検索 - みる会図書館

全データから 10000件見つかりました。
1. 完訳 日本の古典 第十二巻 枕草子 ㈠

ることができるのではないか。 永井和子 ( ながいかずこ ) 実際、調楽に遠慮をして前駆追う声を加減するのなら、 昭和九年、東京都生れ。昭和三十一一年、お茶の水女子大 短くするより低くするほうが効果があろう。もっとも「し学卒。平安文学専攻。現在、学習院女子短期大学教授。 のびやかに」で自然低目になってはいるだろうが。また清主著に『寝覚物語の研究』『枕草子 ( 日本古典文学全集 ) 』 女が関心をもって取りあげる「人のむすめ」なら、萩谷氏 ( 共著 ) 『伊勢物語』など。国文科の主任教授として公私 も言われるとおりの、恐らく良家のお嬢さんであろう。そ ともに多忙なご日常である。 うした家のしつけは、もともと甘ったれて長く引っぱる声《編集室より》 などは許さなかったろうとすれば、良家のお嬢さんとはい ☆第二十回配本『枕草子一』をお届けいたします。この月 え、溢れる若さにはついきんきん高い声を出しがちなのを、報の随想でもお判りのように、 ことばの一つ一つに細密に 抑えて低くするのが奥ゆかしいのだと清女は言っている、 こだわりながら注釈を進められる松尾先生、繊細な女性感 と考えられまいか 覚で作者の美意識に迫る永井先生。このお二人によって扉 を開かれる清少納言の世界をお楽しみください。 《著者紹介》 ☆次回配本 ( 五十九年八月 ) は、引き続いて『枕草子二』 松尾聰 ( まつおさとし ) ( 松尾聰・永井和子校注・訳定価千七百円 ) です。 明治四十年、東京都生れ。昭和六年、東京大学卒。平安「枕草子』の伝本は、能因本系統本・三巻本系統本・前田 文学専攻。現在、学習院大学名誉教授。主著に『平安時家本・堺本系統本に大きく分類されていますが、ト土 代物語の研究ー散佚物語四十六篇の形態復原に関する試論ー』能因本系の代表的善本である学習院大学蔵三条西家旧蔵本 『全釈源氏物語一 ~ 六 ( 末完 ) 』『枕草子 ( 日本古典文学全を底本にいたしました。 集 ) 』 ( 共著 ) など。大変お元気なのに七十歳を期に学現在ではほとんど能因本系と三巻本系の二系統のみが活 会出席をやめてしまわれ、周囲を淋しがらせて居られ字化されていますので、巻末に、三巻本系にしかない章段 る。 を付載いたしました。

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

「文ことばなめき人こそ、いとどにくけれ」 ( 段 ) 、「男とになる。 も女もよろづの事まさりてわろきものことばの文字あや 〇「少納言よ、香炉峰の雪は、どんなだらう」 ( 金子元臣 氏、枕草子評釈 ) しく使ひたるこそあれ」 ( 段 ) などの段にも見られるよ ことば、特に対話語の感覚が抜群であった清少納言 〇「・ : どうだろうか」 ( 塩田良平氏、三巻本枕草子評釈 ) のことであるから、以上のような中宮様のことばについて 〇「【 : どんなだろう」 ( 三谷栄一・伴久美氏、全解枕草子 ) 特に意を用いて記しとどめたであろうことは、当然考えて 〇「・ : どうであろうか」 ( 田中重太郎氏、旺文社文庫枕冊子 ) よかろう。その中で特に女房に対する中宮発言の現代語訳 〇「・ : どんなでしよう」 ( 石田穣二氏、角川文庫新版枕草子 ) は、社会情況も言語表現も異なってしまった現代に於いて 〇「・ : どんなふうかしらね」 ( 萩谷朴氏、新潮日本古典集成 第四版 ) は、大変むずかしいことであるし、また『枕草子』そのも のに対する印象や定子の人柄についての印象をもかなり左〇「・ : どんなかしら」 ( 稲賀敬二氏、鑑賞日本の古典 5 ) 右するもののように思われるのである。 〇「・ : どうかしら」 ( 稲賀敬一一氏、現代語訳学燈文庫 ) かうろ・ほう たとえば有名な「香炉峰の雪」 ( 段 ) の段に於ける中 〇「・ : どんなであろう」 ( 松尾聰氏・永井和子、完訳日本の古 典 ) 宮のことばを考えてみよう。実はこの段については、その 把握の仕方に於いて論の分れるところでもあるのだが、そ大ざっぱに見れば、女性らしい親しい呼びかけの日常語 れは措いて単純に「少納言よ。香炉峰の雪はいかならむ」 ( たとえば「どうかしら」 ) と、やや改ったことば ( たとえば ( 三巻本「雪は」ノ部分「は」ナシ ) というところだけについ 「どんなだろう」 ) に分けられるであろう。これは即ち前述の て、任意に諸氏の現代語訳が付されているものの訳を並べ この段の把握ーー私的な即興のやりとりか、やや公的な意 にからんでくるのかもしれな させていただく。もっと単純化すれば要するに「いかなら図を含んでの場面設定か む」の訳である。「いかならむ」のみでは何ら特別なこと 、諸氏のそれそれの御苦心のさまを見る思いがする。 ばとも考えられないが、「会話」ということになると現代そして松尾・永井の訳では、最も重々しい ( そっけない ) 語では語尾にさまざまのニュアンスを持たせて表現するこ形をとっている。言い換えれば「中宮」の立場を重く見た ふみ

