う 勧 め る が 、 寝 覚 の 上 四 は 聞 き 人 れ な い 。 〔 一 〇 六 〕 。 帝 の 執 心 い よ い よ っ の り 、 中 宮 に 打 ち 明 け る 。 ま た 、 寝 覚 の 上 の ゆ か り と し て 督 の 君 、 ま さ こ 君 に わ ず か に 心 を 慰 め る 。 〔 一 一 五 〕 。 内 大 臣 と 寝 覚 の 上 の 仲 、 次 第 に 世 に 広 ま る 。 大 皇 の 宮 心 穏 や か な ら ず 。 〔 盟 一 二 一 〕 。 四 月 一 日 頃 よ り 、 女 一 の 宮 病 む 。 〔 一 二 二 〕 。 内 大 臣 、 寝 覚 の 上 を 慰 め よ う と 、 石 山 の 姫 を 寝 覚 の 上 の も と に 渡 す 。 母 子 対 面 し て 感 無 量 。 。 女 一 の 宮 重 態 に 陥 る 。 故 大 君 の 死 霊 、 寝 覚 の 上 の 生 霊 が 現 れ る と の 噂 が 広 ま る 。 〔 一 三 一 〕 〔 一 二 三 〕 〔 八 五 〕

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


作 者 に つ い て は 後 述 す る が 、 と に か く 女 性 の 創 作 で あ る こ と に は 間 違 い が な い 。 そ の 、 女 の 書 く 物 語 が 、 女 を 主 人 公 と す る 。 こ れ も ま た 『 夜 の 寝 覚 』 の 大 き い 特 色 と 言 え よ う 。 物 語 は 予 言 に 沿 っ て 進 行 す る 。 と う び 覚 冒 頭 の 主 題 提 示 と 予 言 と は 、 現 存 最 後 の 巻 五 掉 尾 と 見 事 に 照 応 し て い る 。 の ち や 寝 「 こ の 世 は 、 さ は れ や 。 か ば か り に て 、 飽 か ぬ こ と 多 か る 契 り に て 、 止 み も し ぬ べ し 。 後 の 世 を だ に 、 の こ こ ろ う だ し 夜 い か で と 思 ふ を 、 さ す が に す が す が し く 思 ひ 立 つ べ く も あ ら ぬ 絆 が ち に な り ま さ る こ そ 、 心 憂 け れ 」 と 、 よ る ね ざ 夜 の 寝 覚 め 絶 ゆ る 世 な く と ぞ 。 ( 二 六 五 ハ ー ) 女 主 人 公 の 悲 し い 述 懐 で あ る 。 あ や に く な 契 り に 端 を 発 し た 寝 覚 の 上 の 数 奇 な 境 涯 と そ の 苦 悩 と は 、 こ の 巻 し ゅ う れ ん 五 末 尾 の 感 慨 に 収 斂 さ れ て い る の で あ る 。 私 た ち は 、 こ こ に 、 す べ て の 意 志 を 閉 ざ さ れ た 女 主 人 公 の 絶 望 を む み よ う 読 む 。 無 明 に 漂 う 孤 独 な 姿 を 見 る 。 そ し て 、 物 語 が さ ら に 続 く こ と ( 末 尾 欠 巻 部 分 ) を も 忘 れ て 、 こ こ に 物 し ゅ う え ん 語 の 終 焉 を 思 っ て し ま う ほ ど で あ る 。 冒 頭 と 予 言 と 、 そ し て 予 言 ど お り の 進 行 を 承 け る 「 夜 の 寝 覚 め 絶 ゆ る 世 な く と ぞ 」 の 巻 五 結 語 。 物 語 は 主 題 を つ ら ぬ い て い る の で あ る 。 『 夜 の 寝 覚 』 の 第 一 の 特 色 で あ る 。 と こ ろ で 、 現 在 私 た ち が 読 む こ と の で き る 『 夜 の 寝 覚 』 は 、 残 念 な が ら 完 本 で な い 。 現 存 む み よ う ぞ う し 『 無 名 草 子 』 の 証 言 す る 写 本 の す べ て が 、 そ の 中 間 と 末 尾 と に 、 そ れ ぞ れ 数 巻 に 及 ぶ 大 き い 欠 脱 部 分 を 持 っ て い る 。 全 体 を 四 部 構 造 と 理 解 す る 立 場 に 従 え ば 、 第 一 部 現 存 巻 一 ・ 一 一 ( 前 田 本 は 上 巻 ) 第 二 部 中 間 欠 巻 部 分 第 三 部 現 存 巻 一 二 ・ 四 ・ 五 ( 前 田 本 は 中 ・ 下 巻 ) う

