「おや、どここ 冫いたの ? 」と彼。 「どここ をいたって、今、着いたんだよ。あれ ! あんたたち先に着 いたの ? 」 セリフ 虫も殺さぬ私の台詞に彼は顔色を変えた。「ソ ! そ れなら 急行連転なんかないんだから、後の車が先に着いたと したら、彼の車がパラレル・スペースを通ってーーーとしか考えられ 彼は脱兎のような勢いで駅長室へ馳けこんだ。こっちが止めるひ まもありはしよ、。 後から行ってみると、キョトンとした表情の駅 長を相手に、彼は例のおそるべき早ロでロ角泡をとばしながら、こ の怪事件の顛末をマクシ立てている。 ついに俺もパラレル・ス ペースを体験したそーーー・とばかり、眼をキラキラ輝かしている彼の 『破減の彗星』の表紙画 傍に、中山女史は蒼白な表情でつっ立っている。そのあまりの真剣 さにこっちは種をあかすきっかけを外し、とうとう、かなり長いド この一件は謎として話題となったものである。名づけて〈地下鉄新 宿駅メビウス事件〉 なんか、最近、こういった馬鹿みたいな騒ぎがすくなくなってぎ たのは、ファンがそれだけ大人になったのかもしれないが、ひどく つまらない気がしてしようがない。 みんながを読みすぎたためだろうか。あのときの豊田有恒の 恐怖と驚きとそして喜びの入りまじった表情こそ、まぎれもない 〈センス・オブ・ワンダー〉そのものだったのに、となっかしく思 い出されるのだ。 異次元ものの話はまた先でするとして、侵略ものだが、前に月人 の地球侵略を紹介したが、一九二八年の一月の〈アメージング〉に はエドモンド・ 、、ルトンが『破減の彗星』 Comet Doom という 同じくイラスト
( そのⅡ ) 機械人間考— 野田宏一郎 今からもう七、八年も昔のことである。 る超大作 ) の中で、さすがは日舞のお師匠さん、すばらしいレイ・ 誰だかの出版記念会が銀座で開かれてーーー眉村卓の『燃える傾ガンさばぎを見せている。 斜』だったかなーーーそのあと新宿で飲み直そうということになっ それはそれ、とにかくドアがしまったのである。手真似と読唇法 た。そして地下鉄の西銀座駅で、私が車に乗りこんだとたんドアがを使 0 て新宿駅のホームで待 0 てるぜと伝えるうちに電車は動ぎ出 びしやりと閉まってしまった。その時他に誰がいたのかはさつばり した。動ぎ出したところで私は突然へんなことを思いついたのであ おぼえていない。 とにかく、とり残された方に、まだ当時大学生だ る。そして、たしか赤坂見付駅で電車を降り、そのまま物蔭にひそ 0 た ( と思う ) 豊田有恒と、中山弓子という女性がいたのだけはよんだのだ。やがて私の乗 0 た電車が出て行くと間もなく、次の電車 く覚えている。 が到着する。 この中山さんという人は、すでに結婚して草津に住んでいるが、 こっそりのそいて見ると案の定、豊田有恒と中山嬢がなにやら議 ちょ 0 としたトランジスタ・グラーの美人で、日本舞踊のお師匠論に熱中しているらしく、車外の様子など気づきもしないのがみえ さんで、スタージョンを原語でばりばり読みまくるという才媛で、 る。やがてその電車も出ていった。そこで、さらに二、三本電車を いやしくも彼女に口をきいて貰えないやつは当時、一人前のフやりすごしてから、次の電車にのりこんでおもむろに新宿駅〈到着 アンとは認めて貰えなかったほどだった。平井和正、豊田有恒主演したのである。 の映画〈 Once Upon a ・ Time-machine 〉 ( 演出は小生、侍姿の伊 ホームには誰もいない。我々の方が先に着いていると思っている 藤典夫がタイム ・パトロールと大チャン・ハラの末、無残にもハチャ のだから、きっと改札口にでも行ったのだろうと階段を上って行く ( チャに切り刻まれてしまうという目を掩うような残酷シーンもあと、案の定、豊田有恒が立っていた。 連載コラム rn 実験室 解剖学のすすめ 6
誌上映画紹介『いれずみの男ト ( 7 ナー映画 ) 都房清社 スキャナ . ーディレイニーの最新作『ノヴァ ) 2 京書会 \ 東川川式 でてくたあ 早早株 コープ 第発。行東 1 発日 行郵、斤 れでは十応さようなち ( 俤発・、・ 8 炉 2 届 月日町 カ・ワ、 8 1 多 ン月田 2 さい、んんす一・とびつくす・ マ田東 LL 和代 -J 集 昭千秬編 196 % VOL. IO, NO. 8 ワールズ・オプ・イフ SF 誌特約 表紙岩淵慶造 目次・扉翠 - 中島靖佩 イラスト 真鍋博金森達 岩淵慶造中島靖佩 、長【 0 】司学、 0 すす 0 = 豸 " 新《讐 , 野田 L 瑯し、 第六章、〔大道具バラエティ 石原 ( 藤夫 大伴昌司 . 順 伊藤典夫 石川喬司 大伴昌司脚 福島正実 近未来社会を描く日本作家一一人集 最後の手段 電話でセックス CDLL 物理学入門 眉村卓 石原藤夫 てれぼーと : 124 202