現代の図書館 2013年 06月号

キーフレーズ

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目次ページ

102 ( 1 ) 現代の図書館 VOL51 N02 ( 2013 ) 図 2 活動にいたるまでの段階的過程 1 ) 初来場から 居場所へ 生存 / 安全 愛 / 所属感 自己実現 根源的共同性場の共同性自覚的共同性目的的共同性 心地よさ , 期待など , 何らかの価値を見つける。 来場者 再び訪れ , 足を運ぶようになる。 スタッフとして働く喜 びを感じる一方 , 自分 の役割や他者との関係 についての葛藤や悩み が生じる。 2 ) 居場所を通じた 自分らしさの探求 顔見知りができ , 自分の 居場所と感じられるよう になる。 他者との関係が広がり , 深 まる。関係規範の変化自 分の問題意識ややりたいこ との模索。 3 ) 自分らしい 活動の発見 スタッフになる。 自分の役割に自 覚的になる。 自分らしさの発揮。 他者との関係のなかで , 自分らしさに対する理解 が深まり , 自己肯定感を 得る。 地域のネットワーク が広がる。 初来場から居場所へ ます大切なのは , 初めて来場したときの体験で ある。初来場時に , その場にいる安心感を感じら れたり , 自分の関心が満たされる期待感を持てた りすることが , 再度来場するきっかけとなる。何 度も足を運ぶようになるにつれて所属感を感じら れる居場所となり , インフォーマルなつながりが 増加する。 ( 2 ) 居場所を通じた自分らしさの探求 続いて , インフォーマルなつながりのなかで , 自分らしさや他者との関係への気づきが次第に深 まっていく。多くの場合 , 半年程度かけて自分の やりたいことが明確になっていく。自分らしさの 承認と , 役割の形成が生じ , 運営手伝いやイベン ト企画などの試行が行われる。場への愛着が次第 に役割を担いたいという欲求につながっているこ とがわかる。 ( 3 ) 自分らしい活動の発見 自分らしさへの気づきと信頼できるつながりが 仲間との出会いがきっかけ となって , 新しい活動をは じめる。 イティになる。 との歓びを感じ , 活動が自分のアイデンテ 自分らしさを発揮しながら他者と関わるこ 家」で過ごし , 十分に自己に向き合い , 信頼関係 る準備が整うためには , ある程度の期間「芝の しかし第二に , 来場者が主体的に活動に踏み切 る相乗効果であるといえる。 生まれる原動力は , 来場者同士の関係性から生じ 的的ではない日常の「芝の家」から次々に活動が を持って一歩踏み出す契機となっている。特に目 会いや他の来場者による巻き込みや紹介が , 勇気 との関わりである。関心をともにする仲間との出 来場者の活動を促進する要因は , 第一に , 他者 変化をもたらす 自己実現欲求と共同性の深化が 行動の契機になっている。 いく。他の来場者の巻き込みや活動からの刺激が り , 活動が自分自身のアイデンティティになって とのフォーマルなつながりも形成されるようにな が多い。活動に踏み切ることで , 近隣施設や組織 る。直接的な契機は , 他者との関わりであること 十分に形成されると , 新しい活動への意欲が生じ

