法学セミナー2016年06月号

キーフレーズ

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目次ページ

126 B 体系書 かっちりとした論理構成カ寺長の R A R 横組で、本文と総括表だけで 937 頁にもなる大著で ある。これで 5400 円はお買い得。学生にとって厚い 本は取っつきにくいが、勉強が進んでくると、詳しい 説明がある方がかえってわかりやすくなるものであ る。近年労働契約法や労働者派遣法の改正など重要な 法改正が続いているが、本書は判例・裁判例も豊富に 引用されているうえ、解雇などについては証明責任の 分配についても触れている ( 525 頁 ) ほか、一つ一つ の論点について結論を曖昧にせずに論じているので、 実務家にとっても、現在の労働法の全体像を知り、事 件を解決していく上で格好の手引きになるであろう。 全体がかっちりと論理的に構成されている点に特長 頁 ) 。懲戒や配転などを考えれば、「非有利設定効」と いうネーミングも理解できる。 変更解約告知については、留保付き承諾について詳 細に検討し、これを否定して結局解雇・契約更新拒否 の問題に帰着するとする ( 572 ~ 578 頁 ) 。 集団的労使関係法についても 279 頁が割かれてお り、近年の教科書としてはかなり多いものとなってい る。司法試験では集団的労使関係法について 1 問出題 するのが通例になっているが、それらを検討するのに は、近年の組合法に薄い教科書では少し苦しいので、 この程度ボリュームのあるものに目を通しておくのが 適当であろう。 労働協約の拡張適用 ( 労組法 17 条、 18 条 ) につい てはかなり詳しく検討されており ( 833 ~ 854 、 858 ~ があり、場合分けをして 隙間なく論じようとして いる姿勢がうかがわれ る。大目次の他に細目次 が付けられ、全体の構成 をつかむことができる。 事項索引もしつかりして いるので、調べたいこと を探すのは難しくなかろ 解雇、雇止め等につい ての要件と効果の一覧を 「総括表」として、末尾 にまとめているのも、学 R E V I W 川口美資 『労働法』 川口美貴 = 著 信山社 / 2015 年 11 月 /A 5 版 / 本体 5000 円十税 861 頁 ) 、 17 条における 「同種の労働者」につい ては、組合加入資格を有 しない労働者は、同種と は言えないとする ( 837 頁 ) 。著者と古川景ー弁 護士との共著『労働協約 と地域的拡張適用』 ( 信 山社、 2011 年 ) でも展開 されていた点であるが、 説得的である。 司法試験を目指す勉強 家の学生と、労働事件を 担当し労働法をきっちり 生や実務家には頭の整理に役立っと思われる。 読んでいて興味を引く点や新しい発見も少なくない が、思いっくままに、何点かを上げてみよう。 労働契約、就業規則、労働協約、労使慣行等、労働 条件等の決定システムをひとまとめにして論じるの は、評者も『労働契約 Q & A 』 ( 東京南部法律事務所編、 〔日本評論社、初版 1999 年〕、 3 版を経て 2016 年に新 版刊行予定 ) で試みたことだが、本書では第 5 章に「権 利義務関係の決定システムと法源」を立て、整理して いる ( 91 ~ 126 頁 ) 。具体的な問題に取り組む上でも 使いやすい構成である。 労働契約法 7 条の効力について、一般に説かれる「補 充的効力」ではなく、「非有利設定効」ととらえ、労 基法所定の手続要件を充たす必要があるとする ( 105 学びたい実務家にお薦めする。 その他にも、弁護士カ玳理人として賃金請求をした 場合に弁護士口座に送金させることが労基法 24 条に違 反するかという点に関して、訴訟代理人の場合であれ ば、民訴法 55 条で弁済の受領権限が付与されているの で問題ないが、他の場合にはこれを許す規定がないこ とが指摘される ( 243 頁 ) など、実務上生じる疑問点 について細かく目配りされている。 「労働法上の労働者」という近年の争点については、 57 頁から 79 頁を一読することで、大著『労働者概念の 再構成』 ( 関西大学出版部、 2012 年 ) で展開された川 口説の工ッセンスを知ることができる。 峅護士、青山学院大学教授塚原英治 ]

