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検索対象: 完訳 日本の古典 第十八巻 源氏物語 ㈤

完訳 日本の古典 第十八巻 源氏物語 ㈤から 421件ヒットしました。

完訳 日本の古典 第十八巻 源氏物語 ㈤


完 訳 日 本 の 古 典 18 源 氏 物 語 五 阿 部 秋 生 ・ 秋 山 虔 ・ 今 井 源 衛 ・ 鈴 木 日 出 男 校 注 ・ 訳 館 学 0 彡 ク 0 0 0

完訳 日本の古典 第十八巻 源氏物語 ㈤


完 訳 日 本 の 古 典 第 十 八 巻 源 氏 物 語 国 昭 和 年 7 月 訂 日 初 版 発 行 定 価 一 七 〇 〇 円 阿 部 秋 生 秋 山 虔 校 注 ・ 訳 者 今 井 源 衛 鈴 木 日 出 男 発 行 者 相 賀 徹 夫 印 刷 所 凸 版 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 株 式 会 社 小 学 館 〒 期 東 京 都 千 代 田 区 一 ッ 橋 二 ー 三 ー 振 替 口 座 東 京 八 ー 二 〇 〇 番 電 話 編 集 ( 〇 三 ) 二 三 〇 ー 五 六 六 九 製 作 ( 〇 三 ) 二 三 〇 ー 五 三 三 三 販 売 ( 〇 三 ) 一 一 三 〇 ー 五 七 六 八 ・ 造 本 に は 十 分 注 意 し て お り ま す が 、 万 一 、 落 丁 ・ 乱 丁 な ど の 不 良 品 が あ り ま し た ら お と り か え い た し ま す 。 ・ 本 書 の 一 部 あ る い は 全 部 を 、 無 断 で 複 写 複 製 ( コ ピ ー ) す る こ と は 、 法 律 で 認 め ら れ た 場 合 を 除 き 、 著 作 者 お よ び 出 版 者 の 権 利 の 侵 害 と な り ま す 。 あ ら か し め 小 社 あ て 許 諾 を 求 め て く だ さ い Printed in Japan A. Abe K. Akiyama ( 著 者 検 印 は 省 略 ◎ G. lmai H. Suzuki い た し ま し た ) ISBN4 ・ 09 ・ 556018 ・ 5 1985

