見 - みる会図書館


検索対象: 全ての本
858642件見つかりました。

1. SFマガジン 1971年1月号

いお方でごぜえまして、わしらに織物や糸つむぎのやりかたなどをではありませぬ」 教えてくださいやした」 横立が壁の礼服を見あげると、とっ・せん、タ・ハーナ姫が、なにご 7 村長は、そういってから、壁につるしてある礼服を見やって、得とか喋りだした。こういった織物を知っているというつもりらし しったん 意そうに説明した。 悉曇の国は、この漢の国とも、交わっているというから、輸入 まもなく、食事がすむと、村長がもどっていったので、王子は、 された品々のうちにあったものを、覚えていたにちがいない。 尾張の田子をよびよせ、丘の上の館へつかわした。義理の叔父にあそのときである。門ロのほうで、大の吠え声がおこった。誰かが まなくろ たるらしい人に、面会できるようはからわせるつもりであった。 やってきたのを見て、真黒がいどみかかったらしい。弟彦がでてい 食事のかたづけをすませた村の女がでていくと、石占の横立が、 って真黒をとりしすめると、尾張の田子に導かれて一人の若者が立 王子のまえに膝をすすめた。内密に話したいことがあり、機会を待っていた。漢の国の服をつけた下人である。丘の館で召しつかわれ っていたのであろう。 ている者にちがいない。 やかた 「王子、黒姫さまのこと、ご存知で ~ 」 「大和の王子さまに、お館のご返事をつたえるため参りました。手 さぎ 「いや知らぬ。たぶん、先の大王の王女のひとりであろう」 前は、召使いの赤人と申します」 「いかにも、そのとおり。だが、黒姫さまは、すでにこの世の人で赤人と名のった若者は、なおも吠えつづける真黒を迷惑そうに見 はありませぬ」 やりながら、ここへきた用件をつたえはじめた。 「なんと ? 」 「よかろう。申せ、赤人」 「黒姫さまは、先の大王の御世に、漢の国へつかわされたお方でご 小碓の王子がこたえると、赤人は、はじめてみる大和の王子の顔 ざいます。なんでも、彼の国では、女子の地位がひくく、一国の遣をまぶしそうに見つめてから、おそるおそる話しはじめた。 わした正使が女という例はなく、わが国は諸国のもの笑いになり、 「わが主人は、あいにく病いに伏せっておりますので、三日後こち おいたわしくも、その帰路にあたって、黒姫さまは海へ投じて、はらよりご挨拶にうかがいたいと、申しておりまする」 、もり てられたということじゃ。そのことは、Ⅱ 一。田使の田島の守によって、 赤人が、そこまでいったとき、とっ・せん、真黒が弟彦の手をふり この国へ伝えられました。しかしながら、守がもどってきたとき、 きって襲いかかった。とめる暇もなく、真黒の牙が赤人の腕を咬 たまき かむさ 珠城の大王は、死去りましたのちのことで、この使いのことは、うみ、そのまま引きたおそうとする。びつくりした王子がかけよった しよう やむやに終ったということですぞ」 とき、赤人の形相が変りはじめた。髪の毛がむくむくと逆立ち、猩 じよう 「うむ。すると、叔母なる人は、生きているはずがないと ? 」 猩のような緋色にかわり、おだやかな顔が一変し、牙をむきだした みずかき 「さよう。この礼服をごらんなされまし。この国のものではなく、獰猛な面がまえになり、水掻のついた手足が大地をけった。その尻 あや あやはと 漢の国のものです。漢織りと申す技術で、この国の女にできるものからは太い尾がのび、うねうねとくねりはじめた。 ためし

