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検索対象: 完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣

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完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


完 訳 日 本 の 古 典 17 源 氏 物 語 四 阿 部 秋 生 ・ 秋 山 虔 ・ 今 井 源 衛 ・ 鈴 木 日 出 男 校 注 ・ 訳

完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


完 訳 日 本 の 古 典 第 十 七 巻 源 氏 物 語 定 価 一 九 〇 〇 円 昭 和 年 2 月 日 初 版 発 行 阿 部 秋 生 秋 山 虔 校 注 ・ 訳 者 今 井 源 衛 鈴 木 日 出 男 発 行 者 相 賀 徹 夫 印 刷 所 凸 版 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 株 式 会 社 小 学 館 〒 期 東 京 都 千 代 田 区 一 ッ 橋 一 一 ー 三 ー 振 替 口 座 東 京 八 ー 二 〇 〇 番 電 話 編 集 ( 〇 三 ) 二 三 〇 ー 五 六 六 九 業 務 ( 〇 三 ) 二 三 〇 ー 五 三 三 三 販 売 ( 〇 三 ) 一 一 三 0 ー 五 七 六 八 ・ 造 本 に は 十 分 注 意 し て お り ま す が 、 万 一 、 落 丁 ・ 乱 丁 な ど の 不 良 品 が あ り ま し た ら お と り か え い た し ま す 。 ・ 本 書 の 一 部 あ る い は 全 部 を 、 無 断 で 複 写 複 製 ( コ ピ ー ) す る こ と は 、 法 律 で 認 め ら れ た 場 合 を 除 き 、 著 作 者 お よ び 出 版 者 の 権 利 の 侵 害 と な り ま す 。 あ ら か し め 小 社 あ て 許 諾 を 求 め て く だ さ い Printed in Japan A. Abe K. Akiyama ( 著 者 検 印 は 省 略 ◎ 1985 G. lmai H. Suzuki い た し ま し た ) ISBN4 ・ 09 ・ 556017 ・ 7

完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


、 こ の 「 引 歌 一 覧 」 は 、 本 巻 ( 松 風 ~ 胡 蝶 ) の 本 文 中 に ふ ま え ら れ て い る 歌 ( 引 歌 ) で 、 脚 注 欄 に 掲 示 し た 歌 を ま と め た も の で あ る 。 一 、 掲 出 の 仕 方 は 、 は じ め に 、 引 歌 表 現 と み ら れ る 本 文 部 分 の ペ ー ジ 数 と 行 数 を あ げ 、 そ の 引 歌 お よ び 出 典 を 示 し 、 以 下 、 行 を 改 め て 、 歌 の 現 代 語 訳 と 解 説 を 付 し た 。 か ら む や 恋 し か ら じ ゃ 」 と 、 入 れ 替 っ て い る が 、 も と も と 松 風 同 じ 歌 で あ ろ う 。 