宙船の乗員と交替する。そこへ、第 一方アメリカは、この十一月十五日アポロ肥号 4 の無人の改造型アポロ宇宙船が太 によって再び月着陸、月面活動、帰還という月計 陽遠望鏡をそなえつけて到着、宇宙 画を行ない、その技術的な完成と拡張とをめざす 作業場とドッキングする。 3 人の宇 が、これと平行して、やはりアポロ宇宙船やサタ 宙飛行士は、この太陽望遠鏡をつか ーン・ロケットを利用して宇宙ステーションを建、 って、やはり五十六日間太陽観測を 設する。いわゆるアポロ応用計画を、意欲的に推 おこない、終れば、同じくアポロ宇 進しようとしている。アポロ応用計画は、つぎの 三つの段階にわかれている。 宙船で帰還する。 これがアポロ応用計画の全容で、 一、宇宙作業場の建設 全期間約十カ月ーーーこの研究データ 一一、宇宙作業場をつかっての実験と観測 が解析されたところで、いよいよ、 三、太陽望遠鏡をドッキングさせての太陽観測 もっと本格的な宇宙ステーションの 計画第一段階の宇宙作業場の建設は、ますサタ 宇宙ステーション想像図 建設にとりかかるのである。 ーンロケットが無人のまま衛星軌道に打上け ・デザインにすぎないが、それにはつぎのよう いまのところ、ファンシー られる。これはアポロ 7 号の打上けに使われたもので、一段めは切り離され るが、一一段めの燃えがらが燃料を使い切ったあと、作業場の主な材料にななものが考えられている。その一つは一 . 九七五年ごろ実施される予定で、十 る。この燃えがらは、直径六・六メートル、長さ十七・八メートルで、ドッ 一一人乗り、耐用期間すくなくとも十年間の宇宙ステーションを建設する。 キング装置やエアロック装置があらかじめ装備されている。そこへ、司令船 つぎに、一九八〇年代前半には、五〇人乗りから一〇〇人乗りの宇宙キャ と機械船だけの 3 人乗りアポロ宇宙船が同じ軌道に打上げられ、司令船の操ンパスが、打上けられる。これは、居住室、研究室、実験室、倉庫、機械 縦によって、宇宙作業場とドッキングする。 3 人の乗組員はエアロックから室、修理室などを、それそれべつのロケットで打上げ、宇宙空間でドッキン この二段めに乗り移り、これを実験室と居住室とに整備する。この作業の完グさせて組立てていく。乗員は六カ月交替で、この乗員の交替をはじめ、 成には、 3 週間かかるが、作業が終ると、 3 人の宇宙飛行士は、アポロ宇宙水、食料、燃料、部品などの補給のためには、引込み式のみじかい翼をつけ 船を切り離して一度地球へもどる。 て、帰りは大気中を滑走してふつうの空港にも着陸できる宇宙機ーー宇宙・ハ つぎに、医師一人を含む 3 人の宇宙飛行士の乗ったアポロ宇宙船が打上けスを用いることになっている。 られ、再び宇宙作業場とドッキングする。そして、この 3 人が、五十六日間 あと一一、三年から五、六年のちには、こうした有人宇宙ステーションが、 宇宙空間に滞在し、本格的な宇宙医学実験や科学観測を行なうのだ。滞在期実際われわれの地球の周囲を幾台もまわっていると考えると、的状況が、 間が終ると、 3 人はまたアポロ宇宙船を切り離して帰還し、第 3 のアポロ宇ますます現実のものになってくることを、しみじみと感ぜずにはいられない。 7
この十月十一日、ソ連はひさびさに一一人乗り宇宙船ソ = ーズ 6 号 ( 船長ゲあった。宇宙空間における溶接というのも、こうしてドッキングした宇宙船 ォルギー・ショーニン中佐 ) を打上けた。タス通信は例によって、きわめてを半恒久的宇宙ステーションとして組立てる際に是非必要な技術だと説明さ 慎重に「真空、無重量状態における金属溶接のためのさまざまな方法の実験れた。ただ問題は三隻のソューズ宇宙船の高度で、遠地点一一〇〇キロあまり を含む広範な研究、実験計画」を目的とすると発表しただけだ「たが、アボの楕円軌道では、宇宙ステーションとしての寿命が短かすぎる。しかしこれ ロⅡ号の月計画達成以来、ソ連はアメリカにすっかり水をあけられた観があも、三隻めないし四隻めの宇宙船が宇宙タグボートとなって、軌道船だけ ったから、何かやるのではないか、と期待が持たれていたし、その前後ソ連で、字型あるいは十字型を組んだ宇宙ステーションを一〇〇〇キロ前後の の宇宙科学者たちが口を開けば宇宙ステーションの建設に就いて語っていた高度までひきあげることによって半恒久的なものにすることも可能だという しよいよ実現一歩てまえま 矢先だけに、いよいよ宇宙ステーションの建設実験か、と推測されていた。