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能楽手帖


能 楽 手 帖 権 藤 芳 一

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能 楽 手 帖 権 藤 芳 一

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著 者 略 歴 1930 年 京 都 に 生 ま れ る 。 同 志 社 大 学 文 学 部 卒 業 。 京 都 観 世 会 事 務 局 に 30 年 勤 務 。 の ち 大 阪 学 院 大 学 国 際 学 部 で 古 典 芸 能 を 講 じ 、 平 成 13 年 3 月 退 職 。 現 在 、 演 劇 評 論 な ど 幅 広 く 活 躍 を 続 け る 。 著 書 に 「 世 阿 弥 を 歩 く 」 「 近 代 歌 舞 伎 劇 評 家 論 」 「 能 に 生 き る 歴 史 群 像 」 「 文 楽 の 世 界 」 、 編 著 に 「 日 本 の 古 典 芸 能 ・ 歌 舞 伎 」 「 日 本 庶 民 文 化 史 料 集 成 ・ 歌 舞 伎 」 な ど 。 平 成 十 五 年 九 月 十 日 平 成 十 五 年 九 月 十 五 日 製 本 能 楽 手 帖 著 者 権 藤 芳 一 発 行 者 丸 岡 圭 一 印 刷 所 平 河 工 業 社 〒 一 〇 一 ー 〇 〇 五 一 東 京 都 千 代 田 区 神 田 神 保 町 三 ー 六 株 式 ヒ ヒ 会 社 ム 目 楽 書 林 電 話 〇 三 ( 三 二 六 四 ) 〇 八 四 六 < 〇 三 ( 三 二 六 四 ) 〇 八 四 七 1.400 円 ( + 税 )

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に 進 ん で お り 、 民 衆 の 人 気 も 猿 楽 よ り ま さ っ て い ま し の 中 に 取 り 入 れ 、 新 し い 時 代 の 芸 能 に 仕 立 て 上 げ ま し た 。 で す か ら 、 観 阿 弥 は 観 世 流 の 流 祖 と い う だ け で な 観 阿 弥 ( 一 三 三 三 ー 八 四 ) は 、 元 弘 三 年 、 鎌 倉 幕 府 く 、 今 日 の 能 の 大 成 者 で も あ る の で す 。 が 滅 び た 年 に 生 ま れ 、 い わ ゆ る 南 北 朝 時 代 を 生 き 抜 き 、 観 阿 弥 は 、 大 和 か ら 京 都 へ 進 出 し 、 応 安 七 年 ( 一 三 至 徳 元 年 に 五 十 一 一 歳 で 没 し ま し た 。 彼 は 三 十 歳 の 頃 、 七 四 ) 、 今 熊 野 で 勧 進 能 を 催 し 、 時 の 将 軍 足 利 義 満 に ゅ う ざ き 大 和 の 結 崎 村 で 座 を 結 成 し ま し た 。 で す か ら 結 崎 座 と 認 め ら れ ま す 。 こ の 時 点 か ら 、 能 は 大 き く 変 っ て ゆ く み よ ま る 称 し て い ま し た が 、 観 阿 弥 は 初 め 、 観 世 丸 と い う 名 だ の で す 。 っ た の で 〈 観 世 〉 と 呼 び な ら わ す よ う に な り ま し た 。 世 阿 弥 ( 一 三 六 三 ? ー 一 四 四 三 ? ) は 、 父 観 阿 弥 に 結 崎 座 は 、 大 和 猿 楽 四 座 の う ち で は 、 一 番 歴 史 が 新 し 劣 ら な い 天 才 で し た 。 義 満 が 、 猿 楽 の 能 に 注 目 し た の い の で す が 、 た ち ま ち 他 の 三 座 を お さ え る よ う に な り は 、 観 阿 弥 の 芸 に む し た だ け で な く 、 当 時 十 一 一 歳 だ ま す 。 