怪人二十面相

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あけちこごろう こばやししようねん 連載がはじまると、たちまち読者の爆発的な人気をかち得て、明智小五郎や小林少年、 ざっし かいじん そして怪人一一十面相までが、全国の少年たちのヒーローとなりました。雑誌の発売日には、 書店を出るが早いか、『怪人一一十面相』の続きを歩きながら読む少年もいました。家に帰 りつくまで待ち切れなかったのです。 ひみつ この人気の秘密はどこにあったのでしようか。 ばつぐん その第一は、スト 1 リ 1 が抜群におもしろいことです。たくみなトリックをこしらえた ハラハラ、ドキドキする場面が次から次へとくりひろげられていきます。語りかけるよう く、いま読んでも、とても な文章もたいへんわかりやす 六十年以上も前に書かれたものとは思えないくらい、少 しも古びたところがありません。 こその第一一は、登場人物がとても魅力的なことです。主 へんそう 歩人公の怪人一一十面相は、変装の名人ですが、盗むものは げんきん びじゅっひん 宝石や美術品などで、現金には目もくれません。人を殺 はんこ、つ きず したり傷つけたりするのが大きらいで、しかも必ず犯行 しんし を予告します。怪人二十面相は紳士なのです。悪いやっ にはちがいないけれど、紳士だからこそ、ヒーローにな れんさい めんそう ばくはってき みりよくてき ぬす 241

り得たのです。 かいじん あけちこごろう 怪人一一十面相のライバルが明智小五郎で、イギリス のミステリー作家コナン・ドイルがつくりだしたシャ まさ おと ーロック・ホ 1 ムズに優るとも劣らない、頭の切れる 4 ↑めいたんてい 名探偵です。明智小五郎のアシスタントとして活躍す こばやししようねん ゅうかん るのが小林少年をはじめ、勇敢ですばしつこく頭のい い少年探偵団の仲間。読者は自分をその少年たちと重 ね合わせて読むこともできます。 じつは、『怪人一一十面相』は作者がフランスのミス かいとう 紗テリー作家モーリス・ルプランの『怪盗ルバン』をモ 第ろデルにして書いたものです。たしかに二十面相とルバ まね れンはよく似ています。しかし、そのままそっくり真似 連たのではなく、作者はルバンをヒントにして新しい怪 ぶき 概盗をつくりだしています。たとえば、二十面相の不気 + 味さは、ルバンにはありません。 めんそう かつやく 242

しんりやくせんそう しようねんくら の侵略戦争をおし進めていた時代でした。軍部がはばをきかせ、この物語が「少年倶楽 部」に連載されはじめてまもない一九三六 ( 昭和十一 ) 年二月には、大雪の夜に、陸軍の せいねんしようこう おそ 青年将校たちが首相や大臣たちを襲った有名な一一・一一六事件が起こっています。 学校でも、先生は必ず戦争の話をします。子ども向けの読物の大半は、戦争をたたえた もので、「少年倶楽部」にも戦争の話がいくつものっていました。少年たちはいささかう かいじん めんそう んざりしていたのですが、そこへ戦争とはまったく関係のない『怪人一一十面相』が登場し たのです。少年たちがとびつかないわけがありません。少年だけではなく、『怪人二十面 相』のとりことなった少女たちも少なくありませんでした。 えどがわらんば ひらいたろう 作者の江戸川乱歩は、本名を平井太郎といい、 みえけん 一八九四 ( 明治二七 ) 年に三重県に生まれました。 そ響社わせだだいがく 一談早稲田大学の学生のころから外国のミステリー たんていしようせつ 一楓 ( 当時は探偵小説と呼ばれていました ) に深い関 心を持ち、一九二三 ( 大正十一 D 年にトリックを にせんどうか ′面著 ふんだんに使った『一一銭銅貨』を発表して、世の 経中をあっといわせました。日本のミステリーの歴 ぐんぶ 243