物 語 で は 、 上 京 を 決 意 す る 明 石 の 尼 君 の 、 お と 滝 の 音 は 絶 え て 久 し く な り ぬ れ ど 名 こ そ 流 れ て 夫 入 道 と の 離 別 の 悲 し み を い う 。 こ の 歌 を 根 拠 に 、 夫 婦 と ( 拾 遺 ・ 雑 上 ・ 四 四 九 藤 原 公 任 ) し て 連 れ 添 っ て き た 歳 月 の 重 さ を 噛 み し め て い る 。 「 : ・ だ な ほ 聞 こ え け れ 、 み な れ そ な れ て : ・ 」 の 文 脈 を 受 け て 、 「 ま し て 」 以 下 滝 の 水 音 は 聞 え な く な っ て し ま っ て か ら 長 い 年 月 が た っ て し ま っ た け れ ど も 、 そ の 名 声 だ け は 流 れ 伝 わ り 、 今 日 で も や は 、 入 道 と の 固 有 の 生 活 史 が 顧 み ら れ る 。 あ り は て ぬ 命 待 っ 間 の ほ ど ば か り 憂 き こ と し げ り 世 間 に 知 ら れ て い る の だ っ た 。 こ と ば 嚇 物 き ( 古 今 ・ 雑 下 ・ 突 五 平 貞 文 ) く 思 は ず も が な 詞 書 に 、 大 覚 寺 の 古 い 滝 を 詠 ん だ 、 と あ る 。 大 覚 寺 に つ い こ の 短 い 一 生 の 終 ど う せ 世 の 中 の 最 後 ま で は 生 き 通 せ な い 、 て は 一 四 ハ ー 注 一 一 参 照 。 「 滝 」 「 音 」 「 絶 え 」 「 流 れ 」 「 聞 こ え 」 り を 待 っ て い る 間 ぐ ら い は 、 つ ら い 経 験 に 思 い 屈 す る こ と が が 、 滝 に 関 す る 縁 語 。 物 語 で は 、 源 氏 の 造 成 す る 御 堂 も 頻 繁 で な い よ う に し た い も の だ 。 「 滝 殿 の 心 ば へ な ど 劣 ら ず お も し ろ き 寺 」 と す る 。 そ の 詞 書 に は 、 解 職 中 の 謹 慎 の 身 で 詠 ん だ 歌 、 と あ る 。 『 大 和 覧 「 劣 ら ず 」 は 、 大 覚 寺 に 対 し て の 表 現 で あ る 。 . 燔 ・ 加 み な れ 木 の 見 な れ そ な れ て 離 れ な ば 恋 し か ら じ 物 語 』 ( 百 四 十 二 段 ) で は 、 早 く に 実 母 を 亡 く し た 女 の 、 不 歌 ( 源 氏 釈 ) 如 意 の 人 生 を 詠 ん だ 歌 と し て 語 ら れ て い る 。 物 語 で は 、 尼 や 恋 し か ら む や す っ か り な じ ん で し ま っ て か ら 別 れ た な ら ば 、 恋 し く な い だ 君 が 、 夫 入 道 と 無 難 に 「 あ り は て ぬ 命 」 を 生 き て き た つ も り な の に 、 あ ら た め て 別 離 ゆ え の 「 憂 き こ と 」 に 遭 遇 し た 、 ろ う か 、 恋 し い だ ろ う か 、 恋 し く 思 う に き ま っ て い る 。 四 と す る 。 出 典 未 詳 。 前 出 ( ↓ 葵 三 八 四 ハ ー 下 段 ) で は 、 下 句 が 「 恋 し 引 歌 一 覧 さ だ ふ ん

