啄木歌集

キーフレーズ

明治 三十五年 思ふ 思ひ 四十三年 今日 啄木 四十 一年 こころ 泣く 忘れ 秋の 夏目漱石 ふるさと 見る 一人 東京 四十二年 毎日新聞 かなしみ ありき 死ぬ 函館 明星 泣き 汽車 三十七年 東京朝日新聞 白き 知ら あはれ 日記 三十六年 我が 死に 四十四年 芥川竜之介 思ひ出 入り 一つ るかな 永井荷風 ひとり 生れ 少女 生活 眞夜 春の日 大いなる 言葉 煙草 立ち 吹く 釧路新聞

目次

内容 一握の砂・ 悲しき玩具 : 補遺 解索 題引

目 我を愛する歌 : 煙・ 秋風のこころよさに 忘れがたき人人 : 手套を脱ぐ時・

一握の砂・悲しき玩具索引 ア 愛大の耳斬りてみぬあはれこれも・ あをじろぎ類に涙を光らせて 靑空に消えゆく煙さびしくも・ 靑に透くかなしみの玉に枕して 靑塗の瀬戸の火鉢によりかかり、・ 赤赤と入日うつれる河ばたの 赤紙の表紙手擦れし國禁の 垢じみの袷の襟よかなしくも・ アカシャの街に。ホプラに秋の風 赤煉瓦遠くつづける高塀の 秋來れば慧ふる心のいとまなさよ・ 秋立つは水にかも似る洗はれて 秋近し ! 電燈の球のぬくもりの・ 秋の雨に逆反りやすき弓のごと・ 秋の風今日よりは彼のふやけたる・ 秋の聲まづいち早く耳に人る 秋の空廓第として影もなし・ 秋の辻四すちの路の三すち〈と・ 秋の夜の鋼鐵の色の大空に・ 空家に入り煙草のみたることありき 杲れたる母の言葉に氣がつけば 呻噛み夜汽車の窓に別れたる 朝朝のうがひの料の水藥の あさ風が電車のなかに吹き人れし・ 淺草の夜のにぎはひにまぎれ人り ・一五淺草の凌雲閣のいただきに 朝な朝な支那の俗歌をうたひ出づる・ ・五 0 朝な朝な撫でてかなしむ、下にして ・夫朝寐して新聞讀む間なかりしを・ 朝の湯の湯槽のふちにうなじ載せ 朝はやく婚期を過ぎし妺の 朝まだきやっと間に合ひし初秋の 遊びに出て子供かへらす、取り出して・ : 一 8 新しき明日の來るを信すといふ・ : 一三一新しきインクのにほひ栓ぬけば・ ・全新しきインクの匂ひ、目に沁むも ・合新しきからだを欲しと思ひけり、・ : 三 0 七 あたらしき木のかをりなどただよへる あたらしき心もとめて名も知らぬ あたらしきサラドの色のうれしさに ・合新らしきサラドの皿の酢のかをり・ : 会 あたらしき背廣など着て旅をせむ・ : 合新しき本を買ひ來て讀む夜半の・ : 三 8 : 突 : 究

