ギリシア・ローマ神話 上 (岩波少年文庫)

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ゼウス アポロン ヘラクレス テセウス デメテル 自分 アテナ 神々 ギリシア 女神 人間 カドモス アプロディテ ディオ プロメテウス ナルキッソス メレアグロス ポセイドン アルテミス しよう アテナイ アタランテ 子ども クロノス アトラス 思っ 人々 巨人 思い 連れ 牡牛 そして ふたり ハルキ 怪物 ダイダロス ディアネイラ ヘルメス アラクネ 人たち 一つ 思う プシュケ 姿 イアソン 生まれ むすこ 神殿 ひとり 地面 ヒッポメネス ミダス 流れ 死ん カストル 自分たち 住ん 馬車 あいだ 地上 仕事 王様 ベルセポネ ハエトン 考え 見る イノシシ テッサリア ベルセウス 思わ ほら穴 悲しみ ことば 助け 持っ 若者 ラクレス ハデス 名まえ 羊飼い リンゴ アルゴ トロイア戦争 父親 一番 祈り 投げ

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岩波少年文庫発刊に際して 、いためつけられた街路樹からも、若々しい枝が空に向 一物も残さず焼きはらわれた街に、草が萌え出し かって伸びていった。戦後、いたるところに見た草木の、あのめざましい姿は、私たちに、いま何を大切に し、何に期待すべきかを教える。未曾有の崩壊を経て、まだ立ちなおらない今日の日本に、少年期を過ごし つつある人々こそ、私たちの社会にとって、正にあのみずみずしい草の葉であり、若々しい枝なのである。 この文庫は、日本のこの新しい萌芽に対する深い期待から生まれた。この萌芽に明るい陽光をさし入れ、 豊かな水分を培うことが、この文庫の目的である。幸いに世界文学の宝庫には、少年たちへの温い愛情をモ ティ ーフとして生まれ、歳月を経てその価値を減ぜず、国境を越えて人に訴える、すぐれた作品が数多く収 められ、また名だたる巨匠の作品で、少年たちにも理解し得る一面を備えたものも、けっして乏しくはない。 私たちは、この宝庫をさぐって、かかる名作を逐次、美しい日本語に移して、彼らに贈りたいと思う。 もとより海外児童文学の名作の、わが国における紹介は、グリム、アンデルセンの作品をはじめとして、 すでにおびただしい数にの・ほっている。しかも、少数の例外的な出版者、翻訳者の良心的な試みを除けば、 およそ出版部門のなかで、この部門ほど杜撰な翻訳が石過され、ほしいままの改刪が横行していみ部門はな 私たちがこの文庫の発足を決心したのも、一つには、多年にわたるこの弊害を除き、名作にふさわしい 定訳を、日本に作ることの必要を痛感したからである。翻訳は、あくま . で原作の真の姿を伝えることを期す ると共に、訳文は平明、どこまでも少年諸君に親しみ深いものとするつもりである。 この試みが成功するためには、粗悪な読書の害が、粗悪な間食の害に劣らないことを知る、世の心ある両 親と真摯な教育者との、広汎な御攴持を得なければならない。私たちは、その要望にそうため、内容にも装 釘にもできる限りの努力を注ぐと共に、価格も事情の許す限り低廉にしてゆく方針である。私たちの努力が、 多少とも所期の成果をあけ、この文庫が都市はもちろん、農村の隅々にまで普及する日が来るならば、それ は、ただ私たちだけの喜びではないであろう。 ( 一九五〇年 )