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検索対象: 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩
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1. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

源氏物語 390 ごや げろう と昔のことを思い浮べるときもしばしばである。若菜を粗か。後夜の勤行に閼伽をお供えになる。下﨟の尼の少し年 末な籠に入れて人が持ってきたのを、尼君が見て、 若なのをお呼び出しになってその花を折らせると、恨みが ゆきま お 山里の雪間の若菜つみはやしなほ生ひさきの頼まるる ましくも散って、ひとしお匂いをただよわせてくるので、 、刀十 / 袖ふれし人こそ見えね花の香のそれかとにほふ春のあ ( 山里の雪の間から摘みとった若菜をもてはやすにつけても、 けばの やはりあなたの行く末を心頼みにしています ) ( 袖を触れて私に匂いを移したお方の姿は見えないけれど、 と書いて、こちらへおさしあげになったので、女君が、 花の香がそのお方のそれかと思わせるはど匂ってくる春の明 け方よ ) 雪ふかき野辺の若菜も今よりは君がためにそ年もつむ きのかみ べき 〔毛〕紀伊守小野に来た大尼君の孫の紀伊守だった人が、こ ( 雪の深い野辺の若菜をも、これからはあなた様のために摘り、薫の動静を語るのごろ京へ上ってきている。年のこ むことにいたしましよう。この私も、そのために年を重ねて ろは三十ぐらいで、顔だちもきれいで得々とした様子をし 長らえもいたしましよう ) ている。「何か変ったことでもありましたか、この去年や とお答えになるのを、いかにも、そう思っていらっしやる 一昨年に」などと尋ねるが、大尼君は惚け痴れた有様なの のだろう、としみじみいたわしくなるにつけても、もしも で、こちらの尼君の部屋にやってきて、「祖母君はなんと これでお世話のしがいがある常の姿であるのだったら、と もすっかりおかしくなっておしまいになりましたね。おい 心底から悲しくてお泣きになる。 たわしゅうございますよ。もうあといくらもお命のないご 女君の居間の軒端に近い紅梅が、色も香も昔見たのと変様子ですのに、そばでお世話申しあげることもできずに遠 らずに咲き匂っているのを、「春や昔の」と、ほかの花よ国で年月を過しておりまして。親たちが亡くなられてから りとりわけこの花に、いひかれるのよ、、 。しつまでも飽くこと は、このお一方だけを親の御代りと存じあげてまいったの おうせ ひたちのかみ のない逢瀬であったお方の匂いが忘れられないからだろう ですが : : : 。常陸守の北の方は、こちらへお便りをさしあ か′一 そで

2. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

明石 3 会 ( 三六一 ) 久方の月の桂も折るばかり家の風をも吹かせてしがな 藤裏葉 3 = 一八 ( 四一三 ) ・若菜上圈一一四 ( 四 0 四 ) 久方の中に生ひたる里なれば光をのみぞ頼むべらなる 松風団一一九 ( 四一一 ) ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ 幻一一 0 五 ( 四 0 一 I) ひたち 常陸にも田をこそ作れあだ心やかぬとや君が山を越え 雨夜来ませる 若紫田一一 0 六 ( 四吾 l) 人言は海人の刈藻にしげくとも思はましかばよしや世の中 紅葉賀図七四 ( 三天 ) 人知れぬ思ひやなぞと葦垣のまちかけれども逢ふよしのなき 常夏 3 璧 ( 三究 ) 人知れぬ身は急げども年を経てなど越えがたき逢坂の関 若紫田一九八 ( 四五一 I) 人知れぬわが思ふ人に逢はぬ夜は身さへぬるみて思ほゆるかな 若菜下一六九 ( 四 0 七 ) 人知れぬわが通ひ路の関守は宵々ごとにうちも寝ななむ 常夏 3 ( 三九 0 ・藤裏葉 3 一一 0 五 ( 四一一 ) ・若菜上六五 ( 四 0 一 ) 索 《」逢」 00 00 夜」 00 = 走。火」、 0 焼 00 。 タ霧一一一四 ( 三九六 ) 氏人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな 源 桐壺田一一一 ( 四三 0 ・同一一三 ( 四三八 ) ・ 紅葉賀六 0 ( 三七一 ) ・同実 ( 三天 ) ・葵一一九 ( 三八三 ) ・賢木一八七 ( 三八九 ) ・ 須磨 3 三六 ( 三 ) ・明石 3 九五 ( 三六一 D ・松風 3 一七 ( 四一 0 ) ・ -4 同 = 一 ( 四一 l) ・薄雲四 0 ( 巴三 ) ・少女一一四 ( 四 = 三 ) ・野分 3 耄 ( 四 0 一 l) ・ 若菜上一五 ( 三突 ) ・同三三 ( 三九七 ) ・同夭 ( 三究 ) ・同八四 ( 四 0 一 (l) ・ 若菜下圈一一一三 ( 四一 0 ) ・柏木一一三 ( 三八六 ) ・同四四 ( 三八八 ) ・竹河六三 ( 四実 ) ・ 椎本一四 = ( 哭一 ) ・宿木 3 七 0 ( 三七一 l) ・同二六 ( 三七六 ) ・蜻蛉囮二七 ( 四三五 ) 人の見ることや苦しき女郎花秋霧にのみたちかくるらむ 総角区一一 0 五 ( 四八九 ) 人の見ることや苦しき女郎花霧の籬にたちかくるらむ タ霧⑦一 0 三 ( 三九四 ) 人の世の老をはてにしせましかば今日か明日かと嘆かざらまし 若菜上三五 ( 三九七 ) 人は行き霧は籬に立ちどまりさも中空に眺めつるかな タ霧一 0 三 ( 三九四 ) 人もなき宿ににほへる藤の花風にのみこそ乱るべらなれ 蓬生 3 一五六 ( 三六八 ) 人よりは我こそ先に忘れなめつれなきをしも何か頼まむ 宿木 3 八三 ( 三七三 ) ひとりして聞くは悲しきほととぎす妹が垣根におとなはせばや 幻一一一四 ( 四 0 四 ) 独り寝の床にたまれる涙には石の枕も浮きぬべらなり 須磨 3 四 0 ( 三五五 ) ・宿木 3 五六 ( 三七 0 ) ・浮舟八一 ( 四三一 ll) 独り寝のわびしきままにおきゐつつ月をあはれといみぞかねつる 宿木 3 契 ( 三六九 ) 人わたすことだになきを何しかも長柄の橋と身のなりぬらむ 東屋一九一 ( 三八一 ) 日の光藪しわかねば石上ふりにし里に花も咲きけり 早蕨 3 一一 ( 三六三 ) ひもろぎは神の心にうけつらし比良の山さへ木綿鬘せり

3. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

467 源氏物語引歌索引 時しもあれ秋やは人の別るべきあるを見るだに恋しきものを 葵一一一一 ( 三八四 ) とぢたりし上のうすら氷とけながらさは絶えねとや山の下水 朝顔団八九 ( 四一一一 I) 外国は水草清み事しげき都の中はすまずまされり 若菜上同九 0 ( 四 0 三 ) とにかくに人目づつみをせきかねて下にながるる音無の滝 っ 行幸 3 八九 ( 四 0 三 ) 月ゃあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして 飛ぶ鳥の声も聞こえぬ奥山の深き心を人は知らなむ 早蕨凹一 0 ( 三六五 ) ・手習一二 0 ( 四四一 ) 若菜上究 ( 四 0 三 ) ・ 筑波山端山繁山しげけれど思ひ入るには障らざりけり 幻一一 0 五 ( 四 0 一 l) ・総角 3 一八八 ( 四八七 ) ・東屋 3 一六六 ( 三七九 ) 常夏 3 四五 ( 三九 0 ・東屋 3 一三五 ( 三耄 ) とふ人もなき宿なれど来る春は八重葎にもさはらざりけり つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを 千年まで限れる松も今日よりは君にひかれて万代や経む 椎本 3 一五 0 ( 哭一 ) ・同一六 0 ( 哭三 ) 初音団一九七 ( 四三 0 ) つれなきを思ひわびては唐衣返すにつけてうらみつるかな ちはやぶる宇治の橋守汝をしそあはれとは思ふ年の経ぬれば 玉鬘団一八九 ( 四一一 0 総角 3 = = 一 l( 四九一 ) て ちはやぶる金の岬を過ぎぬとも我は忘れじ志賀の皇神 玉鬘団一五一 ( 四 = 六 ) 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものそなき ちはやぶる神垣山の楙葉は時雨に色も変らざりけり 花宴八三 ( 三七九 ) 賢木一五 0 ( 三八六 ) 手をさへて吉野の滝は堰きっとも人の心をいかが頼まむ ちはやぶる神の斎垣にはふ葛も秋にはあへずうつろひにけり 藤袴同一三 0 ( 四 0 四 ) 若菜下一三六 ( 四 0 五 ) 手を折りてあひ見しことを数ふれば十と言ひつつ四つは経にけり ちはやぶる神の斎垣も越えぬべし大宮人の見まくほしさに 帚木田六 0 ( 四四 0 ) 賢木一五 0 ( 三八六 ) 塵をだに据ゑじとぞ思ふ咲きしより妹とわが寝る常夏の花 帚木田六七 ( 四四一 l) ・ 紅葉賀六一一 ( 三七一 l) ・葵一三三 ( 三会 ) ・若菜上一一一 ( 三九六 ) 散る花を嘆きし人は木のもとのさびしきことやかねて知りけむ 総角 3 一一三三 ( 四九三 ) 散ればこそいとど桜はめでたけれ憂き世に何か久しかるべき 若菜下同一九一 ( 四 0 九 ) ちとせ とっくに 桐壺田一一一 ( 四三 0

4. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

賢木②一七四 ( 三八七 ) ・総角 3 一一 0 五 ( 四八九 ) たもとはなすすき あ 秋の野の草の袂か花薄ほに出でて招く袖と見ゆらむ 飽かざりし君が匂ひの恋しさに梅の花をぞ今朝は折りつる タ顔田一一 0 ( 四四五 ) ・宿木一 0 七 ( 三七五 ) 手習囮一一一 0 ( 四四一 ) 秋の夜に雨ときこえて降りつるは風に乱るる紅葉なりけり 飽かざりし袖のなかにや入りにけむわが魂のなき心地する 帚木田六四 ( 四四一 ) 末摘花一一 ( 三六七 ) ・ 秋の夜の千夜を一夜になせりともことば残りて鶏や鳴きなむ 若菜下一八三 ( 四 00 ・タ霧一一一一 ( 三九五 ) ・浮舟叫一一五 ( 四一一六 ) タ顔田一三七 ( 四四七 ) ・若菜下一三九 ( 四 0 六 ) 暁の露は枕におきけるを草葉の上と何思ひけむ御法一会 ( 四 0 一 ) 秋はきぬ紅葉は宿にふり敷きぬ道ふみわけてとふ人はなし 秋風の吹くにつけても訪はぬかな荻の葉ならば音はしてまし 帚木田六四 ( 四四一 ) ・宿木一 0 四 ( 三七五 ) 手習一八四 ( 四三九 ) 秋萩の下葉色づく今よりやひとりある人の寝ねかてにする 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 若菜上七 0 ( 四 0 一 I) 篝火 3 六三 ( 四 0 一 ) 秋萩の下葉につけて目に近くよそなる人の心をそ見る 索 厭秋なれば山とよむまで鳴く鹿に我おとらめやひとり寝る夜は 若菜上四九 ( 三九七 ) 語 タ霧一四一 ( 三九七 ) 秋はなほ夕まぐれこそただならね荻の上風萩の下露 少女団一 0 七 ( 四一一三 ) ・真木柱 3 一七へ ( 四 00 ・幻一一一七 ( 四 0 五 ) 氏秋の露は移しにありけり水鳥の青葉の山の色づく見れば 源 若菜上同六九 ( 四 0 一 ) 秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ をみなへし 秋の野に狩りそ暮れぬる女郎花今宵ばかりの宿もかさなむ 御法一八三 ( 四 00 ) ・宿木 3 九八 ( 三七四 ) タ霧一一一一 ( 三九六 ) 秋をおきて時こそありけれ菊の花移ろふからに色のまされば ひととき 秋の野になまめき立てる女郎花あなかしがまし花も一時 帚本田六四 ( 四四一 ) ・藤裏葉 3 一一 = 八 ( 四一四 ) 源氏物語引歌索引 一、完訳日本の古典『源氏物語』曰 ~ の各冊に引歌として指摘した歌を五十音順に配列し、該当 するべージを示した。 一、歌の配列は、歴史仮名遣いの五十音順によった。 、ページの掲出の仕方は、巻名 ( 桐壺 ~ 夢浮橋 ) 、本書の冊数 ( 田 ~ 2 ) 、本文中の引歌表現のペ ージ数、 ( ) 内に巻末付録「引歌一覧」におけるべージ数、の順に示した。

5. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

春の池の玉藻に遊ぶにほ鳥の足のいとなき恋もするかな 花散りし庭の梢も茂りあひて植ゑし垣根もえこそ見わかね 若菜上圈六一一 ( 四 00 ) 花散里 = 0 四 ( 三九 0 ) 春の野にすみれ摘みにと来し我そ野をなっかしみ一夜寝にける 花鳥の色をも音をもいたづらにものうかる身はすぐすのみなり 真木柱同一七 0 ( 四 0 七 ) ・椎本一三七 ( 哭一 ) 薄雲六三 ( 四一七 ) ・ 語 物 鈴虫全 ( 三九一 D ・竹河 3 六 0 ( 四 ) ・早蕨 3 一一 ( 三六三 ) ・同一一九 ( 三六七 ) 春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる 若菜上同吾一 ( 三九 0 ・匂宮 3 一一五 ( 四七一 I) ・ 氏花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 若菜下圈一合 ( 四 00 竹河 3 五六 ( 四七五 ) ・同七六 ( 四七六 ) ・早蕨一四 ( 三六三 ) ・浮舟四四 ( 四毛 ) 春はただ花のひとへに咲くばかり物のあはれは秋ぞまされる 花の蔭立たまく惜しき今宵かな錦をさらす庭と見えつつ 薄雲団六三 ( 四一六 ) 若紫田一合 ( 四五 0 ) 春日さす藤の裏葉のうらとけて君し思はば我も頼まむ 花の香を風のたよりにたぐへてそ鶯さそふしるべにはやる 藤裏葉 3 一一一一 ( 四二 ) 初音団 = 0 = ( 四一一一一 ) ・ 梅枝 3 一会 ( 四 0 九 ) ・若菜下圈一き ( 四 0 六 ) ・紅梅三六 ( 四七三 ) 晴るる夜の星か河辺の蛍かもわが住む方の海人のたく火か 浮舟囮四九 ( 四一一 0 春秋に逢へど匂ひもなきものは深山隠れの朽木なるらむ 橋姫一一一七 ( 四七九 ) ひ 春秋に思ひ乱れて分きかねっ時につけつつ移る心は 朝顔団会 ( 四 = 一 ) 光なき谷には春もよそなれば咲きてとく散る物思ひもなし 須磨 3 天 ( 三五一 l) ・幻一一 0 八 ( 四 0 一 D 春霞立つを見すてて行く雁は花なき里に住みやならへる 早蕨一六 ( 三六四 ) ひき植ゑし人はうべこそ老いにけれ松の木高くなりにけるかな 蓬生 3 一六一 ( 三六九 ) 春霞たなびく山の桜花見れども飽かぬ君にもあるかな 浮舟 2 三一 l( 四一一五 ) ひぐらしの鳴きつるなへに日はくれぬと思へば山の蔭にぞありける タ霧の一 0 一一 ( 三九三 ) ・同一一一六 ( 三九六 ) ・宿木六四 ( 三七一 ) 春風は花のあたりをよきて吹け心づからや移ろふと見む 若菜上圈二 0 ( 四 0 四 ) 彦星に恋はまさりぬ天の川隔つる関を今はやめてよ 東屋一六五 ( 三七八 ) 春ごとに花の盛りはありなめどあひ見むことは命なりけり 柏木第四六 ( 一穴 0 ・横笛六一 ( 三九 0 ) 久方の雲の上にて見る菊は天っ星とぞあやまたれける 藤裏葉一一一一八 ( 四一四 ) 春過ぎて散りはてにける梅の花ただかばかりそ枝に残れる 梅枝 3 入五 ( 四 0 九 ) ひさかたの月毛の駒をうち早め来ぬらむとのみ君を待っかな

6. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

( 現代語訳三八九ハー ) 法文なども、いと多く読みたまふ。雪深く降り積み、人目絶えたるころそ、げ一 = 鬱々とふさぎこんで。 一九 一六出家後の余裕の生じた心境。 に田 5 ひやる方なかりける。 宅浮舟は碁に強い ↓一八六ハー。 天小野は雪深い山里といわれた ニ 0 年も返りぬ。春のしるしも見えず、凍りわたれる水の音せ ( 伊勢物語八十三段など ) 。 三六〕新年、浮舟往時を 一九引歌未詳。 、 ) ころ 追懐し手習に歌を詠む ぬさへ心細くて、「君にぞまどふ」とのたまひし人は、心 = 0 浮舟一一十三歳、薫二十八歳。 ニ一谷川の水。宇治川と異なる趣。 憂しと思ひはてにたれど、なほそのをりなどのことは忘れず、 このあたり、浮舟の荒涼たる心象。 ニ四 一三匂宮と宇治川を渡り対岸の家 浮舟かきくらす野山の雪をながめてもふりにしことそ今日も悲しき で過した折のこと。↓浮舟〔一 0 。 ニ三宮への抑えがたい執心を自覚。 ひま われ など、例の、慰めの手習を、行ひの隙にはしたまふ。我世になくて年隔たりぬ = 四「降り」「古り」の掛詞。空を ニ六 暗くして降る野山の雪に、捨て切 わかな るを、思ひ出づる人もあらむかしなど、思ひ出づる時も多かり。若菜をおろそれぬ過往の執着の悲しみを形象 一宝手習が、浮舟の出家生活にか かなる籠に入れて、人の持て来たりけるを、尼君見て、 けがえのない営為として習慣化し ニ七 ゆきま ている点に注意。↓一九八ハー注 ^ 。 妹尼山里の雪間の若菜つみはやしなほ生ひさきの頼まるるかな ニ六正月子の日の長寿を祈る風習。 毛出家した浮舟の浄福を祈る歌。 習とてこなたに奉れたまへりければ、 夭「摘む」「積む」の掛詞で、あ なたのために私も生き長らえよう 浮舟雪ふかき野辺の若菜も今よりは君がためにそ年もつむべき と、互いの長寿を祈る歌。「君が 手 ため春の野に出でて若菜摘むわが とあるを、さそ思すらんとあはれなるにも、妺尼「見るかひあるべき御さまと衣手に雪は降りつつ」 ( 古今・春上 0 光孝天皇 ) 。 思はましかば」と、まめやかにうち泣いたまふ。 ニ九浮舟が尼姿でないならと悲嘆。 ほふもん ニ五 ニ三 ニ九

7. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

明石 3 究 ( 三六三 ) ・松風団三一 ( 四一 (l) ・玉鬘団一会 ( 四 = 0 神山の身を卯の花のほととぎす悔し悔しと音をのみそ鳴く 宿木七七 ( 三七一 I) 片糸をこなたかなたに縒りかけてあはすは何を玉の緒にせむ 横笛第奕 ( 一一一九一 ) ・総角一七六 ( 哭六 ) 神無月いつも時雨は降りしかどかく袖ひつる折はなかりき 葵一毛 ( 三八四 ) ・幻一一一八 ( 四 0 五 ) ・総角 3 = 四七 ( 四九五 ) 語かたちこそ深山がくれの朽木なれ心は花になさばなりなむ 物 総角 3 一耄 ( 哭六 ) 神なびのみむろの岸やくづるらむ竜田の川の水の濁れる 椎本一六三 ( 哭四 ) 氏かっ消えて空に乱るる淡雪はもの思ふ人の心なりけり 若菜上圈五四 ( 三九八 ) 唐衣日もゆふぐれになる時は返す返すそ人は恋しき とよら しらたま かつら 行幸 3 一一 0 ( 四 0 三 ) 葛城の寺の前なるや豊浦の寺の西なるや榎の葉井に白璧 しづ 沈くや真白璧沈くやおしとととおしととしかしてば国そかりそめの行きかひちとそ思ひ来し今は限りの門出なりけり 須磨 3 一 = ( 三四九 ) ・若菜下圈一一 ( 四一一 ) 栄えむや我家らそ富せむやおおしとととしとんとおおし とんととー ) と′ルン ) 若紫田一会 ( 四五 0 ) ・若菜下同一五九 ( 四 0 七 ) 雁の来る峰の朝霧晴れずのみ思ひ尽きせぬ世の中の憂さ 橋姫 3 究 ( 四耄 ) ・椎本 3 一五九 ( 哭三 ) ・宿木一 0 五 ( 三七五 ) 悲しさぞまさりにまさる人の身にいかに多かる涙なるらむ 幻一一一六 ( 四 0 四 ) 香をとめてとふ人あるをあやめ草あやしく駒のすさめざりけり 蛍一一一一 ( 三九六 ) かねてよりつらさを我にならはさでにはかにものを思はするかな 若菜上圈天 ( 三九六 ) ・タ霧第一一一三 ( 三九六 ) ・宿木四三 ( 三六 0 河口の関の荒垣や関の荒垣やまもれどもはれ まもれども出でて我寝ぬや出でて我寝ぬや関の荒垣 藤裏葉 3 一二三 ( 四一三 ) かはづ鳴く井手の山吹散りにけり花のさかりにあはましものを 胡蝶団一一一五 ( 四三三 ) かは虫は声もたへぬに蝉の羽のいと薄き身も苦しげになく 常夏 3 三五 ( 三九七 ) かひね 甲斐が嶺を嶺越し山越し吹く風を人にもがもや言づてやらむ 関屋 3 一六九 ( 三六九 ) かひなしと思ひな消ちそ水茎の跡ぞ千年の形見ともなる 幻 = 一一 0 ( 四 0 六 ) 昨日こそ年は暮れしか春霞春日の山にはや立ちにけり 初音団一九五 ( 四 = 九 ) 君が植ゑし一群薄虫の音のしげき野辺ともなりにけるかな 藤裏葉回一一一四 ( 四一一 D ・柏木四九 ( 三八九 ) ・横笛六三 ( 三九 0 ) 君が門今ぞ過ぎゅく出でて見よ恋する人のなれる姿を 朝顔団七四 ( 四一 0 君が住む宿の梢を行く行くと隠るるまでにかへりみしはや 真木柱 3 一玉九 ( 四 0 六 ) 君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ 手習 = 0 九 ( 四四一 )

8. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

須磨 3 = 四 ( 三五一 ) 嵐吹く風はいかにと宮城野の小萩が上を露も問へかし あじろひを 桐壺田一一三 ( 四三 0 いかでなほ網代の氷魚に言問はむ何によりてか我を問はぬと あられ 語霰降る深山の里のわびしきは来てたはやすく訪ふ人もなし 総角 3 一一三一一 ( 四九三 ) 物 総角 3 一一四七 ( 四九六 ) いかでなほありと知らせじ高砂の松の思はむこともはづかし あした 氏 あらたまの年たちかへる朝より待たるるものは鶯の声 源 末摘花四一 I( 三七 0 ) ・初音団一空 ( 四 = 0 いかで我つれなき人に身をかへて苦しきものと思ひ知らせむ ありし世は夢に見なして涙さへとまらぬ宿ぞ悲しかりける 総角区一一六七 ( 四九七 ) いかでわれ人にも問はむ暁のあかぬ別れや何に似たりと ありと見て頼むぞかたきかげろふのいっとも知らぬ身とは知る知る 蜻蛉囮一四六 ( 四三七 ) いかならむ巌のなかに住まばかは世の憂きことの聞こえこざらむ ありぬやとこころみがてらあひ見ねば戯れにくきまでぞ恋しき 須磨 3 一一 0 ( 三五 0 ) ・澪標 3 一一六 ( 三六四 ) ・ 帚木田六一一 ( 四四 0 ) ・明石 3 八一 ( 三六 0 ) ・ 総角 3 一八八 ( 四八七 ) ・宿木一 0 六 ( 三七五 ) ・東屋一六七 ( 三七九 ) 朝顔団八四 ( 四一一一 ) ・梅枝 3 一究 ( 四一 0 ) ・総角 3 = 一一六 ( 四九一 l) いかなれば近江の海のかかりてふ人をみるめの絶えて生ひねば ありはてぬ命待っ間のほどばかり憂きことしげく思はずもがな 総角 3 一一三一 ( 四九一 I) 松風団一五 ( 四 0 九 ) ・鈴虫第八三 ( 三九一 I) ・宿木六一 ( 三七 0 ) いかにしていかによからむ小野山の上より落つる音なしの滝 ある時はありのすさびに憎かりきなくてそ人は恋しかりける タ霧一四三 ( 三九八 ) 桐壺田一一 0 ( 四三七 ) いかにしてかく思ふてふことをだに人づてならで君に語らむ かず あるはなくなきは数そふ世の中にあはれ、・ しつれの日まで嘆かむ 若菜上囹六 0 ( 三究 ) ・若菜下一一一一 ( 四 0 四 ) 須磨 3 一一六 ( 三五 l) いかはかり恋てふ山の深ければ入りと入りぬる人まどふらむ あわゆき 沫雪は今日はな降りそ白たへの袖まき乾さむ人もあらなくに 若菜下圈一一 0 四 ( 四一 0 ) 末摘花②一一八 ( 三六九 ) 生きての世死にての後の後の世も羽を交せる鳥となりなむ あをや 青柳を片糸に縒りてやおけや鶯のおけや鶯の縫ふと 桐壺田一一八 ( 四三九 ) いふ笠はおけや梅の花笠や 幾世しもあらじわが身をなそもかく海人の刈る藻に思ひ乱るる 胡蝶団一一一六 ( 四三三 ) ・若菜上圈四六 ( 三九七 ) 宿木 3 五四 ( 三六 0 池はなは昔ながらの鏡にて影見し君がなきそ悲しき みやま たはぶ 朝顔 3 七一一 ( 四一 0 桐壺田一一三 ( 四三 0 須磨 3 一七 ( 三五 0 )

9. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

むらとり タ霧一六三 ( 三究 ) 群鳥の立ちにしわが名いまさらに事なしぶともしるしあらめや 行幸 3 九七 ( 四 0 一 (l) ・若菜上圈六一 ( 四 00 ) ・総角 3 一八七 ( 哭六 ) 身を捨てて山に入りにし我なれば熊のくらはむこともおばえず 若菜上九一 ( 四 0 三 ) も 語身を捨ててゆきやしにけむ思ふよりほかなるものは心なりけり 物 葵一一 00 穴一 l) ・タ霧二 = ( 三九五 ) 燃えはてて灰となりなむ時にこそ人を思ひのやまむ期にせめ 氏身を分くる事の難さに増鏡影ばかりをそ君に添へつる 桐壺田一九 ( 四三七 ) 須磨 3 一一 0 ( 三五 0 ) もえわたるなげきは春のさがなればおほかたにこそあはれとも見れ 紅葉賀四九 ( 三七一 ) もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に今年は今日に果てぬとか聞く 昔より山水にこそ袖ひつれ君がぬるらむ露はものかは 幻 = = = ( 四 0 六 ) 若紫田一合 ( 四五 0 ) 物思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る 武蔵野は袖ひつばかりわけしかど若紫はたづねわびにき 葵一一 0 ( 三八一 l) 藤袴 3 一 = 五 ( 四 0 四 ) 紅葉せぬときはの山は吹く風の音にや秋を聞きわたるらむ むしろだ 席田の席田の伊津貫河にや住む鶴の住む鶴の住む鶴の 若菜下一三六 ( 四 0 五 ) 千歳をかねてぞ遊びあへる千歳をかねてぞ遊びあへる ももくさの花の紐とく秋の野に思ひたはれむ人なとがめそ 若菜上圈七四 ( 四 0 一 l) 薄雲六 0 ( 四一六 ) 結びおきしかたみのこだになかりせば何に忍ぶの草を摘ままし ももしきの大宮人はいとまあれや桜かざして今日も暮らしつ 葵一 = 0 ( 三会 ) ・宿木 3 空 ( 三七四 ) 須磨 3 五一 ( 三五六 ) むすばほれ燃えし煙もいかがせむ君だにこめよ長き契りを 百千鳥さへづる春は物ごとにあらたまれども我ぞふりゆく 薄雲団六一 ( 四一六 ) 末摘花四一一 ( 三七 0 ) ・真木柱 3 一六七 ( 四 0 六 ) ・椎本 3 一六 0 ( 四八四 ) むめえ ももとせ 梅が枝に来ゐる鶯や春かけてはれ春かけて鳴けどもいま百年に一年たらぬつくも髪われを恋ふらしおもかげに見ゅ だや雪は降りつつあはれそこよしゃ雪は降りつつ 手習一六五 ( 四三七 ) もろ・一し 梅枝圈一兊 ( 四一 0 ) ・竹河五四 ( 四七四 ) ・浮舟四三 ( 四毛 ) 唐土の吉野の山に籠るとも遅れむと思ふわれならなくに 紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとそ見る 薄雲 3 三九 ( 四一三 ) 若紫田一九六 ( 四五一 l) ・朝顔団八七 ( 四一一一 ) ・ もろともにおきゐし秋の露ばかりかからむものと思ひかけきや 幻一一一八 ( 四 0 五 ) 胡蝶 = 一七 ( 四三四 ) ・藤裏葉 3 = 一 0 ( 四一一 ) ・東屋一六 0 ( 三七七 ) む ももちどり