完訳 日本の古典 第十八巻 源氏物語 ㈤


方 丈 記 神 田 秀 夫 ( 武 蔵 大 学 ) 日 本 の 古 典 」 全 巻 の 内 容 永 積 安 明 ( 神 戸 大 学 ) 徒 然 草 荻 原 浅 男 ( 千 葉 大 学 ) 国 古 事 記 国 国 と は ず ・ が た り ・ CÜ 久 保 田 淳 ( 東 京 大 学 ) 小 島 憲 之 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 佐 竹 昭 広 ( 成 城 大 学 ) ロ ロ 萬 葉 集 7 内 小 林 智 昭 ( 専 修 大 学 ) 木 下 正 俊 ( 関 西 大 学 ) 囮 回 字 治 拾 遺 物 語 圄 小 林 保 治 ( 早 稲 田 大 学 ) 中 田 祝 夫 ( 筑 波 大 学 ) 回 日 本 霊 異 記 市 古 責 次 ( 東 京 大 学 ) 国 ー 平 家 物 語 7 国 小 沢 正 夫 ( 中 京 大 学 ) 回 古 今 和 歌 集 囮 謡 曲 集 三 道 小 山 弘 志 ( 国 文 学 研 究 資 料 館 ) 佐 藤 健 一 郎 ( 武 蔵 野 美 術 大 学 ) 佐 藤 喜 久 雄 ( 学 習 院 大 学 ) 表 章 ( 法 政 大 学 ) 回 竹 取 物 語 謡 曲 集 0 風 姿 花 伝 片 桐 洋 一 ( 大 阪 女 子 大 学 ) 福 井 貞 助 ( 静 岡 大 学 ) 回 伊 勢 物 語 北 川 忠 彦 ( 京 都 女 子 大 学 ) 安 田 章 ( 京 都 大 学 ) 松 村 誠 一 ( 成 蹊 大 学 ) 囮 狂 言 集 土 佐 日 記 大 島 建 彦 ( 東 洋 大 学 ) 国 御 伽 草 子 集 木 村 正 中 ( 学 習 院 大 学 ) 伊 牟 田 経 久 ( 鹿 児 島 大 学 ) 回 蜻 蛉 日 記 好 色 一 代 男 康 降 ( 早 稲 田 大 学 ) 松 尾 聰 ( 学 習 院 大 学 ) 永 井 和 子 ( 学 習 院 大 学 ) 回 囮 枕 草 子 冒 好 色 五 人 女 東 明 雅 ( 信 州 大 学 ) 阿 部 秋 生 ( 実 践 女 子 大 学 ) 今 井 源 衛 ( 梅 光 女 学 院 大 学 ) 回 ー 源 氏 物 語 好 色 一 代 女 和 泉 式 部 日 記 藤 岡 忠 美 ( 神 戸 大 学 ) 谷 脇 理 史 ( 筑 波 大 学 ) 国 日 本 永 代 蔵 中 野 幸 一 ( 早 稲 田 大 学 ) 紫 式 部 日 記 大 養 窿 ( お 茶 の 水 女 子 大 学 ) 万 の 文 反 古 更 級 日 記 神 保 五 彌 ( 早 稲 田 大 学 ) 世 間 胸 算 用 鈴 木 一 雄 ( 明 治 大 学 ) 四 夜 の 寝 覚 冒 井 本 農 一 ( 実 践 女 子 大 学 ) 中 村 俊 定 ( 早 稲 田 大 学 ). 図 芭 蕉 句 集 堀 信 夫 ( 神 戸 大 学 ) 堀 切 実 ( 早 稲 田 大 学 ) 堤 中 納 言 物 語 稲 賀 敬 一 ズ 広 島 大 学 ) 栗 山 理 一 ( 成 城 大 学 ) 久 保 木 哲 夫 ( 都 留 文 科 大 学 ) 国 芭 蕉 文 集 ・ 去 来 抄 顰 ( 実 践 女 子 大 学 ) 無 名 草 子 森 修 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 島 越 文 蔵 ( 早 稲 田 大 学 ) 国 近 松 門 左 衛 門 集 橘 健 二 ( 岐 阜 女 子 大 学 ) 四 大 鏡 冒 雨 月 物 語 高 田 衛 ( 都 立 大 学 ) 今 昔 物 語 集 7 周 馬 淵 和 夫 ( 中 央 大 学 ) 国 東 文 麿 ( 早 稲 田 大 学 ) 中 村 博 保 ( 静 岡 大 学 ) 本 朝 世 俗 部 今 野 達 ( 横 浜 国 立 大 学 ) 春 雨 物 語 新 間 進 一 ( 青 山 学 院 大 学 ) 国 梁 塵 秘 抄 国 蕪 村 集 ・ 一 茶 集 理 一 ( 成 城 大 学 ) CÜ 峯 村 文 人 ( 国 際 基 督 教 大 学 ) CÜ 山 本 健 吉 ( 文 芸 評 論 家 ) 3 国 新 古 今 和 歌 集 当 〔 古 典 詞 華 集 松 田 成 穂 ( 金 城 学 院 大 学 ) 石 埜 敬 子 ( 跡 見 学 園 短 期 大 学 ) 丸 山 一 彦 ( 宇 都 宮 大 学 ) 松 尾 靖 秋 ( 工 学 院 大 学 ) 増 古 和 子 ( 上 野 学 園 大 学 )

完訳 日本の古典 第十八巻 源氏物語 ㈤


00 い / い ム 20 000 0 0 0 源 氏 物 語 「 梅 枝 」 図 色 紙 京 都 国 立 博 物 館 蔵 こ の 五 十 四 図 か ら 成 る 画 帖 は 、 第 一 一 巻 ロ 絵 解 説 で 詳 述 し た よ フ に 、 土 佐 光 吉 の 源 氏 絵 の 代 表 作 と し て っ と に 知 ら れ て い た が 、 昭 和 四 十 八 、 九 年 の 修 理 に 際 し ダ 、 て い く つ か の 興 味 深 い 事 実 が 明 ら か と な り 、 改 め て 光 吉 の 、 ひ い て は 源 氏 絵 そ の も の に 対 す る 一 関 心 を 高 め た と も い え る 作 品 で あ る 。 光 吉 は こ の 画 帖 製 作 半 ば に し て 他 界 し 、 そ の 弟 子 の 一 人 に よ っ て 継 続 完 成 さ れ た 。 図 は 「 梅 枝 」 の 帖 か ら 、 明 石 の 姫 君 の 裳 着 の 前 夜 、 六 条 院 を 訪 れ て 、 の 、 つ ー し 明 け 方 、 源 氏 か ら の 贈 物 の 直 衣 と 薫 香 一 一 壺 を 頂 戴 し て 帰 る 兵 部 卿 宮 と そ の 従 者 た ち を 描 く 。 既 に 浄 土 寺 本 扇 面 に あ ら わ れ て い る 図 様 で あ る が 、 最 晩 年 の 光 吉 源 氏 絵 の 円 熟 し た 境 地 を 一 小 す 名 場 面 と い え よ う 。 ( 田 口 栄 一 )