そ れ は 、 観 阿 弥 が 能 役 者 と し て 上 手 で あ っ た だ っ た 世 阿 弥 の 可 憐 さ に す っ か り ほ れ こ ん だ た め で す 。 け で な く 、 他 の 三 座 の 能 に は 見 ら れ な い 新 し い 魅 力 が 、 世 阿 弥 は た だ の 美 少 年 だ っ た だ け で な く 、 実 に 豊 か な 観 客 を ひ き つ け た の で す 。 そ の 頃 の 大 和 猿 楽 の 能 は 、 才 能 を 持 っ て い ま し た 。 彼 は " 花 の 御 所 サ ロ / と で 物 真 似 本 位 で 、 特 に 鬼 な ど の 荒 々 し い 芸 を 売 り 物 に し も 呼 び た い 文 化 的 な 環 境 の 中 で 、 王 朝 文 芸 へ の 深 い 教 て い ま し た 。 観 阿 弥 は 、 近 江 猿 楽 の 歌 舞 的 な 芸 風 や 田 養 を 身 に つ け 、 そ の 才 能 を 遺 憾 な く 発 揮 し ま し た 。 彼 楽 の 名 人 一 忠 の 風 体 を 学 び 、 ま た 当 時 流 行 し て い た は 、 恵 ま れ た 前 半 生 に く ら べ て 、 悲 運 な 晩 年 を 送 り ま く せ ま い 曲 舞 の リ ズ ム 、 小 歌 の メ ロ デ ィ ー の 面 白 さ な ど を 猿 楽 す が 、 そ の 八 十 年 の 生 涯 を 通 じ て 、 父 の 開 拓 し た 新 し 川

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地 に 達 す る 盧 生 の 心 の 動 き を 、 現 実 と 夢 と を 交 錯 さ せ つ つ 、 一 場 物 に ま と め た 構 名 道 邯 鄲 ) 成 は 、 能 の 中 で も 特 異 で す 。 ま た 普 通 は 、 ワ キ が 現 実 の 人 間 で 、 そ の ワ キ の 夢 の 中 に シ テ が 現 れ て く る の で す が 、 こ の 能 で は 、 シ テ の 夢 の 中 に 現 れ て 来 ま す 。 こ ー 演 能 時 間 う し た 例 は 他 に あ り ま せ ん 。 一 時 間 四 十 分 盧 生 が 枕 に 伏 し た 時 、 す で に 夢 中 の 人 物 で あ る 勅 使 一 行 が 橋 掛 り を 歩 ん で く る 第 小 書 ひ や っ か ん け い し よ 、 つ 笠 之 次 第 ( 宝 ) 、 今 合 返 ( 観 ) 、 栄 華 / 」 ・ ラ ッ プ の 手 法 、 帝 王 自 ら が ま っ て い る 最 中 に 、 百 官 卿 相 ら が さ っ と 切 掛 ( 剛 ) 、 傘 之 出 ( 宝 ・ 喜 ) 、 盤 渉 戸 口 へ 消 え る フ ェ イ ド ・ ア ウ ト の 技 法 を 用 い て 、 舞 台 の 進 行 は ス ピ 1 デ ィ 1 に 運 ( 宝 ・ 剛 ・ 観 ) 、 藁 屋 ( 観 ) 、 十 二 段 之 ん で ゆ き ま す 。 安 宿 の 寝 室 が 、 た ち ま ち 宮 殿 に 変 り 、 再 び も と の 寝 室 に も ど る 乍 イ 楽 ( 剛 ・ 喜 ) 、 窕 ( 観 ) 、 夢 中 酔 舞 ( 観 ) 、 り 物 の 用 い 方 ー ・ ・ こ う し た 写 実 的 な 近 代 劇 に は な い 大 胆 な 演 出 に 、 西 洋 の 演 劇 人 が 働 ( 観 ・ 喜 ) 、 月 之 働 ( 剛 ) 、 置 鼓 目 を 見 は っ た の も 無 理 は あ り ま せ ん 。 