あたらしき洋書の紙の香をかぎて・ あてのなき金などを待っ思ひかな。・ あの頃はよく嘘を言ひき。平氣にて・ あの年のゆく春のころ、眼をやみて あまりある才を抱きて妻のため 飴賣りのチャルメラ聽けばうしなひし・ あめっちにわが悲しみと月光と 雨つよく降る夜の汽車のたえまなく・ 雨に濡れし夜汽車の窓に映りたる・ 雨降ればわが象の人誰も誰も あやまちて茶碗をこはし、物をこはす・ あらそひていたく憎みて別れたる 野ゆく汽車のごとくに、 このなやみ、・ 野より歸るごとくに歸り來ぬ ある朝のかなしぎ夢のさめぎはに・ ある時のわれのこころを燒きたての ある年の盆の祭に衣貸さむ・ ある日のこと室の障子をはりかへぬ ある日、ふと、やまひを忘れ、牛の啼く・ 或る市にゐし頃の事として、友の語る・ あはれかの男のごときたましひょ あはれかの國のはてにて酒のみき・ あはれかの眉の秀でし少年よ あはれかの眼鏡の縁をさびしげに・ あはれかの我の敎へし子等もまた・ : 九五 あはれなる慧かなとひとり呟きて あはれ我がノスタルジャは金のごと・ イ・ヰ ・三三家を出て五町ばかりは用のある・ : 大四家にかへる時間となるを、ただ一つの・ いかにせしと言へばあをじろき醉ひざめの 怒る時かならすひとっ鉢を割り 呼吸すれば、胸の中にて鳴る音あり。・ いくたびか死なむとしては死なざりし いささかの錢借りてゆきしわが友の : ・一 0 四 石をもて追はるるごとくふるさとを 石狩の空知郡の牧場の 石狩の美國といへる停車場の・ 石狩の都の外の君が家 「石川はふびんな奴だ。」ときにかう : 大七 石ひとっ坂をくだるがどとくにも : 一元醫者の顏色をぢっと見し外に・ : 三 0 五 意地惡の大工の子などもかなしかり・ 椅子をもて我を撃たむと身構へし 何處やらむかすかに蟲のなくごとき・ いそがしき生活のなかの時折の 、たく汽車に疲れて猶もきれぎれに : 九四 いたく錆びし。ヒストル出でぬ砂山の 痛む齒をおさへつつ、日が赤赤と・ . カ - C) プし プし ( ) ( つ : 突 : 契 : 交

一度でも我に頭を下げさせし いっか、是非、出さんと思ふ本のこと、 っしかに情をいつはること知りぬ いっしかに正月も過ぎて、わが生活が いっしかに泣くといふこと忘れたる いっしかに夏となれりけり。やみあがりの 一塚の兵を見送りてかなしかり・ 五歳になる子に、何故ともなくソニヤといふ・ いっとなく、記憶に殘りぬ—* といふ いっとなく我にあゆみ寄り、手を握り、・ いつなりけむ夢にふと聽きてうれしかりし 何時なりしかかの大川の遊船に・ いつの年も、似たよな歌を二つ三つ いつまでか、この見鮑きたる懸額を いつまでも歩いてゐねばならぬごとき・ いつ見て毛糸の玉をころがして いっ逢ふ電車の中の小男の・ いつも來るこの酒肆のかなしさよ いつも、子をうるさきものに思ひゐし いつも睨むラム。フに飽きて三日ばかり 絲きれし紙鳶のごとくに若き日の いと暗き穴に心を吸はれゆく・ 一鳴くそのかたはらの石に踞し 田舍めく旅の姿を三日ばかり・ いのちなき砂のかなしさよさらさらと ・ = 一一一今までのことをみな嘘にしてみれど、・ いま、夢に閑古鳥を聞けり。閑古鳥を・ 今は亡ぎ姉の戀人のおとうとと いらだてる心よ汝はかなしかり ・八四 いろいろの人の思はくはかりかねて、 : ・元七 岩手山秋はふもとの三方の : 三八 ウ 雨後の月ほどよく濡れし屋根瓦の・ うす紅く雪に流れて人日影・ うすのろの兄と不其の父もてる うすみどり飮めば身體が水のごと ・ : 一充薄れゆく障子の日影そを見つつ・ うたふごと驛の名呼びし蕓和なる・ 打明けて語りて何か損をせし・ うっとりとなりて、劍をさげ、馬にのれる うっとりと本の挿繪に眺め入り・ 腕拱みてこのごろ思ふ大いなる うぬ愡るる友に合槌うちてゐぬ・ 生れたといふ葉書みて、ひとしぎり、・ うらがなしき夜の物の音洩れ來るを・ ・一四裏山の杉生のなかに斑なる・ ・八五賣り賣りて手垢きたなきドイツ語の ・五八賣ることを差し止められし本の著者に うるみたる目と目の下の黒子のみ ・五四 : ・一七四 : 八七 : 八四 ・ル 0

