アジア・アフリカの稲作

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第 5 章 ケニアの稲作ー天水畑稲作の可能性一 ( 米ドル /t) 1 , 000 サール条約 ( 湿地帯 ( 万 t/ 年 ) 16 の保存を目的とする 14 国際条約 ) により、 年 12 間 イネ栽培への大規模 メ 10 な利用は難しい。と 産 8 すれば、天水畑稲作 6 が必然的に唯一の選 択肢となろう。天水 量 2 畑稲作は収量では灌 0 0 漑稲作には及ばない 2010 年 2005 1985 1995 2000 1980 ものの、面積拡大に 図 5 ー 3 ケニア国における国内コメ生産量、輸入量お コストがかからず、 よびコメ価格の年次変化 また約 100 万 ~ 200 データは FAOSTAT ( 2012 ) から引用。 万 ha と見積られる 国内の栽培適地は、灌漑稲作のそれをはるかに上回る。 2008 年に策定された国家 イネ開発戦略においても、天水畑稲作振興が重要な柱のひとっとされ、 2018 年ま でに 4000ha での栽培が計画されている ( ケニア農務省 2008 ) 。 以上の背景から、増え続けるコメ需要を賄うためには天水畑稲作面積の拡大が必 要不可欠であり、そのためにも栽培システムを早急に確立する必要がある。では、 コメが主食であるアジアとは社会的にも農業生態的にも大きく異なるケニアにおい て、目指すべき天水畑稲作とはどのようなものであろうか ? そこでまず、個々の 栽培技術を検討する前に、ケニア天水畑稲作の位置づけを、栽培学・農業経済学の 観点から検討することを試みた。 3. ケニア高地での天水畑稲作の導入試験より見えてきたもの 天水畑稲作の導入戦略を明らかにするために、ケニア西部における圃場栽培試験 ーでは次の 4 点、①天水畑稲作の生産性 と中央部における農家調査を実施した 阻害要因、②適切な品種・栽培体系の要件、③現地主要作物のトウモロコシとの競 合、④普及対象となる農家の特性、から考えてみたい。 800 ーー - 国内生産量 - 輸入量 ーコメ価格 600 コメ価格 200 1990 129

第Ⅱ部粗放段階の稲作 栽培試験はケニア西部の標高の異なる 3 地点 ( マセノ Maseno : 1560m 、チュラ インボ ChuIaimbo : 1360m 、ナンバレ Nambale : 1160m 、図 5 ー 1 ) を対象とした。 2009 年 12 月から 3 月の乾期作、 2010 年 9 月から 12 月の小雨期作、および 2011 年 3 月から 6 月の大雨期作の 3 作期で試験を実施した。なお、降雨がほとんど期待で きない乾期作には十分量の畑地灌漑を行ない、小雨期作および長雨季作では天水条 件で陸稲を栽培した。 品種・標高と栽培体系から 品種ごとに籾収量を比較してみると、十分な畑地灌水を行なった 2009 年の乾期 作を除いて、籾収量は早生品種で最も高く、中生・晩生品種で低くなる傾向を示し た ( 表 5 ー I) 。特に生育後半に強度の旱ばつに見舞われた 2010 年の小雨期作では、 中生と晩生の品種は空籾ばかりという結果になった。ここで、品種間および作期間 にみられたイネ籾収量の変動を全乾物生産量と収穫指数との関係から解析したとこ ろ、収量は収穫指数に強く影響されていた ( 表 5 ー 1) 。一般的に、収穫指数の低下 は出穂期から登熟期にかけての環境ストレスによる不稔や、同化産物の転流阻害に より起こることが多く、生育後半の旱ばつがその要因であると推測される。写真 5 表 5 ー 1 ケニア西部の 3 地点における 3 作期の品種熟期別の到穂日数、籾収量および 収穫指数 2010 年小雨期作 ( 444mm / 4 カ月 ) マセノチュラインポナンバレ 2011 年大雨期作 ( 648mm / 4 カ月 ) マセノチュラインポナンバレ 到穂日数 ( 日 ) 籾収量 (t/ha) 収穫指数 早生 中生 晩生 早生 中生 晩生 早生 中生 晩生 2009 年乾期作 ( 84 矚 / 4 カ月 ) * 0.36 0.36 0.43 3.6 2.9 3.8 135 116 98 マセノ 106 121 0.7 0.19 0.03 0.01 104 120 出穂せず 0.0 0.0 020 0.01 0.01 93 114 1.5 0.0 0.0 0.34 0.11 0.01 101 116 145 1.5 0.4 027 0.18 0.04 96 105 114 1.9 0.3 026 0.17 0.03 86 97 115 2.7 0.8 0.31 0.15 0.13 * 各作期の降水量として播種後 4 カ月間の降水量を示した。 2009 年乾期作の降水量には灌水量 も含む ( 図 5 ー 4 ) 。 * 各データは 3 反復の平均値。 * 品種の早晩性は 2009 年乾期作での到穂日数データをもとに、 105 日以下を早生品種、 106 ~ 125 日を中生品種、 126 日以上を晩成品種とした。 1 ろ 0

第 5 章 ケニアの稲作ー天水畑稲作の可能性一 雨が停止したために全株 が枯死した調査地を写し たもので、生育後半の旱 ばっ害の厳しさを如実に 物語っている。 収量は標高にも大きく 影響を受ける。先述した とおり、ケニアでは標高 が高くなれば降水量は増 加するので、当然高い収 写真 5 ー 2 旱ばつが起こった 2010 年小雨期にウガンダと 量が期待される。しかし の国境近くの試験場内に設けた圃場の様子 標高 1560m に位置する マセノの収量は、両作期とも 1160m のナンバレより低い結果となった ( 表 5 ー 1) 。 低収量の要因は、出穂がナンバレに比較して 2 週間ほど遅れたため、生育後半に旱 ばっストレスにさらされたことが原因である。一般に、短日植物であるイネの出穂 は、日長時間と気温の経過により決まる。赤道直下にあるケニアでは日長時間がほ ば一定であるため、出穂期の決定には気温が強く影響する。ケニア周辺の東アフリ 力で行なわれた陸稲栽培試験の結果を見ても、生育期間は温暖なスーダン低地の 90 日から冷涼なエチオピア高地の 140 日まで、著者らのデータと同様に標高に応 じて大きく変わることが報告されている ( 坪井 2012 ) 。雨期が短くかっ降水パター ンも不安定なケニアでは、 1200 ~ 1300m の標高域を栽培適地として想定する場合 には、できる限り生育期間の短縮を図ることが重要となる。 トウモロコシとの収益比較から 次に、土地利用で競合する主食作物のトウモロコシとの比較から、ケニア天水畑 稲作を考えてみたい。図 5 ー 4 に、上述の 3 つの試験地におけるアジアイネとアフ リカイネの種間交雑品種である NERICA4 の収量と、隣接圃場でのトウモロコシ収 量の関係を示した。 NERICA4 の収量はトウモロコシに比べて変動が大きく、特に 2010 年の少雨期作ではその収量は著しく低かった。対象地域の気象条件で栽培し た場合に、イネはトウモロコシ ( 成熟まで約 90 日 ) に比べて生育期間が 30 日以上