「吾輩は猫被りである」の表紙 とを書いたか記す。 ら、鼻の働き男子製造局とは男子体内社会の造児局にして、製造場 を描いた部分を金玉堂という。この金玉堂において内務技師の技術を 引用してみもって、精虫太子を造くるものなれども傍観を許さず、 る。 暗室において秘密にせるがゆえに、その手段方法を知る よしなければ、これを略して後にいかに変化せるものな 臭官 ( 臭いるやを記せん。 を感じる役金玉堂において精虫太子を続々製造して、金玉堂門外 人 ) は鼻にい へ出す。門外には事業兵ありて、ただちにその精虫太子 て、千品万物を護衛し、徐々と精海道 ( 輸精管 ) を通り幼稚園 ( 精 接したなら蠹 ) に入門せしむるものなり。 ば、よくその幼稚園においては、数多の精虫太子を養育するところ こまか 臭気を検査し、もって詳細に内閣に向けて通信するとこにして、精虫太子成長して一人前となれるときは、該部 の警官これを検し、内閣へ通信して、精虫太子を女帝造 ろの官吏なり。 臭官の検査を妨害するか、あるいは通信する電信児局の″子の宮″へ参宮仕らせたくにつき、なにぶんの 破損して通信すること得ざるなどの場合には、精お取りはからいくだされたし、と請求す。精神帝はこの はなつんに 請求を受け ( 春気発動 ) 、さっそく婦人をたずね、協議 神帝は鼻聾とならざるを得ず。 のうえ精虫太子を女子の″子の宮″へ参宮の取りはから いあるものとす。 とてもとても、全器官を紹介しているわけにはいかな いので、あいだにはさまれたイラストを見ていただくこ参宮の取りはからいあるときは、幼稚園の精虫太子は とにしよう。深く追求しないで見るぶんにはなかなか楽事業兵に保護せられて、幼稚園の門を押し開ぎ、気送海 しい。第一回に紹介した「炭素大功記」と同じくらい楽道 ( 尿道 ) を通り″子の宮″に参詣せらるものなり。 しく、すごい本だ。 精虫太子の参宮するには精神帝の許可を得、かっ指揮 さて、それでは、この本の最高にすごい部分を紹介しを仰ぐべきものなれば大事件というべし。男子の造児局 て、締めくくりとしよう。これは、ほんとうにすごいそ ! より精史太子を女子造児局の″子の宮に参詣せしめん とするときは、男子帝と女子帝と協議のうえ、参宮式を 造児局 ( 生殖器 ) 行わせらる。しかるときは男子造児局の事業兵は、陰橋 造児局は男帝社会と女帝社会とにありて、両局の手をを突出せしめて女子造児局″子の宮に架するに便利な 経ざれば完備するものにあらず。ゆえに、両局を各別にらしむ。また女子造児局においても、門内に湿潤薬を流 のう
という部分だ。 し、生脈を絶っにいたらしむことあり。 では、両軍が戦かく毒軍蜂起し、暴行を加うるといえども、体内社会 闘を交える部分にこれを防ぐ者あらざれば、毒軍は思う通りに乱暴を極 め、目的の度まで達せざれば止めず、一旦目的の度に達 するときは退いて、体外へ引き去る者なり。 すべて体内社しえの医帝は、無学文盲の腰抜け薬兵をもって体内 会の紛議争乱を社会に差し向け、毒軍と戦わしたるためがゆえに、百万 . 一発する基原は毒の薬兵といえども、わずかの毒軍に失敗を採り、恐怖し 軍なり。この毒て遁げ出で見るも切歯のいたりにたえず。しかれども、 軍の蜂起して暴これ未熟の医帝には相応したる薬兵というべし。なんと 行を働くに種々なれば、もし指揮を誤るも薬兵かえって官部を襲い、内 あり、皆、主意閣政党を攻撃するの勇気なければ、恐るるところなきが を異にし部位をゆえなり。 当今の医帝は、博識多才、豪気活発なる薬兵を備え、 異にする者な を - り。