こ う し た 内 容 や 構 成 で 、 能 楽 フ ァ ン 以 外 に ( 大 ・ 和 ) も 人 気 の あ る 曲 で す が 、 能 と し て は 、 一 曲 の 中 心 は や は り シ テ の ま う 〈 楽 〉 に あ い ち じ よ 、 つ だ い り ま す 。 狭 い 一 畳 台 を 広 大 生 呂 殿 と 見 て 、 四 方 の 柱 に あ た ら な い よ 、 つ に 大 き く ま そ ら お う の が ロ 伝 で す 。 〈 楽 〉 の 途 中 で 、 ふ と 足 を 踏 み は ず し 、 思 わ ず 柱 を 握 る 箜 下 り 〉 と い う 型 は 、 夢 の 中 へ 一 瞬 現 実 が 姿 を の ぞ か せ る よ う な 皮 肉 な 演 出 で す 。 【 備 考 】 フ ラ ン ス 近 代 劇 の 父 と い わ れ た ジ ャ ッ ク ・ コ ボ 1 は 一 九 二 四 年 、 こ の 能 の 上 演 を 企 画 、 準 備 を す す め ま し た が 、 初 日 前 に 主 演 者 が 負 傷 し 、 不 幸 に も 実 現 地 日 月 遅 し ど 、 云 ふ 2 寐 は れ た に い た り ま せ ん で し た 。 も し 成 功 し て い れ ば と 思 わ せ る 事 件 で す 。

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い 猿 楽 を 更 に 発 展 さ せ 、 〈 幽 玄 〉 と い う 美 学 を 生 み だ て い た 能 は 、 時 代 と 共 に 流 動 し て い ま し た 。 能 が 創 造 的 な 活 動 を 停 止 し 固 定 化 し た の は 江 戸 時 代 し 、 確 皿 し た 〈 複 式 夢 幻 能 〉 と い う 構 成 に よ り 、 す ぐ れ た 作 品 を 書 き 、 高 度 な 舞 台 芸 能 と し て 完 成 さ せ ま し に 入 り 、 幕 府 の 式 楽 と 決 め ら れ て か ら で す 。 キ リ シ タ た 。 彼 は 、 作 者 、 演 出 家 、 役 者 で あ る と 同 時 に 理 論 家 ン 林 岺 や 鎖 国 令 な ど が 布 か れ 、 徳 川 封 建 制 度 が 次 第 に で も あ り 、 『 風 姿 花 伝 』 『 花 霆 『 拾 玉 得 花 』 『 申 楽 談 儀 』 強 化 さ れ て ゆ く 中 で 、 能 も 、 演 劇 と し て の 自 由 な 発 展 を 完 全 に 止 め ら れ ま す 。 以 後 の 能 は 、 外 に 向 う エ ネ ル な ど 多 く の 伝 書 を 書 き 残 し て い ま す 。 世 阿 弥 の 没 後 、 猿 楽 の 歩 ん だ 歴 史 は 、 必 ず し も 彼 の ギ 1 を 内 へ 向 け 、 限 ら れ た 演 目 を 芸 術 的 に 洗 練 す る こ と に 専 念 し ま す 。 能 は 、 ま さ に 古 典 芸 能 と な り 、 伝 統 志 向 し た 方 向 に は 進 ん で ゆ き ま せ ん で し た 。 彼 の か か げ た 理 想 は 高 す ぎ た と も い え ま す 。 世 阿 弥 の 息 子 十 郎 演 劇 A 」 な っ た の で す 。 武 家 の 庇 護 の も と 、 江 戸 時 代 を 安 泰 に 過 し た 能 は 、 元 雅 ( 一 三 九 四 頃 ー 一 四 三 一 l) も 父 の 路 線 に 修 正 を 加 え て 、 大 衆 の 理 解 と 支 持 を 得 よ う と 努 め ま す 。 