2. 現代日本の文学 Ⅱ― 3 北原 白秋 斎藤 茂吉 釈 迢空 集

かたはら ほほの葉のおちたまりたる傍に青き小ぐさは冬を越えつもうつろふ かへるでのこまかき花は風のむたいさごの上に見る見るたむらぎもの悲しきまでにうちひびき媼呼きたっ峡のうへの まる 空 なみつぎぎはだ あきっ けふ一日心たひらに並槻の樹膚うるほふ春雨そ降る 蜻蛉らはすでに生れて山べなる埴のうへにしばしば止ま る われふ 風ひきて吾臥したればつね日ごろ気づかぬ難のこゑぞ聞こ われ つぐひ ゆる 東京を立ちて来りし次日より吾にきこゆる山みづのおと しも ざわう 春の霜 こもごもに玄鳥ひるがヘるころとなり蔵王はだらに春ふけ ぎまうしゅ 夜な夜なに霜ふりたりし庭土のうへに擬宝珠は芽を出しそわたる めつ をさは ひとときを小沢のみづに魚の子のさばしる見つつわが命の みちのくに来りてをれば夜くだち平野へ出づる汽車のおとぶ きこゅ まで こけ 杉むらの中にこもりし苔のみづきこゆる迄に山はしづけく みちのくの村より村に養蚕のことあきらめて春ふけむとす いし 山 われひとり心にとめむ石のあひに水泡あひ寄るもあはれな まち 街ゆけど食事すること難くなり午後二時すぎて帰りて来たらずや 園り こぬれ かひだ 時のまは木末しづまることありてわが目交に萌えいづる山 峡田の蛙 目のもとにつとむる蟻のむらがりを見つつし居りて日かげやうやくに心したしむものとなり躑躅花ふふむこの春山よ ひとひ しよくじ かはづ あり ゃうさん よる にはっち へいや を にはとり を つばめ きた うま あ は に みなわ つつじはな まなかひ と いのち

3. 全訳古語例解辞典 小学館

恋こひしけば : 恋こひ死しなむ・ 恋するに 恋こふといふは : こほろぎの 子持山新ち 隠処の・ 隠いり沼画の・ 児こらが家道・ 児こらが名に : 莢に 集 坂越えて・ 万埼玉の・ 防人に 弓防人に 索咲く花の・ 玽咲く花も・ 桜田へ・ 歌酒の名を・ 和笹いが葉の : 木この間より : ・ 言問はぬ木すら妹いと兄せ・ 一日問とはぬ・不にはありとも 琴取れば・ 言に出でて : 言にいへば・ 事も無く・ この頃の・ このころは この時雨讐 この山の・ この雪の・ このタベ・ この世にし・ この世には この夜らは この岡に : すら①ささ波の大山守 : は : : しめ一名①しまらくは・ : こととふ①ささなみの国っ御神の : かなし日①霜の上に・ : けだしく②ささなみの志賀津 % の海人は : : かづき ( 潜 ) 新羅れらへか・ : こと ( 言 ) ①ささなみの志賀の大曲・ ・ : おほわだ白玉の・ : おほみやびと白玉は・ ・ : たやすし①ささなみの志賀の唐崎 : おいなみささなみの比良山風の : ・ ・ : かへる ( 返 ) 目・⑨白波の・ ・ : さざなみしらぬひ・ ・ : やど①小波の波越す畔に・ : ・ : をち笹の葉は : : さや白真弓ま ・ : ため②細れ波 : : さざれなみ験いるなき・ ・ : たちもとほる刺さす竹の・ : さすたけの銀も・ : はつはっ里遠み恋ひうらぶれぬ・ : へ ( 辺 ) 白栲れ 2 に : やまたちばな里遠み恋ひわびにけり・ ・ : まそかがみ日白たへの袖の別 2 れは : ・ ・ : ちり ( 散 ) 里人の・ : みるめ ( 見る目 ) ①白妙齲の袖をはつはっ : : こむよさにつらふ : さにつらふ鈴が音ねの・ : よ ( 世 ) ①さ寝ぬらくは : ・ : たまのを②周防にある・ : ・ : 月立 ( っ①さ寝ぬる夜は : : ものもふ術もなく : : うかねらふ目さ寝ね初そめて・ : : いくだ住吉の岸野の榛に : : しけ①佐野山に・ : うつ①住吉の岸を田に墾はり : : こひしぬ佐檜 : の隈 : ことよす②駿河鸞の海 : はゆま高き嶺ねに・ : しにかへる①さぶる児こが : ・ : えも①佐保川の岸のつかさの・ : たちかくる目高光る我が日の皇子の坐しせば・ ・ : よろこぶ佐保川の水を塞せき上あげて・ : せきあぐ ( 塞き上ぐ ) 高光る我が日の皇子の万代に : ・ : たなびく■高円の野べの秋萩・ ・ : あど新佐保山に・ : とほす①さ夜ふけて・ ・ : みを高円の蜂をの上の宮は : ・ : こもりぬのさ男鹿の鳴くなる山を・ ・ : はた ( 将 ) を高山の・ ・ : まどほし①さ雄鹿しの小野の草伏し : ・ ・ : らく薪黔樵こる・ : : かけ ( 掛 ) ①敷栲の・ ・ : ・ : くぐる①栲縄の : はりみち栲領巾の・ ・ : おほとる■信濃路は・ : たのも信濃なる・ ・ : ふむ①栲衾ぶ : そね潮騒に・ ・ : しほさゐ田子の浦ゅ・ ・ : さわぎ②潮乢早み : ・ いそみ①誰たそ彼 2 と : ・ : さきもり潮干ひなば ・ : しめす①ただ今日も・ ・ : ももしきの潮れ待っと・ ただ今夜 ・ : を剏を : おくて①潮乢満てば入りぬる磯の : ・ : らく準①畳なづく・ : ・ ・ : まなご ( 真砂 ) 直に逢あはず ・ : たづ潮満てば水沫に浮かぶ : ・ : おほす ( 負 ) ①島廻すと・ : しまみ②直に逢あはば・ : ます ( 勝 ) ・島山に・ : しまやま②直に逢あひて・ ・ : なく ( 泣 ) : まゐく : おもひかぬ あひナ目 0 ⑧ : しらたま : は一 2 、ふ : しらぬひ : しらまゆみ : に・こる : : くかね ・ : なづむ : 袖 ( ごの別兊 ) れ : ・か、りに ・ : よ格助① : さやる : ~ 2 ほふ ・ : はる ( 墾 ) ・ : なな います ・ : たかひかる ・ : めや : こだる : : : たくなはの ・ : たくひれの : たくぶすま ・ : ゅ稻助② ・ : ただ : ことどひ ・ : たたなづく ・ : しきたへの ・ : ただ ・ : : ・ : むかふ ( 向 ) 九三五

