斉信 - みる会図書館


検索対象: 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡
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1. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

かずらき しまったので、「葛城の神は、今はお手あげだ」と言って、 ほど、なるほど」と笑うのは、上等とはいえない。 逃げておいでになってしまったのだが、七夕の折に、この 人と話をすることを、碁にたとえて、親しく話し込みな ことを言い出したいものだと思ったけれど、「斉信様も参どしたのは、「置き手を許してしまったのだった」「けちを 議におなりになったので、必ずしもどうして、ちょうどう さしてしまった」などと言い、男の側からは、「手を受け まくその七夕びったりの時に見つけなどしようか。手紙を よう」などということを、他人には知らせないで、この斉 とのもづかさ なん 書いて、主殿司などに託して届けよう」などと思ったころ信の君とお互いに心得て言うのを、「いったい何のことだ、 に、ちょうど七日に参上なさっていたので、うれしくて、 何のことだ」と源中将はわたしにくつついてたすねるけれ ど、わたしが言わないので、源中将は斉信の君に、「やは 「もしあの夜のことなどを言い出すなら、具合が悪いこと ふたり りこのわけをおっしゃい」とお恨みになって、お二人は仲 には、きっとお気づきになる。何ということもなしにふい と言ったならば、『いったい何のことだ』などと首をおか がよい間柄なので聞かせてしまったのだった。 しげになるだろう。そうしたらそれに応じて、あの時にあ とてもあっけなく、話をする間もなく近しくなってしま くず ったことを言おう」と思っているのに、少しもまごっかずったのは、「石を崩すあたりまで行っている」などと言う におあしらいになっていたので、ほんとうにひどくおもし のに、源中将は自分もわかってしまったのだと、いっか早 く知らせたいものだというわけで、わざわざわたしを呼び ろかった。何か月もいっその時が来るか早く来てほしいと 思っていたのでさえ、自分の心ながら物好きだと感じられ出して、「碁盤はございますか。わたしも碁を打とうと思 段 うのはどうでしよう。『手はお許しになる』でしようか たのに、どうしてそんなに、とはいえ、予期していたかの とう ようにおっしやったのだろう。あの時一緒にくやしがって碁は頭の中将と『同等』なのです。どうかわけ隔てをなさ 第 らないでください」と言うので、「だれにでもそんなこと 言った中将は、まるで気がっきもしないで座っているのに、 ばかりしていたら、『定め』がないことになるでしようか」 「あの時の暁のことをば、とがめられているのがわからな とあしらって答えたのを、源中将があの斉信の君にお話し いのか」と宰相の中将がおっしやるのではじめて、「なる さだ

2. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

枕草子 272 に、夜も寝ていると、古い建物なので、むかでという物が、れないでそれを心得て応答するのは、おもしろいことであ 一日中落ちかかってきたり、蜂の巣の大きくて、それに蜂るその中でも、女房などこそはそのような物忘れはしない ものだけれど、男はそうでもない。自分が詠んだ歌をさえ がくつついて集っているのなどが、なんともひどく恐ろし てんじようびと いいかげんに覚えているのが普通なのに、斉信の君の物覚 、。殿上人が毎日参上し、夜もここに座ったままで明かし、 えのいい御返事はほんとうにおもしろい。御簾の中にいる わたしたち女房と話をするのを聞いて、「秋ばかりにや、 ぎん だいじゃうくわん 太政官の地の、今やカヰにならむ事を」と声に出して吟女房たちも、外にいる男がたも、何のことか意味がわから し・よう・ ないと思っているのこそ、もっともなことであるよ。 誦していた人こそおもしろかった。 てん ほそどの というのは、この三月の三十日、細殿の第一の戸口に殿 秋になっているけれど、秋のくるという片方の道も涼し じようびと くはない風の、場所柄で、ここはあるようである。それで上人がたくさん立っていたのだが、だんだん静かに退出し とう くろうど もやはり、虫の声などは聞えている。八日に中宮様はお帰などして、ただ頭の中将、源中将、それに六位の蔵人一人 たなばたまつり が残って、いろいろの事を話し、経を読み歌をうたいなど りあそばされたので、七夕祭などの催しで、いつもよりは するのに、「夜もすっかり明けてしまったようだ。帰ろう」 庭が近く見えるのは、場所が狭いからなのであるようだ。 わか と言って、「露は別れの涙なるべし」ということを、頭の げん 一六六宰相中将斉信、宣方の中将と 中将が吟じ出しなさっているので、源中将も一緒に、とて ぎんしよう たなばた さいしよう ただのぶ のぶかた もおもしろく吟誦している時に、「気の早い七夕ですこと」 宰相の中将斉信が、宣方の中将と参上していらっしやる あかっき とわたしが言うのを、ひどくくやしがって、「暁の別れと ので、女房たちが端に出てお話などしている時に、わたし おもむき がだしぬけに、「あしたはどのような詩を」と言うと、斉 いった趣が、ふっと頭に浮んできてしまったままに言って、 みじめなことになったな」と、「万事このあたりでは、こ 信の君は少し思案して、つかえることもなく、「『人間の四 うしたことをよく気をつけないで言うのは、くやしい目に 月』をこそ吟じよう」と応答なさっているのは、とてもお としつき もしろかったことよ。年月の過ぎたことであるけれど、忘あいますね」などと言って、あたりがあまり明るくなって ( 原文七三ハー ) はち げん

3. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一長徳元年 ( 究五 ) 十月二十一日 来れ。 いわしみず ワ】 に一条天皇が石清水八幡宮に行幸 にようゐん三さじき やはたぎゃうかう され、翌日還御のことが『小右記』 八幡の行幸の、かへらせたまふに、女院御桟敷のあなたに御輿をとどめて、 子 『日本紀略』に見える。 六 五せうそこ ニ一条天皇の母、東三条院藤原 草御消息申させたまひしなど、いみじくめでたく、さばかりの御ありさまにて、 詮子。三巻本「女院の」。 枕 三行列を見物するための仮桟敷。 かしこまり申させたまふが、世に知らずいみじきに、まことにこばるれば、ヒ 四帝の御輿。神事の行幸は葱花 ただのぶ せんじ つかひ 粧じたる顔もみなあらはれて、いかに見苦しかるらむ。宣旨の御使にて、斉信鱒 ごあいさっ 五帝から女院への御挨拶。口上 さいしゃうの の宰相中将の、御桟敷にまゐりたまひしこそ、いとをかしう見えしか。たたの場合にもいう。 六帝という尊い位にありながら むまぞひ ) うぞ 御母の女院に対し礼をつくされる 随身四人、いみじう装束きたるども、馬副の、ほそうしたてたるばかりして、 様子をさす。 おほぢ セ涙が 二条の大路ひろう清らにめでたきに、馬をうちはやしていそぎまゐりて、すこ 〈あらわになって。一説、洗わ 一五べたう し遠くよりおりて、そばの御簾の前に候ひたまひし。院の別当そ申したまひし。れて。 九帝の仰せ言を伝える使い 御返りうけたまはりて、また走らせ帰りまゐりたまひて、御輿のもとにて奏し一 0 藤原斉信。長徳二年四月参議 ( 宰相 ) に任じたのでこの当時は頭 たまひしほど、言ふもおろかなりや。さてうちわたらせたまふを、見たてまつ中将。のちの官名をもって記した もの。二十九歳。 らせたまふらむ女院の御心、思ひやりまゐらするは、飛び立ちぬべくこそおば = 斉信の供としての随身。 三史実によると朱雀大路。 きは 一三馬をあおって元気を出させる。 えしか。それには、長泣きをして笑はるるぞかし。よろしき際の人だになほこ 一四女院のおられるわきの御簾。 一五女院の庁の長官が、斉信から の世にはめでたきものを、かうだに思ひまゐらするもかしこしゃ。 さう ずいじん 一セ 一ぶら

4. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

てあの人のように吟誦しないでは」などとおっしやる。 申しあげたところ、「うれしくも言ってくれた」とお喜び 「『三十の期』という所が、何から何までとても魅力的でし になったことだ。やはり過ぎ去った昔の事を忘れない人は、 た」などと言うので、いまいましがって笑って歩きまわる とてもおもしろい 子 しゅじよう のに、斉信の君が近衛の陣に着座しておいでだった折に 頭の中将が参議におなりになったのを、わたしが主上の 草 ぎんしよう 御前で、「あの方は詩をたいへんおもしろく吟誦いたしまわざわざ呼び出して、「少納言がこう言います。やはりそ せうくわいけいこべう こを教えてください」と言ったので、笑って源中将に教え したものを。『蕭会稽の古廟をも過ぎにし』などの詩も、 つばね たのだったこともわたしは知らないのに、局のそばで、ひ 他のだれが吟じようといたすことでございましようか。し どく斉信の君にうまく似せてこの詩を吟じるので、変だと ばらくの間、参議にならないで、お仕え申しあげればよい 残念ですもの」などと申しあげたところ、主上はたいへん思って、「いったいこれは、だれですか」とたずねると、 にやにやした声になって、「たいへんおもしろいことを申 お笑いあそばされて、「それではそなたがそう言うからと しあげよう。これこれしかじか、きのう陣に着座していた いって、参議にはしまいよ」などと仰せになったのもおも 時に、聞いてきて、それでわたしはここにちゃんと立って しろい。けれども、参議におなりになってしまったので、 るようです。『だれですか』と、やさしい調子でおたず ほんとうにさびしくて物足りない感じでいたところ、源中い 将が自分は斉信の君に負けないと思って、風流ぶって歩きねになっていらっしやるのだから」と言う。その、わざわ さいしトっ ざそうしてお習いになったと聞くことがおもしろいので、 まわるので、わたしが宰相の中将のおうわさを口に出して それ以来、源中将がただこの詩を吟ずる声をさえ聞くと、 言って、「『いまだ三十の期におよばず』という詩を、他の さい。しっ・ 人とは似つきもしないほどおもしろく誦んじなさる」などわたしは出て行って話などするのを、「宰相の中将のおか おが げをこうむることだ。四方に向って拝まなければならな と一言 , っと、「ど , っしてそれに負けよ , つか。きっともっと , っ ごぜん い」などと言う。局に下がっていながら「御前に伺ってい まくやろう」と言って吟誦する。「全くの下手というわけ しもづか ますなどと、下仕えの者に言わせるのに、源中将がこの でもありませんーと言うと、「情けないことだな。どうし へた このえ

5. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

はねば、かの君に「なはこれのたまへ」とうらみられて、よき仲なれば聞かせ一「うらみられ」の「られ」を受身 とみれば「かの君」は源中将である け「り % が、直前に斉信を「この君」という 子 点からみて疑わしい。仮に斉信と みて「られ」は源中将に対する軽い いとあへなく、言ふほどもなく近うなりぬるをば、「おしこばちのほどぞ」 尊敬と考えておく。 など言ふに、われも知りにけると、いっしか知らせむとて、わざと呼び出でて、ニ対局が終って石を崩すこと。 終局に近づいた。 とうの 「碁盤侍りや。まろも打たむと思ふはいかが。手はゆるしたまはむや。頭中将三源中将は、実は自分も知って 六 しまったということを私に早く知 さだ らせたいと思って。 と『ひとし』なり。なおばしわきそ」と言ふに、「さのみあらば、『定め』なく 四先の碁の言葉の応用。 や」といらへしを、かの君に語りきこえければ、「うれしく言ひたる」とよろ五「同等」なのです。 六「定め」の「め」に碁の「目」をか けたもの。「定めなし」は無節操。 こびたまひし。なほ過ぎたる事忘れぬ人は、いとをかし。 九 セ「し」は自分の経験した過去に さいしゃう 宰相になりたまひしを、うへの御前にて、「詩をいとをかしう誦んじはべりついて用いる「き」の感動表現 〈斉信についての感想。 せうくわいけいこべう しを。『蕭会稽の古廟をも過ぎにし』なども、たれか言ひはべらむとする。し九宰相になると頭中将の時と異 なって清涼殿への出入りは少なく き一ぶら なる。以下は作者が天皇の御前で ばしならでも候へかし。くちをしきに」など申ししかば、いみじう笑はせたま 半ば女房との会話という形をとっ て申しあげた言葉であろう。 ひて、「さなむ言ふとて、なさじかし」など仰せられしもをかし。されど、な せうくわいナ、 一 0 「蕭会稽ノ古廟ヲ過グルヤ、 りたまひにしかば、まことにさうざうしかりしに、源中将、おとらずと思ひて、託ケテ異代ノ交ヲ締ビ : ・」 ( 和漢朗 詠集・交友 ) をさす。 さいしゃうの うへ ゅゑだちありくに、宰相中将の御上を言ひ出でて、「『いまだ三十の期におよ = 参議にならすにお仕えすれば ごばん 七 八 ず め

6. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

員り ) 枕草子絵巻 おられる。一三八段の内容から推 【一すと、「月秋として身いまいづく にか」と吟した頭中将斉信の才に 賛嘆する清少納一三口に、衄明リかけて お、られるところか なおこの「絵」とは別に同一三八 段に相当する「詞」も「故殿の御 ために月ごとの十日経佛などくや うせさせたまひしを、九月十日し きの御ざうしにてせさせ給」には しまって全段付随している 東京都・浅野長愛氏蔵