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鳴 く 声 も せ ず 胸 の 思 い が 火 と な っ て 燃 え る 蛍 こ そ 、 声 に 出 し 蛍 て な く 虫 よ り も 、 せ つ な く 哀 れ な も の だ っ た 。 さ み だ れ ・ ・ 8 わ び つ つ も 頼 む 月 日 は あ る も の を 五 月 雨 に さ へ 「 思 ひ 」 「 火 」 が 掛 詞 、 「 燃 ゆ る 」 と 縁 語 関 係 。 「 蛍 」 は 、 か ち ょ う よ せ い な り に け る か な ( 花 鳥 余 情 ) 胸 の う ち の 炎 と し て 詠 ま れ る こ と が 多 い 。 物 語 で は 、 宮 へ わ び し い 、 わ び し い と は 思 っ て い て も 、 つ い に は 添 い 遂 げ ら の 玉 鬘 の 返 歌 に こ れ が ふ ま え ら れ 、 声 に 立 て て 言 わ ぬ 「 思 れ る も の と 頼 み に 思 う 月 日 は あ る も の な の に 、 結 婚 を 忌 む 、 ひ 」 の ほ う が 心 深 い 、 と し て 切 り 返 し た 。 し づ く さ み だ れ の 降 る 五 月 に ま で な っ て し ま っ た の だ っ た 。 ・ ・ 9 な が め つ つ わ が 思 ふ こ と は 日 暮 ら し に 軒 の 雫 の と も ひ ら ( 新 古 今 ・ 雑 下 ・ 一 〈 00 具 平 親 王 ) 『 花 鳥 余 情 』 で は 、 「 盛 明 親 王 集 、 九 条 右 大 臣 の 御 四 君 に 絶 ゆ る 世 も な し 聞 え た ま ひ け る 」 と し て 、 右 の 歌 を 掲 げ る 。 盛 明 親 王 は 醍 降 り 続 く 長 雨 を ば ん や り 眺 め 眺 め し て 、 自 分 が ひ ぐ ら し の 声 を 聞 き な が ら 思 い 嘆 い て い る こ と は 、 一 日 中 、 軒 の 雫 の よ う 醐 天 皇 皇 子 、 そ の 家 集 は 現 在 伝 わ ら な い 。 歌 の 「 五 月 雨 」 に 絶 え る 時 と て な い 。 は 、 当 時 の 風 習 で 結 婚 を 忌 む 五 月 を さ す 。 古 注 釈 以 来 、 類 覧 想 の 「 神 代 よ り 忌 む と い ふ な る 五 月 雨 の こ な た に 人 を 見 る 「 長 雨 」 「 眺 め 」 、 「 日 暮 ら し 」 「 ( 蝉 の ) ひ ぐ ら し 」 が 掛 詞 。 一 よ し も が な 」 ( 信 明 集 ) を 掲 げ る 注 釈 も 少 な く な い 。 物 語 で こ こ で の 「 長 雨 」 は 、 「 ひ ぐ ら し 」 の 鳴 く 時 節 の 秋 雨 。 物 た ま か ず ら 歌 は 、 蛍 兵 部 卿 宮 の 玉 鬘 へ の 求 婚 に つ い て 、 「 五 月 雨 に な り 語 で は 、 夏 五 月 の 長 雨 に 転 用 し 、 玉 鬘 に 寄 せ る 蛍 兵 部 卿 宮 ぬ る 愁 へ 」 と し て 、 宮 の 恋 の 苦 悶 を 語 っ て い る 。 の 恋 の 苦 悶 を 表 現 す る 。 ま た 、 「 ほ と と ぎ す な ど 必 ず う ち ・ ・ 6 音 も せ で 思 ひ に 燃 ゆ る 蛍 こ そ な く 虫 よ り も あ は 鳴 き け む か し 」 と す る 語 り 手 の 言 辞 も 、 こ の 歌 の 「 ひ ぐ ら れ な り け れ ( 重 之 集 ) し 」 の 声 に 照 応 し あ っ て い よ う 。 次 項 参 照 。 引 歌 一 覧 、 こ の 「 引 歌 一 覧 」 は 、 本 巻 ( 蛍 ~ 藤 裏 葉 ) の 本 文 中 に ふ ま え ら れ て い る 歌 ( 引 歌 ) で 、 脚 注 欄 に 掲 示 し た 歌 を ま と め た も の で あ る 。 一 、 掲 出 の 仕 方 は 、 は じ め に 、 引 歌 表 現 と み ら れ る 本 文 部 分 の ペ ー ジ 数 と 行 数 を あ げ 、 そ の 引 歌 お よ び 出 典 を 示 し 、 以 下 、 行 を 改 め て 、 歌 の 現 代 語 訳 と 解 説 を 付 し た 。 も り あ き ら