完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


方 丈 記 神 田 秀 夫 ( 武 蔵 大 学 ) 日 本 の 古 典 」 全 巻 の 内 容 永 積 安 明 ( 神 戸 大 学 ) 徒 然 草 荻 原 浅 男 ( 千 葉 大 学 ) 国 古 事 記 国 国 と は ず ・ が た り ・ ロ 久 保 田 淳 ( 東 京 大 学 ) 小 島 憲 之 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 佐 竹 昭 広 ( 京 都 大 学 ) ー の 萬 葉 集 7 因 木 下 正 俊 ( 関 西 大 学 ) 回 字 治 拾 遺 物 語 冒 に 保 治 ( 早 稲 田 大 学 ) 中 田 祝 夫 ( 筑 波 大 学 ) 回 日 本 霊 異 記 市 古 貞 次 ( 東 京 大 学 ) 国 ー 囮 平 家 物 語 c 小 沢 正 夫 ( 中 京 大 学 ) 回 古 今 和 歌 集 囮 謡 曲 集 c 一 一 一 道 小 山 弘 志 ( 国 文 学 研 究 資 料 館 ) 佐 藤 健 一 郎 ( 武 蔵 野 美 術 大 学 ) 表 章 ( 法 政 大 学 ) 囮 謡 曲 集 0 風 姿 花 伝 佐 藤 喜 久 雄 ( 学 習 院 大 学 ) 竹 取 物 語 片 桐 洋 一 ( 大 阪 女 子 大 学 ) 福 井 貞 助 ( 静 岡 大 学 ) 回 伊 勢 物 語 北 川 忠 彦 ( 京 都 女 子 大 学 ) 安 田 章 ( 京 都 大 学 ) 松 村 誠 一 ( 成 蹊 大 学 ) 囮 狂 言 集 土 佐 日 記 国 御 伽 草 子 集 大 島 建 彦 ( 東 洋 大 学 ) 木 村 正 中 ( 学 習 院 大 学 ) 伊 牟 田 経 久 ( 鹿 児 島 大 学 ) 回 蜻 蛉 日 記 好 色 一 代 男 康 隆 ( 早 稲 田 大 学 ) 松 尾 聰 ( 学 習 院 大 学 ) 永 井 和 子 ( 学 習 院 大 学 ) 回 囮 枕 草 子 圄 好 色 五 人 女 東 明 雅 ( 信 州 大 学 ) 阿 部 秋 生 ( 実 践 女 子 大 学 ) 今 井 源 衛 ( 梅 光 女 学 院 大 学 ) 回 回 ー 源 氏 物 語 7 田 秋 山 虔 ( 東 京 女 子 大 学 ) 好 色 一 代 女 和 泉 式 部 日 記 谷 脇 理 史 ( 筑 波 大 学 ) 藤 岡 忠 美 ( 神 戸 大 学 ) 国 日 本 永 代 蔵 中 野 幸 一 ( 早 稲 田 大 学 ) 紫 式 部 日 記 大 養 廉 ( お 茶 の 水 女 子 大 学 ) 万 の 文 反 古 更 級 日 記 神 保 五 彌 ( 早 稲 田 大 学 ) 世 間 胸 算 用 鈴 木 一 雄 ( 明 治 大 学 ) CÜ 3 夜 の 寝 覚 井 本 農 一 ( 実 践 女 子 大 学 ) 中 村 俊 定 ( 早 稲 田 大 学 ) 図 芭 蕉 句 集 堀 信 夫 ( 神 戸 大 学 ) 堀 切 実 ( 早 稲 田 大 学 ) 堤 中 納 言 物 語 稲 賀 敬 一 一 ( 広 島 大 学 ) 栗 山 理 一 ( 成 城 大 学 ) 久 保 木 哲 夫 ( 都 留 文 科 大 学 ) 国 芭 蕉 文 集 ・ 去 来 抄 顰 ( 実 践 女 子 大 学 ) 無 名 草 子 森 修 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 鳥 越 文 蔵 ( 早 稲 田 大 学 ) 国 近 松 門 左 衛 門 集 橘 健 一 一 ( 岐 阜 女 子 大 学 ) 四 大 鏡 冒 雨 月 物 語 高 田 衛 ( 都 立 大 学 ) 今 昔 物 語 集 馬 淵 和 夫 ( 中 央 大 学 ) 国 東 文 麿 ( 早 稲 田 大 学 ) 中 村 博 保 ( 静 岡 大 学 ) 本 朝 世 俗 部 今 野 達 ( 横 浜 国 立 大 学 ) 春 雨 物 語 新 間 進 一 ( 青 山 学 院 大 学 ) 国 蕪 村 集 ・ 一 茶 集 黯 理 一 ( 成 城 大 学 ) 国 梁 塵 秘 抄 CÜ 山 本 健 吉 ( 文 芸 評 論 家 ) CÜ 峯 村 文 人 ( 国 際 基 督 教 大 学 ) 当 可 当 古 典 詞 華 集 3 国 新 古 今 和 歌 集 松 田 成 穗 ( 金 城 学 院 大 学 ) 石 埜 敬 子 ( 跡 見 学 園 短 期 大 学 ) 増 古 和 子 ( 上 野 学 園 大 学 ) 丸 山 一 彦 ( 宇 都 宮 大 学 ) 松 尾 靖 秋 ( 工 学 院 大 学 )