310 オ・ヲ 汪然としてああ酒のかなしみぞ・ 大いなる彼の身體が憎かりき・ 大いなる水品の玉をひとっ欲し 自が才に身をあやまちし 大形の被布の模様の赤き花・ 大川の水の面を見るごとに おほどかの心來れりあるくにも・ お草子貰ふ時も忘れて、二階より・ 起きてみて、また直ぐ寐たくなる時の をさなき時橋の欄干に糞塗りし・ 孩兒の手ざはりのごとき思ひあり 治まれる世の事無さに飽きたりと・ おそ秋の空氣を三尺四方ばかり・ 愁ひ來て丘にのぼれば名も知らぬ・ 愁ある少年の眼にうらやみき・ 運命の來て乘れるかとうたがひぬ 葡萄色の長椅子の上に眠りたる・ 葡萄色の古き手帳にのこりたる・ 縁先にまくら出させて、ひさしぶりに、 : 演習のひまにわざわざ汽車に乘りて 〔遠方に電話の鈴の鳴るごとく〕・ : 九七 : 合 おそらくは生涯妻をむかへじと ・契遺方に電話の鈴の鳴るごとく・ おちつかぬ我が弟のこのごろの おどけたる手つき可笑しと我のみは・ 男とうまれ男と交り負けてをり おとなしき宀豕畜のごとき心となる、・ 自が才に身をあやまちし人のこと 己が名をほのかに呼びて涙せし・ 思出のかのキスかともおどろきぬ 重い荷を下したやうな氣持なりき、・ 思ふこと盜みぎかるる如くにて 思ふてふこと言はぬ人のおくり來し ・八五親と子とはなればなれの心もて おれが若しこの新聞の主ならば・ ・三大俺ひとり下宿屋にやりてくれぬかと、 女ありわがいひつけに背かじと : 大八 カ : 九八 買ひおきし藥つきたる朝に來し・ : ニ 8 廻診の醫者の遲さよ ! 痛みある・ ・ : 一九四外套のに頤を埋め、夜ふけに・ ・九四解剖せし蚯蚓のいのちかなしかり・ 顏あかめ怒りしことがあくる日は : 一 0 五顏とこゑそれのみ昔に變らざる・ : 一五五鏡とり能ふかぎりのさまざまの : 三 0 大 ・ : 一七四 : 九四 ・・三七 : 四五 : 五七 : 五 0 : 三 0 五 : 四四

311 鏡屋の前にきてふと驚きぬ・ かかる目にすでに幾度會へることぞ ! かぎりなき知識の懲にゆる眼を かくばかり熱き涙は初慧の 堅く握るだけの力も無くなりし 校の圖書庫の裏の秋の草・ かなしきは秋風ぞかし稀にのみ かなしきは砲くなき利已の一念を かなしきは小樽の町よ歌ふこと かなしきはかの白玉のごとくなる かなしきは喉のかわきをこらへつつ かなしきは我が父 ! 今日も新聞を かなしきは、 ( われもしかりぎ ) 叱れども、 かなしく頭のなかに崖ありて かなしくも、病いゆるを願はざる かなしくも夜明くるまでは殘りゐぬ かなしみと言はば言ふべき物の味 かなしみのつよくせまらぬさびしさよ・ かなしめば高く笑ひき酒をもて かにかくに澁民村は戀しかり・ かの家のかの窓にこそ春の夜を かの聲を最一度聽かばすっきりと・ かの時に言ひそびれたる大切の かの族の汽車の車掌がゆくりなくも・ かの旅の夜汽車の窓におもひたる・ かの年のかの新聞の初雪の かの船のかの航海の船客の : 五七 かの村の登記所に來て肺病みて・ 壁ごしに若き女の泣くをきく・ 神有りと言ひ張る友を説きふせし・ ・五四神寂びし七山の杉火のごとく・ ・夫神様と議論して泣ぎしーーあの夢よ ! き神無月岩手の山の初雪の・ 訷のごと遺く姿をあらはせる・ ・ : 一一五樺太に入りて新しき宗敎を・ かりそめに忘れても見まし石だたみ・ ・ : 一一 0 五乾きたる冬の大路の何處やらむ・ 考へれば、ほんとに欲しと思ふこと 閑古鳥 ! 澁民村の山莊を : 一ル五 閑古鳥鳴く日となれば起るてふ : 一五大肴護婦が徹夜するまで、わが病ひ、・ キ ・殳氣がつけばしっとりと夜霧下りて居り : 六五 きしきしと寒さに踏めば板軋む・ : 七四 汽車の旅とある野中の停車場の・ 汽車の窓はるかに北にふるさとの・ 氣にしたる左の膝の痛みなど・ 氣ぬけして下に立ちぬあららかに・ 昨日まで朝から晩まで張りつめし・ : 奕 : 七ル ・七三