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

の的となるのであったが、その場における中宮の発言もそ院大学修士課程修了。平安文学専攻。現在、学習院女子 の差を微妙に写しているのではないかとも考えている。 短期大学教授。主著に『寝覚物語の研究』『枕草子 ( 日 以上のようなことすべてを含めて清少納言は恐らく中宮本古典文学全集 ) 』 ( 共著 ) 『伊勢物語』など。絵巻物から 様のことばには細心の注意を払ったことであろう。清少納抽象画まで、絵を見ることがお好き。ご出張の場合など 言の立場からの把握という一段階があるために、その微妙も美術館や画廊によく立ち寄られる。 な表現にもう一歩迫り得ないうらみを残しつつ、なお現代《編集室より 語訳についてはやや絶望的にならざるを得ない。「中宮」☆第二十一回配本『枕草子二』をお届けいたします。今回 の位を超えた「定子」の個性を、更には、自分自身の世界の永井先生の随想は、現代語訳のむずかしさ、とくに上下 をしつかり持った女性のことばを中宮の発言から読みとる関係のことば遣いについてのご指摘ですが、これは「枕草 に至ることは、夢のまた夢であろうか 子』にとどまらず他の作品についてもいえることで、この 全集の校注・訳者の等しくご苦心のあるところです。 《著者紹介》 ☆次回配本 ( 五十九年九月 ) は『芭蕉句集』 ( 井本農一・ 松尾聰 ( まつおさとし ) 堀信夫・中村俊定・堀切実注解定価千七百円 ) です。 明治四十年、東京都生れ。昭和六年、東京大学卒。平安芭蕉が生涯に遺した約千句の中から、三百四十二句を厳選、 文学専攻。現在、学習院大学名誉教授。主著に『平安時推敲の過程がたどれるように主な異形句を併置しました。 代物語の研究ー散佚物語四十六篇の形態復原に関する試論ー』 さらに「冬の日」「猿蓑」「炭俵」から代表的な連句五歌仙 『全釈源氏物語一 ~ 六 ( 未完 ) 』『枕草子 ( 日本古典文学全を選び、芭蕉の俳句世界が一望できるように配慮いたしま 集 ) 』 ( 共著 ) など。クラシック音楽のレコード鑑賞がごした。一句一句の世界をすくいとる懇切な評釈が魅力です。 趣味で、戦後のものだけでも千枚以上お持ちである。 巻末に「芭蕉略年譜」「俳句編出典俳書一覧」「連句編作者 永井和子 ( ながいかずこ ) 略伝」「連句編引用注釈書一覧」のほか、俳句編・連句編 昭和九年、東京都生れ。お茶の水女子大学を経て、学習の「初句索引」を付載いたしました。