完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


あ の 人 の 冷 淡 さ を 、 ど う し て よ い か 苦 し ん だ 果 て に 、 唐 衣 を る 。 そ う し た 初 瀬 の 二 本 杉 の 発 想 は 、 当 然 な が ら 玉 鬘 の 返 返 す に つ け て も 、 衣 の 裏 で は な い が 、 あ の 人 を 恨 む ほ か な か 歌 に も ひ び い て い る 。 み と せ ひ る っ ) 0 ・ ・ 2 か そ い ろ は あ は れ と 見 す や 蛭 の 子 は 三 年 に な り 語 ( 日 本 紀 竟 宴 和 歌 大 江 朝 綱 ) ぬ 足 立 た ず し て 「 裏 」 「 恨 」 の 掛 詞 。 「 返 す 」 は 、 返 却 す る 、 衣 の 裏 を 返 す 、 物 の 両 意 。 「 唐 衣 」 「 返 す 」 「 裏 」 が 縁 語 。 借 り た 唐 衣 を 返 却 氏 前 出 ( ↓ 四 一 二 ハ ー 下 段 ) 。 物 語 で は 、 源 氏 に 親 交 を と 求 め ら 源 れ た 玉 鬘 が 、 自 分 は 蛭 の 子 の よ う に 脚 も 立 た な い う ち に 鄙 す る 時 の 歌 で あ ろ う 。 物 語 で は 、 源 氏 か ら 正 月 用 の 衣 装 を す え つ む は な に 流 れ て い っ た の で 、 何 に つ け て も は か な い 存 在 だ 、 と 応 贈 ら れ た 末 摘 花 の 歌 に 、 こ れ が ふ ま え ら れ た 。 「 裏 」 「 恨 」 ず る 。 三 歳 で 母 に 死 別 、 四 歳 で 筑 紫 に 下 向 し た 数 奇 の 運 命 の 掛 詞 に よ る 発 想 に よ り な が ら も 、 衣 に 執 し す ぎ る 点 に 、 し ゆ っ た い を 、 自 ら 語 る 言 葉 で あ る 。 源 氏 の 応 答 「 沈 み た ま へ り け る 末 摘 花 ら し い 陳 腐 な 表 現 が 出 来 す る 。 を 、 あ は れ と も 、 今 は ま た 誰 か は 」 も 、 ・ こ の 歌 に よ っ て い 初 音 る 。 玉 鬘 の 貴 種 流 離 ぶ り を 印 象 づ け る 表 現 で あ る 。 あ し た ・ ・ 2 あ ら た ま の 年 た ち か へ る 朝 よ り 待 た る る も の は ・ ・ 4 い づ く と て 尋 ね 来 つ ら む 玉 か づ ら 我 は 昔 の 我 な う ぐ ひ す ら な く に ( 後 撰 ・ 雑 四 ・ 一 孟 四 源 善 朝 臣 ) ( 拾 遺 ・ 春 ・ 五 素 性 法 師 ) 鶯 の 声 新 し い 年 を 迎 え る そ の 朝 か ら 、 お の ず と 心 待 ち す る よ う に な あ の 人 は 、 こ こ を ど こ と 思 っ て 便 り を よ こ し て き た の だ ろ う 。 る の は 、 鶯 の 声 で あ る 。 私 は も う 昔 の 私 で は な い の に 。 こ と ば が き だ い ご つ き な み び よ う ぶ 詞 書 に よ れ ば 、 知 り 合 っ た 女 の も と に 置 い て い た 道 具 類 を 、 詞 書 に よ れ ば 、 醍 醐 天 皇 時 代 の 月 次 の 屏 風 の た め に 詠 ま れ た 歌 。 「 鶯 」 は 、 春 の 到 来 を 告 げ る 鳥 。 一 夜 明 け て 元 旦 、 女 の ほ う か ら 送 り 届 け て き た 時 の 歌 。 物 語 の 源 氏 の 歌 は 、 は つ ね こ の 歌 の 「 我 は 昔 の 我 な ら な く に 」 を 逆 に 用 い て 、 自 分 は 新 春 を 鶯 の 初 音 で 実 感 し た い と す る 。 物 語 で は 、 六 条 院 完 昔 の ま ま な の に 、 と し て 、 そ れ に し て は 玉 鬘 は 実 父 で も な 成 後 の は じ め て の 正 月 、 新 し い 年 へ の 期 待 を こ め た 、 巻 頭 い 自 分 の も と に ど う し て 来 た の か と 、 数 奇 な 運 命 へ の 感 動 に ふ さ わ し い 表 現 と な っ て い る 。 な お こ れ は 、 後 続 の 、 明 石 母 娘 の 鶯 を め ぐ る 贈 答 歌 ( 一 九 七 ~ 八 ハ ー ) や 明 石 の 君 の 手 を 表 現 し て い る 。 「 あ は れ 」 と あ る ゆ え ん で あ る 。 か ら こ ろ も 習 歌 ( 二 〇 〇 ハ ー ) と も ひ び き あ っ て い よ う 。 特 に 後 者 の 独 ・ ・ 5 つ れ な き を 思 ひ わ び て は 唐 衣 返 す に つ け て う ら み つ る か な ( 為 信 集 ) 詠 歌 の 次 に 引 か れ る 古 歌 「 声 待 ち 出 で た る 」 は 、 出 典 未 詳 ひ な