説明もなされ、ソ連の科学宇宙ステーションは、、 果然、その推測を裏づけるように、十二日には三人乗り宇宙船ソューズ 7 で迫っているかに見えた。 だが、その後、ドッキングのニュースは誤報だったことがわかり、三宇宙 号 ( 船長アナトリ・フィリプチェンコ中佐 ) を、さらに十一一日一一人乗り宇宙 船ソューズ 8 号 ( 船長シャタロフ大佐 ) があいついで打上けられ、「過去のソ船は数百メートルまで接近してのグループ飛行をつづけているだけで、わす ューズ宇宙船の繰返しではなく大気圏の征服への新たな一歩を画するものかに十六日、ソューズ 6 号が、軌道室内を真空にしての金属自動溶接実験を だ」というソビエッカヤ・ロシャ紙の論調からも、ある程度までの宇宙ステ 行なったのち、地上に帰遠したことが明らかにされた。 ーション建設実験であることは確実だと見られた。とくに、打上けられた七これにつづいて、十七日にはソューズ 7 号、十八日にはソューズ 8 号もぶ ズ三隻による宇宙実験は、 人の宇宙飛行士のうち三人までが民間人の工学関係の技師であること、グルじ帰還ーーけつきよく、今度のソューズ・シリー ープ飛行全体の指揮をとっているのがこの一月宇宙空間での有人ドッキングややあっけない幕切れとなった。その後、モスクワ消息筋からの報道による ズの飛行には、初 にはじめて成功したソューズ 4 号船長だったシャタロフ大佐であること、技と、ソ連の各新聞の論調からして、このソューズ・シリー 師のなかにはソューズ 5 号に乗り組んで宇宙遊泳を行ない船外作業訓練をし期の目的ーーーっまり、少なくとも 7 号、 8 号のドッキングを、不可能とする たと思われているエリセイエフ技師が入っていることなども、この推測を裏ような重大な障害があったらしく、宇宙ステーションの基礎実験としては失 敗だったのではないか、と見られるにいたった。 づける要因とされた。 モスクワ十四日発は、モスクワ消息筋の談話として、同日ソューズ外電から受ける世界の輿論は、例外なくやや拍子抜け気味だし、アメリカ 7 号と 8 号とが予想どおりドッキングした、 6 号はその間軌道上の工作船の筋の報道には、明らかにほっとしたような印象があるのは面白いが、これに 役割を果した、と伝えていた。また一説によると、この日四隻めのソューズよっても、本格的な宇宙ステーションの建設が、技術的に決して容易ではな いことを、つよく印象づけられた一幕の宇宙劇ではあった。 型宇宙船が打上けられ、かってレオーノフ宇宙飛行士やベトロフ・ソ連科学 もちろん、ソ連も、このまま引き下るはすはなく、再び三たび宇宙ステー アカデミー会員が言明したようなソューズ宇宙船四隻による十字型ドッキン グや三隻による字型ドッキングが行なわれるのではないか、という見方もションの建設実験に挑むであろうことはまちがいない。 連】 . Ⅱイエ を : 言甲島 " 正一実 6
ワールズ・オプ・イフ SF 誌特約 表紙斎藤和明 目次・扉中島靖侃 イラスト金森達 真鍋博林巳沙夫 岩淵慶造斎藤和明 1 1, NO. 1 」ÅNUARY, 1 970 , VOL. S F マガジン 1 月号 ( 第 11 巻第 1 号 ) 220 昭和 45 年 1 月 1 日印刷発行発行所東京都 千代田区神田多町 2 の 2 郵 1 0 1 早川書房 TEL 東京 ( 2 ) 1551 ~ 8 発行人早川清 編集人森優印刷所日東紙工株式会社 ノンフィクション・コラム特集 月の植民地 月の資源 月の実験室 サ 業庁 イ 載 島り気ー F F 。 7 ェ ll 載 ン タスで すンルキて ス ノ、 にと ! スナた 答び コーあ す ! プ ス 大伊福 福 野 石 島 田 伴藤島 原 藤 昌典正 正 司夫実 夫 実 郎 クーデカー今月のカラー 英国サイエンス・ジャーナル誌特約 日・・ジョンスン CL ・・ロウマン上四 てれぽーと : 豊田有恒 8 豊田有恒 1 4 0 110