世 阿 弥 明 治 維 新 に よ っ て 、 そ の 基 盤 を 失 っ て 崩 壊 の 危 機 に 直 の 甥 の 音 阿 弥 の 七 男 で あ る 小 次 郎 信 光 ( 一 四 一 一 一 五 ー 一 面 し ま す が 、 ま も な く 見 事 に 再 生 し 、 大 正 ・ 昭 和 と 能 五 一 六 ) は 、 劇 的 な ス ト 1 リ 1 を も ち 、 装 東 も き ら び は 黄 金 時 代 を も た ら し ま す 。 そ し て 今 次 の 大 戦 で も 大 き な 打 撃 を 受 け ま し た が 、 ま た も や 不 死 鳥 の よ 、 つ に よ や か で 、 登 場 人 物 も 多 い 、 見 た 目 も 派 手 で 面 白 い シ ョ ウ 的 な 風 流 能 を 作 り 人 気 を 博 し ま す 。 彼 の 作 風 は 、 そ み が え り 、 史 上 空 前 と い う 盛 況 を 呈 す る と 共 に 、 海 外 か ら も 高 い 評 価 を 受 け て い ま す 。 能 と い う 芸 能 が 内 に の 息 子 の 弥 次 郎 長 俊 ( 一 四 八 八 ー 一 五 四 一 ) に も 引 き つ が れ ま す 。 同 時 代 の 演 劇 と し て 大 衆 と 直 に 結 び つ い 秘 め て い る 生 命 力 の 強 さ に 、 改 め て 咸 す る の で す 。 272

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大 小 前 大 鼓 方 と 小 鼓 方 の す わ る 線 を 底 辺 と し た 直 外 能 と し て 流 行 す る よ う に な っ た 。 た ち ま わ 角 一 一 角 形 の 頂 点 に ほ ば 当 る 前 方 の 位 置 。 舞 台 中 央 よ 立 廻 り 囃 子 に つ れ て 、 舞 台 を 一 巡 す る 所 作 。 イ ロ エ の 一 種 と 見 て よ い 。 常 の イ ロ エ が ほ と ん ど 無 意 味 で り や や 後 方 。 山 や 塚 な ど の 作 り 物 を 据 え る 場 所 。 た き ぎ の う あ る の に 対 し て 、 立 廻 り は 何 か を 探 し 求 め る 趣 を も 薪 能 〈 薪 能 〉 と い う 名 称 は 、 夜 に な っ て 薪 を た い て 、 そ れ を 照 明 が わ り に 演 能 す る と こ ろ か ら 来 た 名 っ て い る 。 強 い て 区 別 す る 必 要 は な い 。 た つ ば い 称 で は な い 。 も と は 〈 薪 の 神 事 〉 な ど と 称 し て 、 新 達 拝 立 拝 か ら 来 た の で あ ろ う 。 両 手 を 高 く 大 き 、 則 み か 亠 ま ご に 出 し 、 両 手 の 拳 を 顔 の 前 で 合 す よ う に す る 型 。 年 に 御 薪 を 寺 社 に 献 進 す る 儀 式 で 、 一 種 の 春 迎 え の 〈 合 掌 〉 は 開 い た 掌 の 先 を 合 せ る が 、 〈 達 拝 〉 は 握 っ 信 仰 行 事 で あ っ た 。 そ れ に 伴 っ て 行 な わ れ る 猿 楽 が 〈 薪 の 猿 楽 〉 で あ っ た 。 奈 良 の 〈 薪 能 〉 は 、 奈 良 時 た 拳 の 節 を 合 せ る よ 、 つ に す る 。 〈 真 ノ 序 / 」 舞 〉 〈 神 舞 〉 〈 早 舞 〉 〈 楽 〉 〈 天 女 之 舞 〉 な ど の 舞 は こ の 型 か ら は じ 代 に 起 っ た 行 事 で 、 興 福 寺 の 修 一 一 会 に 、 鎮 守 の 社 か め 、 〈 達 拝 掛 り 〉 と い う 。 