完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


に 向 っ て 語 り 合 う 意 で 、 歌 の 「 鏡 の 山 」 に 鏡 餅 の 「 鏡 」 を 嘆 き を 詠 ん で い る 。 ま た 、 明 石 の 君 が そ の 歌 を 結 ん で き た 0 な ぞ ら 擬 え た 表 現 。 「 五 葉 の 枝 に う つ る 鶯 」 そ の も の も 、 右 の 歌 の 趣 向 に 基 づ ち と せ よ ろ づ ・ ・ 3 千 年 ま で 限 れ る 松 も 今 日 よ り は 君 に ひ か れ て 万 い て い よ う 。 次 項 参 照 。 語 ( 拾 遺 ・ 春 ・ 一 一 四 大 中 臣 能 宣 ) 代 や 経 む ・ ・ 9 今 日 だ に も 初 音 き か せ よ 鶯 の 音 せ ぬ 里 は あ る か 物 ひ も な し 千 年 ま で の 寿 命 と き ま っ て い る 松 も 、 今 日 か ら は 、 君 の め で ( 源 氏 釈 ) 氏 源 た さ に ち な ん で 、 万 年 ま で も 長 生 き す る こ と に な ろ う 。 せ め て 今 日 な り と 、 初 音 を 聞 か せ て く れ 。 鶯 の 声 の し な い 里 は 、 住 ん で い て も 住 む か い も な い 思 い が す る の で 。 詞 書 に よ れ ば 、 入 道 式 部 卿 宮 の 子 の 日 に 詠 ん だ 歌 。 物 語 で は 、 元 日 と 子 の 日 が 重 な っ た た め に 、 長 寿 ・ 繁 栄 を 予 祝 す 出 典 未 詳 。 春 に な っ て も 、 春 を 告 げ る 鳥 と い わ れ る 鶯 が な る の に 最 適 と し て 、 こ の 歌 を 引 く 。 歌 の 「 君 に ひ か れ て か な か 鳴 い て く れ な い の を 恨 ん だ 歌 。 物 語 で は 、 明 石 の 君 ・ : 」 は 、 万 人 万 物 を 引 き 立 て る 源 氏 の 偉 大 さ を 印 象 づ け る の 歌 「 年 月 を : ・ 」 に 直 接 し て 引 か れ 、 鶯 の 初 音 ー 姫 君 の 新 こ と に な ろ う 。 こ れ も 光 源 氏 讃 歌 の 一 つ 。 な お 、 松 を 千 年 春 の 声 に ふ れ ら れ な い 母 親 の 悲 し み を 繰 り 返 し 言 う 。 な お 、 と す る 初 子 の 日 の 歌 に は 、 「 浅 緑 今 日 引 き そ ふ る 松 を こ そ こ の 母 親 の 苦 衷 を 表 す 「 初 音 」 は 、 巻 頭 に 「 年 た ち か へ も レ 」 す け 千 年 の 春 の は じ め と は 見 め 」 ( 元 輔 集 ) 、 「 め づ ら し き 千 代 の る 」 と す る 引 歌 の 、 「 待 た る る も の は 鶯 の 声 」 ( 四 二 八 ハ ー 下 は じ め の 子 の 日 に は ま づ 今 日 を こ そ ひ く べ か り け れ 」 ( 拾 段 ) と も ひ び き あ っ て い よ う 。 0 ・ CO 遺 ・ 賀 ・ 一 一 兊 藤 原 の ぶ か た ) な ど 、 数 多 い 梅 の 花 咲 け る 岡 辺 に 家 し あ れ ば と も し く も あ ら う ぐ ひ す ( 古 今 六 帖 ・ 第 六 「 鶯 」 ) ・ ・ 8 松 の 上 に な く 鶯 の 声 を こ そ 初 ね の 日 と は い ふ べ ず 鶯 の 声 、 か . り ・ ・ け ・ . れ ( 拾 遺 ・ 春 ・ = 一 一 宮 内 卿 ) 梅 の 花 の 咲 い て い る 岡 辺 に 家 が あ る の で 、 少 な く は な い こ と 松 の 上 で 鳴 く 鶯 の 声 を 聞 い た が 、 こ の 初 音 を 聞 い て こ そ 、 は だ 。 鶯 の 声 は 。 じ め て 正 月 初 子 の 日 と は い う べ き な の で あ っ た 。 も と は 『 万 葉 集 』 の 歌 ( 巻 十 ・ 一 八 = 0) で 、 第 三 句 「 家 居 れ だ い ご 詞 書 に よ れ ば 、 正 月 初 子 の 日 、 醍 醐 帝 の 御 前 の 五 葉 の 松 で ば 」 。 物 語 で は 、 明 石 の 君 が 姫 君 か ら の 返 歌 に 接 し え た 感 鶯 が 鳴 い た の で 詠 ん だ 歌 。 「 初 子 」 「 初 音 」 を 掛 け た 。 物 語 動 を 「 め づ ら し ゃ ・ : 」 の 歌 に 詠 ん だ が 、 こ れ は 、 そ の 後 で の 明 石 の 君 の 歌 は 、 右 の 歌 の 「 ( 鶯 の ) 初 音 」 に 姫 君 か ら の 慰 め の 手 習 に 引 か れ た 歌 。 こ こ で も 「 鶯 の 声 」 は 姫 君 の 声 初 便 り の 意 を も こ め て 、 春 と は い え 愛 児 の 声 を 聞 け ぬ 母 の で 、 姫 君 と は 場 所 が 近 い の だ か ら 、 こ れ か ら も 文 通 で き ょ

