法律のひろば 2016年11月号

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目次

特集 気分が落ち込む、暗い気持ちになるとい 中で考えていくことが必要ではないかと 氏 うほど辛い仕事ですが、そういう気持ち考えられます。そこで、現在の民事訴訟 ろ 、耋 : 、は弁護士だけのものか、裁判官はそうい審理の実際を前提として問題を考えてい うことはほとんどなく事件を処理しておくという趣旨で、最適の皆さんにお集まろ られるのか、その点もお伺いできればと りいただきました。本日はよろしくお願律 法 いいたします。 思っております。本日はよろしくお願い いたします。 加藤司会の加藤です。期で、昨年の 3 月末まで年間、裁判官生活を送って 一一証人尋問・当事者本人尋問 おりましたが、 依願退官しまして、現在 の現状 は中央大学法科大学院で民事訴訟法と法 曹倫理を教えております。年の経験が加藤それでは、民事訴訟における証人 あると申しましても、尋問そのものにつ 尋問・本人尋問の実際がどのような状況 いて、それほどたくさん扱ったわけではであるか、従前と変化があるのか、ある 私は、現在、日弁連の懲戒委員をして いは、裁判官として、どのような問題点 おります。そこには東京高裁の刑事・民ありません。しかし、『民事尋問技術』 事の部総括判事が外部委員として常におを刊行している手前、高裁でも何件か尋があると考えているのかといった辺りか 問をいたしました。その動機は、よい尋ら始めたいと思います。岡部さん、お願 られ、何人かの高裁の裁判官と一緒に尋 裁判官の 問をさせていただきましたが、 、悪い尋問、凡庸な尋問にいずれであいします。 っても、この『民事尋問技術』に、サン 補充尋問は、足りない点を補うために尋 問するものであり、自分の心証を固めるプルとして収録しようというものでし《裁判官からの視点》 岡部私は平成 3 年任官なのですが、任 ために尋問を行うという印象を私は持った。と言、つのは、冗談です ( 笑 ) 。 ております。 いずれにしても、民事訴訟における証官後しばらくしてから陳述書の活用が広 本日は、岡部さんがどのようなご発言拠調べの二本柱として、書証と人証は並まり、一時期は、陳述書が提出されてい をされるか、非常に楽しみにしておりまび立つものとしてあるのですから、実務れば、主尋問は 1 分、 2 分で足りるとい す。ともかく、尋問というのは経験を積家としてはいかに効果的に実践していくわれることがあったように記憶していま んでもその週明け前の日曜日あたりからかについて、訴訟手続、訴訟審理全体のす。主尋問 1 分、 2 分というのは極端な

