いささかお粗末といわざるを得ないのだが : : : それにしても、とにもかくに 去る一一月十一日、東大宇宙研のロケット、ラムダ型 5 号機が、ついに も、無誘導方式での安上りな衛星打上げに成功したことは、祝うべきことだ 国産衛星を軌道に乗せることに成功した。昭和四十一年九月の 1 号機のとき ろう。正しく評価すべきことだろう。 から三年五カ月ぶり、その間四回の失敗のあとだっただけに、喜びもひとし 今度の打上げは、東大自身がくりかえしのべているように、この夏に打上 おで、各新聞はいっせいに「ソ連、米、仏につぐ自力打上げ」「日の丸衛星 げる。こー型ロケットによる本格的科学観測衛星のための予備実験なの 地球を回る」と大見出しで報じた。とくにこの衛星が、国産の固体燃料ロケ ットで、わが国独自の無誘導方式技術によって打上げられたことは高く評価だ。だからもし、今度のラムダ型 5 号機の成功が、試行錯誤のプロセス でのひょんな成功でなく、無誘導方式の打上げ技術の確立に、もしつながる された。 ものであるとすれば、予備実験としての成果は十分にあげられたことになる 打上げに使われたラムダ 4 型ロケットは長さ一六・五二メートル、重さ し、この成功も、やれ日の丸衛星の実現だ、世界で四番めだと、からさわぎ 九・三九トンの四段式固体燃料ロケットで、その第四段めの全長一メート ル、重さ二三・一キロの球形ロケットが、燃料を消費しおわって、人工衛星をせず、一つの科学・技術的達成として、評価し、それなりの喜びなり反省 なりを持つべきものなのだ。 になった。このわが国初の人工衛星は、宇宙空間研究委員会 ( ) にもかかわらず・ : ・ : どケも、世間はーーーというより、ジャーナリズムは、 によって軌道が確認され、〈一九七〇・一一〉の正式名称で登録されるこ とになったが、東大では、発射地点の大隅半島にちなんで〈おおすみ〉と命やや見当ちがいな騒ぎかたや皮肉りかたをしすぎているのではないかという 感しがする。むしろ世間は、マスコミの、あまりにかけはなれた評価や裏話 名することにした。 〈おおすみ〉は、風のため予定された軌道をかなり大幅にはずれ、遠地点五的批評の洪水にめんくらって、この事実をどう受けとめていいか、とまどっ 一四二キロ、近地点三五一キロ、周期一四五分の長楕円軌道 ( 予定では遠地ているのではないだろう力。とくに、気になるのは、この成功を「今さら」 「時代おくれのもの」に「国威発揚のためだけに」「金をかけすぎた」とい 点二四〇〇キロ、近地点五二五キロのはずだった ) に乗 9 て地球を六周した が、四周めあたりから急速に発信電波がよわくなり、キャッチが困難になっ うての意見が、マスコミにかなり現われ、それが一般的に、かなり受け入れ られていることだ。 たので七周めから追跡を中止した。 もちろん、ラムダ型ロケットが、国際的に見て、特別に大きな価値や 〈おおすみ〉はもともと科学衛星だが、最初の衛星でもあるので、精密加速 度計を積んだため、その計測器部には、科学観測器機類はつみこめず、温度意義を持たないということは、素人目にもよくわかる。推力もちいさいし、 無誘導方式なので正確な軌道を期し難いということもわかる。だが、もし東 計、テレメ 1 ター送信機、ビーコン送信機、パイロット送信機などだけだっ た。また、電源となる電池は、三〇 ~ 三四時間の作業能力があるはずだった大側がいっているように、それがそれほど軌道の正確さを要求しない科学衛 が、これが意外に早く切れてしまったのは、衛星内の温度があがりすぎたた星打上げ用に、非常に安上りに役に立つのならば、それはそれなりの価値を めだろう、といわれている。 持っと考えていいのではないか。 それなのに「今さら」といういい方は滑稽だ。アメリカが、ソ連が、比較 つまり、〈世界で第四番めの自力打上げ〉と誇るにしては、ロケットは超 にならない大型のものを打上げたから、今さら小型のものは必要ないという ミニ、軌道は不安定、衛星本体はけつきよく打上げたというだけのもので、 4
WORLDS OF 工 F S C I ENC E F 工 C T 工 ON 約 特 表紙斎藤和明 目次・扉中島睛し イラスト緒方健ニ 真鍋博金森達 岩淵慶造中島睛侃 楢喜八斎藤和明 S F マガジン 5 月号ー ( 第 1 ー 1 巻第 5 号 ) \ 28 昭和 45 年 5 月 1 日印刷発行発行所東京都 千代田区神田多町 2 の 2 ー郵 0 廴ご早川書房 TEL 東京 ( 254 ) 1551 ~ 8 、発行者早川 , 青 編集者森優印刷所東洋印刷株式会社 石原藤夫 野田昌宏 イギリス LL 界のニ新鋭 伊藤典夫 ・ ( セブツをビを 特別連載 77 ッタッイコ〉ミック、 ~ 石森章太郎 でてくたあ 《日本〉石い云同司《海外〉福・島正実 トータル・スコープ 大伴日日司 加藤喬 4 サイエンス・ジャーナ . ル国産 0 ケット打上げ成功と報道のあり方 論壇術の小説論 私のハインライン論 荒巻義雄 南米の古代文化は航空機をもっていた ? 一 冥王星の密度の謎 目に見えない結婚仲介者 新生したニュ 人気力ウンター 特別掲載ハカジン・ショートショート 7 戸倉正三 世界みすて りとびつく 。世界を情報 ート・ンエクリイ 不死販売株式会社暠 来世保険をあてにして死を志願する大富豪に彼は国家公認の殺し屋として傭われた′ . スキャナー ・ワールズ誌 月出版されるソ連 '-0 LL 史・ 四てれぽーと : 第四章 82 120 122
19 70 年 5 月号目次 ファンタジイ寺集号 不ブド 壁果黒空消詩特 にてい飛え ・侵警 影へ大ぶて の入幸に がのフい 名内一者 旅ラく プイ , 平 K ズ デホ 和 . 末特選 / ・ヘル・シリース第三弾 / アイサック・アシモフ 火星人の方法 苛酷な環境に生きる火星人にとって何よりも貴重な物質ーーーそれは ^ 水〉だったが : レイ・フラッドベリ ー - ド - 4 ・・コツ。、 ート・・ヤング チャルズ・・フィニイ ー - 6 フリツツ . ライハ シオドア・スタージョン 1 8 6