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お ほ や け そ の 年 、 お ほ か た 世 の 中 騒 が し く て 、 公 ざ ま に 物 の さ と し 一 天 変 地 異 や 疫 病 が 起 る 。 永 祚 8 〔 三 〕 天 変 地 異 し き り 元 年 ( 九 八 九 ) の 史 実 に よ る と す る 説 た が 藤 壺 の 宮 重 態 に 陥 る し げ く 、 の ど か な ら で 、 天 っ 空 に も 、 例 に 違 へ る 月 日 星 の も あ る 。 前 掲 頼 忠 の 死 も 同 年 。 語 ニ 神 仏 の 警 告 。 政 に か か わ る こ み ち み ち か む が ヘ ぶ み 物 と が 多 い 。 ↓ 明 石 3 六 〇 ハ ー 注 一 0 。 光 見 え 、 雲 の た た ず ま ひ あ り と の み 世 の 人 お ど ろ く こ と 多 く て 、 道 々 の 勘 文 ど 氏 三 日 食 ・ 月 食 ・ 彗 星 な ど 。 う ち の お と ど 源 も 奉 れ る に も 、 あ や し く 世 に な べ て な ら ぬ こ と ど も ま じ り た り 。 内 大 臣 の み な 四 博 士 ・ 儒 家 な ど が 、 吉 凶 を 按 じ て 意 見 を 記 し 朝 廷 に 出 す 文 書 。 う ち 五 源 氏 の 、 冷 泉 帝 が 自 分 と 藤 壺 む 、 御 心 の 中 に わ づ ら は し く 思 し 知 る こ と あ り け る 。 き よ う く の 秘 密 の 子 で あ る こ と へ の 恐 懼 で き さ い み や 入 道 后 の 宮 、 春 の は じ め よ り な や み わ た ら せ た ま ひ て 、 三 月 に は い と 重 く な あ ろ う 。 「 の み 」 の 限 定 に も 注 意 。 六 冷 泉 帝 が 母 藤 壺 を 見 舞 う 。 ぎ ゃ う が う セ 以 下 、 冷 泉 帝 の こ と 。 桐 壺 院 ら せ た ま ひ ぬ れ ば 、 行 幸 な ど あ り 。 院 に 別 れ た て ま つ ら せ た ま ひ し ほ ど は 、 し と の 死 別 は 五 歳 の 折 。 や く ど し と い は け な く て も の 深 く も 思 さ れ ざ り し を 、 い み じ う 思 し 嘆 き た る 御 気 色 な れ 〈 最 終 行 に 「 三 十 七 」 歳 。 厄 年 。 九 死 期 の 予 知 は 名 僧 知 識 の 能 力 に よ る 。 藤 壺 は 自 ら の 徳 を ひ け ら ば 、 宮 も い と 悲 し く 思 し め さ る 。 藤 壺 「 今 年 は か な ら ず の が る ま じ き 年 と 思 ひ か す の を 避 け 、 語 ら な い 。 九 た ま へ つ れ ど 、 お ど ろ お ど ろ し き 心 地 に も は べ ら ざ り つ れ ば 、 命 の 限 り 知 り 顔 一 0 後 世 の 安 楽 を 願 う べ く 平 生 か ら 功 徳 の 事 に 励 む ( ↓ 澪 標 3 一 二 ど く に は べ ら む も 、 人 や う た て こ と ご と し う 思 は む と 憚 り て な む 、 功 徳 の 事 な ど も 〇 ハ -) 彼 女 は 、 そ れ 以 上 し な い 。 = 自 邸 三 条 宮 か ら 帝 の も と に 。 わ ざ と 例 よ り も と り わ き て し も は べ ら ず な り に け る 。 参 り て 、 心 の ど か に 昔 の 三 当 時 は 、 十 三 ・ 二 十 五 ・ 三 十 七 歳 な ど 、 生 年 の 十 二 支 が め ぐ っ 御 物 語 も な ど 思 ひ た ま へ な が ら 、 う っ し ざ ま な る を り 少 な く は べ り て 、 口 惜 し て く る 年 が 厄 年 と さ れ た 。 若 菜 下 巻 、 紫 の 上 発 病 の 条 に も み え る 。 い と 弱 げ に 聞 こ え た ま ふ 。 三 十 七 に ぞ 一 三 以 下 、 帝 の 心 中 。 た だ し 会 話 く い ぶ せ く て 過 ぎ は べ り ぬ る こ と 」 と 、 ( 現 代 語 訳 一 一 六 九 ハ ー ) こ と し ^ さ わ あ ま そ ら け し き