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こ の 奇 妙 な 価 値 の 倒 錯 が 、 多 少 と も 源 氏 の 心 に 生 ず る こ と を 許 し た 契 機 は 、 お そ ら く 、 右 の 論 の 中 に あ る 氏 「 ま こ と 」 と 「 そ ら ご と 」 と を ど う 考 え る か 、 と い う 点 に 、 そ の 核 心 が あ る よ う に 思 わ れ る 。 源 「 ま こ と 」 と は 何 か 、 に つ い て の 説 明 は お そ ら く 不 要 で あ ろ う 。 「 ま こ と 」 は 古 代 に お け る 、 と い う よ り も 、 む し ろ 、 人 間 に と っ て も っ と も 普 遍 的 な 、 重 要 な 倫 理 意 識 で あ る 。 虚 偽 が な く 事 実 で あ る こ と 、 あ る い は 人 ま こ と こ と わ り に 対 し て 誠 実 で あ る こ と だ 。 聖 徳 太 子 の 十 七 条 憲 法 の 第 九 に 「 信 ハ 是 レ 義 ノ 本 ナ リ 。 事 毎 ニ 信 有 ル ペ シ 」 と ま こ と あ る の は 、 右 の 誠 実 の 意 で あ る が 、 古 代 の 詔 勅 に 、 「 清 ク 明 ク 直 キ 信 ノ 心 」 が し ば し ば 強 調 さ れ る の も そ れ で あ る 。 平 安 朝 の 貴 族 た ち も 、 日 常 の 倫 理 の 根 本 と し て 、 こ れ を 見 失 っ た と は 考 え な く て も よ い だ ろ う 。 み や こ の よ し か と し ぶ ん し ゅ う 都 良 香 ( 八 三 四 ~ 八 七 九 ) の 『 都 氏 文 集 』 巻 五 に 、 「 弁 論 文 章 」 が あ る 。 こ の 中 に は 、 相 如 ・ 温 子 昇 ・ 盧 思 道 ・ じ ふ 薜 道 衡 な ど 、 六 朝 ・ 隋 時 代 の 辞 賦 で 名 高 い 人 々 の 名 が あ り 、 こ こ で い う 「 文 章 」 も 、 経 典 ・ 紀 伝 類 を 含 ま ぬ 純 詩 文 を さ す か と 思 わ れ る が 、 の 末 尾 に 文 ノ 用 無 キ 者 ハ 、 美 ナ リ ト 雖 モ 、 艶 ナ リ ト 雖 モ 之 ヲ 剪 リ 、 義 ノ 実 有 ル 者 ハ 、 米 ト 雖 モ 、 塩 ト 雖 モ 、 細 シ ク シ テ 之 ヲ 言 フ ナ リ 。 と 言 っ て い る 。 「 用 」 と は 必 ず し も 、 実 用 、 功 利 の 用 と は 限 ら な い よ う で あ る が 、 と も か く も 内 容 と し て 無 用 の 文 は 、 修 辞 が い か に 美 し く と も 、 こ れ を 刈 り こ み 、 義 に 実 質 が あ る も の は 、 些 細 な こ と で も 、 詳 し く 一 言 う の が 文 章 の 道 だ と い う の で あ る 。 こ こ で い う 「 義 」 は 、 前 引 の 十 七 条 憲 法 に も 見 え た 文 字 で あ る 。 十 七 条 憲 法 で は 、 以 下 に 、 善 悪 成 敗 は 群 せ つ