312 氣の變る人に仕へてつくづくと・ 君來るといふに夙く起き白シャツの 君に似し姿を街に見る時の・ 今日逢ひし町の女のどれもどれも・ 今日聞けばかの幸うすきやもめ人・ 興來れば友涙垂れ手を揮りて 敎室の窓より逅げてただ一人 共同の薬屋開き儲けむと・ 京橋の瀧山町の新聞社・ 今日ひょいと山が戀ひしくて山に來ぬ。 今日ひょっと近所の子等と遊びたくなり 今日もまた酒のめるかな ! 酒のめば・ 今日もまた胸に痛みあり。死ぬならば・ 今日よりは我酒など呷らむと 今日は、なぜか、二度も、三度も、金側の 氣弱なる斥候のごとくおそれつつ 霧ふかぎ好阜の原の停車場の・ 銀行の窓の下なる舖石の・ ク 草に臥ておもふことなしわが額に 藥のむことを忘るるを、それとなく、・ 藥のむことを忘れて、ひさしふりに、・ くだらない小説を書きてよろこべる 鄕里にゐて身投げせしことありといふ・ : 一一五邦人の顏たへがたく卑しげに・ クリストを人なりといへば、妹の眼が 軍人になると言ひ出して、父毋に・ ケ ・五ル藝事も顏もかれより優れたる・ けものめく顏あり口をあけたてす・ : 一 0 大原稿紙にでなくては字を書かぬものと、・ コ : 三 0 大公園のかなしみよ君の嫁ぎてより・ 公園の木の間に小鳥あそべるを・ 公園の隅のべンチに二度ばかり 公園のとある木蔭の捨椅子に かうしては居られすと思ひ立ちにしが : 一四ル鮫として玉をあざむく小人も・ 子を負ひて雪の欧き人る停車場に・ 子を叱る、あはれ、この心よ。熱高き・ 見を叱れば、泣いて、寐人りぬ。ロすこし・ ごおと鳴る凩のあと乾きたる こほりたるインクの罎を火に聲し : 一九五 こころさし得ぬ人人のあつまりて こころみにいとけなき日の我となり ・四六 こころよき疲れなるかな息もっかす・ こころよく春のねむりをむさぼれる : 夫 : 九八

313 こころよく人を讃めてみたくなりにけり こころよく我にはたらく仕事あれ・ 心より今日は逃げ去れり病ある 不來方のお城のあとの草に臥て・ こそこその話がやがて高くなり こっこっと空地に石をきざむ昔・ ことさらに燈火を消してまちまちと 事もなく且っこころよく肥えてゆく コニャックの醉ひのあとなるやはらかき・ このごろは母も時時ふるさとの この四五年空を仰ぐといふことが この次の休日に一日寢てみむと・ この日頃ひそかに胸にやどりたる・ 小春日の曇硝子にうつりたる・ こみ合へる電車の隅にちちこまる・ 古文書のなかに見いでしよごれたる・ 小奴といひし女のやはらかき・ 今夜こそ思ふ存分泣いてみむと・ サ さいはての驛に下り立ち雪あかり・ 先んじて慧のあまさとかなしさを 酒のめば鬼のどとくに靑かりし 酒のめば刀をぬきて妻を遼ふ 酒のめば悲しみ一時に湧き來るを・ 札幌にかの秋われの拝てゆぎし・ 「さばかりの事に死ぬるや」「さばかりの さびしきは色にしたしまぬ目のゆゑと 三味線の絃のぎれしを火事のごと・ さらさらと雨落ち來り庭の面の・ さらさらと水の脣が波に鳴る さりげなき高き笑ひが酒とともに さりげなく言ひし言葉はさりげなく・ シ : ・一潮かをる北の濱邊の砂山の・ 〔自が才に身をあやまちし人のこと〕 叱られてわっと泣き出す子供心・ 時雨降るごとき音して木俾ひぬ ちっとして黒はた赤のインク吸ひ ちっとして寐ていらっしゃいと子供にでも・ ちっとして、蜜柑のつゆに染まりたる・ しっとりと酒のかをりにひたりたる しっとりとなみだを吸へる砂の玉 しっとりと水を吸ひたる海綿の ・ : 一三實務には役に立たざるうた人と・ 死にし見の胸に注射の針を刺す・ 死にしとかこの頃聞きぬ戀かたき・ 死にたくてならぬ時ありはばかりに 死にたくはないかと言へばこれ見よと ・・三 0 : 三七 : 大四 O ユ廴プし ・・三へ : 兊 : 究