しかれど一朝事あらばたちまちにこの薬兵に命を下して体内社会 ぬきみ も、一旦毒軍蜂に差し向け、もって毒軍と戦わしむ。薬兵は白刃を閃か . 当起し暴行を働くして武勇を振い、百万の毒軍は事ともせず、一刀のもと 一点にいたりてに亡ぼし、実に見るも勇しきしだいなり。 は皆同じ者にし このごとき薬兵を指揮するは、実に危険なる者にし ) を」て、社会を害して、もしも指揮を誤まるときは、社会 0 政党を目下」打 官部を襲い政党倒し、生脈断絶するの不幸を招くことあり、ゆえに、当 に抵抗する者にあらざるはなし。 分医帝は汲々勉強して学事を研究し、錬兵法を修め、も すべて毒軍の蜂起せんとするときは、まえもって秘か って貴重なる体内社会をして、不幸の域に陥いらしむこ に兵を養い、軍器を用意し、党を結び、類を集め十分にとなきを務む。また、依頼するものは医帝の学力と実地 軍備を整え、而して陣を取り、庶民を害殺して肉を食の巧拙を探り、後悔することなきよう注意するを要す。 い、あるいは通運道路を塞ぎて兵粮攻めを試み、あるい は電線をち内閣の通信を得ざらしめ、警官を切り会社どうしよう ? これが医学解説書だというから困 0 て に乱入し、実に全社会を上下に沸騰せしむ。はなはだししまう。この調子で目次の順に、制器官の働きが紹介さ きにいたりては、進んで内閣を襲い終いには、政党を倒れていく。ぼくは先月号で、アレルギー性鼻炎であるこ 「子の官での会合」の図 ( 左 ) , 「天然治療」の図 ( 右 ) 9 6
だいたいの想像はつくにちがいない。想像にたがわず、 体内社会に於て消費する物品は求与すべきこと 体内惣理大臣より請求の件は等閑に付すべからず極めて馬鹿々々しく、そしておもしろいのだ。 人身体内社会は、精神天皇というエラーイ人が支配し 体内の政事を記億すべきこと ている。 ( まさに、明治の書でありますねえ ) その下 体内社会の争乱を治むるに医帝を撰ぶべきこと に、体内惣理大臣という実力者がいる。この人も大変に 毒軍の暴行 エライ人で、事実上体内社会を取りしきっていて、庶民 薬兵の武勇 の意見を精神天皇に伝えて帝の判断を仰ぎ、ふたたび庶 体内惣理大臣 ( 脳脊髄 ) 民に伝言する役目をおおせつかっている。 司法省 ( 神経感受作用 ) で、まあ体内社会 臭官 ( 臭神経の感じ ) は、ふだんはだいた 視官 ( 視神経の感じ ) 味官 ( 味神経の感じ ) いうまく事が行なわ , 、愛第物ま、 れているのだが、 聴官 ( 聴神経の感じ ) 警察官 ( 知覚神経 ) 時々、事件が発生す る。たとえば毒軍の 逓信省 ( 神経中枢 ) 反乱だ。この毒軍と 内務省 ( 血管神経 ) いうのは悪い奴で、 滋養会社 ( 消食器 ) 何とかして体内社会 粗製場 ( ロ ) 之 を破減させようと暴衂 精製場 ( 胃 ) 之 れまわる。そうなる 再製場 ( 腸 ) 内務技師 ( 血球 ) と、精神天皇は苦痛「第 兵 を感じられて、友人 製温会社 ( 酸化作用 ) 薬 通運会社 ( 心臓 ) の医帝に力を借りる 疏水会社 ( 泌尿器 ) 左 ことになる。医帝は 附属外防会社 ( 皮膚 ) さっそく毒軍を鎮圧 4 之 するために、薬兵と 造 、う機動隊を体内社 ( 第ー , " 目次を全部書くのも、ページがもったいないから、こし 社 のへんでやめておくが、これを見ただけでどんな内容の会に送りこむ。これ が、目次の「毒兵の 養書であるか、おおよその見当はつくだろう。少なくと も、この「こてん古典」を毎号読んでいる人なら、もう暴行」「薬兵の武勇」