麒麟館グラフィティー 第8巻

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見事なコンビネーションを見せていた。 によってガラリとその表情に変化をみせる。″人の ある色はどんな色と対するのか ? 目は錯覚するのだ〃ですませてしまうのは味気無い。白と黒の間に在る数限り無い色、そ のそれぞれがコーディネイトされることによりさらに複雑な表情を生み、色の世界は奥へ 奥へと豊かな広がりを見せる。難しく敬遠しがちな色同士も、あきらめず、手段と方法を 尽くして試みてゆけば、ポロッと心地よい色調が顔を出すこともある。一転して大のお気 に入りのコーディネイトになったりしてしまうのだ。そこにこそ色の喜びはある。 私は子供達の質問に、好きな色を 1 色ではなく 2 色の組み合わせで答えてみた。 プーイングかな ? と思いきや彼らは熱心に思いを巡らせ始めた。新たに色の組み合わ せに挑む決心をかためていたのかもしれない。 組み合わせ : ・。ご存じの通り『麒麟館グラフィティー』の中にも素晴らしい組み合わせ ( 卩 ) の数々が存在する。作者はまるで自らに問うかのように登場人物にとことん深くデ イスカッションさせている。だから彼らはストーリ 1 に媚びて捩じ曲って在ることは無い。 1 トナ そんな確かな個性を持っ彼らのぶつかり合いの中で特に興味をそそられるのはパ 1 の違いによって現れる個々の印象の違いだ。例えば菊子と対する時の秀次、妙と対する 時の秀次の印象を比較してみても良くわかる。 淡い色の菊子と強い色の秀次、菊子の色は秀次には見えない。秀次からすると菊子は真 こ 337

白な地のような存在なのだ。 , 彼女の上に自分の色を描きなぐる。そんな秀次の姿からは微 妙な色合もふっとんでしまい、ただ淋しいモノクロームの印象が広がる。 きっこう . 一方の妙と秀次の関係はどうだろう。激しく悲しいその関係、二人の色は拮抗し合い互 いに譲ることが無い。しかし、例えば紺色の横に赤を配すると眠っていた青がにじみ出て 際立って見えてくるように、彼の持っ魅力がこの時鮮やかに浮かび上がってきた。物語は 急速に色を帯び始める。 さて、隣に並ぶだけで響き合う妙と秀次で物語をひつばりながら、そう、素敵な組み合 わせは他にも多々出現する。火野と菊子、妙と父、火野と植物というのもある。 o•• しかし物語は、菊子と秀次は、敢えて最後まで困難でミスマッチなお互いの関係にこだわ り机ける : なせか ? 私はミステリーを読むようにその疑問を大切に抱きながら「麒麟館グラフィティー』を 最後までたつぶり楽しんだ。作者が私達の期待するところを裏切らなかったことは皆さん は、も , つおわかり - かと田 , つ。 子供達は色と格闘している。絵の具で色を作る時など冒険心のある子程、まっ暗な色を 作ってしまう。どうも減りの少ない黒や茶を使いたくて仕方なかったり、全ての色をまぜ 332

て黒くなってしまったり : ・。そんなまっ暗な色で背景を塗り込めては親の心配を買ったり している。「この子は悩み事があるんでしようか ? 」とか。でもそんな彼らの見ている先 を私はちょっとだけわかっているつもりだ。 少女まんがの王道をゆく美しく繊細で可憐な絵柄の『麒麟館グラフィティー』。人気の 秘密はもちろんこの絵の素晴しさをはずしては語れない。吉村明美さんは子供の頃どんな 絵を描いていらしたのだろう。ちょっとそんなことを知りたくなってしまった。 堀部由佳子一九六三年千葉県に生まれる。東京芸術大学版画科修了後、フリー ランスでイラスト、レイアウト、絵画教室の仕事をしながら絵を制 作している。小野画廊、なびす画廊、ギャラリーアリエスで個展を 開く。趣味は読書や音楽鑑賞、散歩、スポーツ観戦。 333