完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠


第 四 部 末 尾 欠 巻 部 分 と い う こ と に な る 。 私 た ち の 読 め る の は 第 一 部 と 第 三 部 だ け 。 第 二 部 と 第 四 部 に あ た る 欠 巻 部 分 は 、 そ れ ぞ れ 数 巻 分 と 推 定 さ れ 、 本 来 の 『 夜 の 寝 覚 』 は 十 数 巻 、 あ る い は 二 十 巻 に も 及 ぶ 大 作 で あ っ た と 言 わ れ て い る 。 そ ろ い つ の 頃 か ら 欠 脱 を 生 じ た も の か 、 そ の 詳 細 は わ か ら な い が 、 鎌 倉 時 代 の 末 頃 ま で 全 巻 揃 い で 読 ま れ て い た こ と は 確 か で あ る 。 そ の 時 代 に 完 本 を 読 ん で い る 『 無 名 草 子 』 の 作 者 は 、 次 の よ う に 評 し て い る の で あ る 。 『 寝 覚 』 こ そ 、 と り た て て い み じ き ふ し も な く 、 ま た 、 さ し て め で た し と い ふ べ き と こ ろ な け れ ど も 、 は じ め よ り た だ 人 ひ と り の こ と に て 、 ち る 心 も な く 、 し め じ め と あ は れ に 、 心 人 り て 作 り 出 で け む ほ ど 思 ひ や ら れ て 、 あ は れ に あ り が た き も の に て は べ れ 。 こ の 『 夜 の 寝 覚 』 全 体 評 は 、 私 た ち の 読 後 感 に ま さ に 一 致 す る 。 完 本 を 読 む 『 無 名 草 子 』 の 全 体 評 が 、 半 分 に も 満 た な い 損 傷 本 を 読 む こ と を 余 儀 な く さ れ て い る 私 た ち の 理 解 と 合 致 し て い る 。 こ の 意 味 は 大 き い 。 『 夜 の 寝 覚 』 の 主 題 性 、 統 一 性 の 強 さ を 示 す 何 よ り の 証 言 と 見 て よ い で あ ろ う 。 そ し て 、 第 二 部 、 第 四 部 に あ た る 欠 巻 部 分 へ の 注 意 さ え 怠 ら な け れ ば 、 第 一 部 、 第 三 部 の 現 存 の 巻 々 だ け か ら も 、 こ の 物 語 の 精 髄 に 迫 り 得 る こ と を 知 ら せ て く れ て い る の で あ る 。 『 夜 の 寝 覚 』 は 、 「 は じ め よ り た だ 人 ひ と り の こ と に て 、 ち る 心 も な く 、 し め じ め と あ は れ に 、 心 人 り て 作 説 り 出 」 し た 物 語 で あ る 。 ー ー 冒 頭 か ら 一 貫 し て 女 性 の 主 人 公 寝 覚 の 上 の 苦 の 人 生 を 追 い 、 ひ た す ら 彼 女 に 集 解 中 し 、 作 者 自 ら の 全 力 を 傾 注 し て つ く り あ げ た 「 女 」 中 心 の 物 語 な の で あ る 。 8