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正 体 な し に 眠 り こ け て い ら っ し や る こ と 」 な ど と 言 い な が ら 、 呆 れ 顔 で 肩 を ゆ す っ て 目 を 覚 ま さ せ よ う と す る 、 気 の 利 か な い 同 僚 の 女 房 か 何 か 、 に 対 す る 腹 立 た し さ だ 。 ち ゅ う ち ょ こ の 場 合 、 相 手 も 傷 つ け ず 、 自 分 も 迷 惑 を 免 れ る 最 善 の 手 段 と し て 、 清 少 納 言 は 、 躊 躇 な く 「 そ ら 寝 」 を 採 用 し て い る わ け で 、 そ れ を 解 し な い 者 は 、 彼 女 に と っ て 救 い が た い 愚 か 者 に 見 え る の だ 。 か ね い え 男 の 場 合 で も 似 た よ う な も の で あ る 。 『 蜻 蛉 日 記 』 に 見 え る 兼 家 の ふ る ま い は 、 そ の お 手 本 で あ る 。 天 禄 み ち つ な 二 年 一 月 の あ る 日 、 久 し ぶ り に 兼 家 が 道 綱 母 を 訪 れ る 。 例 に よ っ て 道 綱 母 は ご 機 嫌 斜 め だ 。 し か し 、 兼 家 は そ れ に か ま わ ず 、 う ら も な く た は ぶ る れ ば 、 し と ね た さ に 、 こ こ ら の 月 ご ろ 念 じ つ る こ と を い ふ に 、 い か な る も の と 、 絶 え て い ら へ も な く て 、 寝 た る さ ま し た り 。 聞 き 聞 き て 寝 た る が 、 う ち お ど ろ く さ ま に て 、 「 い づ ら 、 は 、 レ き や 寝 た ま へ る 」 と 言 ひ 笑 ひ て 、 人 わ ろ げ な る ま で も あ れ ど 、 石 木 の ご と し て 明 か し つ れ ば 、 つ と め て 、 も の も 言 は で 帰 り ぬ 。 無 邪 気 な 顔 を し て 、 ふ ざ け か か る 夫 に 、 日 ご ろ の 恨 み つ ら み を 言 い 募 ら ず に お れ な い 妻 と 、 旗 色 が 悪 い と 見 て と る と 狸 寝 を き め こ み 、 一 段 落 し た と み る や 、 目 が 覚 め た ふ り を し て 、 し ゃ あ し ゃ あ と 手 足 を か ら ま せ て く る 。 妻 は そ れ を 夫 の ず る さ と 見 、 性 の 交 わ り で す べ て を ご ま か す 魂 胆 と 見 て 、 身 を 固 く し て 拒 ん で し ま う 。 論 評 こ の 狸 寝 も 、 兼 家 に と っ て は 、 こ う い う 事 情 の 下 で は 、 窮 余 の 、 ま ず は か け が え の な い 手 段 と い う も の で 末 巻 あ る 。 延 々 と 続 く 妻 の 恨 み 言 に 対 し て 、 そ れ 以 外 に 、 ど う 言 い わ け の で き る も の で も な か ろ う 。 清 少 納 言 の 「 そ ら 寝 」 と は 異 な り 、 相 手 を 怒 ら せ る の は つ ら い こ と だ が 、 し か し 仕 方 の な い こ と と 言 う ほ か は な い 。 よ が ま た こ の 時 代 に 、 夜 離 れ を す る 夫 が 、 妻 を な だ め る た め に 、 さ ま ざ ま の 口 実 を あ げ る 例 が 和 歌 に は 多 く 見