10. 完訳 日本の古典 第二十三巻 源氏物語 ㈩

源氏物語 458 えぞ知らぬいま心みよ命あらば我や忘るる人やとはぬと 音にきく松が浦島今日そ見るむべも心あるあまは住みけり 宿木六一一 ( 三七一 ) 賢木一八九 ( 三八九 ) ・初音団一一 0 六 ( 四三一 I) 枝よりもあたに散りにし花なれば落ちても水の泡とこそなれ 音もせで思ひに燃ゆる蛍こそなく虫よりもあはれなりけれ 竹河 3 六 = ( 四七五 ) 同じ枝を分きて木の葉のうつろふは西こそ秋のはじめなりけれ お 藤裏葉 3 一三七 ( 四一四 ) おほあらき 老いぬればさらぬ別れのありといへばいよいよ見まくほしき君かな大荒木の森の下草老いぬれば駒もすさめず刈る人もなし 若菜上圈一三 ( 三九五 ) 紅葉賀六八 ( 三七三 ) 沖っ波荒れのみまさる宮のうちは年経て住みし伊勢の海人大方の我が身一つの憂きからになべての世をも恨みつるかな も舟流したる心地して寄らむ方なく悲しきに涙の色の 柏木一一 ( 三会 ) ・ 紅はわれらがなかの時雨にて秋の紅葉と人々はおのが散 橋姫 3 一 0 = ( 四天 ) ・早蕨 3 = 一 ( 三六六 ) ・宿木一 0 七 ( 三実 ) り散り別れなば頼む蔭なくなりはててとまるものとは花大空に覆ふばかりの袖もがな春咲く花を風にまかせじ 澪標 3 一一一一 ( 三六四 ) ・ 薄君なき庭に群れ立ちて空を招かば初雁の鳴き渡りつつ よそにこそ見め 若菜上一一一 ( 三九五 ) 野分 3 六八 ( 四 0 一 I) ・幻一一 0 六 ( 四 0 三 ) ・竹河 3 六三 ( 四七六 ) おきなさび人なとがめそかり衣今日ばかりとぞ鶴も鳴くなる 大空の月だに宿にいるものを雲のよそにも過ぐる君かな 若菜上圈八四 ( 四 0 一 l) 宿木 3 五五 ( 三六九 ) 大空は恋しき人の形見かは物思ふごとにながめらるらむ 翁とてわびやはをらむ草も木も栄ゆる時に出でて舞ひてむ 花宴公 ( 三合 ) 葵一一九 ( 三八三 ) ・柏木哭 ( 三兊 ) ・幻一二四 ( 四 0 四 ) ・総角 3 一一三一一 ( 四九三 ) 大幣と名にこそ立てれ流れてもつひに寄る瀬はありといふものを 奥山の岩垣紅葉散りぬべし照る日の光見る時なくて 総角 3 一一三三 ( 四九四 ) 若菜下一六九 ( 四 0 七 ) ・東屋 3 一六四 ( 三七 0 大幣の引く手あまたになりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ 奥山の苔の衣にくらべ見よいづれか露の置きはまさると 若紫田一七七 ( 四四九 ) 東屋 3 一六四 ( 三大 ) おきそ 大野山霧立ちわたるわが嘆く息嘯の風に霧立ちわたる 落ちたぎつ滝の水上年積り老いにけらしな黒き筋なし 明石 3 一 00 ( 三六三 ) 初音団一一 0 三 ( 四三一 ) 音に聞き目にはまだ見ぬ播磨なるひびきの灘と聞くはまことか 大原や小塩の山も今日こそは神代のことも思ひ出づらめ 玉鬘団一六 0 ( 四毛 ) 紅葉賀七六 ( 三七九 ) おほめさ 蛍 3 一六 ( 三九五 )