314 死ぬことを拝薬をのむがごとくにも・ 死ぬばかり我が醉ふをまちていろいろの 死ぬまでに一度會はむと言ひやらば・ 死ね死ねと己を怒りもだしたる 自分より年若き人に半日も・ しみじみと物うち語る友もあれ・ しめらへる煙草を吸へばおほよその 師も友も知らで責めにき謎に似る・ 十月の朝の空氣にあたらしく・ 十月の産病院のしめりたる・ 小學の首席を我と爭ひし・ 正月の四日になりてあの人の・ 小心の役場の書記の氣の狂れし・ しらしらと水かがやき千鳥な しらなみの寄せて騒げる函館の・ 知らぬ家たたき起して遁げ來るが ちりちりと、燭の燃えつくるごとく・ 城址の石に腰掛け禁制の 白ぎ皿拭きては棚に重ねゐる・ 白き蓮沼に朕くごとくかなしみが 眞劍になりて竹もて犬を撃っ 義常のおどけならむやナイフ拝ち・ しんとして幅廣き街の秋の夜の・ ス : 六七 : 充 : 九五 水蒸氣列車の窓に花のごと・ 水品の玉をよろこびもてあそぶ 吸ふごとに鼻がびたりと凍りつく・ すがた見の息のくもりに消されたる・ 過ぎゅける一年のつかれ出しものか、・ すこやかに脊丈のびゆく子を見つつ、 すずしげに飾り立てたる硝子屋の・ すっきりと醉ひのさめたる心地よさよ ! すっぽりと蒲團をかぶり、足をちちめ、・ ストライキ思ひ出でても今は早や・ 砂山の裾によこたはる流木に・ 砂山の砂に腹這ひ初慧の・ するどくも夏の來るを感じつつ 阜れあへる肩のひまよりはつかにも・ セ 寞寞を敵とし友とし雪のなかに・ 宗次郎におかねが泣きて口説き居り・ そうれみろ、あの人も子をこしらへたと、・ そを讀めば愁ひ知るといふ書焚ける・ 底知れぬ謎にむかひてあるごとし・ そことなく蜜柑の皮の燒くるごとき・ その親にも、親の親にも似るなかれ