4. 完訳 日本の古典 第十二巻 枕草子 ㈠

完訳日本の古典第十一一巻枕草子曰 昭和年 7 月引日初版発行 定価一五〇〇円 校注・訳者松尾聰永井和子 発行者相賀徹夫 印刷所図書印刷株式会社 発行所株式会社小学館 〒皿東京都千代田区一ッ橋一一ー三ー 振替口座東京八ー一一〇〇番 電話編集 ( 〇三 ) 二三〇ー五六六九業務 ( 〇三 ) 二 三〇ー五三三三販売 ( 〇三 ) 一一三〇ー五七六八 ・造本には十分注意しておりますが、万一、落丁・乱丁 などの不良品がありましたらおとりかえいたします。 ・本書の一部あるいは全部を、無断で複写複製 ( コピー ) することは、法律で認められた場合を除き、著作者およ び出版者の権利の侵害となります。あらかじめ小社あて 許諾を求めてください。 Printed in Japan ( 著者検印は省略 ◎ S. Matuo K. N agai 1984 ISBN4 ・ 09 ・ 556012 ・ 6 いたしました )

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

完訳日本の古典第十三巻枕草子 昭和年 8 月引日初版発行 定価一七〇〇円 校注・訳者松尾聰永井和子 発行者相賀徹夫 印刷所図書印刷株式会社 発行所株式会社小学館 〒期東京都千代田区一ッ橋一一ー三ー 振替口座東京八ー一一〇〇番 電話編集 ( 〇三 ) 一一三〇ー五六六九業務 ( 〇三 ) 二 三〇ー五三一一一三販売 ( 〇三 ) 一一三〇ー五七六八 ・造本には十分注意しておりますが、万一、落丁・乱丁 などの不良品がありましたらおとりかえいたします。 ・本書の一部あるいは全部を、無断で複写複製 ( コピー ) することは、法律で認められた場合を除き、著作者およ び出版者の権利の侵害となります。あらかじめ小社あて 許諾を求めてください。 Printed in Japan ( 著者検印は省略 ◎ SMatuo K. Nagai 1984 ISBN4 ・ 09 ・ 556013 ・ 4 いたしました )

6. 完訳 日本の古典 第四十三巻 平家物語 ㈡

( 同上 ) 、医師問答 ( 多聞院日記 ) 変らずご多忙である。 やすとみき 〔巻四〕高倉上皇厳嶋御参詣 ( 康富記 ) 編集室より》 〔巻五〕長安建都、四神相応、将軍塚 ( 都遷。蔗軒日録 ) 、 ☆第十九回配本『平家物語一一』をお届けいたします。凡例 けいか ( 咸陽宮。山科家礼記 ) 、文覚上人初度之荒行、 でも触れていますが、もともと底本には挿絵は入っていま 勧進帳等事 ( 康富記 ) せん。明暦二年 ( 一六契 ) の板本から抜すいして収録しまし 〔巻六〕コウョウ ( 山科家礼記 ) 、じゝゅん坊そんへ ( 同た。江戸時代人のなんとも味わいのある挿絵の筆致も合せ 上 ) 、慈心房 ( 言経卿記 ) てお楽しみください。 〔巻七〕木曾合戦 ( 蔗軒日録 ) 、実盛 ( 蔭涼軒日録 ) ☆次回配本 ( 五十九年七月 ) は『枕草子一』 ( 松尾聰・ 〔巻八〕山門御幸 ( 蔗軒日録。引用文による ) 永井和子校注・訳定価千五百円 ) です。 〔巻九〕生すきの沙汰 ( 蔗軒日録。引用文による ) 「軽薄短小」もやや流行遅れの感がありますが、古典文学 〔灌頂巻〕小原御幸 ( 蔭涼軒日録 ) に於いて「軽薄短小」の先駆者は、何といっても清少納言 8 不明のもの、楽ノヤ ( 山科家礼記 ) 、他に宗論・祝言がある。でしよう。しかも言葉の意味はまったく反対で、『枕草子』 で最も短い章は十字以内で成り立っていますが、ずばり核 《著者紹介 心を突く鋭さは、ハッとするような普遍性を持っています。 市古貞次 ( いちこていじ ) たとえば、七七段の「ありがたきもの ( めったにないもの ) 」 明治四十四年、山梨県生れ。昭和九年、東京大学卒。中の冒頭は、「ありがたきもの舅にほめらるる婿。また、 世文学専攻。現在、東京大学名誉教授。学士院会員。主姑に思はるる嫁の君」となっています。 著に『中世小説の研究』『中世小説とその周辺』『御伽草一段 ~ 一一七段、底本では上巻に当る章段を収録。巻末に、 子』『平家物語一・一一」 ( 日本古典文学全集 ) 』など。財団法岸上慎一一氏編の詳しい年表や、関係系図・図録などを付し 人日本古典文学会理事長・全国大学国語国文学会代表理ました。続いて八月刊行は、『枕草子一一』です。一一八段 事などの役職にあり、かたわら紀要・辞典等の編集で相から三二三段の最終章までを収録いたします。