4. 完訳 日本の古典 第四十五巻 平家物語 ㈣

けたのを着たので「袖つけたる」と らへて、「此辺にあやしばうだる旅人のとどまッたる所やある。いはずはきッ 九特に記したもの。 じん よペ ただいま て捨てん」といへば、「唯今さがされさぶらうつる家にこそ、夜部までよに尋 = 頂を折り曲げた烏帽子。 三中国風の瓶子 ( 徳利 ) 。 じゃう 常なる旅人の、二人とどまッてさぶらひつるが、今朝なンど出でてさぶらふや一三食事以外の食べ物。多く木の 実をいう。 らん。あれに見えさぶらふ大屋にこそ、今はさぶらふなれ」といひければ、常一四四段動詞「取りさばくる」の連 用形。「取りさばく」と同じ。取り おほだち くろかはをどしはらまきそで 扱う、持ち扱う。世話をする。 陸房黒革威の腹巻の袖つけたるに、大太刀はいて、彼家に走り入ッて見れば、 ↓一一三ハー注一七。 ひたたれをりえばし 歳五十ばかりなる男の、かちの直垂に折烏帽子着て、唐瓶子、菓子なンどとり一六そこの僧、おい、それは違う ぞ。延慶本「アノ僧ャレ其ハアラ てうし さばくり、銚子どももッて酒すすめむとする処に、物具したる法師のうち入るヌ者ゾ」。熱田本によると「あの僧 や、それは」とも解される。 を見て、かいふいてにげければ、やがてつづいておツかけたり。蔵人、「あの宅大口袴。↓八二ハー注 = 。 天大太刀のこと。屋代本「常陸 ゆきいへ ラトラ 房が太刀ニ劣ヌ程ノ太刀」。延慶 僧。や、それはあらぬぞ。行家はここにあり」と宣へば、走り帰ッて見るに、 一セ 本「三尺一寸の大刀」。なお常陸房 のだ こがねづくりこだち こそでおほくち 六白い小袖に大口ばかり着て、左の手には金作の小太刀をもち、右の手には野太の太刀は四尺余り ( 屋代本 ) とも、 瀬 三尺五寸 ( 延慶本 ) ともある。 泊 刀のおほきなるをもたれたり。常陸房、「太刀投げさせ給へ」と申せば、蔵人一九武器を捨てて降参せよ、の意。 ニ 0 堅い物と物との打ち合う音。 第大きにわらはれけり。常陸房走り寄ッてむずときる。ちゃうどあはせてをどりちゃんと。がちゃんと。はたと。 巻 ニ一よみは高良本による。熱田本 のく。又寄ッてきる。ちゃうどあはせてをどりのく。寄りあひ寄りのき、一時は音読すべきことを示す。 一三後へさがること。延慶本「シ リへサマニ逃入ケレバ」。 ばかりぞたたかうたる。蔵人うしろなる塗籠の内へ、しざりいらんとし給へば、 ニ 0 おほや めりごめ 一九 と - 一ろ もののぐ からへいじ くわし ひととき 一四