127 B I L 新・日本の会社法 憲法と民主主義の論じ方 河本一郎・川口恭弘 = 著 長谷部恭男・杉田敦 = 著 商事法務 / 2015 年 12 月刊 朝日新聞出版 / 2016 年 1 月刊 A 5 判 / 3500 円十税 四六判 / 1300 円十税 会社法と経済状況の密接な関係を知ろう 教科書では教えてくれない話 新年度の講義が始まった。会社法の講義の理解は進んで 本書は憲法学者と政治学者の対談をまとめたものであ いるだろうか。情報量が多い、概念が複雑などの理由で、 る。立憲主義、デモ、集団的自衛権と安保法制、小選挙区 会社法を敬遠しがちな人はいないだろうか。そういう人は、 制、「パリ同時多発テロ」・ ・・など、現在話題のテーマが ぜひ本書を手に取ってほしい。 取り上げられている。これらの問題の一部は、憲法の教科 目次を見ると、通常のテキストとはずいぶん異なってい 書でも紹介されていたりする。けれど、憲法の教科書は基 る。まず日本経済の発展と会社の実態、次に法改正の歴史 本的に法解釈論を中心に組み立てられているため、これら や背景がそれぞれ詳述される。その上でようやく通常のテ の政治・経済的な背景や、これらが社会に及ぼす影響など キストと同様の見出しが並ぶものの、資金調達の意義や経 についてまでは、なかなか教えてくれない。ニ人の著者は 営指標がテキストの前の方で解説される。図表や実証デー 最新の学問的知見から、これらの問題に関して様々な視点 タも多く、経済実態を踏まえた解説が続く。無味乾燥に思 を与えてくれるだろう。 える条文が、目の前に息づいてくるであろう。 本書の対談は集団的自衛権や安保法制で政治が揺れたま なぜ会社法が基幹科目とされるのか、各制度は経済社会 さにその時期に行われており、冷静な語り口の中にも、熱 においてどのように機能しているのか。会社法が苦手科目 気の余波を感じることができる。本書は新聞での連載を元 になりそうな人は、指定の教科書に加えて、本書を参考に にしているので読みやすい。現在の政治や憲法に関心のあ してほしい。会社法が得意科目に変わることであろう。 る方に広く読んでほしい本である。 ちょっと気になる社会保障 ひとりで学ぶ刑法 安田拓人・島田聡一郎・ 権丈善ー = 著 和田俊憲 = 著 そうたったのか 4 勁草書房 / 2016 年 1 月 有斐閣 / 2015 年 12 月刊 A 5 判 / 本体 1800 円十税 A 5 判 / 本体 3400 円十税 内容はタイトルより骨太そしてわかりやすい 刑法の知識を実践的に整理・整頓 本書を数十ページ読んだところで、あれ ? なんだか他 刑法学習の最終目標を事例問題の解答に置く学習者が、 の類書と違うと感じた。そして表紙を改めて見てハタと気 刑法の知識を吸収し自分なりにそれを引き出すことができ づいた。そうだ、これは社会保障「法」の教科書ではなく、 ても、一見すると似通っている概念や考え方を混同し事例 「社会保障」の教科書なのだと。つまり、社会保障の法制 問題を誤答してしまうことは、しばしばあるのではなかろ 度の具体的内容ではなく、そのような制度を必要とする背 うか。この原因の一つは、身につけた刑法の知識を使い勝 景や理由に焦点が当たる。そんな勘違いから読み始めた本 手がいいように頭の中で整理・整頓していないことにある。 書だが、非常によい ! 社会保障は何の・誰のためにある 本書は、事例問題を解くことを最終目標に据えて、教歴豊 のか、民間保険と社会保険と税の違い、世代間問題、財政 かな刑法学者が学生の誤りがちなテーマを刑法総論・各論 問題等、社会保障の機能と仕組みが頃合いの量と質で書か の中から厳選し、実際に使うのに便利な形で理解できるよ れている。社会保障関連の法制度は、社会情勢の変化や頻 うに明快に説明する。さらに、「概念と論点を正確に理解 繁な法改正により複雑化している。しかし、現行制度を理 する」、「事例問題を解く基礎的な力を身につける」、「複雑 解するためにも、まずは社会保障というものの基本的機能 な事例を解く」の三段階に分けてあるため、学習者は を掴むことが実は近道なのだと気づかされた。社会保障 Stage1 から読解し、無理なく上達できるような構成とな ( 法 ) がちょっと気になる人からしつかり勉強したい人ま っている。年度初めに刑法をより深く独習しようとする者 で、本書の射程は広く及ぶといえよう。 にとっては、本書はまさに最良の伴走者になる。 の民憲戔 ー論主を法 杉し主と 方義 いま、知っておきたい 論点の決定版 ! 新・日本の会社法 本一第・川口・・ 多ょっと 気になる 社会保障 は : 保第れ黔システム ! の 椒本ん、やす ( 学い、 教えこ羅の / 、円 ~ りで学ぶ りの