7. 完訳 日本の古典 第十二巻 枕草子 ㈠

枕草子・清少納言の研究書 ( 主要単行本のみ ) 参一亠方文献 ( 昭和年以後のものを掲げる ) 枕草子 ( 国文学古典講話 ) 岸上慎一一昭研究社 枕草子に関する論考池田亀鑑昭目黒書店 主要注釈書 清少納言枕冊子の研究田中重太郎昭古典文庫 枕冊子 ( 日本古典全書 ) 田中重太郎昭朝日新聞社 堺本枕草子田中重太郎昭古典文庫 校註枕草子吉沢義則昭 ~ % 河原書店 枕草子研究田中重太郎昭古典文庫 前田家本枕冊子新註田中重太郎昭 % 古典文庫 校本枕冊子田中重太郎昭囲 古典文庫 枕草子精講五十嵐カ・岡一男昭四学燈社 清少納言伝記攷岸上慎一一昭新生社再版 三巻本枕草子評釈塩田良平昭 9 ~ 0 2 3 学生社 枕冊子本文の研究田中重太郎昭初音書房 枕草子 ( 国語国文学研究史大成 ) 斎藤清衛・岸上慎一一昭 改稿枕草子通解金子元臣・橘宗利昭明治書院 全講枕草子池田亀鑑昭引 至文堂 肪三省堂 全解枕草子三谷栄一・伴久美昭有精堂 清少納言 ( 人物叢書 ) 岸上慎一一昭吉川弘文館 枕草子 ( 日本古典文学大系 ) 池田亀鑑・岸上慎一一昭芻 研究枕草子池田亀鑑昭至文堂 岩波書店 枕草子の研究林和比古昭右文書院 校訂三巻本枕草子岸上慎一一昭武蔵野書院 枕草子本文整理札記山脇毅昭れ山脇先生記念会 校註枕草子藤本一恵昭京都女子大学国文学研究室枕草子総索引松村博司監修昭肥右文書院 枕草子 ( 角川文庫 ) 松浦貞俊・石田穣一一昭 4 角 枕草子必携岸上慎二編昭学燈社 書店 枕草子異本研究楠道隆昭菊笠間書院 説 枕冊子全注釈田中重太郎昭 ~ 角川書店 枕草子研究岸上慎一一昭大原新生社 枕草子 ( 日本文学研究資料叢書 ) 昭恥有精堂 枕草子 ( 日本古典文学全集 ) 松尾聰・永井和子昭的 解学館 諸説一覧枕草子塩田良平編昭菊明治書院 枕草子 ( 新潮日本古典集成 ) 萩谷朴昭新潮社 清少納言枕冊子研究田中重太郎昭鮖笠間書院 枕草子他 ( 鑑賞日本の古典 ) 稲賀敬二他昭尚学図書 新版枕草子 ( 角川文庫 ) 石田穣一一昭角川書店 枕草子解環萩谷朴昭 5 5 ~ 同朋社 枕草子研究 ( 続 ) 岸上慎一一昭笠間書院