5. 吉川英治全集 別巻 第1巻 神州天馬侠

『おのれッ』 といいざま、真眉間をわりつけた。野武士どもは、それッ 1 『だれだツ。何をするーー』 だいとう なまる 馬 こだち と、大刀をぬきつれて、前後からおッとりかこむ。 とその隙に、小太刀をかまえて、いいはなった伊那丸には、 つつじ さきやかた ぶぎ てんせい 武技にかけては、躑躅ガ崎の館にいたころから、多くの達 州幼いながらも、天性の威があった。 てんさいじ じん、、、、 神あなたに立った大男はひとりではなか「た。そろいもそろつ人やつわものたちに手をとられて、ふしぎな天才児とまで、お かわどうふく つるまきだいとう た荒くれ男ばかりが十四、五人、蔓巻の大刀に、革の胴服を着どろかれた伊那丸である。からだは小さいが、太刀は短いが、 ひちょう たちまち一人二人を斬ってふせた早わざは飛鳥のようだった。 たのもあれば、小具足や、むかばきなどをはいた者もあった。 わっぱ のぶし らんせいうら 『この童め、味をやるそ、油断するな』 いうまでもなく、乱世の裏におどる野武士の群団である。 しらは なまる と、野武士たちは白刃の鉄壁をつくってせまる。その剣光の 『見ろ、おい』と、ひとりが伊那丸をきッとみて、 こだち なまる りんすそでひしもん 『綸子の袖に菱の紋だ。武田伊那丸というやつに相違ないぜ』あいだに、小太刀ひとつを身のまもりとして、斬りむすび、飛 あらし びかわしする伊那丸のすがたは、あたかも嵐のなかにもまれる ちょうちどり ばくだいおんしよう 「うむ、ふんじばって織田家へわたせば、莫大な恩賞がある、蝶か千鳥のようであった。しかし時のたつほど疲れはでてく たぜいぶぜい それに、多勢に無勢だ る。息はきれる。 うまいやつがひツかかった』 どぞく だいみよう ふじひとあな 「やいッ伊那丸。われわれは富士の人穴を砦としている山大名『そうだ、こんな名もない土賊どもと、斬りむすぶのはあやま つぶ たけだけ の一手だ。てめえの道づれは、あのとおり、湖水のまンなかでりだ。じぶんは武田家の一粒としてのこった大切な身だ。しか みずそうしき もおおきな使命のあるからだ 水葬式にしてくれたから、もう逃げようとて、逃げるみちはな おれ と伊那丸は、乱刀のなかに立ちながらも、ふとこう思ったの 、すなおに俺たちについてこい』 けつろ にんけん で、一方の血路をやぶって、一散ににげだした。 『や、では忍剣に矢を射たのも、そちたちか』 さんしよううおえじき にんけん 「のがすなツ』 『忍剣かなにか知らねえが、いまごろは、山椒の魚の餌食にな と野武士たちも風をついて追いまくってくる。伊那丸は芦の っているだろう』 まつなみき っちぐも ヒュッビュッレ J い、つ 洲からかけあがって、松並木へはしった。。 「この土蜘蛛・・ : : 』 伊那丸は、くやしげに唇をかんで、にぎりしめていた小太矢のうなりが彼の耳をかすって飛んだ まつなみ ゅうやみ タ闍がせまってきたので、足もともほの暗くなったが、松並 刀の先をふるわせた。 けんめ、 木へでた伊那丸は、懸に二町ばかりかけだした。 『さツ、こなけりやふんじばるそ』 もんじ と、これはどうであろう、前面の道は八重十文字に、藤づる と、野武士たちは、彼を少年とあなどって、不用意にすすみ すき み なわ の繩がはってあって、かれのちいさな身でもくぐりぬける隙も でたところを、伊那丸は、おどり上って、 ち すき くちびる とりで ぐんだん さん たいせつみ ふじ たっ と

