ビジネス法務 2016年07月号

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【サンプル契約】 秘密保持契約 A 社 ( 以下 , 「甲」という。 ) 及び B 社 ( 以下 , 「乙」という。 ) は , 次の通り合意したので秘密保持 契約 ( 以下 , 「本契約」という。 ) を締結する。 第 1 条 ( 目的 ) 甲乙は , XYZ 技術の共同研究・開発の可能性を検討するため ( 以下 , 「本目的」という。 ) , 次条 に定める秘密情報を互いに開示するものとする。 第 2 条 ( 秘密情報 ) 1 本契約において , 秘密情報とは , 本目的のために甲又は乙が相手方に文書 , 電子メール , 電子記 録媒体 , 口頭又はその他方法・媒体を問わず開示する XYZ 技術に関する技術上又は営業上の情報 で , 開示の際に秘密であることを印字 , スタンプ , ラベル等により明示した情報をいう。本契約に おいて , 情報を開示する当事者を「開示者」 , 当該情報を受領する当事者を「被開示者」という。 2 口頭により開示された情報については , 開示者が開示の日から 10 営業日以内に当該情報を文書に て被開示者に交付した場合に限り , 当該情報を秘密情報として扱うものとする。 3 次のいずれかーに該当する情報は , 秘密情報に該当しない。 ①開示された時点で , すでに公知の事実となっているもの ②開示された時点で , すでに被開示者が所有しているもの ③開示された後に , 被開示者が秘密保持義務を負うことなく第三者より適法に取得したもの ④開示された後に , 秘密情報を使用せずに被開示者が独自に開発したことを証明し得るもの 第 3 条 ( 秘密保持義務 ) 被開示者は , 秘密情報を厳に秘密として保持するものとする。被開示者は , 本目的のために必要 な範囲の自己の役員及び従業員に限り秘密情報を開示するものとし , 開示者の事前の書面による承 諾なく , 第三者に開示・漏えいしてはならない。 第 4 条 ( 目的外使用の禁止 ) 被開示者は , 秘密情報を本目的に限り使用するものとし , 本目的以外に使用してはならない。 第 5 条 ( 返還・廃棄 ) 被開示者は , 開示者から要求された場合又は本契約が終了した場合 , 開示者の指示に従い秘密情 報 ( 複製物も含む。 ) を返還又は廃棄するものとする。 第 6 条 ( 有効期間 ) 本契約は , 締結後 1 年間有効とする。但し , 第 3 条及び第 4 条に定める義務は , 本契約終了後も さらに 5 年間有効に存続するものとする。 第 7 条 ( 損害賠償・差止め ) 開示者は , 被開示者が本契約に定める各義務に違反した場合 , 当該違反行為の差止め及び / 又は それに起因して開示者が被った損害の賠償を被開示者に対して請求することできる。 2 秘密情報 ( 1 ) 秘密情報の特定 次に , どのような情報が秘密情報として扱 われるかを確認する。開示者としては , 保護 の対象となる情報の範囲を明確化することは 重要である。一方 , 被開示者は , 秘密保持契 約の有効期間中のみならず終了後も長期間に わたって秘密保持義務等を負うため , これら 義務を適切に履行するためには何が秘密情報 に該当するか正確に把握しておく必要がある。 サンプル契約では , ①内容および②媒体・ 方法により秘密情報を特定をしている。①に ついては , 「本目的のために」開示する情報 で , かつ「 XYZ 技術に関する技術上又は営 業上の情報」という形で特定している。な お , 合併 , 業務提携のように両者が可能性を 検討しているという事実そのものが重要な秘 密である場合は , 「本秘密保持契約の存在 , 18 ビジネス法務 20167