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お う 」 か た み そ う な ほ ど 、 つ ら く せ つ な か っ た 、 と 述 懐 す る 一 節 。 の 朸 ) ・ 「 か た み 」 ( 竹 籠 の 筺 ) の 掛 詞 。 「 む す び 」 は 、 契 り を ・ ・ 7 河 口 の 関 の 荒 垣 や 関 の 荒 垣 や ま も れ ど も 結 ぶ 、 水 を く む 、 の 両 意 。 物 語 で は 、 つ い に 結 ば れ た タ 霧 は れ と 雲 居 雁 の 夫 婦 仲 の よ さ を 、 「 水 も 漏 ら む や は 」 と す る 。 ワ 1 ま も れ ど も 出 で て 我 寝 ぬ や 出 で て 我 寝 ぬ や 関 の 荒 垣 久 方 の 月 の 桂 も 折 る ば か り 家 の 風 を も 吹 か せ て ワ 0 一 1 し が な ( 催 馬 楽 「 河 口 」 ) ( 拾 遺 ・ 雑 上 ・ 四 七 三 菅 原 道 真 の 母 ) 河 口 の 関 の 荒 垣 よ 、 関 の 荒 垣 よ 、 娘 を 母 が 守 っ て い る け れ ど 、 月 に 生 え て い る と い う 桂 の 木 を も 折 っ て し ま う ほ ど の 、 家 の 風 を も 吹 か せ た い も の だ 。 し ん じ 守 っ て い る け れ ど 、 抜 け 出 て 私 は あ の 娘 と 寝 て し ま っ た よ 、 「 桂 を 折 る 」 は 、 進 士 に 合 格 す る こ と を い う ( ↓ 二 一 八 ハ ー 注 抜 け 出 て 私 は あ の 娘 と 寝 て し ま っ た 、 関 の 荒 垣 よ 。 一 0 ) 。 「 家 の 風 」 は 、 菅 原 家 と い う 学 儒 の 家 の 伝 統 を さ す 。 「 河 口 」 は 、 ど こ の 地 名 か は っ き り し な い 。 普 通 名 詞 か 。 道 真 の 元 服 の 折 の 歌 で あ る 。 物 語 で は 、 藤 典 侍 の 歌 に こ れ 「 荒 垣 」 は 、 目 の あ ら い 垣 。 「 ま も る 」 は 、 目 を つ け て 番 を が ふ ま え ら れ 、 タ 霧 の 学 問 教 養 を た た え る 。 す る 意 。 『 古 今 六 帖 』 に は 、 「 河 口 の 関 の 荒 垣 い か な れ ば 盟 ・ 6 う れ し き も 憂 き も 、 い は 一 つ に て 分 か れ ぬ も の は ( 後 撰 ・ 雑 二 ・ 一 一 八 九 読 人 し ら ず ) 夜 の 通 ひ を 許 さ ざ る ら む 」 ( 第 二 「 関 」 ) 。 物 語 で は 、 タ 霧 の 、 涙 な り け り う れ し い と 思 う の も 、 つ ら い と 思 う の も 同 じ 心 で あ っ て 、 そ 今 宵 結 ば れ た 雲 居 雁 へ の 言 葉 。 内 大 臣 家 の 人 々 が 女 を 連 れ の い ず れ で も 同 じ 涙 が こ ば れ る も の で あ っ た 。 出 す の に 失 敗 す る 「 葦 垣 」 の 歌 を 謡 っ た の に 対 し て 、 自 分 は ひ そ か に 女 と 結 ば れ る こ の 「 河 口 」 の 歌 で 対 抗 し た か つ 前 出 ( ↓ 須 磨 3 三 五 六 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 入 内 し た 明 石 の た と す る 。 ま た 後 続 の 雲 居 雁 ・ タ 霧 の 贈 答 歌 も 、 こ の 歌 の 姫 君 に 、 多 年 を 隔 て て 再 会 す る 実 母 明 石 の 君 の 感 動 を 語 る 言 葉 。 う れ し い 涙 と 悲 し い 涙 と は 、 歌 に い う よ う に 同 じ も 覧 表 現 に 導 か れ て い る 。 ・ ・ 6 な ど て か く あ ふ ご か た み に な り に け む 水 漏 ら さ の と は 思 わ れ な い 、 と し て 、 う れ し さ だ け を 強 調 す る 。 ひ と む ら す す き 歌 じ と 結 び し も の を ( 伊 勢 物 語 ・ 一 一 十 八 段 ) ・ ・ 9 君 が 植 ゑ し 一 群 薄 虫 の 音 の し げ き 野 辺 と も な み は る の あ り す け ど う し て こ う も 逢 う こ と が む ず か し く な っ て し ま っ た の だ ろ り に け る か な ( 古 今 ・ 哀 傷 ・ 会 三 御 春 有 助 ) う か 。 水 も 漏 す ま い と 、 堅 く 約 束 し あ っ て い た の に 。 あ な た が 植 え た 一 群 の す す き で は あ っ た が 、 今 で は す っ か り 広 ご か た て ん び ん ば う 「 あ ふ ご か た み 」 は 、 「 逢 ふ 期 難 み 」 と 、 「 あ ふ ご 」 ( 天 秤 棒 が っ て 、 虫 の 声 の し き り に 聞 え る 野 辺 に な っ て し ま っ た の だ 。