6. 完訳 日本の古典 第四十巻 宇治拾遺物語 ㈠

219 巻第七 て取らせたりければ、侍、取り伝へて取らす。 ゅ 藁一筋が大柑子三つになりぬる事と思ひて、木の枝に結ひつけて肩にうち掛一四身分のある人。『今昔』は「品 不賤ヌ人」とする。 ぐ けて行く程に、故ある人の、忍びて参るよと見えて、侍などあまた具して徒よ三徒歩で。 一六歩き疲れて。 一六こう り参る女房の、歩み困じて、ただたりにたりゐたるが、「喉の渇けば、水飲ま宅底奎たてりゐたるが」。『今 昔』は「具垂ニ垂居タルヲ見レバ てまど せよ」とて消え入るやうなりければ、供の人々手惑ひをして、「近く水やある」とある。この訓の諸本が多い。こ の箇所、諸説あるが、『名義抄』に はた′一むま 。しかがせんずる。御旅籠馬にやもし「」の字を「タル」、さらに「ツカ と、走り騒ぎ求むれど、水もなし。「こま、 ル・サワク・ワッラフ」などとも はるかおく 訓ずるところから、この字を候補 ある」と問へば、「遥に後れたり」とて見えず。ほとほとしきさまに見ゆれば、 の一と推測する説 ( 大系本『今昔』 ) により、苦しみわずらう意にとっ まことに騒ぎ惑ひてしあっかふを見て、「喉渇きて騒ぐ人よ」と見ければ、や ておく。 はら歩み寄りたるに、「ここなる男こそ水のあり所は知りたるらめ。このあた一〈あわてふためいて。 一九食物など旅行用品を入れた籠 さぶら ニ四 り近く、水の清き所やある」と問ひければ、「この四五町が内には清き水候は ( 行李 ) を負って運ぶ馬。 ニ 0 息も絶え絶えな様子に のど さぶらふ じ。 いかなる事の候にか」と問ひければ、「歩み困ぜさせ給ひて、御喉の渇かニ一手の施しようもないようにし ているのを見て。 せ給ひて水ほしがらせ給ふに、水のなきが大事なれば、尋ぬるそーといひけれニニ知っているようです。 ニ三一町は約一〇九 ふびんさぶらふ ニ四清水はございますまい ば、「不便に候御事かな。水の所は遠くて、汲みて参らば、程経候ひなん。こ 一宝お気の毒なことでございます よろこ れはいかがーとて、包みたる柑子を三つながら取らせたりければ、悦び騒ぎてねえ。 一四 ゅゑ 一九 へ かち

7. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

Ⅱはど ( 諸 ) ーほとに て」傍書 ) ま所の のちのち 5 後々のは ( 諸 ) ー後 / 、の ものを ( 諸 ) ー物 町 7 刀自 ( 諸 ) ー年 ひとひ 3 をこなり ( 諸 ) ーをこり いとをかし ( 諸 ) ーいとおかしいと ( 下 2 一日 ( 諸 ) ー万 ( 「万」見セ消チ「一日」傍 8 ノ「いと」見セ消チ ) 子 7 たまふよ」と ( 富・十・十二・十三 ) ー やくがひ 貶いざや ( 諸 ) ーいまや〔「左」ノ草体ノ 1 屋久貝といふ物して飲みて立つ、す 草 「さ」ヲ「万」ノ草体ノ「ま」ト誤写シタノデア Ⅱ歩み ( 諸 ) ーあゆ なはち取り食みといふもの ( 三 ) ーやくか ロウ〕 枕 4 ゑませ ( 諸 ) ーえさせ ひといふ物〔上ノ「いふ物」カラ下ノ「いふも の」ニ目移リシテ写シ落シタモノデアロウ〕 6 まして ( 諸 ) ーましき ( 「き」見セ消チ ) 4 あらぬ事 ( 諸 ) ーあらて ( 「て」見セ消 ひひとひ チ ) ぬ事 日一日 ( 諸 ) ー一日 凵かへして ( 三 ) ーかくして 別貶ゃうなるこそ ( 諸 ) ーやうなる 5 知らぬものも ( 富・高・十・十三 ) ーし むいか にんぢゃう 6 六日もてさわぎ ( 富・高 ) ー六日まて らぬ物とも 人長 ( 諸 ) ー人定 ( 「定」ニ「長」傍書 ) まひびと さはき 7 ゐたまへる ( 諸 ) ーの給へる 2 舞人にて ( 諸 ) ー舞人のにても ( 「も」 見セ消チ ) 8 あれば ( 諸 ) ーあはれは 9 のたまへば ( 諸 ) ーの給は 聞 3 宮 ( 諸 ) ー色〔タダシ「宮」ニ酷似シタ字 いらへをかせむ ( 諸 ) ーいらへもせん 4 めでたき ( 諸 ) ーめてたさ ( 「さ」見セ消 1 たるに ( 諸 ) ーたりに チ ) き ゃうなる ( 諸 ) ーやうに ( 「に」見セ消 6 まかづる ( 諸 ) ーまかへる 訂 9 来たり ( 諸 ) ーきたる チ ) なる 訂 9 弁 ( 諸 ) ー弁の ものかな ( 諸 ) ー物かなと 1 いづこ ( 三 ) ー 6 よく言ひたる ( 諸 ) ーよく ( 次ニ「いひ」 物にあたる ( 諸 ) ーもて ( 「て」見セ消 補入 ) たる チ ) のにあたる 貶取り入れて、さなどは聞かせたてま のばるを ( 富・高・十二・十三 ) ーのほ 9 築地 ( 諸 ) ーっいたち つれど、「物忌なればえ見ず」とて ( 富・ るも ( 「も」見セ消チ ) を 5 わろからむ ( 諸 ) ーわろうらん 高 ) ーとりいれて 6 たりしこそ ( 諸 ) ーたりしも 鮖 2 くるみ色 ( 十・十二・十三 ) ーくろみい 4 かくては ( 諸 ) ーかた ( 「た」見セ消チ ) ろ くては Ⅱ深かる ( 諸 ) ーふるゝる 2 たまひけむ ( 諸 ) ー給へけん 6 仰せられ出でて ( 三・マ ) ー仰られて 7 装束 ( 諸 ) ーそ ( 「そ」見セ消チ ) 「さ」傍 書 ) うそく 7 わざと ( 諸 ) ー態 おにわらは 7 鬼童は、たてま所の ( 諸 ) ーをこひや 8 しもより ( 諸 ) ーしもとよ〔「よ」字形ャ くちをしきなり ( 富・高 ) ーロ惜なり ・、はン一り 1 よっ】 ャ不確カ〕り うか ( 「こひやうか」見セ消チ「おにわらはゝた 孟嘗君の鶏 ( 三 ) ーまうさうくんに 給事 て はとり・