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

75 第 166 段 なき」とて、逃げておはしにしを、七夕のをり、この事を言ひ出でばやと思ひ出したままに言ってしまって。 一四↓三七ハー注一三。葛城の神の私 は、もう逃げるより仕方がない。 かならずしもいかでかは、そのほどに見 しかど、「宰相になりたまひしかば、 「すち」は「術」。 ふみ とのもづかさ つけなどせむ。文書きて、主殿司などにてやらむ」など思ひしほどに、七日ま一五斉信が参議になったのは前述 のように長徳二年なので、この段 一九 ゐりたまへりしかば、うれしくて、「その夜の事など言ひ出でば、心もそ得たの年時を長徳元年とみるかぎり作 者の錯覚か脚色ということになる。 くろうど 一六参議は蔵人頭とちがって殿上 まふ。すすろにふと言ひたらば、『あやし』などやうちかたぶきたまはむ。さ に日勤するわけではないから、必 らばそれには、ありし事言はむとてあるに、つゆおばめかでいらへたまへりすしも七夕に見つけられはしまい とのもづかさ 宅主殿司などという手段をとっ て、の意か しかば、まことにいみじ , つをかしかりき。月ごろいっしかと思ひはべりしだに、 みそか 天三月晦日の夜のことを私が。 すず 冫しカてさはた思ひまうけたるやうにの一九きっとお気づきになる。 わが心ながら好き好きしとおばえしこ、、ゝ。 ニ 0 少しもまごっかすに。 たまひけむ。もろともにねたがり言ひし中将は、思ひもよらでゐたるに、「あニ一「はべり」が地の文に用いられ るのは不審。「思はれたりし」の誤 りし暁の事は、いましめらるるは知らぬか」とのたまふにそ、「げにげに」と伝か 一三七夕の今日は逆に四月の詩を と持ち構えたように答えたこと。 笑ふ、わろしかし。 ニ三三月末のあの時に。 一西斉信と私は、人と話をするこ 人といふ事を碁になして、近く語らひなどしつるをば、「手ゆるしてける」 ニ七 とを碁の用語にたとえて。 てう 「けちさしつ」など言ひ、男は、「手受けむ」など言ふ事を、人には知らせず、ニ五たやすく先手を許した。 ニ六終局にだめをさした。 毛何目か置こう。 この君と心得て言ふを、「何事そ、何事ぞ」と源中将は添ひっきて問へど、言 ニ四 あかっき をとこ ニ 0

8. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

73 第 166 段 ( 現代語訳二七一一ハー ) 見に出で来て、たはぶれさわぎ笑ふもあンめりしを、「かうはせぬ事なり。上月華門。三巻本「・左衛門の陣」。 ニ 0 一九 一九公卿が着座する腰掛 じゃうくわん しゃうじ だちめ じようかん 達部のつきたまふ倚子などに、女房どものばり、上官などのゐる床子を、みなニ 0 政官の借字。太政官。 ニ一机に似た背もたれのない腰掛 一三底本原本「うちとをし」。 うち倒しそこなひたり」など、苦しがる者どもあれど、聞きも入れず。 ニ三出典不詳。直訳すれば「秋ぐ かはらぶき 屋のいと古くて、瓦葺なればにゃあらむ、暑さの世に知らねば、御簾の外に、らいなものだろうか、太政官の地 が今やかゐになろうことを」とな むかで ひひとひ 夜も臥したるに、古き所なれば、蜈蚣といふ物の、日一日落ちかかり、蜂の巣る。「かゐ」は不明。三巻本「・あに はかりきや、太政官の地のいまや てんじゃうびと かう ( 夜行 ) の庭とならむ事を」。 の大きにて、つきあつまりたるなど、 いとおそろしき。殿上人日ごとにまゐり、 ニ四「夏と秋とゆきかふ空のかよ よる だいじゃうくわん ひちはかたへすすしき風や吹くら 夜もゐ明かし、物言ふを聞きて、「秋ばかりにや、大政官の地の、今やかゐに む」 ( 古今・夏躬恒 ) による。 ず ニ五「七月八日今暁中宮太政官ョ ならむ事を」と誦し出でたりし人こそをかしかりしか。 リ禁中ニ還入」と、三巻本勘物に 秋になりたれど、かたへ涼しからぬ風の所がらなンめり。さすがに虫の声なある。 きこうでん ニ六乞巧奠の祭。還御の前日七月 ニ五 たなばたまつり どは聞えたり。八日そ帰らせたまへば、七夕祭などにて、例よりは近う見ゆる七日に太政官で行われた。 毛庭の祭場が。一説、星が。 夭太政大臣藤原為光の次男。参 は、ほどのせばければ、なンめり。 議 ( 宰相 ) になったのは長徳一一年四 月。一六六段は前段と一続きのも のなので一段にまとめる説もある。 一六六宰相中将斉信、宣方の中将と ニ九左大臣源重信の息。正暦五年 ニ九 ( 究四 ) 八月右中将。 ただのぶのぶかた 三 0 後文からみて七月七日のこと。 宰相中将斉信、宣方の中将とまゐりたまへるに、人々出でて物など言ふに、 よるふ ニニたふ ニ八 さいしゃうの きこ し 三 0 みすと かん

9. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

一四一円融院の御果ての年 : ・ 一四二つれづれなるもの 一四三つれづれなぐさむもの : 一四四とりどころなきもの : 一四五なほ世にめでたきもの臨時の祭 のおまへばかりの事 : 一四六故殿などおはしまさで、世ノ中に 事出で来 : ・ 一四七正月十日、空いと暗う : ・ 一四八清げなるをのこの、双六を : 一四九碁をやんごとなき人の打っとて : : : 五九 : ・ 一五〇おそろしげなるもの 一五一清しと見ゆるもの 一五二きたなげなるもの : 一五三いやしげなるもの : 一五四胸つぶるるもの 一五五うつくしきもの・ 一五六人ばへするもの 一五七名おそろしきもの E.g pg 四 ノ人ノ人ノ人 . 五 . ・ : 一一六四 一五八見るにことなる事なきもの、文字 に書きてこと。ことしき : 一五九むつかしげなるもの 一六〇えせものの所得るをりのこと : 一六一苦しげなるもの 一六二うらやましきもの : 一六三とくゆかしきもの : 一六四 . 心もとなきもの・ 一六五故殿の御服のころ : 一六六宰相中将斉信、宣方の中将と : 一六七昔おばえて不用なるもの : ・ 一六八たのもしげなきもの : 一六九読経は不断経 : ・ 一七〇近くて遠きもの : 一七一遠くて近きもの : 一七二井は : 一七三受領は : 一七四やどりづかさの権の守は・ : 一七五大夫は : ノ又ノ、ノ入 . ノ人ノ入ノ、ノ人ノ、一ヒ - ヒーヒフ、プくプくフ、プくプくフ、 ( こ ) ( こ ) 夛し ツしツし一ヒプくプく . 五 . 五 . ・ : 一一七六

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

いまいづくにか」といふ事を、うち出だしたまへりしかば、いみじうめでたし。一これほどびったりした句を。 -4 ニ中宮様の御座所。 いかでかは思ひ出でたまひけむ。おはします所に分けまゐるほどに、立ち出で三中宮様は立ってお出ましにな 子 四宴の半ばで中座して。 草させたまひて、「めでたしな。いみじう今日の事に言ひたることにこそあれ」 五頭中将 ( 斉信 ) びいきのお前 枕 ( 清少納言 ) にとっては。 とのたまはすれば、「それ啓しにとて、物も見さしてまゐりはべりつるなり。 六頭中将は私を。 なほいみじくめでたくこそ思ひはべれ」と聞えさすれば、「ましてさおばゆらセ「まほは「かたほ」の対。まと もに。夫婦として、の意。 ^ 古いなじみ、ひいき。 むーと仰せらるる。 九あなた ( 作者 ) とのお付合の思 わざと呼びも出で、おのづから会ふ所にては、「などかまろをまほに近くは 一 0 親しいお付合をするのは、む ずかしくはありませんが、仮にそ 語らひたまはぬ。さすがににくしなど思ひたるさまにはあらずと知りたるを、 うなったあとでは。 とくい = まるで役目のようにおほめ申 いとあやしくなむ。さばかり年ごろになりぬる得意の、うとくてやむはなし。 九 しあげるのに。 なに′」と てんじゃう あ 殿上などに、明け暮れなきをりもあらば、何事をか思ひ出でにせむ」とのたま三私に御好意だけお持ちくださ いませね。 のち かしやく へば、「さらなり。かたかるべき事にもあらぬを、さもあらむ後には、えほめ一三 ( 夫婦となったら ) 良心の苛責 にたえかねて、ほめ言葉も口にし おまへ にノ、 , っ′ギ、い士ー ) よ , っ・ものを一。 たてまつらざらむが、くちをしきなり。うへの御前などにて、やくとあつまり 一四そういう人こそ夫を他人の目 てほめきこゆるこ、 しいかでか。ただおばせかし。かたはらいたく、心の鬼出で以上にほめる連中が多いのだ。 一五それが私の気にさわらないの ならそれでもよいでしようが : 来て、言ひにくくはべりなむものを」と言へば、笑ひて「など。さる人しも、 きこ