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記 事 が あ っ て 、 そ れ ぞ れ か な り の 記 述 量 が あ る 。 ふ き あ げ の は ま た と え ば 紀 州 吹 上 浜 へ の 行 幸 で は 、 帝 が 紀 州 に 入 る と 、 道 に は 金 銀 瑠 璃 が 敷 か れ 、 供 奉 者 の 饗 応 に は 沈 や た ん し た ん 紫 檀 の 調 度 を 用 い 、 帝 の 御 座 所 の 前 庭 に も 、 垣 根 に 同 じ よ う に 紫 檀 や 沈 を 用 い た う え に 、 そ れ を 綾 の 組 紐 で 結 ん だ 。 庭 に は 黄 金 の 砂 を ま き 、 黒 方 ( 香 木 の 一 種 ) を 土 に し 、 銀 で 造 花 の 菊 を 作 り 、 そ の 花 の 露 に は 紺 青 ・ 緑 青 の 玉 を 置 い た 、 と い う 有 様 。 こ の 手 の 「 物 尽 し 」 の 記 述 法 は 、 当 時 の 漢 籍 に は 珍 し く な い も の だ が 、 行 幸 と も な れ ば 、 第 一 に 見 境 も な く こ う い う 空 想 を た く ま し く し て 、 豪 華 な シ ョ ー を 展 示 す る 必 要 が あ っ た の だ ろ う 。 し か し 、 そ れ と は 異 な っ て 、 行 幸 は 別 の 意 図 の 下 に そ の 場 面 が 設 け ら れ る こ と も あ る 。 こ の 物 語 で は 国 譲 あ て の み や 上 中 下 三 巻 に 長 々 と 立 太 子 争 い が 展 開 す る 。 こ の 争 い は 主 と し て 左 大 臣 源 正 頼 の 娘 の 貴 宮 ( 藤 壺 ) 側 と 右 大 さ ・ か い ん す ぎ く い ん な し つ ば の に よ う ご 臣 藤 原 兼 雅 の 娘 の 梨 壺 女 御 の 側 と で 起 っ た も の だ が 、 そ の 間 に 朱 雀 院 中 宮 が 策 動 し た り 、 嵯 峨 院 も 一 枚 加 わ の の し っ た り し て 、 派 手 に 罵 り 合 っ た り す る が 、 結 局 は 帝 の 決 断 に よ り 、 藤 壺 腹 の 皇 子 が 立 太 子 と 決 っ て 、 事 は 落 着 す る 。 巻 末 の 嵯 峨 院 へ の 行 幸 は 、 彼 ら の 最 終 的 な 和 解 を 確 か め る た め に も 必 要 だ っ た の で あ ろ う 。 こ の 場 な ご り で は 、 争 い に 一 部 加 わ っ て い た 嵯 峨 院 自 身 、 主 人 役 と し て い さ さ か も そ の 名 残 を 示 さ な い の は 、 和 解 を 完 全 論 な も の に す る た め だ ろ う 。 ま た 楼 の 上 ( 下 ) の 、 八 月 十 五 夜 の 京 極 邸 へ の 両 院 の 行 幸 は 、 全 編 の 主 想 で あ る 霊 琴 譚 の 大 団 円 の 場 だ け 巻 あ っ て 、 作 者 は 全 力 投 球 を し て い る 。 そ の 準 備 や 天 皇 の 行 列 の 到 着 す る 前 後 の 参 会 者 の 様 子 、 さ ら に 犬 宮 母 き ず い 子 の 琴 演 奏 の 奇 瑞 な ど 、 た と え ば そ の 最 後 の 琴 演 奏 の 部 分 だ け で も 、 日 本 古 典 文 学 大 系 本 で 十 七 ペ ー ジ に 及 ん で い る 。 行 幸 の 場 を 借 り て 、 幻 想 を 交 え た 華 麗 な シ ョ ー に 読 者 を 幻 惑 し よ う と し た 作 者 の 狙 い は 明 ら か で ろ う る り ね ら じ ん