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8 く っ 語 物 氏 源 ( 拾 遺 ・ 恋 四 ・ 八 九 五 柿 本 人 麿 ) 親 放 く る 妻 は ま し て る は し し か さ ら ば 矢 矧 の 市 に る か 妹 に あ は ず て 親 の 養 っ て い る 蚕 が 繭 の 中 に こ も っ て い る よ う に 、 ま っ た く 沓 買 ひ に か む ほ そ し き ひ と 沓 買 は ば 線 鞋 の 細 底 を 買 へ さ し 履 き て 上 裳 と り 着 て 気 が 晴 れ ず 憂 鬱 な こ と よ 。 あ の 恋 し い 女 に 逢 わ ず に い る も の だ か ら 。 ( 催 馬 楽 「 貫 河 」 ) 宮 路 通 は む 女 貫 河 の 瀬 々 に 生 え て い る 菅 の よ う な 、 私 の 柔 ら か な 手 枕 で 、 『 万 葉 集 』 で は 「 母 が か ふ こ の ま よ ご も り 」 ( 巻 十 二 ・ = 究 l) 。 柔 ら か に う ち と け て 共 寝 す る 夜 も な く 、 母 親 が 仲 を さ い た 不 「 繭 ご も り 」 ま で が 序 詞 。 物 語 で は 、 玉 鬘 が 父 内 大 臣 に 会 の 夫 よ 。 え ず 引 き こ も っ て い る 状 態 を 、 「 繭 ご も り 」 と 源 氏 が 言 っ 男 母 親 が 仲 を さ い た 妻 は 、 い っ そ う か わ い い 。 そ れ ほ ど に 思 よ ひ ょ ひ っ て く れ る な ら 、 矢 矧 の 市 に 沓 を 買 い に 行 こ う 。 ・ 菊 ・ 6 人 知 れ ぬ わ が 通 ひ 路 の 関 守 は 宵 々 ご と に う ち も ( 伊 勢 物 語 ・ 五 段 ) 女 沓 を 買 っ て く れ る の な ら 、 線 鞋 の 細 底 を 買 っ て ほ し い 。 そ 寝 な な む れ を は い て 、 上 裳 を つ け て 、 あ な た に 会 い に 宮 路 へ 通 お う 。 誰 も 知 ら な い 私 の 恋 の 通 い 路 に 、 関 を 据 え て 守 る 関 守 は 、 毎 夜 毎 夜 、 ち ょ っ と ぐ ら い 眠 っ て し ま っ て ほ し い 。 前 出 ( ↓ 花 宴 三 七 九 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 源 氏 が 玉 鬘 の 柔 肌 た か い こ に 触 れ え ぬ 嘆 き を こ め て 謡 う 。 本 文 に 「 ・ : や は ら た 」 と あ 『 伊 勢 物 語 』 の 二 条 后 高 子 関 係 の 一 段 。 『 古 今 集 』 ( 恋 三 ・ 六 三 う た り 、 「 手 枕 」 の 「 た 」 ま で 上 の 節 に 続 け て 謡 う ら し い = ) で は 業 平 の 歌 。 自 分 を 寄 せ つ け ま い と す る 邸 の 警 護 を こ と ね 琴 の 音 に 峰 の 松 風 か よ ふ ら し い づ れ の を よ り 調 関 所 と 見 立 て た 表 現 。 物 語 で は 、 玉 鬘 の 処 遇 に 悩 む 源 氏 の ( 拾 遺 ・ 雑 上 ・ 四 五 一 徽 子 女 王 ) べ そ め け む 心 中 叙 述 の 一 節 。 玉 鬘 が 他 の 男 と 結 婚 し た 場 合 を 想 定 し て 、 琴 の 音 色 に 、 峰 の 松 を 吹 く 風 が 通 じ て い る ら し い 。 琴 の ど の そ の 後 の 密 会 を 思 う 。 「 関 守 」 は 結 婚 し た 玉 鬘 の 夫 を さ す 。 つ く ば や ま は や ま し げ や ま 緒 か ら 、 ま た ど こ の 峰 で 、 そ の 音 色 を 掻 き 鳴 ら し は じ め た の 筑 波 山 端 山 繁 山 し げ け れ ど 思 ひ 入 る に は 障 ら ざ し げ ゆ き だ よ っ , つ 、 刀 . り ・ . け ノ ( 新 古 今 ・ 恋 一 ・ 一 0 一 三 源 重 之 ) 筑 波 山 は 、 端 の 山 、 木 の 茂 っ た 山 と 、 た く さ ん 山 が あ る が 、 前 出 ( ↓ 賢 木 三 八 五 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 玉 鬘 が 源 氏 の 琴 の 分 け 入 ろ う と 思 え ば 支 障 に は な ら な い ー 人 目 が た く さ ん あ る 妙 音 に 感 動 す る 言 葉 。 あ る い は 、 ー 弓 歌 と 認 め る ほ ど で な い け れ ど も 、 心 の 中 で 逢 い た い と 思 う 気 持 が 深 ま れ ば 、 妨 げ に か も し れ な い ま ゆ は な ら な い の だ っ た 。 ・ ・ 7 た ら ち ね の 親 の か ふ こ の 繭 ご も り い ぶ せ く も あ せ ん が い や は ぎ っ ) 0

