ジュリスト 2016年 06 月号

キーフレーズ

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障害者施設物品調達推進法は , 国 , 地方公共 団体 , 独立行政法人等による障害者就労施設物 品の受注拡大の努力が , 障害者を多く雇用する 事業所や施設の経済的基盤を強くし , それに続 こうとする他の事業所や施設による障害者の雇 用を促進するという , 継続的改善を伴った波及 効果を目指す 24 ) 。女性活躍推進法も , 女性の 活躍を推進する企業が経済的に成功を収めれ ば , それに続こうとする企業による女性の活躍 推進が生じるという効果を狙ったものである。 国や地方公共団体がその事業の実施の委託や 必要物品の調達のために民間企業と契約をする に当たり , 契約締結ないし入札への応募の条件 として , 一定の政策目的に合致する措置の実施 等を課する制度は , 公契約の獲得を希望するの であれば当該措置を実施する必要があるとする ものであるから , 当該措置の実施を一般に民間 企業等に義務づけるものではなく , インセン テイプ付与という手法の一種として位置づけら れる 25 ) 。政策目的に合致する行動をとる企業 を公共事業の入札等で優遇することは , ヨー ロッパの国々が後述する CSR との関連で行っ てきた手法である 26 ) 。 5. 大臣による認定 大臣による認定は , 「情報」を鍵に社会的イ ンセンテイプを付与する情報的手法といえる。 厚生労働大臣が , 取組の実施の状況が優良な ものであること等の厚生労働省令で定める基準 に適合する一般事業主に , その旨の認定を行い ( 9 条 ) , 認定を受けた一般事業主が , 商品等に 厚生労働大臣の定める表示を付することができ る ( 10 条 ) という仕組みは , 女性が活躍しや すい企業であることを求職者や社会一般に対し てアピールするためのインセンテイプを用意す 24 ) 小畑史子「障害者雇用・就労の展望ーー障害者施設 物品調達推進法を中心に」村中孝史ほか編「労働者像の多様 化と労働法・社会保障法」 ( 有斐閣 , 2015 年 ) 208 頁以下。 25 ) 山川・前掲注 19 ) 頁。 26 ) 小畑史子「我が国における CSR と労働法ーー厚労省 の中間報告書を視野に入れて」季労 208 号 ( 2 開 5 年 ) 4 頁。 [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 54 ることを通じて , 女性活躍推進施策の実現の促 進を図るものといえる。 次世代育成支援対策推進法 ( 次世代法 ) も , 一定規模以上の事業主に対し , 仕事と子育ての 両立が図りやすい雇用環境の整備等を内容とす る一般事業主行動計画の策定と届出を義務づけ ており ( 12 条 ) , 同計画に基づき , そこで定め られた目標を達成するなど一定の認定基準を満 たした事業主は , 厚生労働大臣の認定を受けて 「次世代認定マーク」 ( くるみん ) を付けること ができる ( 13 条・ 14 条 ) とされている 27 ) 。次 世代法にならい , この手法が女性活躍推進法に も取り入れられたといえる。 6. 行動計画策定・届出と認定 , 助成金等 一般事業主行動計画策定を自ら行わせ , その 実施に努力させるという手法も , やはり次世代 法で採用されていた ( 2 条・ 12 条・ 12 条の 2 ) 。 事業主のとるべき具体的措置の内容について は事業主に委ねる一方で , 行動計画の策定を義 務づけるという手法により , 女性の活躍を促進 しようとするものである。そして , 行政への届 出により , その内容についてのチェックの機会 を設けるとともに , 実施状況が優良である等の 要件を満たす事業主の申請により , 認定マーク を商品等に付することを認めて , 企業イメージ の向上にかかるインセンテイプを与える手法と 組みあわせたり , 助成金の支給という経済的イ ンセンテイプを与える手法と組みあわせたりす ることなどにより , 行動計画の策定と促進を図 るものとなっている 28 ) 。 7. 行動計画に関する公表 行動計画を自ら策定させ , それを現状ととも に従業員に知らせるのみでなく広く公表させる 27 ) 山川・前掲注 19 ) 95 頁。次世代法については高畠淳 子「次世代育成支援対策推進法の改正と今後の課題」季労 246 号 ( 2014 年 ) 25 頁 ~ 33 頁参 28 ) 次世代法につき山川・前掲注 19 ) 98 頁。高畠・前掲 注 27 ) も参照。