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79 朝 顔 ( 現 代 語 訳 一 一 九 〇 ハ ー ) み か ど か ろ が ろ 宮 に は 、 北 面 の 人 し げ き 方 な る 御 門 は 入 り た ま は む も 軽 々 内 輪 の 者 の 出 入 り 。 恋 路 に ふ さ わ 〔 六 〕 源 氏 、 式 部 卿 宮 邸 し い が 、 人 目 に つ き や す く 避 け た 。 で 、 源 典 侍 に 出 会 う し け れ ば 、 西 な る が こ と ご と し き を 、 人 入 れ さ せ た ま ひ て 、 一 六 西 側 の 正 門 宅 女 五 の 宮 に 。 そ の 口 上 を 伝 え せ う そ こ る 供 人 を ど こ か ら 入 れ た か は 不 明 。 宮 の 御 方 に 御 消 息 あ れ ば 、 今 日 し も 渡 り た ま は じ と 思 し け る を 、 驚 き て 開 け さ 天 こ の あ た り 、 貧 窮 の 末 摘 花 邸 み か ど も り あ 一 九 で 門 が 開 か ず 源 氏 が 待 た さ れ る 雪 せ た ま ふ 。 御 門 守 寒 げ な る け は ひ う す す き 出 で 来 て 、 と み に も え 開 け や ら ず 。 の 朝 の 光 景 に 類 似 ( 末 摘 花 〔 一 四 〕 ) 。 ぽ か を の こ じ ゃ う こ れ よ り 外 の 男 は た な き な る べ し 、 ご ほ ご ほ と 引 き て 、 「 鎖 の い と い た く 錆 び 一 九 「 う す す く 」 は 、 狼 狽 す る 意 。 ニ 0 三 十 年 が 何 を さ す か 不 明 。 諸 う れ き の ふ け ふ 本 中 「 み ( 三 ) と せ 」 と す る 伝 本 も あ に け れ ば 開 か ず 」 と 愁 ふ る を あ は れ と 聞 こ し め す 。 「 昨 日 今 日 と 思 す ほ ど に 、 ニ 0 り 、 諸 説 紛 々 。 い ず れ に せ よ 、 時 や ど り の 経 過 に 無 常 を 感 じ 取 る 表 現 。 三 十 年 の あ な た に も な り に け る 世 か な 。 か か る を 見 つ つ 、 か り そ め の 宿 を え 思 ニ 一 現 世 を 仮 の 宿 と み な が ら も 、 そ の 現 世 の 移 り 変 る 万 般 の 美 し さ ひ 棄 て ず 、 木 草 の 色 に も 心 を 移 す よ 」 と 思 し 知 ら る る 。 口 ず さ び に 、 に 、 執 着 心 を 断 ち が た い と も す る 。 か き ね 一 三 「 よ も ぎ ・ : む す ば ほ る 」 は 、 蓬 い つ の ま に よ も ぎ が も と と む す ば ほ れ 雪 ふ る 里 と 荒 れ し 垣 根 そ が か ら ま る よ う に 繁 茂 す る 意 。 邸 の 荒 廃 を 象 徴 。 「 降 る 」 「 古 」 の 掛 や や 久 し う ひ こ じ ら ひ 開 け て 入 り た ま ふ 。 ニ 四 詞 。 前 の 「 昨 日 今 日 と : ・ ー の 述 懐 と ふ る こ と 宮 の 御 方 に 、 例 の 御 物 語 聞 こ え た ま ふ に 、 古 事 ど も の そ こ は か と な き う ち は 照 応 し 、 時 の 変 化 を 思 う 心 を 表 現 。 ニ 三 無 理 や り 引 っ 張 り 開 け て 。 じ め 、 聞 こ え 尽 く し た ま へ ど 、 御 耳 も お ど ろ か ず 、 ね ぶ た き に 、 宮 も あ く び う 一 西 女 五 の 宮 が 昔 語 り に 熱 中 。 一 宝 源 氏 の 関 心 は 姫 君 に あ る 。 ち し た ま ひ て 、 女 五 の 宮 「 宵 ま ど ひ を し は べ れ ば 、 も の も え 聞 こ え や ら ず 」 と の ニ 六 宵 か ら 眠 く な る こ と 。 毛 か か わ り 知 ら ぬ 下 品 さ の 表 現 。 ニ 七 た ま ふ ほ ど も な く 、 : し ひ き と か 聞 き 知 ら ぬ 音 す れ ば 、 よ ろ こ び な が ら 立 ち 出 で ニ 〈 よ う や く 解 放 さ れ た 気 持 。 み そ と せ あ あ ニ 六 よ ひ き た お も て あ

完訳 日本の古典 第十七巻 源氏物語 ㈣


・ よ 、 」 。 当 ・ 第 ■ 0 第 一 ・ ■ 源 氏 絵 の 図 様 を 物 語 本 文 と 照 合 し な が ら 整 理 す る と 、 全 編 五 十 四 帖 に も の ば る こ の 大 河 小 説 の 中 か ら 絵 に な る 情 景 と し て 選 ば れ 描 き 出 さ れ た 場 面 は 、 現 存 す る 源 氏 絵 の す べ て に わ た っ て み て も 、 た か だ か 二 百 場 面 に 満 た な い こ と に 驚 か さ れ る 。 し か も そ れ ら は い す れ も 、 長 短 の 差 は あ れ 物 語 の ほ ん の 一 齣 か ら 選 び 出 さ れ 、 本 文 の 叙 述 に 則 し て 絵 画 化 さ れ る こ と を 宀 吊 と し て い る の で あ る 。 と こ ろ が 上 図 は 、 六 曲 一 隻 の 屏 お と め 風 画 面 全 体 で 、 本 巻 の 「 少 女 」 か ら 「 胡 蝶 」 で 語 ら れ る 栄 華 を 極 め た 源 氏 の 理 ら よ う