ワ キ の 名 乗 り の 最 後 も こ ら 、 東 西 金 堂 へ 行 法 の た め に 薪 を 積 む 儀 式 で あ り 、 の 型 を す る 。 そ の 時 、 翁 姿 の 行 者 が 薪 を 負 う て ま う こ と が 芸 能 化 だ ん も の し ゅ し つ か ン ご ど し た 。 初 め は 寺 に 所 属 す る 呪 師 が 司 っ て い た が 、 後 、 段 物 一 番 の 能 、 謡 の 中 に 、 そ れ だ け で ま と ま っ た 、 謡 い ど こ ろ 、 舞 い ど こ ろ 、 囃 し ど こ ろ を 昔 か ら 特 に 猿 楽 者 が 代 行 す る よ う に な っ た 。 能 楽 大 成 後 は 金 春 座 が 責 任 者 ) な り 、 他 の 座 も 参 勤 し て い た が 、 明 治 何 々 之 段 と よ び 、 特 別 に 扱 っ て い る 。 文 之 段 ( 熊 野 ) 、 以 後 は 中 絶 、 戦 後 昭 和 一 一 十 一 年 復 活 。 昭 和 一 一 十 五 年 、 鐘 之 段 ( 三 井 寺 ) 、 網 之 段 ( 桜 川 ) 、 車 之 段 ( 百 万 ) 、 京 都 薪 能 が エ 女 神 宮 で 催 さ れ て 以 来 、 各 地 で 大 衆 野 笹 之 段 ( 百 万 ) 、 笠 之 段 ( 芦 刈 ) 、 駒 之 段 ( 小 督 ) 、 琴 294

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時 代 以 降 は 、 上 演 曲 目 の ほ と ん ど は 各 流 共 通 す る よ う 能 の 流 派 に な り ま し た 。 た だ 、 同 じ 世 阿 弥 の 「 井 筒 」 な ら 「 井 現 在 、 能 の シ テ 方 に は 五 つ の 流 儀 が あ り ま す 。 こ の 筒 」 を 上 演 し て も 、 各 流 と も 、 少 し ず つ 詞 章 や 節 付 が も と に な っ て い る の は 、 能 楽 大 成 以 前 か ら あ っ た 大 和 変 っ て い た り 、 扮 装 や 演 出 ( 型 ) も そ れ ぞ れ の 流 儀 の 猿 楽 四 摩 ー 四 つ の 劇 団 で す 。 そ の 頃 、 結 崎 座 と 称 し て 主 張 に よ っ て 異 な っ て い る の が 現 状 で す 。 能 は シ テ 方 が 主 役 や そ れ に 準 ず る ツ レ 役 も 演 じ ま す 。 い た の が 、 の ち に 観 世 座 と 呼 ば れ る よ う に な っ た 事 は と び ほ 、 つ し よ 、 つ え ん ま い 先 に い い ま し た が 、 当 時 の 外 山 が 宝 生 、 円 満 井 が 金 春 、 面 を つ け る の も シ テ 方 の 特 権 で す 。 斉 唱 団 で あ る 地 謡 当 、 か AJ 坂 戸 が 金 剛 と 、 そ れ ぞ れ 名 前 は 変 り ま し た が 、 い ず れ も シ テ 方 か ら 出 ま す 。 ( 地 謡 の こ と を 、 コ 1 ラ ス 、 合 も 六 百 年 か ら の 長 い 伝 統 を 持 っ て い る 訳 で す 。 喜 ( 〔 多 た 唱 団 と い う 風 に 説 明 さ れ る こ と が 多 い の で す が 、 そ れ は あ や ま り で す ) 後 見 や 作 り 物 の 制 作 も シ テ 方 の 職 能 た 。 当 初 は け が 新 く 江 戸 初 期 に 創 ~ 、 が 公 認 さ 「 四 座 一 流 」 な ど と 呼 ば れ て 、 大 和 猿 楽 以 来 の 四 座 と 区 で す 。 