契約書チェックの着眼点よココだ ! 交渉の事実」も秘密情報に含めることとな が規定されているかチェックする。なお , 秘 密保持義務の内容をチェックする際 , 秘密保 る。②については , 「文書 , 電子メール , 電 持契約の目的との関係で , 誰に秘密情報を開 子記録媒体 , 口頭又はその他方法・媒体」に 示して使用させる必要があるか十分な検討か より開示されたもので , 開示の際に開示者よ 必要である。サンプル契約では , 「本目的の り秘密であることを明示されたものに特定し ために必要な範囲の自己の役員及び従業員」 ている。また , 口頭で開示された情報につい ては , 開示者が 10 営業日以内にその内容を文 と規定しているが , 秘密情報を自社の役員お よび従業員だけでなく , 子会社または業務委 書化して被開示者に交付した場合に限り , 秘 モ先の従業員にも開示する必要がある場合 , 密情報として扱うことにしている。 または弁護士 , 公認会計士 , 税理士等の外部 専門家に開示して助言を求める場合も考えら ( 2 ) 秘密情報から除外される情報 れる。被開示者としては , その都度開示者の 次に , 秘密情報から除外される情報を確認 承諾を取得するのは煩雑であり , また , 開示 する。サンプル契約では , 開示された時点で 者が承諾を拒む可能性もあるため , あらかじ ①すでに公知の事実となっているものおよび め秘密情報にアクセスする必要がある者への ②すでに被開示者が所有しているもの , さら に , 開示された後に③被開示者が秘密保持義 開示を許容する旨規定することが望ましい。 一方 , 開示者としては , 被開示者が秘密情報 務を負うことなく第三者より適法に取得した を特定の第三者に開示することをあらかじめ もの , および④開示者より開示された秘密情 許容する代わりに , 被開示者が当該第三者に 報を使用せずに被開示者が独自に開発したこ 被開示者と同等の義務を負わせること , およ とを証明しうるものを秘密情報から除外して び , 当該第三者の行為につき被開示者が一切 いる。 の責任を負うことを規定することが望まし こうすることにより , 当該第三者が義務 3 被開示者が負う義務 に違反した場合でも , 開示者は被開示者にそ 秘密情報が適切に特定されていることが確 認できたら , 次に被開示者が負う義務を確認 の責任を追及することができる。 さらに , 司法上または行政上の要請 , 要求 する。一般的に , 秘密保持義務および目的外 または命令等により開示の対象となった秘密 使用の禁止の 2 つが代表的な義務として規定 情報については , 被開示者の秘密保持義務を される。 免除するのが一般的である。ただし , その場 合でも , 開示者としては何らかの保護手段を ( 1 ) 秘密保護義務 講じられるよう , 被開示者に対して事前連絡 まず , 秘密保持義務についてみると , を求める場合もある。 ①被開示者が秘密情報を秘密として管理 し , ( 2 ) 目的外使用の禁止 ②被開示者のうち一定の限られた者しか 被開示者が秘密保持契約の目的以外で秘密 秘密情報にアクセスできず , 情報を使用することは禁じられる。そもそも ③開示者の事前の書面による承諾なく第 開示者は , 特定の目的のために被開示者に秘 三者に開示または漏えいしてはならない 密情報を開示したのであるから , 被開示者の 当該秘密情報の利用が当該目的に限定される 特集 一三ロ ビジネス法務 2016.7

のは当然である。 ( 3 ) その他 なお , 秘密情報の具体的管理方法として保 管場所を指定したり , 施錠 , パスワード管理 またはアクセス権設定を義務づけたりする場 合もあれば , 具体的使用方法として複製を禁 止または複製数を制限する場合もある。さら に , 秘密情報が適切に管理されているか , 被 開示者に報告を求めたり , 開示者の立入調査 権を規定したりする場合もある。いずれも , 秘密保持契約の目的および特性との関係でそ の要否を検討することになる。 4 有効期間 次に , 秘密保持契約の有効期間について確 認する。秘密保持契約の目的を達成するため に必要な期間が確保されているかチェックす る。サンプル契約では , 契約締結後 1 年間と している。これは , 両者の X Y Z 技術の共同 研究・開発の可能性の検討にかかる期間を 9 カ月と見積もり , さらに検討期間の延長の可 能性を考慮した期間である。契約締結時に検 討期間を見積もることが困難な場合は , 想定 しうる最も長い期間に設定することを勧め こうすることにより , 秘密保持契約が終 る。 了したことに気付かず , 秘密情報を開示し続 けるというような事態を避けることができる からである。 また , 開示者としては , 秘密情報を保護す るために , 秘密保持契約の終了後も , 被開示 者の義務 ( 秘密保持義務 , 目的外使用の禁止 等 ) を一定期間存続させる必要がある。サン プル契約では , 秘密保持契約終了後 5 年間 , 被開示者の負う秘密保持義務および目的外使 用の禁止を存続させている。存続期間は , 秘 密情報の価値 , 特性により検討することにな る。なお , 存続期間を無期限とすることは , 公序良俗違反として無効になる可能性もある ので注意が必要である。 5 廃棄・返却 秘密保持契約の終了時または特定の場合 に , 被開示者が開示者に秘密情報 ( 複製物を 含む ) を返却または廃棄することが規定され ているか確認する。廃棄の場合は , 被開示者か ら廃棄証明書を提出してもらうようにする。 なお , 被開示者としては , 秘密情報をすべ て廃棄・返却してしまうと , 具体的にどの範 囲の情報が秘密保持義務および目的外使用の 禁止の対象となるか不明になる。そのため , 被開示者が義務履行管理の目的で秘密情報を 1 部保持することを許容する場合もある。 6 損害賠償・差止め 被開示者が秘密保持義務に違反して秘密情 報を第三者に漏えいした場合 , 当該秘密情報 が不正競争防止法の「営業秘密」に該当すれ ば , 開示者は同法 3 条に基づき当該違反行為 の差止めを請求できる。しかし , 「営業秘密」 として保護されるためには同法 2 条 6 項に定 める 3 要件 ( 秘密管理性 , 有用性および非公 知性 ) をすべて充足しなければならない。し たがって , 秘密情報が「営業秘密」に該当し ない場合に備えて , 開示者としては , 秘密保 持契約において差止請求権を規定しておくこ とが重要である。 芳賀巳佳 ( はがみか ) 2008 年弁護士登録。弁護士事務所勤務を経て , 1 2 年 より組織内弁護士として企業法務に従事。 20 ビジネス法務 20167