このところ数年間、天文学は毎年かならずといってよいほど新らしい、画十一・一光年にある白鳥座六十一番星だった。白鳥座六十一番星は、太陽系 期的な観測結果やそれにもとづく新理論を発表してきた。思いつくまま大雑最大の惑星である木星の約八倍の質量を持っ巨大な惑星を持っている、と計 把にあげても、クエージ ー・スタ 1 の発見、宇宙人からの通信かと騒がれた算された。 ( もっとも、これほど大きな星を惑星と考えてよいか、それとも なその電波源からの規則正しい電波の観測ーーーこれはのちに、ま・ほろしの中伴星とするべきかで、いまなお議論はつづいている ) 性子星ではないかというよりドラマチックな天文学的話題を提供したーーさ ついで、プロー ・モーションが全天一速いことで有名な・ハーナード逃 らには銀河系一個に相当するほどの厖大なエネルギーを放射する天体の発見走星ーー太陽からの距離約六光年ーーにも、木星の一・五倍ほどの質量を持 これは正・反物質反応でないかという理論と、もう一つには、地球人類っ伴星ーーこの場合は惑星とみなす意見が多かったーー・が発見された。 とはけたはずれに大きなエネルギ 1 ・コントロールの技術をもつ、けたはず このほか、ロス六一四、ラランド二一一八五なども、くらい伴星ないしは れに高度なスー。 ( ー宇宙人類存在の根拠説を導きだしたーー、銀河系そのも惑星を持っているかもしれないことが、指摘されている。しかし今度のぎよ のが恒星とほぼ同じ進化のプロセスを踏むという新理論など数えたてれば、 しゃ座イ。フシロンのように、現在惑星系が創造されつつある、という理論が きりがないほどである。 うちだされたのは、はじめてだった。 今年も、そうした新学説の一つが、イギリス、マンチェスター大学のズデ ぎよしゃ座 Auriga は銀河圏のヒ、。 」へルセウス座とふたご座の中間にある ネク・コ。ハル教授から、国際天文学連合会議の席上で公表され、話題を呼ん肉眼星二一四個をふくむ大きな五角形の星座で、主星カペラ Copella は全 天第六位 ( マイナス 2 等星 ) の美しい星であることはよく知られている。イ それは、「われわれから約五〇〇〇光年はなれたぎよしゃ座イプシロン 。フシロンはこの星座の右肩あたりにあるキッド ( 子山羊と呼ばれる鋭角三角 で、現在惑星系が創造されつつある」という発表であった。 形の三つ星 ) の頂点をなしている。 恒星が惑星を持つかどうかということは、長いあいだの天文学上での論議 この星は、長いあいだ天文学上のなそだった。 の中心であり、ふるくはカントからラ。フラス、ムエン・ハレン日モールトン、 星そのものは、二つの星が互いにまわりあっている連星で、二つの星の明 ジーンズ、ワイゼッカー ンユミット、カイ / ーの学者たちが太陽系るさがちがうために光度が変化する星ーーーいわゆる食変光星である。ふだん 起源の謎ーーひいては銀河系起源の謎をめぐってさまざまの説を発表し、そ の明るさは三・四等だが約二十七年ごとに暗くなり、そのときには四・二等 の都度、惑星があるという説に傾いたりまたない方に傾いたりをくりかえし 星までおちる。暗くなっている周期は約二年間である。 てきたが、最近では惑星を持っ恒星が標準型であり、おそらく全天の恒星の 観測によると、二つの星の距離は五十一一一億キロメートルで、これは、わが 半分がいくつかの惑星からなる系をかたちづくっているだろう、というのが太陽系の、太陽から冥王星までの距離 ( 平均約五十九億キロメートル ) にち 定説となっていた。だが、その定説を裏づける事実が、実際に観測されたこ かい。明るい方・・・ー・主星の半径は一億四千万キロメートルで ( 太陽は七〇万 とは、まだなかった。 キロメートル ) ーーーなんと太陽の約二〇〇倍もある超巨星である。 ただ、比較的太陽系に近いいくつかの恒星に、それらしい徴候が観測さ イプシロンの変っているのは、明るいときも暗いときも、光のスペクトル れ、発表されたことはあった。そのうち、もっとも有名なのが、太陽系から がまったく変らないことだ。ふつうの食変光星の場合は、暗くなるときと明 連載Ⅱサイ土ンス・ジャナル 生まれつある惑星系 ? ロ藤喬 4
WORLDS OF 工 F SCIENCE 工 CT 工 0 Ⅳ s F マガジン 1 月号 ( 第 12 巻第 1 号 ) \ 250 昭和年 1 月 1 日印刷発行発行所 - 。東京都 千代田区神田多町 2 の 2 郵 101 早川書房 TEL 東京 ( 254 ) 1551 ~ 8 発行者早川清 編集者森優印刷所東洋印刷株式会社 明。達尻明篤長期連載異能作家 20 ・ーのニュー・プイーリング最新作 / 和建和 藤島が森島藤村 斎中緒金中斎杉 紙扉ト博造八郎 ・ス慶喜 次ラ鍋淵野 表目イ真岩楢水 新連載コラム 小野耕世 石原藤夫 浅倉久志 別掲載下ア下一らッ 斎。和 ^ 日本ツ ' 石川漱同司 ^ 海福島正実 でてくたあ 一大伴一昌司 トータル》・スコープ 加藤同 4 サイエンス・ジャーナル生まれつつある惑星系 ? 水中にとびこんから助かる方法 / : ・・・ミ・ : ・ 漂流びんのロマンス 世界報一フランス U)I.L 界近況 : 人気力ウンター すべーす・たいむ・あんてよ 第四回 筒井康隆 脱走と追跡のサンバ コンピューターの聖域に突入したおれは、謎の尾行者の話から新脱出路を発見するー LL ロポット工学入門 スキャナー - 世界みすて ・ーこびつ′、 トリエステ U)LL 映画祭 : てれぽーと
1 9 7 1 年 1 月号目次 今月の巻末特選ノヴェル ニニ 0 枚一挙掲載 豊田有恒 ) 久火の国のヤマトタケル くまそ わずかな手勢を率いて火の国の熊襲征討に向かう王子の行手に待つは魔か人か ? 連作ヒロイック・アアンタジイ第一作新神話シリーズ誕生ー 恐龍狩り アラリー 禁猟区 必要の母 ロックていこう 国際シンポジウム記念特別企画 アーサー・ O ・クラーク 対談未来社会への展望 松左京 し・スプレイグ・ディ・キャンプ ート・ンルヴァーバ ロク・フィリップス フリツツ・ライ / 山野浩一 9 0 1 2 9 144