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検索対象: 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩
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1. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

77 浮舟 御文を顔に押し当てて、しばしはつつめども、 いといみじく泣きたまふ。右近、天匂宮への断ちがたい執着。 「例の」と習慣化している点に注意。 ↓四二・五二・五五ハー 「あが君、かかる御気色つひに人見たてまつりつべし。ゃうやうあやしなど思 一九こんな様子に、ついには周囲 が気づこう。当座は、病気と偽る。 ふ人はべるべかめり。かうかかづらひ思ほさで、さるべきさまに聞こえさせた ニ 0 くよくよなさらず。 まひてよ。右近はべらば、おほけなきこともたばかり出だしはべらば、かばかニ一適当にご返事なさい。浮舟に、 匂宮に従うよう、暗に勧める。 り小さき御身ひとつは空より率てたてまつらせたまひなむ」と言ふ。とばかり一三あとは自分が引き受け、なん くめん とかうまくエ面しよう、の気持。 ・ ) ころう ニ五 ニ三姫君の小さいお体一つぐらい、 ためらひて、浮舟「かくのみ言ふこそいと心憂けれ。さもありぬべきことと思 宮が空からでもお連れになろう。 ひかけばこそあらめ、あるまじきこととみな思ひとるに、わりなく、かくのみニ四自分が宮に惹かれていると決 めてかかって言うのは情けない。 一宝宮に惹かれてもよいという気 頼みたるやうにのたまへま、 しいかなることをし出でたまはむとするにかなど思 になるのならともかく、とんでも ないこととよく分っているのに。 ふにつけて、身のいと心憂きなり」とて、返り事も聞こえたまはずなりぬ。 ニ六宮は、自分 ( 浮舟 ) が宮を頼っ ニ九 宮、かくのみなほうけひくけしきもなくて、返り事さへ絶ているように言われるので。 〔三一〕匂宮厳戒下の宇治 毛宮はどんな非常手段に出るか。 三 0 に赴くが浮舟に逢えず え絶えになるは、かの人のあるべきさまに言ひしたためて、夭わが身の悲運を繰り返し思う。 ニ九まだ浮舟が承知する様子もな く。以下、匂宮の心中。 すこし心やすかるべき方に思ひ定まりぬるなめり、ことわりと思すものから、 三 0 薫が適当に言い含めたので、 いと口惜しくねたく、さりとも我をばあはれと思ひたりしものを、あひ見ぬと幾分でも安心できそうなほうに、 浮舟の心が決ったのだろう。 だえに、人々の言ひ知らする方に寄るならむかしなどながめたまふに、行く方三一浮舟がこの私を。匂宮の自信。 ニ六 ふみ 一九 ニ四 けしき ニ七 かた

2. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

しがいたしまして、もうしばらく生き長らえておりまし ど、帝のおそばにもそれくらいの身分の娘をさしあげない ちょうあい たら、やはりおすがり申さなければなるまいと存じますわけでもない。 しかも、そうなるべき因縁があってご寵愛 につけても、ただ今は涙にくれておりまして、何事も申あそばすのだったら、それを人がとやかく言うべきことだ 語 物し果てることができかねているのでございます。 ろうか。まして臣下ともなればまた、素姓のいやしい女や 氏 などと書いてある。お使者に対してありきたりの引出物なすでに人に嫁したことのある女を妻にしている例はいくら 源 ひたちのかみ うわさ もあるのだ。あの常陸守の娘だったのかと世間で噂を立て どは見苦しいことだし、また何もしないのでは気がすみそ ひと うもないので、あの女君にさしあげようとのつもりで持っ られたとしても、あの女に対する扱いが、それによって自 ていた立派な斑犀の帯とみごとな太刀などを袋に入れて、 分の汚点になるような形で始ったのならば困りもしようが、 車に乗るときに、「これは亡き人のお志なのです」と言っ 一人の娘を死なせて悲しんでいる母親の心に、やはりその て贈らせたのであった。 娘の縁で面目を施すことになったのだと、身にしみて思っ てくれるくらいの心づかいを、ぜひ見せてやらねばならな 殿のごらんに入れると、「まったくあらずもがなのこと いのだ」とお思いになる。 を」とおっしやる。口上には、「母君ご自身が会ってくだ さいまして、たいそう泣きながらさまざまのことをおっし かの母君の所には、常陸守がやってきて、立ったまま、 ちょうだい やって、『幼い子供たちのことにまで仰せ言を頂戴いたし「こんな折も折、よくもこうしておられることだ」などと ましたのがまことにもったいないのに、また人数にもはい 腹を立てている。今まで長い間女君がどこにどうしておら らない分際ではかえって恥ずかしゅうございまして、他人れるかなど、ありのままには知らせてはいなかったのだか にはどのようなご縁故でなどとは分らぬようにして、見苦ら、どうせ情けない暮しをしておられるのだろうと守は思 やしき いもしまたロにしてもいたのだったが、母君は、大将殿が しい子供たちですがみなお邸に参上させご奉公いたさせま 京になどお迎えくださったらその後で、こうも世間に顔向 しよう』とのことでございました」と申しあげる。「なる かみ ほど格別のこともない親戚付合いというところだろうけれけのできるようになって、などと守に知らせてやろうと思 はんさい みかど いんねん

3. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

うも口ぶりが作り言のようでございましたので、なぜそん 出になるようにして、「大臣がお通りになりますよ」と、 せき 咳ばらいをしてご注意申される。宮がさっと手紙を隠されなことを申すのかと不審に思いまして、童にあとをつけさ ひょうぶきようのみや のうし たところへ、大臣が顔をお出しになる。宮は驚いて御直衣せましたところ、兵部卿宮のお邸に参りまして、式部少輔 みちさだのあそん の紐をおとめになる。大臣は膝をおっきになって、「私は道定朝臣にその返事をば手渡したのでございます」と申し あげる。大将の君はどうもおかしなこともあるものとお思 これで退出いたしましよう。ご病気がここしばらくお起り いになって、「その返事は、どんなふうにして手渡したの あそばさなかったのに、恐ろしいことでごギ、います。山の ぎす か」とお尋ねになる。「それは見ておりませぬ。私のおり 座主を今すぐお招きするように使いの者を出しましよう」 ましたのとは別の所から出したのでございます。下人の申 と、忙しそうにしてお立ちになった。 ふ しておりましたことには、赤い色紙の、まことにきれいな 夜が更けてからどなたもご退出になった。大臣は、宮に お供申しあげなさって、大勢のご子息たちの、上達部や君ものだと申しておりました」と申しあげる。あれこれお思 やしき い合せになると先ほどの手紙にまちがいない。そこまで見 達をひき従えてお邸へお戻りになった。大将殿はおくれて ご退出になる。先刻随身が様子ありげにしていたのを不審届けさせたとは気がきいているとお思いになるけれど、人 が近くにいるので詳しくはお尋ねにならない にお思いになっていたので、御前駆の者などが下におりて たいまっ 松明をともしている間に、その随身をお呼び寄せになる。 三五〕薫、匂宮の裏切り大将はお帰りの道すがら、「やはり 「先ほど申していたのはどういうことであったか」とお尋を怒り浮舟を詰問するあの宮はじつに恐ろしく抜け目なく いずものごんのかみときかたのあそん 舟 いらっしやるではないかいったいどうした機会にああし ねになる。「今朝、あの宇治で、出雲権守時方朝臣のとこ ひと ろに仕えております男が、紫色の薄様で桜の枝につけた手た女がいることをお聞きつけになったのだろう。またどん いなか つまど 浮 なふうにしてお言い寄りになったものか。あそこは田舎め 紙を、西面の妻戸に近寄って女房に渡しておりましたのを、 いた所だから、こうした筋のまちがいはまさかあるまいと 1 この私が見つけまして、かくかくしかじかと問いつめまし うかっ 思っていたのが迂闊であった。それにしても自分と無関係 たところが、つじつまの合わないことを言い言いして、ど ひも ひぎ

4. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

かうそ言はむかし、しひて問はむもいとほしくて、つくづくとうちながめつ 一三薫の心中。こんな場合はこう 答えるもの。主人を弁護し自分た つ、「宮をめづらしくあはれと思ひきこえても、わが方をさすがにおろかに思 ち女房の過失を隠すのが女房の常。 一四浮舟が。 はざりけるほどこ、 しいとあきらむるところなく、はかなげなりし心にて、この一五浮舟はまるで判断力に乏しく。 一六「・ : ましかば : ・まし」は反実仮 水の近きをたよりにて、思ひ寄るなりけんかし。わがここにさし放ち据ゑざら想の構文。浮舟を放置した悔恨。 一セ↓タ顔田一四三ハー注一一 0 の歌。 士しかば、いみじ / 、 , っキ、丗一に経と、も、 いかでかかならず深き谷をも求め出でま一 ^ ' つらい宇治川との因縁。「テ き」「うとましくと宇治川が同音。 うと しと、いみじううき水の契りかなと、この川の疎まし , っ思さるることいと朶 一九「水」「川」の縁で「深し」。 ニ 0 八の宮との親交以来、大君・ 中の君・浮舟に心惹かれてきたこ し。年ごろ、あはれと思ひそめてし方にて、荒き山路を行き帰りしも、今は、 とを一い , つ。、↓ 一一〇ハー一〇行。 こころう また、、い憂くて、この里の名をだにえ聞くまじき心地したまふ。 ニ一「憂し」に通する宇治の山里と いう地名。↓浮舟五五ハー一行。 ひとがた 宮の上ののたまひはじめし、人形とつけそめたりしさへゅゅしう、ただ、わ = = 中の君が浮舟のことをはじめ て言い出して、人形と呼んだこと あやま のち が過ちに失ひつる人なりと思ひもてゆくには、母のなほ軽びたるほどにて、後までも ( ↓宿木 3 〔 = 九〕 ) 。祓えの 後、川に流される「人形」が、不吉 うしろみ な運命を暗一小していたとする。 蛉の後見もいとあやしく事そぎてしなしけるなめりと心ゆかず思ひつるを、くは ニ三亡き浮舟の葬送。 ニ四 しう聞きたまふになむ、「いかに思ふらむ。さばかりの人の子にてま、、 。しとめニ四以下、浮舟の母の心中を忖度。 ニ五匂宮との秘事。 でたかりし人を、忍びたることはかならずしもえ知らで、わがゆかりこ、ゝ レし力なニ六自分の方 ( 薫 ) との関係で何か があったろうと。事実、母は正室 二の宮方を恐れていた。↓九三ハー。 ることのありけるならむとぞ思ふなるらむかし」など、よろづにいとほしく思 ニ 0 ふ かろ ひ そんたく

5. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

源氏物語 74 け だ 懈怠なくもよほしさぶらはせはべるを、さのごとき非常のことのさぶらはむを一女房のもとに男が忍んで来る ような、もってのほかのこと。 。いかでかうけたまはらぬゃうははべらんとなん申させはべりつる。用意し「ごとき」は漢文訓読語で、「雑事」 「懈怠」「非常」とともに男性用語。 びん おほごと ニ気をつけて奉仕せよ、の意。 てさぶらへ、便なきこともあらば、重く勘当せしめたまふべきよしなん仰せ一言 「勘当せしめ : ・」あたりで、薫の言 葉が直接話法から間接話法に転化。 はべりつれ、 。いかなる仰せ言にかと、恐れ申しはんべるーと言ふを聞くに、 四 三薫の意図が分らぬとして安心 ふくろふ させながら右近の了解を求める。 梟の鳴かんよりも、いともの恐ろし。答へもやらで、右近「さりや。聞こえさ 四梟は不吉な鳥。↓タ顔田一三 たが せうそこ せしに違はぬことどもを聞こしめせ。もののけしき御覧じたるなめり。御消息七ハー注一六の「凶宅詩」 ( 白氏文集 ) 。 五右近は内舎人に。 めのと もはべらぬよ」と嘆く。乳母は、ほのうち聞きて、「いとうれしく仰せられた六私が申しあげたとおりなのを。 警戒が厳しく匂宮にも危害が加わ ぬすびと とのゐびと九 りかねない、の意。浮舟への言葉 り。盗人多かんなるわたりに、宿直人もはじめのやうにもあらず、みな身の代 セ薫が、真相を知ったと察する。 やぎゃう りそと言ひつつ、あやしき下衆をのみ参らすれば、夜行をだにえせぬに」とよ ^ 乳母は警護の厳重さを聞き、 薫が浮舟を心配し盗人などの用心 をさせたもの、と勘違いして喜ぶ。 ろこぶ。 九転居して来た最初のころ。 一 0 自分の代理だ、と言っては。 君は、げに、ただ今、いとあしくなりぬべき身なめりと思 三九〕浮舟死を決意し、 = 夜回り。 匂宮の文殻を処分する すに、宮よりは、「いかにいかに」と、苔の乱るるわりな三右近の言うとおり、すぐにも 破滅しそうな身の上なのだろう。 さをのたまふ、いとわづらはしくてなん。「とてもかくても、一方一方につけ一三「君に逢はむその日をいっと 松の木の苔の乱れてものをこそ思 な て、いとうたてあることは出で来なん。わが身ひとつの亡くなりなんのみこそへ」 ( 新勅撰・恋二読人しらず ) 。 ( 現代語訳二九七ハー ) い五 かんだう ひじゃう ひとかた 六

6. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

53 浮舟 宅薫とはじめて契り交したこと。 めより契りたまひしさまも、さすがにかれはなほいともの深う人柄のめでたき 以下、浮舟の心に即し、「かかる ニ 0 うきことあたりから直接話法。 なども、世の中を知りにしはじめなればにや。「かかるうきこと聞きつけて思 天薫を「かれ」と呼ぶのは、匂宮 に親近感を抱いているから。 ひ疎みたまひなむ世こよ、、ゝ。ゝ し。しカて力あらむ。いっしかと思ひまどふ親にも、思 一九薫が男女の仲を最初に知った はずに心づきなしとこそはもてわづらはれめ。かく心焦られしたまふ人、はた、相手だからか。挿入句的な言辞。 ニ 0 薫が、匂宮との秘事を聞いて。 ニ一早く薫に迎えられるようにと。 かかるほどこそあらめ、また、か , っ いとあだなる御心本性とのみ聞きしかば、 一三匂宮。その浮舟恋慕が「心焦 ニ六 ニ七 ニハ かず られ」の語で繰り返されてきた。 ながらも、京にも隠し据ゑたまひ、ながらへても思し数まへむにつけては、か ニ三匂宮の「あだ心」は世間の定評。 ニ四熱中している間はともかく、 の上の思さむこと。よろづ隠れなき世なりければ、あやしかりし夕暮のしるべ やがて冷めてしまうだろう。 ばかりにだに、かうたづね出でたまふめり、まして、わがありさまのともかく一宝このまま匂宮に捨てられず。 ニ六↓五一ハー二行。 きず もあらむを、聞きたまはぬゃうはありなんや」と思ひたどるに、わが心も、瑕毛末長い思い人としての世話。 夭中の君への恩義。 ありてかの人に疎まれたてまつらむ、なほいみじかるべしと思ひ乱るるをりしニ九匂宮が二条院で出会っただけ の自分 ( 浮舟 ) を見出したこと。自 分を隠れようのない存在とみる根 も、かの殿より御使あり。 拠。「 : ・たまふめり」まで挿入句。 三ニ 三 0 自分が宮にかくまわれ京のど これかれと見るもいとうたてあれば、なほ一一 = ロ多かりつるを見つつ臥したまへ こかにいても薫にすぐ知られよう。 れば、侍従、右近見あはせて、「なほ移りにけり」など、言はぬゃうにて言ふ。三一薫。次@かの殿」も薫。 三ニ匂宮の長々しい文面の手紙。 かたち 侍従「ことわりそかし。殿の御容貌を、たぐひおはしまさじと見しかど、この三三浮舟の心が薫から匂宮に。 うへ 三三 ニ九 三 0 ニ玉

7. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

の 憎からぬ人の着すなる濡れ衣はいとひがたくも思ほゆるかな 残りなく散るそめでたき桜花ありて世の中はての憂ければ 紅葉賀六九 ( 三七五 ) 匂宮 3 一四 ( 四七 l) にくさのみ益田の池のねぬなははいとふにはゆるものにぞありける野辺見れば若菜摘みけりうべしこそ垣根の草も春めきにけれ 早蕨 = 一 ( 三六五 ) 初音一九五 ( 四 = 九 ) にほ鳥の息長川は絶えぬとも君に語らむ言尽きめやも 索 歌 タ顔田一三 0 ( 四四六 ) 語にほはねどほほゑむ梅の花をこそ我もをかしと折りてながむれ 初草のなどめづらしき言の葉そうらなくものを思ひけるかな 物 常夏 3 五 0 ( 三究 ) ・若菜下一一 = = ( 四一 0 ) 若紫田一セ一 ( 四四九 ) ・胡蝶団一一三一 ll( 四三五 ) ・総角 3 一一三九 ( 四九四 ) 氏 源匂ふ香の君思ほゆる花なれば折れる雫に今朝ぞ濡れぬる 初時雨ふるの山里いかならむ住む人さへや袖の濡るらむ 匂宮 3 一九 ( 四七 l) 総角 3 一三五 ( 四九一 ) 初瀬川古川の辺に二本ある杉年を経てまたも逢ひ見む二本ある杉 ぬ 玉鬘 3 一七一 l( 四毛 ) ・手習⑩一会 ( 四四 0 ) ぬきがは 浪立たば沖の玉藻も寄りくべく思ふ方より風は吹かなむ 貫河の瀬々のやはら手枕やはらかに寝る夜はなくて親放く 須磨 3 四一 ( 三五五 ) る夫 やはぎ 波にのみ濡れつるものを吹く風のたよりうれしき海人の釣舟 親放くる妻はましてるはししかさらば矢矧の市に沓買ひ にカむ 明石 3 六七 ( 三夭 ) せんがい 鳴り高しゃ鳴り高し大宮近くて鳴り高しあはれの鳴り高沓買はば線鞋の細底を買へさし履きて上裳とり着て宮路通 はむ 花宴八八 ( 三七九 ) ・常夏 3 四一 l( 三九七 ) 音なせそや密かなれ大宮近くて鳴り高しあはれの鳴り高主知らぬ香こそにほへれ秋の野に誰がぬぎかけし藤袴ぞも . し 匂宮 3 一九 ( 四七一 ) ・橋姫 3 一 0 六 ( 四大 ) あなかま子供や密かなれ大宮近くて鳴り高しあはれの ね 鳴・り , 高一ーし 馴れゆくは憂き世なればや須磨の海人の塩焼き衣間遠なるらむ ねぬなはの苦しかるらむ人よりも我そ益田の生けるかひなき タ顔田一五四 ( 四四七 ) 少女 3 究 ( 四一一 = ) 朝顔団大 ( 四一九 )

8. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

十六・香炉峯下新ト山居草堂初成偶題東壁 ) 五十八翁方ニ後有リ静カニ思フニ喜プニ堪へ亦嗟クニ堪へタ 須磨 3 四 0 Ⅱ・総角 3 一一六 = 5 ・ : 杯ヲ持チ祝ヒ願フニ他ノ語無シ慎ンデ頑愚ハ汝ノ爺ニ似 もたひほとり 柏木三九 4 甕ノ頭ノ竹葉ハ春ヲ経テ熟ス階ノ底ノ薔薇ハ夏ニ入リテ開ク ルコト勿レ ( 巻五十八・自嘲 ) や すなは ( 巻十七・薔薇正開春酒初熟因招劉十九張大夫崔一一十四同飲 ) 欣然トシテ三友ヲ得タリ三友ハ誰トカ為ス琴罷ンデ輒チ酒ヲ たがひ 賢木一九三川 挙ゲ酒罷ンデ輒チ詩ヲ吟ズ三友ハ逓ニ相引キ循環シテ已ム 時無シ ( 巻六十二・北窓三友 ) 末摘花一三 2 郷国ハ倶ニ抛ッ白日ノ辺往事渺茫トシテ都テ夢ニ似タリ旧遊 白雪ノ花繁クシテ空シク地ニ撲ッ緑糸ノ条ハ弱クシテ鶯ニ勝へ 零落ノ半ハ泉ニ帰ス酔ノ悲シビ涙ヲ灑ク春ノ盃ノ裏吟苦シテ ズ ( 巻六十四・楊柳枝詞 ) 若菜下一 7 頤ヲ支フ暁燭ノ前 ( 巻十七・十年三月三十日、別徴之於澄上、十 きめた 月ハ新霜ノ色ヲ帯ビ碪ハ遠雁ノ声ニ和ス ( 巻六十六・酬夢得霜 四年三月十一日夜、過微之於峡中、停舟夷陵、三宿而別、言不尽 タ顔田一 = 七 4 ・末摘花 = 0 者、以詩終之、因賦七言十七韻以贈、且欲寄所遇之地、与相見之 夜対月見懐 ) ともしびいっさん 時、為他年会話張本也 ) 須磨 3 五三 6 香火一炉灯一盞白頭ニシテハ夜仏名経ヲ礼ス ( 巻六十八・戯 幻一三一 6 礼経老僧 ) 鶯ノ声ニ誘引セラレテ花下ニ来タリ草ノ色ニ勾留セラレテ水辺 本朝秀句天ト善人トヲ吾ハ信ゼズ右将軍ガ墓ニ草初メテ秋ナリ ニ坐ス ( 巻十八・春江 ) 竹河 3 五五 4 四月ノ天気ハ和シテ且ッ清シ緑槐ノ陰合シテ沙堤ハ平カナリ ( 紀在昌 ) * 『本朝秀句』は『河海抄』所載の当該詩句ほか若干 胡蝶 3 一一一一八 の佚文を残すのみで、現在散佚 柏木五 = 9 ( 巻十九・贈駕部呉郎中七兄 ) あり うてな みなづきつごもりおおはらえのりと 風ノ竹ニ生ル夜窓ノ間ニ臥セリ月ノ松ヲ照ラス時台ノ上ニ行ク六月晦大祓祝詞八百万ノ神タチヲ神集へ集へタマヒ 須磨 3 五五 9 少女団一一八 8 ・胡蝶団一一三 ( 巻十九・贈駕部呉郎中七兄 ) しふ さや ちんしょ 天ノ下四方ノ国ニハ、罪トイフ罪ハアラジト、科戸ノ風ノ天ノ八 文誰ガ家ノ思婦カ秋帛ヲ擣ッ月苦カニ風凄ジク砧杵悲シメリ八 とど 重雲ヲ吹キ放ッ事ノ如ク、 : : : 彼方ノ繁木ガモトヲ焼鎌ノ敏鎌モ 灘月九月正ニ長キ夜千声万声了ム時無シ ( 巻十九・聞夜砧 ) 用 タ顔田一一一七 4 ・同一五四 4 ・末摘花 = 0 貶 チテウチ掃フ事ノ如ク : : : 大海ノ原ニ持チ出デナム 須磨 3 五五 6 ・朝顔団七三 9 ・橋姫 3 一 0 六 4 ・蜻蛉九五 9 語漆琴一張儒道仏書各三両巻楽天既ニ来リテ主為リ ( 巻二十 もうゅう 物 六・草堂記 ) 須磨 3 一三 5 蒙求蛍雪の功。孫康は雪光、車胤は蛍光で書を読む ( 上・孫康映 氏 いたづら こうじようなん 少女 3 一 0 一 2 雪車胤聚蛍 ) 源黄壌詛ゾ我ヲ知ラン白頭ニシテ徒ニ君ヲ憶フ唯老年ノ涙ヲ 毛詩注女ハ陽気ノ春ヲ感ジテ男ヲ思フ、男ハ陰気ノ秋ヲ感ジテ女 将テ一タビ故人ノ文ニ灑グ ( 巻五十一・題故元少尹集後 ) 若菜下圈一璧 6 幻一三 04 ヲ思フ 文選妾ハ巫山ノ陽高丘ノ岨ニアリ旦ニハ朝雲ト為リ暮ニハ 晴虹橋影出デ秋雁櫓声来ル ( 巻五十四・河亭晴望 ) 須磨 3 四一一 7 すべ なげ や

9. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

蓬生 3 一四四 ( 三六七 ) 椎本一三五 ( 哭 0 ) いにしへのこと語らへばほととぎすいかに知りてか古声のする 今さらに何生ひいづらむ竹の子の憂き節しげきよとは知らすや 花散里 = 0 五 ( 三九一 ) ・幻 = 一五 ( 四 0 四 ) 蓬生 3 一四一 ( 三六七 ) ・柏木三八 ( 三八七 ) ・横笛六一 ( 三九 0 ) いにしへのしづのをだまきくりかへし昔を今になすよしもがな 今そ知る苦しきものと人待たむ里をば離れす問ふべかりけり 語 物 早蕨一九 ( 三六四 ) 賢木一七五 ( 三公 ) ・若菜上六六 ( 四 0 一 ) 氏た上の鳥籠の山なるいさや川いさと答へよわが名洩らすな 今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな 朝顔団会 ( 四 = 一 ) 朝顔団八 = ( 四一一 0 ) 今はとて梢にかかる空蝉のからを見むとは思はざりしを 大上の鳥籠の山なる名取川いさと答へよわが名洩らすな タ顔田一夭 ( 四哭 ) 紅葉賀七四 ( 三大 ) ・玉鬘一五 0 ( 四 = 五 ) ・浮舟哭 ( 四一一 0 命だに心にかなふものならば何かは人を恨みしもせむ 今はとて忘るる草の種をだに人の心に蒔かせずもがな 若紫田一会 ( 四五一 ) 東屋一六七 ( 三七九 ) 今もかも咲きにほふらむ橘の小島の崎の山吹の花浮舟四七 ( 四 = 七 ) 命だに心にかなふものならば何か別れの悲しからまし いもかどせな 澪標 3 一一四 ( 三六四 ) ・薄雲団五 0 ( 四一四 ) ・タ霧一三五 ( 三九七 ) 妹が門夫が門行き過ぎかねてや我が行かば肱笠の肱笠の 雨もや降らなむしで田長雨やどり笠やどりやどりてま加ら 祈りつつ頼みぞ渡る初瀬川うれしき瀬にもながれあふやと 玉鬘団一七一一 ( 四毛 ) ・早蕨 = 五 ( 三六六 ) ・蜻蛉囮一三六 ( 四三六 ) むしで田長若紫田一一 0 一 l( 四五一 D ・末摘花一一 0 ( 三六 0 ・須磨 3 ( 三毛 ) いもあれ 岩くぐる山井の水をむすびあげて誰がため惜しき命とか知る 妹と我といるさの山の山蘭手な取り触れそや貌まさるがに 横笛六七 ( 三九一 ) 総角一一四六 ( 四九五 ) や疾くまさるがにや 伊予の湯の湯桁はいくついさ知らずやかずへすよまずや 石ばしる垂水の上の早蕨の萌え出づる春になりにけるかも 空蝉田九八 ( 四四三 ) 蓬生 3 一哭 ( 三六七 ) れそよゃなよや君そ知るらうや 色かへぬ花橘にほととぎす千代を馴らせる声聞こゅなり 言ひたてば誰が名か惜しき信濃なる木曾路の橋のふみし絶えなば 幻 = 一三 ( 四 OIII) タ霧第一六セ ( 四 00 ) 色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にそありける 言ふからにつらさぞまさる秋の夜の草のとざしにさはるべしやは 野分 3 六七 ( 四 0 一 D 若紫田一一 9 一 ( 四五一 I) 色も香も昔の濃さににほへども植ゑけむ人の影そ恋しき 言へばえに言はねば胸にさわがれて心ひとつに嘆くころかな 幻 = 0 八 ( 四 0 三 ) 色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅そも 今さらに訪ふべき人も思ほえず八重葎して門鎖せりてへ 須磨 3 一六 ( 三四九 )

10. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

241 夢浮橋 人知れずゆかしき御ありさまをもえ見ずなりぬるを、おばっかなく口惜しくて、三山の風が吹くにしても。 一六待っていても返事を得られそ 心ゆかずながら参りぬ。 うにない状態。用もなく日暮れま で長居するのを避けた。 っしかと待ちおはするに、かくたどたどしくて帰り来た宅姉に心ひそかに会いたいと思 〔三〕薫、浮舟の心をはし う、弟の気持である。 かりかねて、思い迷う れば、すさまじく、なかなかなりと思すことさまざまにて、一〈薫は、小君がいっ帰るかと。 一九小君が、わけも分らぬことで。 人の隠しすゑたるにゃあらんと、わが御心の、思ひ寄らぬ隈なく落としおきたニ 0 期待が外れて、なまじ使者を 派遣しなければよかったと。浮舟 まへりしならひにとぞ、本にはべめる。 との再縁を希求するのではない、 薫の本心が透視されよう。 ニ一誰か男がひそかに浮舟を隠し 住まわせているのだろうかと。薫 自身が、あれこれ気をまわしたう えで、かって浮舟を宇治あたりに 捨て置いた経験から邪推する。 0 俗世の人間関係を断ち、阿弥陀 仏にすがって未来の平安を祈る浮 舟は、今さらどうして後戻りでき ようか。僧都の手紙さえ鵜呑みに することなく、孤立無援のなかで 必死に薫との交渉を拒むほかない。 その孤独できびしい生き方はおの ずと、薫の「人の隠しすゑたるに ゃあらん : こという、無理解と俗 情を際だたせることにもなる。 一七 ニ 0 一九