帰ってきたメアリー・ポピンズ (岩波少年文庫 53)

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きさき 次の日、王さまは感嘆していいました。「妃よ、そなたのほおは、二輪のバラのようじゃ ! 」 きさき も出すまでは、たいへんうれしく思いました。 そして、お妃さまも、王さまが次のことばをい、 「だが、なぜバラなのか ? なぜキャベツではいかん ? なぜ、バラはビンクで、キャベツは ぎやく 緑なのだ ? その逆は ? これは、たいへん重大な問題である。」 ぎさぎ きさき しんじゅ ました。ところが、お妃さまが 三日目に、王さまは、お妃の歯は真珠のようだといい こりするひまもないうちに、王さまが語をつぎました 「そうだとしたら、どういうことか ? だれも、つまるところ、何本かの歯はもっておる、 しんじゅに しかも、おおむね真珠に似ておる。ところがじゃ、真珠そのものは、きわめて稀じゃ。よほど、 重大に考えねばならん。」 せんすいふ そこで王さまは、国じゅうから、もっともすぐれた潜水夫を呼び出して、海にもぐらせまし ちしきえ その日以来、王さまは、いつも考えごとにふけっていました。知識を得ることばかりに気を きさき きさき うばわれて、お妃の顔を、よくみることさえなくなりました。それどころか、お妃のほうへ目 しよるし を向けたとしても、おそらく、見てはいなかったでしよう。それは、本や書類の勉強に、あまり きんがん ねっしん 熱心だったため、すぐ、たいへんな近眼になってしまったからなのです。まるい赤ら顔は、や かんたん つぎ しんじゅ よ りん まれ こっ 103

ます わか せて、しわがよってきましたし、髪の毛は、若いうちから、灰色になりました。食べ物も、ほと そうりだいじん んど、とらないといっていいくらいでした ただ、年とった総理大臣が、食事がテープルの 上に用意してございますというたびに、チーズと玉ネギのサンドイッチを食べるくらいでした。 きさき そうぞう さて ! あなたがたには、お妃が、どんなにさびしかったかということは、想像がつくでし そうりだいじん よう。ときおり、総理大臣が、用心深く、すり足で玉座に近づいて、お妃の手に、やさしく指 をふれることがありました。時には、また、ちいさな小姓が、インクつぼにインクをつぐあし きさき まに、目をあげて、お妃さまにむかってにつこりすることもありました。けれども、年寄りに きさき なぐさ しても、男の子にしても、お妃の心を慰めるために割く時間は、あまりありませんでした。首 をなくすのが、こわかったからです。 あなたがたとしても、王さまが、わざと思いやりのないことをしていたと考えてはなりませ ん。それどころではないので、王さまは、じぶんの臣下は、この上なく幸運に恵まれていると 思っていました。だって、事実上、あらゆることを知っている王さまをいただいているではあ りませんか ? ところが、王さまが、せっせと知識を集めているあいだに、国民は、どんどん 貧しくなっていきました。家はあれはてて、畑は耕されなくなりました。それは、王さまの考 えごとを助けるためには、すべての人が必要だったからなのです。 かみ ひつよう ちしき たがや しんか ぎよくざ こしよう はいいろ きさき こくみん としょ 104

かいぎしつ ついに、ある日のこと、王さまと廷臣たちが、例によって、会議室の机にむかって、忙しく きさき 仕事こゝゝ ーカカっていた時でした。お妃はといえば、ペンの走る音と、腰羽目のなかのネズミの鳴 ぎさぎ かたむ き声に、耳を傾けていました。すると、しばらくして、お妃があまりじっとしていたので、ず びきへや ぎよくざました うずうしいネズミが一匹、部屋を突っきって走りよると、玉座の真下で、ひげをこすりはじめ きさき ました。お妃は、おびえて、ちょっとあえぎましたが、王さまのじゃまをしてはいけないと思 って、いそいで、片手でロをふさぎました。そして、白いテンのマントのすそをひきよせて、 そのなかでふるえながら、すわりなおしました。ちょうど、その時、ロをおさえた手のヘりを こえて、ふと、おびえた目が部屋のはしを向いて、しきいぎわのところで 一匹のネコを見 たのです。 ちいさなネコでした、それは。タンポポの綿毛のようにふわふわしていて、しつぼから、ひ まっしろ ようす げのさきまで、おさとうのように真白でした。ものうげに、ぶらぶら歩いている様子は、まる で、なにひとっすることもなく、時間をもてあましているかのようでした。ゆっくりと戸口を かがや はいってきたとき、一対の緑色の目が、顔のまんなかで、燃えるように輝きました。 ネコは、じゅうたんのふちまでくると、ちょっと立ちどまって、めいめい、本のうえに身を きさき りようがん かがめている王さまと廷臣たちを、ふしぎそうに眺めました。それから、緑の両眼が、お妃の かたて ていしん ていしん わたげ なが 、、ば つくえ びき いそが 105