旧約聖書物語

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イスラエル エジプト サウル イスラエル人 モーセ サムエル ヨセフ サムソン ペリシテ人 わたしたち 人びと ダビデ ョセフ ヘブライ人 そして しよう カナン 子どもたち エジプト人 あいだ アダム すべて ふたり ヒッジ ヤコプ 預言者 イスラ キリスト ペリシテ ひとり 人たち 兵士たち ヨナタン デリラ ゴセン 見つめ 立っ 子ども むすこ 人間 大きな ゴリアテ 悲しみ 考え 軍勢 ニヤミン 聞い ひとつ 知っ ヨシュア いっしょ しかし にんげん やくそく テント 生き 土地 しんせい 思い けもの 神殿 ことば 見え 思っ 兄弟 ナイル川 その子 いちばん 戦い 生きもの それから じゅう 流れ 苦しみ 兄たち 部族 わたし 立ちあがっ イスラエル軍 見る 祭司 ヘリシテ

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271 ばたけ ムギ畑の中のキツネ サムソンは、ゾラの村へもどるとちゅう、 一本の木のかげに腰をおろして、しばらく休んだ。その木の枝は、 たにま 村へむかう小道がとおっている谷間の上にたれかかっていた。かれは、ひとつのことだけを思いつめて・ほんやり ばしょ しながら、まだ腕にかかえていた子ャギをあそばせていた。そして、目をうっして、この高い場所から、。ヘリシ ひく テの低く、ひらたい土地を見わたした。 たいよう 太陽はしずみかけていて、目のとどくかぎり、海岸の白い砂浜まで、かれの敵の、柵のないみのりかけのムギ ばたけぎんいろ 畑がひろがり、そこここに黒っぽいみどり色のブドウ畑や銀色のオリーブの茂みがまじっていた。 そしてかれが、まるでゆめの中の平和なま・ほろしのように目の下にひろがるながめをじっと見つめて、もの思 いにしずみながら身うごきもしないでいるうちに、さっきかれにおどろかされた野のけものたちが、そろそろ、 にんげん もう近くに人間がひとりもいなくなったとでもいうように、思いのままにあたりをうろっきだした。ジャッカル たにま 、こまえかわした。やがて、かれの足もとのすぐそばに、一びきのキツネが谷間の巣からこっそりあらわ カーカし冫を ねっ れてきて、あたたかい岩の上にうずくまると、気もちよさそうに太陽の熱をあびながら毛をととのえはじめた。 サムソンは、身うごきもせずに目をむけて、キツネを見つめた。すると、とっぜん、まるでふしぎな声にささ あたま やきかけられたように、あらあらしい思いっきが心にうかんだ。かれは頭をそらして笑った。子ャギが目をさまサ わら たに 6 して、鳴き声をたてた。キツネは、空中へとびあがって、にけ去った。サムンンのあざけるような笑い声は、谷 ちか ばたけ うで へいわ かいがん すなはま こし たいよ。っ しげ てぎ わら えた

272 かみにつこう 間にひびきわたり、金色の髪が日光を受けてかがやいた。 けいかくじっこ・う それから何日か、かれはじぶんが考えだした計画を実行するためにはげしくはたらいた。まず、山々のふもと さく にある自然にできたくば地を柵でかこった。くば地からは、ひあがった川床が岩だらけの道のようになって平地 りようがわ のほうへくだり、その両側はけわしく切り立っていた。 ばしょ あなほ その仕事がすむと、野のキツネやジャッカルがよくとおることがわかっている場所にはどこでも、穴を掘って たにま ばたけ わなをしかけた。そして、昼まは山の谷間の割れめで、夜は月に照らされたブドウ畑で、待ちかまえて、足のは やくておくびようなけものたちを狩りたてて、手でとらえた。 キツネをとらえると、それを運んでいって、そのために用意しておいた柵の中にとじこめた。キツネたちは、 ひつよう 柵をとびこすこともできず、どのようにしてもにげだせなかった。かれは、キツネたちが必要になるときまで、 のぞ あの かってにさせておいた。そして、ただひとつのはげしい望みにかりたてられて、休みなくはたらいた。 わす いまいましいペリシテ人たちに、二度と忘れられないほど思い知らせようというのだった。 ほね きんにく かれは、骨ぐみのたくましい顔や手足を日に焼かれ、青い目はきらきら光り、からだじゅうの筋肉がこわばっ けいかくひつよう ていたが、それでもヘビのようにすばしこかった。そして、じぶんの計画に必要なだけ多くのけものをとらえて しまうと、長い時間をかけながらたき木をたばねて小さなたいまつをたくさんつくり、木のやにをぬりつけて、 かわかしておいた。これでとうとう、仕事はおわった。 こうしてすっかり用意ができたある夜、ま夜中に起きあがって、岩のあいだのく・ほ地につくったけもののかこ いわいわ いへおりていった。とりいれどきの満月のころで、あお白い月の光が、しずまりかえった木々や岩々のひとつひ とつにそそぎかけていた。 さく し・こと ひる かお はこ まんげつ しごと かわどこ さく

273 こま、り、うなり声をあげるけものの群れのただ中にふみこむと、月の光をたより かれは柵をまたいでかこい冫をし に手ごろなけものを片手に一びき、もういっぽうの手に一びき、とらえた。けものはもがきながら、かれにむか ってわめいたりかみかかったりしたが、さからうには力がたりなかった。かれは二ひきのけものの尾と尾とを引 きよせ、それから二つの尾のなかほどに小さなたいまつを一本むすびつけた。 し・こと この仕事がすべて思いどおりにできると、ひと休みした。月はひくくしずみ、そのあかるい顔は、夜あけまえ のすみきった東の空にあかっきの色がわきあがりはじめるにつれて、しだいに色あせてきた。空はぐんぐんあか るくなり、やがて空せんたいが日の出の色にそめられた。 とうとう、もえるような太陽そのものが山々のいただきを金色にかがやかせ、サムソンが腰をおろしている岩 ペリシテ人たち の上からながめると、かこいの中でけものたちがかけまわりながら怒りくるっているむこうに、 しんじゅ のムギ畑がはてしなくひろがっているのが見えてきた。いま、そのムギ畑は、ひくくおりた真珠色のもやにつつ まれて、はてしない乳の海のようにみえた。 しだいにあたたかくなるにつれて、もやは、すこしずつ散りただよって消えていき、やがて、つけ木のように まるてんじよう かわいてアサ糸のように白いムギ畑は、ひろびろとして波もたたぬ海面が、円天井の青空の下でそよぐかすかな 風にきらめくように、いちめんに目のまえにひろがった。というのは、そこここでまだらにムギが刈りとられて、 ムギかけにかけられたり、たばねられたりしていたけれど、大部分のムギはまだ刈りとられていなかったからで たいよう ねっ ある。 そして、すべてのものが太陽の熱にむされていた。 それから、サムソンはかこいのはしにおりていった。そこでは岩と岩のあいだがひどくせばまっていて、キッサ ネが二、三びきならんでとおりぬける幅しかなかった。かれは火うち石とまえにつくっておいた、たいまっとを ばたけ かたて ちち ばたけ なみ だいぶぶん かいめん ばたけ こし かお