特集民事尋問における現状と課題 はじめに 本日よ、、 ( しろいろなお話を伺って、民ておりますので、民事弁護において尋問ろうかということを日々考えている次第 事尋問について学ぶきっかけになればと は非常に重要な技術の一つだと思っておです。 思い、楽しみにまいりました。よろしく ります。 先ほど、加藤さんからご紹介がありま お願いいたします。 私自身は、尋問について体系だった勉したが、『民事尋問技術』の第 4 版の作 渋村第二東京弁護士会の渋村晴子で強をしたことは一度も、実は正直ござい成についてお声掛けをいただきまして、 す。期は鬨期です。平成 6 年に弁護士登ません。現場の実務の中で、あれこれと今、テキストの何章かについて改訂の作 録をしましたので、現在年目になりま思いながら今に至っているという状況で業を進めているところです。こうした作 す。平成幻年から年まで司法研修所です。本日はこういう機会を与えていただ業をすることで、先人の方々の知恵、ご 民事弁護教官をやっておりました。教官きましたので、ぜひ勉強させていただき経験を学ぶ機会にもなり、自分自身とし になって初めて、いろいろ思、つところも たいと思っております。どうぞよろしくても当然と思っていたことに疑問を投げ 出てきたのですが、一番驚いたことの一お願いいたします。 かけるなど、反省する機会にもなってお つに複数の修習生から、「尋問って、結日下部第二東京弁護士会の日下部真治ります。 果とは関係ないのでしよう ? ーと言われです。私は期で、平成 7 年に弁護士登本日の座談会においても、経験豊かな たことがありました。驚きまして理由を録をしましたので、現在年目に入って皆さん方のお話をお伺いすることで、『民 尋ねたところ、実務修習中に裁判官が、 いるところです。私も平成年から年事尋問技術』の改訂版にも役立っ内容を 尋問をする前にもう結果は出ているのだ まで、司法研修所で民事弁護教官を務め得られるのではないかと期待して臨ませ と言われたと。いや、それは恐らく裁判ました。普段は民事の弁護実務をしておていただいております。どうぞよろしく 官はそういう意味でおっしやっているわりますが、通常の仕事ではチ 1 ムを組んお願いいたします。 けじゃないと思うよ、と何回か正した機で業務にあたっていますので、訴訟案件永石『民事尋問技術』の初版から加藤 会がございました。 で尋問が必要になるケ 1 スでは、若い先さんと執筆に携わっておりました。当時 多くの事件はそうだというだけで、中生に経験を積んでもらうようにすることの執筆者であった本間さん、大橋さん、 には本当に聞いてみなければ分からな が多いです。ただ、私自身は、物事を人山本さんが今回、日下部さんと交代さ檢 い、本当にギリギリで、どちらに転んで任せにするのに慣れておらず、尋問におれ、本日、本間さんのお弟子さんであるば ろ もいいような事案はあって、尋問で本当いては、一番大事なところは自分自身で渋村さんが座談会にお加わりいただくとひ に勝負が決まった、あるいは決められて行うということを今でも続けており、尋 いうことで、時代の幾星霜を実感させら律 口をより良くするにはどうしたらいいだれております。 しまったという体験を私自身、何回かし門

した趣旨を盛り込んだ第 4 版の改訂作業 が進行中です。 これを契機にして、司法研修所教官経 験がおありの岡部純子裁判官、渋村晴子 弁護士と『民事尋問技術』の関与者であ律 法 るわれわれ三人が、民事尋問における現 状と展望を縦横に語り合うべく、この座 一はじめに 談会を企画した次第です ( 注 ) 。本誌読者 ^ 出席者 > ( 敬称略 ) 加藤新太郎 ( 中央大学法科大学院教加藤それでは、『民事尋問における現へ有益な情報提供ができればと考えてい 題 授・弁護士 ) 〔司会〕 状と課題』と題して、座談会を始めます。ます。 まず、この座談会の目的です。『民事最初に、各自の自己紹介を順次お願い 永石一郎 ( 弁護士 ) と岡部純子 ( 横浜地方裁判所部総括尋問技術』 ( ぎようせい ) という実務書します。 かありますが、これは 19 9 6 年に初 判事 ) 状 版、その 3 年後の 1999 年に第 2 版、《自己紹介》 渋村晴子 ( 弁護士 ) そして年後の 2011 年に第 3 版を刊岡部横浜地裁に勤務しております岡部 日下部真治 ( 弁護士 ) 行しています。類書がそれほどない中で純子です。期は期です。平成年から る 実務的テキストとし一定の役割を果たし年まで司法研修所で民事裁判教官をし ナ ^ 主要目次 > ておりましたが、 ているように田 5 われます。 そのときに渋村さん、 このたび、今日的な問題状況を前提に日下部さんとご一緒させていただきまし 一一証人尋問・当事者本人尋問の お た。最近、自分の担当事件におきまして、 して、第 4 版の企画が進行中です。第 4 現状 : ・ 尋問をやってみて本当によかった、やは 版は、世代交代といいますか、承継とい 一一一争点整理と民事尋問 四陳述書の利用と民事尋門 う趣旨を含めて、日下部さんに執筆に加り尋問には非常に大きな意味があると、 わっていただきました。実務家としてそのようにあらためて思った経験が何回 五民事尋問のスキル再考・ : かございまして、民事尋問の技術につい 六民事尋問の展望 : ・ は、民事尋問技術について、そのときど 事 きの問題状況との関係でいかにあるべきて、もう一度勉強してみたいと思ってい 七むすびに代えて : 民 たところです。 かを常に考えていくべき問題です。そう △座談会 > 民事尋問における現状と課題 31 27 24 15 10 6