「アッくん。ねえ、帰ろ ! 「え ? 」 「アタシ帰るつ。ごめん お願いだから帰ろうつ」 慌てて立ち上がり、外に向かって走りだした。 なぜかわからないけど、得体の知れない恐怖に追われて いる感覚がする。 こにいたくない ずっと真実を見ないように生きてきた。 アタシのお父さんとお母さんは、あのふたりだけ。 ずっと育ててくれたあのふたりだけだよ アタシは走りながら来た道を戻った。 さっきは怖かった繁華街も、今はまったく怖くない。 というより、怖がる気持ちの余裕すらなかった。 咳の出すぎで何度も吐きそうになる。 息の代わりに、激しく咳が出た。 「・・・・・・ゲ、ケホッ。ゲホッ、ゲホゲホッ・ 苦しくて苦しくて一一一息が、できない。 あ、あっ・・・・・・い、息が吸えない。 喉が変な音を立てた。 そう思ったとき こして恐怖すら感じる。 胸の中がザワザワして、のぶサンの言葉に、不安を通り 産みの両親 003
産みの両親 な、なんで・・ なんでこの人が マチ子って、お母さんの名前じゃない。 マチ子は、アタシの産みの母の名前だ。 「やつばり・ あの芽衣チャンだろ ! ? は、春夫に はるお ・・春夫に知らせねえと」 「 -- ーーーあのっ・・・・・・どういう・ 頭の中が混乱する この人は誰 ? 誰なの ! ? こと ? 」 「あ、あのさ。これってどういうこと ? 」 アッくんが言いづらそうに口を挟んだ。 だけど 002 ねえ、どういうことなの ? どういうことって・・・・・・アタシが聞きたいよ。 なあ、芽衣。どういうこと ? 」 戻っていった。 のぶサンは料理をトレンチに乗せたまま、慌てて厨房に 今のアタシの耳には、アッくんの声すら届かない。
赤い糸 e s ( 下 ) 目次 n 産みの両親・・ そばにいて・・ 戸惑い・ 新学期・・ 充実した日々 屋上へ・・ このまますっと・ 抜け出せない 1 カ月記念・ 儚いモノ・・・ 美亜を探して・・ アッシの母・・ 罠・ destiny ・・ あとがき・・ Y ・・ 002 ・・ 020 ・・ 033 ・・ 049 ・・ 061 ・・ 078 ・・ 085 ・・ 098 ・・ 116 ・・ 140 ・・ 158 ・・ 185 ・・ 198 ・・ 219 ・・ 228 ・・ 242