シ テ 方 別 さ れ て い ま し た が 、 そ れ で も も っ 四 百 年 の 歴 史 が あ ・ 観 世 流 金 春 流 り ま す 。 そ れ 以 後 、 新 し い 流 派 は 出 来 て い ま せ ん 。 大 金 剛 流 宝 生 流 正 か ら 昭 和 に か け て 一 時 、 観 世 流 か ら 梅 若 流 が 分 派 す 喜 多 流 る 気 運 が あ り ま し た が 、 結 局 は 成 就 し ま せ ん で し た 。 も と も と は 別 の 劇 団 な の で 、 芸 風 は も ち ろ ん 、 手 持 の 五 流 が あ り ま す 。 能 が ま だ 流 動 し て い た 時 代 に は 、 ち の レ バ ー ト リ ー も そ れ ぞ れ 異 な っ た の で す が 、 江 戸 シ テ 以 外 の 演 者 は 完 全 に 分 業 で は あ り ま せ ん で し た 。 こ ん ご 、 つ こ ん ば る

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・ 作 者 四 番 目 物 富 士 太 鼓 。 , ・ 素 材 【 あ ら す じ 】 荻 原 院 が 管 絃 の 催 を 行 わ れ た 時 、 天 王 寺 所 属 の 楽 人 で 浅 間 と い う 太 鼓 の 名 人 が 召 さ れ ま し た が 、 住 吉 大 社 所 属 で 、 こ れ も 太 鼓 の 上 手 で あ っ た 富 士 と ー 人 物 い う 楽 人 が 、 自 ら そ の 役 を 望 ん で 上 洛 し ま す 。 そ の 事 を 聞 か れ た 天 皇 は 、 「 信 濃 な ワ キ ・ 。 、 ・ 朝 臣 ( 風 折 Ⅲ 子 、 長 絹 、 白 る 浅 間 が 岳 も 燃 ゆ る と い え ば 、 富 士 の 煙 の か ひ や な か ら ん 」 と い う 古 歌 を も と に 、 大 口 ) ア イ ー 朝 臣 の 下 人 ( 狂 一 「 口 上 下 ) や は り 浅 間 の 方 が 上 だ と 判 定 さ れ ま す 。 浅 間 は 富 士 の 差 し 出 た 態 度 を 憎 ん で 、 宿 シ テ ー ・ ・ 富 士 の 妻 ( 面 深 井 、 経 水 衣 、 所 に 押 入 っ て 、 富 士 を 討 っ て し ま い ま す 。 ( こ の 能 は こ こ か ら 始 ま り ま す ) 臣 下 の 無 紅 縫 箔 腰 巻 ) 者 は 以 上 の 事 情 を 述 べ 、 も し 富 士 の ゆ か り の 者 が 来 た ら 知 ら せ よ と 、 従 者 に 命 じ 年 方 。 ・ 。 富 士 の 娘 安 市 驫 ま す 。 一 方 、 富 士 の 妻 は 、 夫 が 無 理 に 都 へ 出 か け て い っ た あ と の 夢 見 が 気 に な り 、 京 都 子 供 を 連 れ て 都 へ 向 い ま す 。 都 に つ き 、 院 の 臣 下 に 会 っ た 妻 は 、 富 士 が 討 た れ た と 聞 か さ れ 、 形 見 だ と い っ て 富 士 の 舞 衣 装 を 渡 さ れ ま す 。 妻 は あ ま り の 事 に 嘆 き 秋 花 園 天 皇 在 位 の 時 Ⅱ 一 = 一 〇 八 、 ・ 悲 し み ま す 。 そ し て せ め て も の 心 慰 み に と 、 夫 の 衣 裳 を 身 に つ け ま す 。 そ し て 狂 一 三 一 七 ) ■ 演 能 時 間 お し く 、 太 鼓 ゆ え に 夫 は 死 ん だ の だ か ら 、 太 鼓 こ そ 夫 の 敵 だ と 叫 び 、 子 供 に も 、 一 時 間 一 一 十 分 あ れ は お 前 の 父 の 敵 だ と 、 太 鼓 を 打 た せ ま す 。 す る と い っ し か 亡 き 夫 の 霊 が 妻 に 憑 き 、 し ば し 狂 乱 の 態 で 恨 み の 太 鼓 を 打 ち 、 舞 楽 を ま い ま す 。 仇 の 太 鼓 を 打 ち 果 現 之 楽 ( 観 ) 、 狂 乱 之 楽 ( 喜 ) し 、 乱 れ 心 も 収 っ た 妻 は 、 衣 裳 を 脱 ぎ す て 、 女 姿 に 立 ち 戻 っ て 、 住 吉 へ と 帰 っ て 216