8. 完訳 日本の古典 第二十五巻 夜の寝覚 ㈠

さりとて ( 前・国・天 ) ーされとて 6 ゆく月に ( 国・天 ) ーゆくへきに しな / ( 、しきよしなるに 7 言ひ返すべくもあらず ( 諸 ) ーいひか 3 かくなおぼし入りそ ( 前 ) ーかくれお 8 ながめ出でて ( 前 ) ーなかあひて へすへてもあらす 2 川優なるものかな ( 前・東 ) ーゅうなる 4 言ひなすならむ ( 諸 ) ーひひなすなら 9 はればれしく ( 国・天 ) ーはれくしく おかな 人の様かな ( 前・国 ) ー人のさまな 9 出で来るを」と ( 前・国・東 ) ーいて 2 妻 ( 諸 ) ー女 いみじう ( 前 ) ーいみし ′、 0 ほと 7 まめやかに ( 国 ) ーさめやかに 堪へがたく ( 国 ) ーたえかたく 4 と言ひて ( 諸 ) ーとひひて 3 おぼし寄りけり ( 前・東 ) ーおほしか人知れず ( 前 ) ーた、れす 肥おぼほれ ( 国 ) ーおもほれ 加答へもせず ( 前 ) ーこたえもせむ りけり Ⅱ知らむは ( 国・天 ) ーしんは 7 。をば君 ( 前 ) ーを君 2 しさぶらひつる ( 意改 ) ーしロ ( 判読デ 5 1 Ⅱ堪へぬ ( 前・国 ) ーたえぬ 御かよひの関 ( 前 ) ー御よひのせき キズ ) つる % Ⅱ定まりたまふが ( 前 ) ーさたまりたま 8 出で入りしつる ( 意改 ) ーいていもし 5 耳 ( 前・東 ) ーみえ Ⅱ修法、読経 ( 前・国 ) ーす法と性 % 妬がりて ( 前・国・天 ) ーねたありて 3 やをら ( 諸 ) ーやをし その程に ( 前 ) ーそのねに 4 さりげなく ( 国 ) ーさりなけく 5 紛れおはして ( 諸 ) ーまきれおほして 9 とどめたまはぬ ( 前・国・静 ) ーとゝ 幻 5 答ふる ( 国・実 ) ーいしふる 3 おぼし沈みて ( 前 ) ーおほしくつみて めてたまはぬ 5 あてやかに ( 諸 ) ーあてやうに 6 ものしたまふ ( 意改 ) ーものゝ給 品しるき ( 前・東 ) ーしなしなき 7 隔たらむ ( 意改 ) ーいたゝらん 9 大臣の君も ( 東 ) ーおと、君も 8 衛府姿 ( 国・天 ) ーうすかた 四 9 思へど ( 前・東 ) ーおもへは 聞かせおはしまして、召しおはしま 5 かげ見ゅばかり ( 前・東 ) ーみゆはか 四 おぼっかなながら ( 前 ) ーおほっかな すにや ( 前・東 ) ーきかせおほしましてめし 材 6 小袿 ( 諸 ) ーこうち おほしますにや 6 堪へず ( 国 ) ーたえす いとかなしと ( 前 ) ー侍とかなしと うち笑ひて ( 前・国 ) ーうちはらひて Ⅱやみね ( 前・国 ) ーやみぬ 付 昭巌の ( 前・国・天 ) ーいかほの 2 そこらの ( 前・国・天 ) ーそこしの 6 兄にさぶらふ ( 意改 ) ーせうとに仏 訂 5 事忌 ( 前・天・東 ) ーこそいみ 7 過ごしがたさを ( 前 ) ーしはしかたさ 4 おぼすに ( 諸 ) ーおほせに Ⅱ今まで ( 諸 ) ーいまして を 肥心一つに ( 前 ) ー心もとっき 2 おはし初めぬる ( 前・東 ) ーおほしそ 1 あなづらはしき ( 諸 ) ーあなっ、はし 1 ことごとしくもてなしかしづきて、 8 あまたはべりしなかに ( 前 ) ーナシ ふる から む めぬる ほしいりそ つる

9. 集英社ギャラリー「世界の文学」16 -アメリカ1

マーク・トウェイン 886 んはっていや、部屋の隅っこに横たわってる。そのうちまた、 くる。一度なんか急に向き変えるんで、おれとうちゃんの腕 半分からだ起こすと、頭片側にまげて、じっと耳すましてる。よけようとしたが、捕まっちまって、上着の両肩のあいだん そして、すごい低い声でこう一言うんだ。 とこ押えつけられた。おれ、もうだめだと思ったね。だけど、 「。よこっ 。まこっ はたっ ばたつ。死人が来たそ。。 そこんとこ稲妻みてえによ、ばっと上着脱ぎすてたんで、助 2 よこっ ばたつ。死人が迎えにきたんだ。おらあ行かねえかった。そうこうしてるうちに、とうちゃんまたすっかり疲 そーーーああ、来ちまった ! おれんからだ触るんじゃねえれちまって、ドアに背中もたせかけ、 ぐったり坐りこんじま よせよ ! 手のけろーー冷てえよお。はなしてくれ った。ちょっと一息いれてから、おれを殺すそって一一一口う。ナ ああ、おれはっといてくれねえかよ ! 」 イフは忘れす尻んしたに置いてる。一眠りして、元気出たら、 それから、四つん這いになって、おれほっといてくれねえだれがだれだかはっきりさせてやるって一言うんだ。 かよって頼みながら、ともかく這ってでも逃げようってする こうやって、このあとすぐ、とうちゃん眠っちまったんで、 んだ。そしてだな、毛布からだに巻きつけると、松の板で作おれ古いへぎ板底の椅子持ちだしてきて、音たてねえよう、 った古いテー、、フルんしたにだね、転がりこんで、まだ、おれできるだけそっと椅子んうえに登ると、壁から鉄砲下におろ んことほっといてくれよって頼んでる。それから、大きな声した。込め矢押しこんで弾丸が入ってるかどうか確かめてか だして泣きだす。毛布んなかからとうちゃんの泣き声が聞こ ら、そいっとうちゃんの方に向け、かぶらの樽んうえに置い える。 た。そして、樽の後ろに坐って、とうちゃんがまた騒ぎだす ところが、またそのうち、転がりでてくると、 いきなり立の待ったが、時間のたつのが、おれにやものすごく遅く、ま ちあがるんだな。気が狂ったみてえな眼してて、おれん顔みた静かに思われたね。 すえて、とびかかってくる。おれんことをだね、死神の使い だ、なんて口走りながら、折りたたみナイフ手に持って、 屋じゅうぐるぐる追いまわすんだ。殺してやる、そうすりや、 もう来れねえだろうからって言ってたな。おれは、とうちや「起きろ ! なにやってるんだ、おめえは , ん、頼むよ、ただのハックじゃねえかって、言ったんだけど、 おれ、眼開けると、あたりを見まわした。どこにいるんか、 とうちゃん、やけに甲高い声だして笑うと、唸り声あげたり、 まず確かめようとした。もう夜が明けてた。ぐっすり眠っち ののしったりしながら、どこまでも、おれんこと追いかけてまったらしい とうちゃん、おれ見おろすようにつっ立って