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源 氏 物 語 4 〇 猶 ・ 尚 ↓ な ほ 中 / 、 ↓ な か な か 3 「 / 、 」 「 ゝ 」 な ど の 繰 返 し 記 号 は 用 い ず 、 文 字 を 繰 り 返 し て 表 記 し た 。 ま た 、 「 / 、 」 「 ゝ 」 を 「 々 」 に 改 め た も の も あ る 。 〇 っ ゝ ↓ つ つ や う / 、 ↓ ゃ う や う 〇 日 ゝ ↓ 日 々 人 / 、 ↓ 人 々 御 方 / 、 ↓ 御 方 々 4 漢 語 の 韻 尾 の E ・ 音 の 区 別 は 決 定 し が た い と こ ろ も あ る の で 、 原 則 的 に は 音 ( 「 ん 」 表 記 ) に 統 一 し た が 、 例 外 も あ る 。 さ む ゐ か ぎ み り ん だ う 〇 三 位 ( サ ン ミ ) 散 位 ( サ ン ニ ) 汗 衫 竜 胆 ( ま た は 「 り う た む 」 ) 底 本 に 二 通 り の 表 記 が あ る 同 語 は 、 底 本 の 形 に し た が っ た 。 う め ー む め ( 梅 ) 〇 か る し ー か ろ し ( 軽 し ) か ぞ ふ ー か ず ふ ( 数 ふ ) う ま る ー む ま る ( 生 ま る ) ま な ー ま ん な ー ま む な ( 真 字 ) ん ー む ( 助 動 詞 ) な ん ー な む ( 助 詞 ) な め り ー な む め り ー な ん め り つ い し よ う ー っ い そ う ( 追 従 ) こ き で ん ー こ う き で ん ( 弘 徽 殿 ) じ よ う き ゃ う で ん ー そ き ゃ う で ん ( 承 香 殿 ) お ほ い ど の ー お ほ と の ( 大 殿 ) 一 、 底 本 を 校 訂 し た 部 分 は 、 「 校 訂 付 記 」 に 掲 げ 、 校 訂 の 拠 り ど こ ろ と し た 諸 本 の 略 号 を 記 し た 。 だ い せ ん 一 、 各 帖 の 本 文 冒 頭 に あ る 巻 名 は 、 底 本 の 題 簽 の 文 字 を 活 字 体 に な お し て 用 い た 。 一 、 脚 注 に つ い て は 、 日 本 古 典 文 学 全 集 『 源 氏 物 語 』 の 注 を ふ ま え て も い る が 、 な お 次 の よ う な 配 慮 の も と に 執 筆 し た 。 簡 潔 ・ 明 快 で あ る こ と を 旨 と し 、 な お か っ 脚 注 だ け で 十 分 本 文 が 読 解 で き る よ う に 心 が け た 。 さ ん ゐ