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■ 作 者 四 番 目 物 天 鼓 ー 素 材 【 あ ら す じ 】 昔 、 中 国 に 王 伯 王 母 と い う 夫 婦 が い ま し た 。 妻 は 天 か ら 鼓 が 降 り 下 り 、 胎 内 に 宿 る 夢 を 見 て 一 子 を 生 み 、 そ の 名 を 天 鼓 と つ け ま し た 。 そ の 後 本 物 の ■ 人 物 鼓 が 天 か ら 下 り 、 そ の 子 供 の 手 に 入 り ま す 。 そ れ は 実 に 美 し い 音 を 出 し ま す 。 そ ワ ~ 丁 、 、 ・ ・ 勅 使 ( 側 次 、 白 大 口 ) の 噂 を 伝 え 聞 い た 天 子 が 、 鼓 を 献 上 す る よ う に 命 じ ま す 。 少 年 は そ れ を 拒 ん で 山 前 シ テ ー 主 伯 ( 面 小 牛 尉 ま た は 阿 古 ろ す い 父 白 垂 、 茶 経 水 衣 、 小 格 子 厚 板 ) 中 に 逃 げ ま し た が 探 し 出 さ れ 、 鼓 は 召 し 上 げ ら れ 、 そ の 身 は 呂 水 に 沈 め ら れ て し ア イ ー 官 人 ( 狂 一 一 口 上 下 ) ま い ま す 。 宮 中 に 運 び 込 ま れ た そ の 鼓 は 、 そ の 後 、 誰 が 打 っ て も 音 を 出 し ま せ ん 。 後 シ テ ー 天 鼓 の 霊 ( 面 童 子 、 黒 頭 、 ( こ の 能 は こ こ か ら 始 ま り ま す ) そ こ で 、 勅 使 が 少 年 の 老 父 の も と に つ か わ さ れ 、 法 被 眉 脱 、 半 切 ) ■ 明 宮 中 へ 来 て 鼓 を 打 つ よ 、 つ に 命 じ ま す 。 愛 児 を 失 っ た 老 父 は 、 日 夜 悲 嘆 に く れ て い 黝 ・ 阿 房 殿 ( 現 ・ 中 国 陜 西 省 長 安 ま す が 、 勅 命 を 受 け 、 自 分 も 罰 せ ら れ る 覚 悟 で 参 内 し ま す 。 恐 れ か つ な っ か し む 県 上 林 苑 ) 心 で 鼓 を 打 っ と 、 不 思 議 に も 妙 音 を 発 し ま し た 。 こ の 奇 跡 に 、 天 子 も 哀 れ を 感 じ 、 後 場 ・ 呂 水 の 辺 ( 現 ・ 不 明 ) 老 父 に 数 多 の 宝 を 与 え て 帰 ら せ ま す 。 〈 中 入 〉 そ し て 天 鼓 の た め に 、 呂 水 の 堤 で 、 ■ 時 追 善 の 管 絃 講 ( 音 楽 法 要 ) を 行 い ま す 。 す る と 天 鼓 の 霊 が 現 れ 、 今 は 恨 み も 忘 れ 秋 た む ■ 演 能 時 間 て 手 回 け の 舞 楽 を 謝 し 、 自 ら 供 え ら れ た 鼓 を 打 ち 、 楽 を 奏 し 、 喜 び の 舞 を ま っ て 一 時 間 三 十 分 興 じ ま す 。 【 み ど こ ろ 】 親 子 の 愛 情 と 名 器 の 神 秘 を 主 題 と し た 作 品 で す 。 一 一 段 構 成 の 作 品 で 呼 出 ( 宝 ) 、 楽 器 ( 大 ・ 和 ) 、 盤 渉 て ん こ お 、 つ は / 、 178