10. 完訳 日本の古典 第十三巻 枕草子 ㈡

ものいみ けふあす さん 一下に「えまゐらす」など省略 書きておこせたるを見れば、「参ぜむとするを、今日明日は御物忌にてなむ。 ニ「三十の期・ : 」の詩 ( 前ハー注一三 ) かへりごと 。しかがなものでしよう。前のい 『三十の期におよばず』はいかが」と言ひたれば、返事に、「その期は過ぎたまま、 子 四 きさつを受けて、またお聞かせし 六 すばいしんめ 草ひぬらむ。朱買臣が妻教へけむ年には」、ここにしも書きてやりたりしを、またい ( お話ししたい ) ものです、の 意をこめたもの。 かた 枕 三三十歳。宣方の年齢は明らか たねたがりて、うへの御前にも奏しければ、宮の御方にわたらせたまひて、 ではないが、三十を過ぎているこ いきさっ とは下の経緯から明らかである。 「いかでかかる事は知りしぞ。『四十九になりける年こそいましめけれ』とて、 四朱買臣が四十歳を越えたころ のぶかた 宣方は『わびし , 2 一 = ロはれにたり』と言ふめるは」と笑はせたまひしこそ、物ぐの話が『前漢書』に見える。貧しさ を恥じて妻が去ろうとしたところ、 五十歳となれば富貴となって労に るほしかりける君かなとおばえしか 報いよう、と諭した。 かた によう′ こきでん 五下に「およばざらめど、と」を 弘徽殿とは、閑院の太政大臣の女御をそ聞ゆる。その御方に、うち臥しとい 補って解くが不審。 さぶら たとうがみ 六「ここに」を畳紙に、とみる。 ふ者のむすめ、左京といひて候ひけるを、「源中将語らひて思ふ」など、人々 三巻本「年には」以下「年にはしも とのゐ 笑ふころ、宮の職におはしまいしにまゐりて、「時々は、御宿直などっかうまと書きてやりたりしを」。 セむずかしい本の話を。 みやづか いと宮仕へおろ ^ 「四十九」は「四十余」の誤りか。 つるべけれど、さるべきさまに女房などもてなしたまはねば、 三巻本「三十九」。 かに候ふ。宿直所をだに給はりたらむ、いみじうまめに候ひなむ」など言ひゐ九源中将宣方。 きんすえ 一 0 藤原公季のむすめ義子。長徳 たまひつれば、人々、「げに」など言ふほどに、「まことに人は、うち臥しやす二年 ( 究六 ) 七月二十日一条天皇の もとに入内。八月九日女御。公季 が太政大臣になったのははるかの む所のあるこそよけれ。さるあたりにはしげくまゐりたまふなるものを」とさ かんゐん しき 五 きこ