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

完訳日本の古典 13 枕草子二 松尾聰永井和子校注・訳 ロロ 0 彡ク 0 0 0

9. 完訳 日本の古典 第十一巻 蜻蛉日記

京のはてなれば、夜いたう更けてそたたき来なる。 編集室より ☆第三十三回配本『蜻蛉日記』をお届けいたします。夫兼 ついな と、追儺の人々の門をたたく音がしだいに近づいてくる情家との結婚生活を、二十一年間にわたって書き綴った道綱 景で終っているのも、この作品にふさわしい、余韻のある母。上中下三巻とも、年の暮の描写で終るというはっきり 優れた結びであると、思われるのである。 とした構成意識を持って書かれ、その写実的手法は後の物 語や日記に大きな影響を与えています。親切な注と過不足 著者紹介 のない流麗な現代語訳は、つとに両先生の定評のあるとこ 木村正中 ( きむらまさのり ) ろです。 大正十五年、東京都生れ。昭和一一十四年、東京大学卒。☆次回配本 ( 六十年九月 ) は『狂言集』 ( 北川忠彦・安田 中古文学専攻。現在、学習院大学教授。主著は『蜻蛉日章校注定価千七百円 ) です。狂言は中・近世の話ことば 記 ( 日本古典文学全集 ) 』 ( 共著 ) 『蜻蛉日記・枕草子 ( 図説が用いられ、現代語と共通部分も多いので、この冊には現 日本の古典 ) 』 ( 共編 ) 『中古日本文学史』 ( 共著 ) 。三年三代語訳は付しません。 月がかりで本書を脱稿され、休む間もなく次なる著作に近年若い観客が増え、とくに関西では古典芸能というより とりくまれている。 現代の演劇として受け入れられている狂言の名作を厳選い 伊牟田経久 ( いむたつねひさ ) たしました。関西で活躍する大蔵流茂山千五郎家の現行詞 昭和六年、鹿児島県生れ。昭和三十一一年、東京教育大学章をもとに、簡単な動きを付して、上演台本としての体裁 卒。国語学専攻。現在、鹿児島大学教授。主著は『かげを整えてあります。脇、大名、小名、聟・女、鬼・山伏、 ろふ日記総索引』『新校かげろふ日記』 ( 以上共編 ) 『蜻出家・座頭、集、その他、の八分類に従い、それそれ、末 蛉日記 ( 日本古典文学全集 ) 』 ( 共著 ) 。付属中学の校長も広かり・墨塗・素袍落・船渡聟・朝比奈・月見座頭・金藤 兼務され、ご多忙な毎日だが、趣味の美術切手収集だけ左衛門・子の日など二十二曲を収録。巻末に、二百二十曲 は続けておられる由である。 余を簡明に解説した「狂一言名作解題」を付します。 ふ

10. 完訳 日本の古典 第十二巻 枕草子 ㈠

とするのが、本書公刊の目的の一つである。 学習院大学蔵本は上下二冊本で、筆者は三条西実隆 ( 一四璧 ~ 一五三七。室町時代の学問の代表的な存在。三条西家歌 学の祖。内大臣 ) 、またはその子公條かといわれる。その後代々三条西家で珍重されて現代の三条西公正博士 ( 元伯爵。昭和年没 ) に及んだが、昭和年に博士の母校学習院に譲渡された。この本は田中重太郎博士の 『校本枕冊子』の底本として活字化されているほかは、この稿筆者たちの手による日本古典文学全集『枕草 子』とこのたびの本書とだけがその活字刊行本である。 前田家本 前田元侯爵家の育徳財団尊経閣文庫に蔵せられ、天下の孤本で四冊本である。書写は『枕草子』の諸伝本 中抜群に古く、鎌倉中期を下らない。三巻本・能因本両系統本は、物尽し・随想・日記的記録の章段が雑然 と入り込んで列べられているのに対して、前田家本は堺本と並んで類纂形態を持つ。一冊は物尽しのうち 「は型」、一冊は物尽しのうち「もの型」、一冊は随想、一冊は日記的記録の、それそれ章段から成っている。 一見、こうした類纂形態のものが『枕草子』の原型のように思われそうだが、楠道隆氏 ( 国語国文・昭和 9 年 6 ~ 7 月 ) はこの前田家本の本文を厳密に分析して研究せられた結果、能因本 ( 厳密に言えば現存能因本の源流 説本 ) と堺本 ( 厳密に言えば現存堺本の源流本 ) との二種の『枕草子』を持 0 ていた人が、堺本の形態に準拠して 更に完璧を期して、極めて誠実な態度をもって両底本の集成を企てたものと推定され、それが今日のほば定 解説となっている。 なお三巻本や能因本の段序のままではなかったとしても、雑纂的形態が『枕草子』の原型であったとする 考えに、研究者の意見は、現在完全に一致しているようである。