小公女 (岩波少年文庫)

キーフレーズ

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まど 次の日の朝、ミンチン先生が、窓からそとを見ていると、さぞかし、見たくないだろうと思 たけ われるようなものが、目にうつりました。インドの紳士の馬車が、丈の高い馬にひかれて、お げんかん となりの玄関に横づけになったのです。やがて、そのもちぬしと、ひとりの子どもが、ふかふ けがわ かのりつばな毛皮に、あたたかそうにくるまって、ふみだんをおりてきて、馬車にのりこみま した。それは、よく見なれた子どもだったので、先生は、すぎさった日のことを、思いださず にはいられませんでした。すると、そのあとから、もうひとり、見なれた子どもがでてきまし たが、そのすがたを見ると、先生は、たまらなくいらいらしてきました。それはべッキーでし 幸福そうな、おっきになりすましたべッキーでした。べッキーは、いつも、ひざかけや、 わか 手まわりの品をもって、馬車のところまで、若い女ご主人をお見送りするのでした。いつのま にか、べッキーの顔も、まるまるとふとって、きれいな色をしていました。 まもなく、馬車はいっかのパン屋の店さきにとまりました。ふたりが、馬車からおりると、 あま ふしぎなことに、ちょうど、また、おかみさんが、やきたての甘パンをおばんにのせて、ウィ ンドーにならべているところでした。セーラが店にはいると、おかみさんは、ふりむいてセー ラのほうを見、甘パンをそのままにして、カウンターへでてきました。しばらくのあいだ、お かみさんは、しっとセーラを見ていましたが、そのうちに、ひとのよさそうな顔が、ばっと明 1 るくなりました。 しんし

「よくぞんしあげておりますよ、おしようさま。」と、おかみさんはいいました。「でもーーー」 あま 「ええ、 いっか、お目にかかりましたわね。」と、セーラはい、 しました。「四ペンスで、甘。ハ ンを六つ、いただいたことがありますわ、そして むすめ 「そしてあなたさまは、六つのうち、五つも、こしき娘におやりになりましたよ。」と、お かみさんは、おっかぶせるようにいいました。「あのときのことは、よく思いだしておりまし しんし こ。はしめは、わけがわからなかったんでございますよ。」おかみさんは、インドの紳士のほ うをむいて、こんどは、そちらに話しかけました。「ごめんくださいまし、だんなさま。でも、 お若いのに、あんなふうに、ひとのひもしいことに気のつくかたは、あまりないものでござい ますから、わたしは、よくそのことを考えておりましたんでございますよ。これは、かってな かおいろ ことを、おしようさま。」ーーーと、またセーラにむかって 「でも、あなたさまは、お顔色が よくおなりでございますこと。それにーーーおしようぶそうに、あのーーーあのころよりずっと 「しようぶになりましたわ、おかげさまで。」と、セーラはいいました。「それにーーーずっと、 しあわせになりましたー・ーきようは、あなたにおねがいがあってきたのですけれど。」 「わたしにでございますか、おしようさま ! 」パン屋のおかみさんは、うれしそうに、 にこしながら、さけびました。「まあ、それはそれは ! は、はい、おしようさま、どんなご わか 392

用でございましようか ? 」 さむ それからセーラは、カウンターによりかかって、寒い日に、やどなしの子どもがきたら、あ あま たたかい甘パンをやってくれるように、ということをたのんでみました。 おかみさんは、ましましとセーラの顔を見ながら、びつくりしたような顔をして、しっと聞 いていました。 「まあ、それはそれは ! 」聞きおわると、おかみさんは、もう一ど、そうい いました。「そ んなことをさせていただけましたら、どんなに、うれしいことでございましよう。わたしは、 みうえ 自分でも、はたらいているような身の上でございますから、自分のカでは、たいしたこともで こま きませんが、困っているひとは、そこらしゅうにいるのでございますよ。しかし、こんなこと をお耳にいれて失礼でございますが、あの、 いっかの雨の日からこっち、わたしは、おしよう さまのことを思いだしては、すこしずつですが、ノ、 、 / をめぐんでやってるんでございますよ。 あなたさまは、すっかりおぬれになって、お寒そうでございました。おなかも、ずいぶん すいておいでのようでした。それなのに、あなたさまは、まるで王女さまみたいに、あたたか あま い甘パンをやっておしまいになりました。」 しんし これを聞くと、インドの紳士は、思わず、につこりしました。セーラも、ちょっと、ほほえ みました。あのがつがっしていた子どもの、ばろほろのひざの上に、甘パンをのせてやったと しつれい 393