という仕組みは , 次世代法でも採用されていた 情報的手法であり ( 12 条 ) , 法として用いられ る前は企業の社会的責任 (Corporate Social Responsibility CCSR] ) の手法として各企業に より行われてきたものである。 CSR の実現に積極的な企業は , 株主や機関 投資家 , 社会一般に向けて , 自社の CSR の取 組状況を公表する。企業が CSR を果たしてい ることが , 株主や投資家 , 取引先 , 求職者 , 消 費者 , 一般市民等により評価され , 取引の成 立・投資の呼び込み 29 ) ・よい人材の確保・売 上の伸び・評判の向上等が起こり , それが企業 の経済的成功にもつながり , 企業が益々 CSR に熱心になるという好循環が生まれれば , 環境 の維持改善や労働に関する公益が実現される。 それゆえ , 国によっては , CSR に熱心で公益 を図る企業を , 公共事業の入札等で優遇する制 度を設け , 行政目的の実現に活用しているので ある 30 ) 。これはいわば , 株主や市場によるモ ニタリングである 31 ) 。 女性管理職割合や労働時間数等のデータの公 表 , 自ら定めた目標を含めた行動計画の公表 , 目標達成状況の公表等は , 同様に , 公的機関以 外の私人が , 使用者等の労働法の遵守状況や法 政策上望ましい措置がとられているかどうかを チェックする , 私人によるモニタリングである とも考えられる 32 ) 。これを法で定め , 事業主 に義務づけを行ったことで , CSR を意識する 一部の企業が自主的に行っていた段階から , 飛 躍的に状況が改善される可能性がある。 公表は , 自社のホームページへの掲載による こともできる 33 ) が , 厚生労働省が運営する 「女性の活躍・両立支援総合サイト」への掲載 によることもできる 34 ) 。同サイトの一覧で他 29 ) 社会的責任投資 (SociaI ResponsibiIity lnvestment) の進展にも見られるように , 一定程度の投資家は投資を行う 際にその企業が社会的責任を果たしているか否かをチェック する。川口章「企業の女性活躍に関する情報開示」日本労働 研究雑誌 648 号 ( 2014 年 ) 1 頁も投資家の動きに着目する。 30 ) 小畑・前掲注 26 ) 4 頁。 31 ) 山川・前掲注 19 ) 101 頁。 新法の要点 社と比較されることは , 他社に比べて遜色ない 内容を達成しようとする努力を引き出す。公表 により取引先や消費者 , 投資家等の目に実情が さらされ , その職場の特徴が社会的に通用する ものかが第三者によって判断される場面が設定 されることで , 組織が変わらざるを得なくなる ことが考えられる。欧米の企業がグローバルな 取引を開始しようとする場合 , サプライチェー ンを含めて , 女性の管理職が極端に少なくまた 非正規雇用労働者の女性比率が極端に高い企業 を敬遠することがあることはよく知られた事実 である。 V. 女性活躍推進法の評価と展望 女性活躍推進法が功を奏するかは , 経済的イ ンセンテイプ・社会的インセンテイプに反応す る事業主の数に加え , 各企業のトップのリー ダーシップ , 女性労働者及び女性労働者を取り 巻く関係者の行動とともに , 取引先・消費者・ 求職者・投資家等のステークホルダーの動きに 依存する。 国際社会ではダイバーシティ・マネジメント が大きな注目を集めているが , これまで最も研 究されてきた多様性の問題は , 性別である。女 性活躍推進法の成功・失敗は , 年齢 , 宗教 , 障 がい , 出身国等 , 他のダイバーシティ・多様性 の問題の解決に影響を与える可能性もあり , 今 後更に注目されるといえよう。 * 注の HP へのアクセスは 2016 年 4 月 13 日 である。なお , この研究は平成 27 年度科学研究費 助成事業 ( 基盤研究 (C) 「ダイバーシティ・マネジ メントと労働法」課題番号 15K03150 ) の助成を受 けている。 32 ) 川口・前掲注 29 ) 1 頁も情報開示の重要性を指摘して いた。 33 ) 公表項目を選べるため , この方法では前進が見られ るか疑問であるとするものに日本経済新聞 2016 年 4 月 19 日 夕刊 9 面。 34 ) 前掲注 7 ) 指針。 [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 55