関係性のはぐくむ場所 103 地域活性化からみた地域の居場所の機能 図 3 地域活動 ソーシャルイノヴェーション 多様な市民による自発的で創造的な 課題解決の風土 発展性 継続性 自己実現 Bridging 型ネットワーク つながりの増加 ソーシャルキャピタル Bonding 型ネットワーク 地域活動の拠点 地域の居場所 いたいように いられる居場所 心身の快復「生き甲斐 クオリティオブライフ 愛 / 所属感 安心 生存 変化させるなかで , それぞれがいだくようになる が構築されている必要がある。「何かをしてもし なくても構わない」という自由な雰囲気が , 固有の場所に対する感情だといってよい。この空 間との親密な関係が場所性であり , それは , 空間 した時間的な猶予を生み出している。 と人とが相互に変化し続けながら生み出していく そして第三に , 段階に応じたスタッフのサポー トが重要である。上述の「初来場から居場所へ」 , 意味なのである。 「居場所を通じた自分らしさの探求」 , 「自分らし 図 3 は , 地域の居場所における個人の変化 , 関 係の変化 , 活動の創出の関係を概念的にあらわし い活動の発見」というそれぞれの段階でスタッフ た図である。個人の心身の快復や自己実現の達 が果たす役割は異なる。初来場時は , 場に受け入 成 , 地域のつながりの醸成 , 創造的な地域課題の れられている実感や居心地のよさを感じられるよ 解決は , 一般に考えられているように独立してい うな配慮が大切である。居場所として訪れるよう るのではなく , 相互に作用しあった現象であると になった来場者に対しては , 運営の手伝いを依頼 いうことができる。 するなど , 役割を担っている手応えを感じられる 地域のなかに存在がおびやかされす安心して他 機会を提供することが , 主体性を獲得するために 有効であると考えられる。さらに活動をはじめた 者と過ごすことのできる居場所があることで , イ ンフォーマルなつながりが生じ , その関係のなか いと潜在的に感じている人に対しては , 関心を共 有する他の人を紹介したり , 地域の施設や組織を で生きている実感を得ることができる。心身の快 結びつけたりといった役割が重要となる。 復と生き甲斐をインフォーマルなつながりの獲得 を通じて感じられる居場所である。さらに , 単に 一生き甲斐とつながりと地域活動 居場所にとどまるのではなく , 所属感を感じられ る場と人間関係が , 自己承認や自己効力感を得ら こうしたなか れる活動をはじめる土壌をつくり , こまで , 地域の居場所のなかで来場者が自発 から広がる活動や組織間のネットワークの充実が 的な活動をはじめる過程を明らかにしてきたが , 重要なのは , この変化の過程のなかで「芝の家」 地域の活性化につながっていくことで , 地域活動 の拠点としての役割も担うことになる。 に特有の場所性が生じるという点である。「芝の 居場所であり地域活動の拠点でもあるという 家」の価値は誰にとっても一定というわけではな 「芝の家」のような地域の居場所は , つながりの く , 来場者一人ひとりが意識や行動 , 人間関係を

104 現代の図書館 Vol. 51 N02 ( 2013 ) 図 4 協働プラットフォームの設計要件 参加者の内部変化のマネジメント 計 の 割 役 加主 加主 グループ 、グループ 加主 コミュニケーション・パターンの設計 インセンティブ設計 信頼形成メカニズムの設計 プラットフォーム構築の担い手 形成と自発的な活動が継続し , 発展するための培 新たな場づくりに向けて 養器のような働きを , 地域コミュニティに果たし ていると考えられる。また , 自発的な活動を創出 協働プラットフォーム設計 する地域の居場所は , 地域活動に関心のある目的 というアプローチ 意識の高い人だけではなく , 幅広い人が地域のさ 地域の居場所の本質を生み出すのは , 機能の設 まざまな活動へ参入する機会を提供できる仕組み 計ではなく , 人々の自発的な関わりによって生じ もある。 る場所性である。しかし , では , 私たちはこうし 生き甲斐を感じながら自己実現に向かうこと , た場が偶然生まれるのを待つほかないのだろう 他者とのつながりのなかで自分を確かめ新たな行 動を起こしていくこと , 地域で活動することでさ 地域の居場所をつくる本質的な要因は , 来場者 らに生き甲斐を実感し , つながりを増加させてい の偶発的な出会いや成長であるがゆえに , それら くこと。こうした循環を通じて地域が活性化して を自在にコントロールすることは難しい。しか いくような暮らし方は , きわめて人間らしい生き し , そうした関係性ができるだけ生まれやすい環 方だといってよいだろう。そのためには , 他者と 境を整えるための設計は可能なはずだ。筆者は , の関わりあいをゆるす開かれた場が物理的に存在 「協働プラットフォーム」という概念で , 地域の することが非常に重要である。こうした場と人の 居場所が成立するための設計要件を研究している 関わりを , 地域社会のなかにどうビルトインして が , 最後にその展望に触れてまとめとしたい。 いくことができるか。これが , 現代的な居場所づ 協働プラットフォームとは , まず人が集まり , くりの課題とだといってよいだろう。 そこで互いに関わり合うことで , 想像もしていな かったような新たな価値が立ち上がる仕組みであ こうしたプラットフォームを る ( 国領ら , 201D 。 設計するための変数としては , コ、 ミュニケーショ ン・パターンの設計 , 役割の設計 , インセンティ