銀煌の騎士勲章3 (一迅社文庫)

キーフレーズ

カイン ファリア クローディア キーノ イングリド アウレリア レイク バルト 騎士 魔物 アヴァル インフェリア マルチナ ファルファレロ 言っ アイシャ 自分 マレブランケ 帝国 言葉 フェリア ライタークロイス 考え 十二 聞い 思っ 身体 ドムス アンドラス 二人 勲章 王都 皇女 帝都 三人 ロダール 言わ 黒亀 表情 部屋 メナートス 蜘蛛 自分たち 持っ リオン 視線 フォルネウス しよう 城砦 浮かべ ハイラム スッラ 可能性 若者 思う 答え 言い 人間 買っ ファルファレ ラウニー 思い 見る 相手 オルドリッチ 入っ パルス できる 考える 笑み 兵士たち 従衛 王城 知っ バラム グラフィアカーネ 黒髪 笑っ 女性 時間 向け 一つ アリ ォルドリッチ 騎士団長

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カインたちは港へ向かうことにしたのだが、 好奇心を煽るものが次から次へと視界に飛びこ んでくるので、一直線に大通りを行くというふうにはならなかった。その都度立ち止まり、気 したつづみ ど - つけし になった食べものを買って口にしては舌鼓を打ち、道化師の芸を見ては拍手を送った。 ぎよしよう イカの中身をくりぬいて麦と豆、香草を詰めて魚醤をかけて焼いたものは香ばしくておいし かった。何本もの短剣を空中に投げたあと仰向けに倒れ、落ちてくる短剣を次々に蹴り上げて 鮮やかな放物線を描く芸は、目を瞠るものがあった。 ぎんゅうしじん うた 道ばたでは、吟遊詩人が十二の氏族について謳っている。人々の反応を見ると、珍しさこそ ないが、誰でも知っている定番の詩ということのようだ。 「ーーかくて王の下に十二の氏族が集う。嵐のごときリピコッコ族は船の扱いに長け、竜を思 わせるドラグナツツオは鉄や銅を鍛えた。軽やかなるファルファレロ族には弾けぬ楽器などな く、常に人々を陽気な気分にさせた : マレブランケ 十二の氏族の名は十二将の中に残ったという締めくくりで、詩は終わる。 目を惹くものは、食べものや芸ばかりではない。 王都ヴェルギルでは、主要な通りに石畳を隙間なく敷き詰めている。帝国のものほど平らで はないが、 さまざまな色に染めた細かい石を埋めこんで芸術的な模様を描いていた。帝国には ない工夫だった。 ひ みは あお

かっ 広場に設置されている噴水も同様で、まず造りが美しい。水瓶を肩に担いだ女性の像があり、 その瓶の口から水が流れ落ちて小さな滝をつくっている。台座と、水を溜める縁には細かい装 ほどこ 飾が施されていた。更に、噴水の四方には色を塗った瑠璃の柱が設置され、赤、青、緑、黄の 四つの色が陽光を受けて、鮮やかな彩りを水面に映している。 「天女だ」 女性の像を指して、ファリアは言った。 「地上のあらゆる技術と芸術を守護し、すべての過去と未来に通じているといわれる女神だー カインはすっかり感心してしまった。ファルファレ口が芸術家たちの都と言っていたが、そ れもなるほどと、つなずける。 しょ・つ 「こ、ついう、どうでもいいところに神経を使うから凝り性どもの国、などと言われるのだ」 腰に手を当ててファリアはうそぶいたが、その表情と口調はどう見ても、負け惜しみでしか なかった。ちなみにレイクの反応は 「石でなけりや及第点」 と道行く女性にさりげなく視線を走らせながらのそっけないものだった。 勲そんなところに、鮮やかな赤い髪をした娘が声をかけてくる。 嘘「ねえ、あなたたち、帝国のひとでしよう ? 」 銀「どうしてそれがわかるんだい」 警 9 くカインににこりと笑いかけ、 ペアテ

「一言葉でなんとなくわかるのよ。このあと、どれくらいいるの ? 君のためならここに住み着くことも、と言いかけたレイクの脇腹を殴りつけて沈黙させると、 ファリアがそっけなく応じた。 「用事があってきたのでな、数日後には帰る」 「ちょうどよかった。この帽子、かぶってみない ? 」 そう言って彼女がさしだしてきたのは、銀灰色の毛皮を使った帽子だった。カインも手に 取ってみたが、思ったよりしつかりしている。 「何日かして帝国に帰るんだったら、ちょうど着くのは冬のど真ん中でしよう ? こういうの があったらいい と思わない ? 実際にかぶってもらえればわかると思うけど、上質の毛皮を 使ったものなのよ。三人分買ってくれるなら、かなり安くできるんだけどな」 「買わせてください 復活したレイクが身を乗り出し、カインとファリアも特に反対する理由がなかったので、三 人は買った。現在、帝国には暖冬が訪れつつあり、同じものがもっと安く買えるようになって いることを三人は知らない おもしろそうだと思ったとはいえ、妙な店に入ってしまったなあとカインは思った。 狭い室内に、面積の少ない色とりどりの布地がいくつも吊されている。下着とまるで変わら