Jurist CoIumn June 2016 [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 56 て , その存在意義を確認し , 更にその機能を高めるよ 進を図る食品であるべきであるとの原則に立ち戻っ 改善に寄与し , その摂取によって国民の健康の維持増 ます高まっている。いまこそ , トクホ製品が食生活の 市場から淘汰する環境を早急に整える必要性は , ます 理解し , 適切な商品選択を通じて , 問題のある食品を ては本欄ジュリ 1477 号 60 頁参照 ) , 各制度を正しく 性表示を行うことが可能になった現在 ( 同制度につい 消費者庁への事前届出のみによって企業の責任で機能 年 4 月から開始された機能性表示食品制度によって , 利用されているかについては疑問もあり , しかも , 昨 れるようになっている。しかし , 実際に表示が有効に に達し , ある程度「健康に役立つ」食品として認知さ 過し , トクホ許可を受けた製品も約 1200 品目 トクホの制度は , 既に制定から 20 年以上経 れることも否定できない。 しても , 実際の効果に見合わない宣伝や広告が散見さ さらに , 比較的問題は少ないものの , トクホ製品に関 「健康食品」の表示・広告の問題は解決していない。 り型の誤認誘導的な広告の例は後を絶たず , いわゆる ところである。しかし , 誇大なイメージ広告や言い切 についての対応を求め , その後の状況を注視してきた 検討 , 健康食品の特性等に関する消費者の理解の促進 の安全性に関する取組の推進 , 機能性の表示に関する 食品の機能性表示の問題点に関する検討や , 健康食品 特定保健用食品 ( 以下「トクホ」という ) を含む健康 在り方に関する建議」を発出し , 消費者庁に対して , に , 平成 25 年 1 月 29 日 , 「「健康食品』の表示等の め , 消費者担当大臣あてに発出した。委員会では , 既 食品の制度・運用見直しについての建議」を取りまと の表示・広告の適正化に向けた対応策と , 特定保健用 関する専門調査会からの報告書を受けて , 「健康食品 本会議において , 特定保健用食品等の在り方に 内閣府消費者委員会では , 本年 4 月 12 日の Kawakami ShOji 霞が関インフォ / 消費者委員会 東京大学教授 ( 第 4 次消費者委員会委員長 ) ラ可上正ニ トクホ食品の在り方 に関する建議 について い機会といえよう。 消費者委員会では , 機能性表示食品制度の運 用状況を注視しつつ , 差し当たりトクホ制度の より適切な運用のための問題点を整理・検討するた め , 第 193 回本会議で専門調査会を設置し審議を行 い今般の報告書をとりまとめた。報告書は , 大きく , 「表示・広告について」と「特保の制度・運用につい て」に分かれ , 政府として求められる取組が明らかに されており , これが建議のべースとなっている。 専門調査会では , 審議にトクホ利用者 75 人を対象とする意識調査を利用しているが , 同 意識調査によると , 許可表示を確認せず製品を利用し ている人が 7500 人中 5712 人で , 全体の 7 割に上り , 多くは製品のキャッチコピーや広告のみを製品選択の 参考にしているという。消費者が正確な知識に基づか ず製品を利用している状況下では , トクホであって も , 一部の表示・広告が消費者に実際より高い効果が 得られるとの期待を抱かせたり , トクホとして確認さ れていない効果を期待させたりするなど , 消費者の 誤った認識につながっている可能性が高い。専門調査 こうした問題点を改善すべく , 消費者の 会報告では , 理解を進めるための周知活動の強化消費者の誤認を 招く表示・広告の撲滅につながる取組の強化の両面か らの様々な取組に向けた提言を取りまとめている。 具体的には , ①「不正な表示・広告の適切な 取り締まりのための行政の取組」として ( i ) 健 康増進法における不実証広告規制の導入の検討 , ( ⅱ ) 同法 31 条の「著しく事実に相違する表示をし , 又は 著しく人を誤認させるような表示」の「著しい」の具 体的判断基準を一層明確化すること , ( ⅲ ) 同法から 「著しい」という文言を削除することの検討などが挙 げられている。 また , ②「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導 要領に関する見直し」について , ( i ) 特定保健用食品