128 LAW FORUM ローワォーラ 4 最新立法インフォメー ション 公職選挙法の一部を改正する 法律 [ 平成 28 年 2 月法律第 8 号〕 [ 趣旨・内容 ] ①選挙人名簿の登録 は、現行法上登録されることとなる 者のほか、市町村の区域内から住所 を移した年齢満 18 年以上の日本国民 のうち、その者に係る登録市町村等 の住民票が作成された日から引き続 き 3 月以上登録市町村等の住民基本 台帳に記録されていた者で、登録市 町村等の区域内に住所を有しなくな った日後 4 月を経過しないものにつ いても行う。②日本国民たる年齢満 18 年の者で、引き続き 3 月以上住所 を有した市町村と同一都道府県内の 他の市町村に住所を移し、当該他の 市町村の区域内に引き続き住所を有 する期間が 3 か月に満たないもの は、当該都道府県の議会の議員およ び長の選挙権を有するものとみなす。 [ 施行期日 ] 2016 年 6 月 19 日 [ 審議経過 ] 2016 年 1 月 20 日 ( 190 国 会 ) 衆・政治倫理の確立及び公職選挙 法改正に関する委において起草、同日 同委員長提出、委員会審査を省略し、 21 日衆・本会議趣旨説明の後可決、全 会一致。 1 月 26 日参・政治倫理の確 立及び選挙制度に関する特委付託、 27 日趣旨説明および質疑の後可決、 28 日参・本会議可決、成立、全会一致。 [ 審議論点 ] 本改正に係る周知活 動、不在者投票制度の改善の取組等 日国会議事堂、内閣総理大臣官邸 その他の国の重要な施設等、外 国公館等及び原子力事業所の周 辺地域の上空における小型無人 機等の飛行の禁止に関する法律 [ 平成 28 年 3 月法律第 9 号 ] [ 趣旨・内容 ] ①「対象施設」とし て、国会議事堂等、内閣総理大臣官 邸等、危機管理に関する機能を維持 するため特に必要なものとして政令 で定める行政機関の庁舎、最高裁判 所の庁舎、皇居および御所、総務大 臣が指定する政党事務所、外務大臣 が指定する外国公館等並びに国家公 安委員会が指定する原子力事業所を 定め、対象施設の指定敷地等および その周囲おおむね 300 メートルの地 域を「対象施設周辺地域」として指 定する。②小型無人機等とは、 a) 飛行機、飛行船等の航空の用に供す ることができる機器で構造上人が乗 ることができないもののうち、遠隔 操作等により飛行させることができ るものおよび b ) 航空法の航空機以 外の航空の用に供することができる 機器で、人が飛行することができる 一定のものをいう。③対象施設周辺 地域の上空における小型無人機等の 飛行を禁止する。ただし、国または 地方公共団体の業務を実施するため に行う場合等を除く。④対象施設周 辺地域の上空で小型無人機等の飛行 をさせた場合には、警察官等による 上空からの退去等の命令および即時 強制の対象とする。⑤対象施設およ びその指定敷地等の上空で小型無人 機等の飛行をさせた者および④の命 令に違反した者に対する罰則を設け る。 [ 施行期日 ] 一部を除き、 2016 年 4 月 7 日 [ 審議経過 ] 2015 年 6 月 12 日 ( 189 国会 ) 古屋圭司議員他 5 名提出、 7 月 1 日衆・内閣委付託、 3 日趣旨説 明、 8 日質疑および討論の後修正議 決、 9 日衆・本会議可決、共産、社 民反対。 9 月 14 日参・内閣委付託、 15 日趣旨説明、 25 日継続審査決定、 2016 年 3 月 10 日 ( 190 国会 ) 質疑お よび討論の後修正議決、 11 日参・本 会議委員長報告のとおり修正議決、 共産、社民等反対。 3 月 11 日衆・内 閣委付託、 16 日可決、 17 日衆・本会 議可決、成立、共産、社民反対。 [ 審議論点 ] 対象施設に原子力事業 所を追加した理由等 自殺対策基本法の一部を改正 する法律 [ 平成 28 年 3 月法律第 11 号 ] [ 趣旨・内容 ] ①目的規定に「誰も 自殺に追い込まれることのない社会 の実現を目指して、これに対処して いくことが重要な課題となっている こと」を加える。②基本理念として、 自殺対策が生きることの包括的な支 援として実施されるべきこと、関連 施策との有機的な連携が図られ総合 的に実施されるべきこと等を定め る。③自殺予防週間 ( 9 月 10 ~ 16 日 ) および自殺対策強化月間 ( 3 月 ) を 設ける。④都道府県は都道府県自殺 対策計画を、市町村は市町村自殺対 策計画を定めることとする。⑤国は、 ④の計画に基づいて当該地域の状況 に応じた自殺対策のために必要な事 業等を実施する都道府県または市町 村に対し交付金を交付する制度を設 ける。⑥基本的施策として、自殺対 策の総合的かつ効果的な実施に資す るための調査研究等の推進、大学等 との連携協力、学校における児童、 生徒等の心の健康の保持に係る教育 または啓発等を定める。⑦政府は、 自殺対策の推進につき、必要な組織 の整備を図るものとする。 [ 施行期日 ] 一部を除き、 2016 年 4 月 1 日 法学セミナー 2016 / 06 / no. 737