315 そのかみの愛讀の書よ大方は・ そのかみの學校一のなまけ者・ そのかみの神童の名のかなしさよ その頃は氣もっかざりし假名ちがひの その名さへ忘られし頃融然と その後に我を棄てし友もあのころは・ その膝に枕しつつも我がこころ そのむかし秀才の名の高かりし その昔小學校の柾屋根に・ その昔搖籃に寢てあまたたび・ 蘇峯の書われに薦めし友はやく・ 空色の罎より山羊の乳をつぐ・ 空知川雪に埋れて鳥も見えす・ 空寢入り生広呻などなぜするや・ それとなく里のことなど語り出でて それとなくその由るところ悲しまる、 それもよしこれもよしとてある人の そんならば生命が欲しくないのかと、・ タ 大海にむかひて一人七八日・ 大海のその片隅につらなれる 大といふ字を百あまり砂に書き・ ダイナモの重き唸りのここちよさよ 大木の幹に耳あて小半日・ : さ : 五七 : 大四 ・五大 たひらなる海につかれてそむけたる たへがたぎ渇き覺ゆれど、手をのべて・ : 七五 高きより飛びおりるごとき心もて : 一大高山のいただきに登りなにがなしに 出しぬけの女の笑ひ身に沁みき・ 誰そ我にビストルにても撃てよかし ただひとり泣かまほしさに來て寢たる ただ一人のをとこの子なる我はかく・ たのみつる年の若さを數へみて・ 旅を思ふ夫の心 ! 叱り、泣く 旅七日かへり來ぬればわが窓の 旅の子のふるさとに來て眠るがに・ 田畑も賣りて酒のみほろびゆく・ 誰が見てもとりどころなき男來て 誰がみてもわれをなっかしくなるごとき 誰か我を思ふ存分叱りつくる・ たはむれに母を背負ひてそのあまり・ たんたらたらたんたらたらと雨滴が チ 慧とその深き慈悲とをもちあぐみ・ 近眼にておどけし歌をよみ出でし・ ・三カなく病みし頃より口すこし・ 父のごと秋はいかめし母のごと ・一七茶まで斷ちて、わが平復を祈りたまふ・ : 九 0

316 千代治等も長じて慧し子を擧げぬ・ ちょんちょんととある小藪に類白の ッ つかれたる牛のよだれはたらたらと・ 月に三十圓もあれば、田舍にては・ つくづくと手をながめつつおもひ出でぬ 件なりしかの代議士のロあける・ テ 手を打ちて眠氣の返事きくまでの・ 手が白く且大なりき非凡なる・ 敵として博みし友とやや長く・ 手にためし雪の融くるがここちよく 手套を脆ぐ手ふと休む何やらむ・ 手も足もはなればなれにあるごとき・ 手も足も室いつばいに投げ出して ドア押してひと足出れば、病人の・ とある日に酒をのみたくてならぬごとく 東海の小島の磯の白砂に・ どうか、かうか、今月も無事に暮らしたりと、 どうなりと勝手になれといふごとき くより笛ながながとひびかせて ・大七くより笛の音きこゅうなだれて・ : 一ととかくして家を出づれば日光の 時ありて子供のやうにたはむれす・ 時ありて猫のまねなどして笑ふ・ 時として、あらん限りの聲を出し、・ 時として君を思へば安かりし・ 解けがたき不和のあひだに身を處して、・ ・ : 一 0 ルどこやらに杭打っ普し大桶を 何處やらに澤山の人があらそひて・ 何處やらに若き女の死ぬごとき・ うっとりと ・ : 一七一一年あけてゆるめる心 ! 年ごとに肺病やみの殖えてゆく・ 途中にて乖換の電車なくなりしに・ 途中にてふと氣が變り、つとめ先を・ 十年まへに作りしといふ漢詩を ・ : 一大五 戸の面には根突く音す。笑ふ聲す。 ・旨友がみなわれよりえらく見ゆる日よ・ 友として遊ぶものなき性惡の 友はみな或日四方に散り行きぬ 友も、妻も、かなしと思ふらしーーー病みても猶、・ ・三五友よさは乞食の卑しさ厭ふなかれ・ 友われに飯を與へきその友に・ 取りいでし去年の袷のなっかしき・ とるに足らぬ男と思へと言ふどとく どんよりとくもれる空を見てゐしに : 三 0 四 : ル四 : 九七

317 ナ 長ぎ友三年のうちに三度來ぬ 長く長く忘れし友に會ふごとき・ 長月も半ばになりぬいつまでか 汝が痩せしからだはすべて謀叛氣の・ 泣くがごと首ふるはせて手の相を 亡くなれる師がその昔たまひたる・ 毆らむといふにれとつめよせし・ 何故かうかとなさけなくなり、弓、、い 夷らかに麥の靑める丘の根の・ なっかしき故鄕にかへる思ひあり、・ なっかしき各の朝かな。湯をのめば、・ 夏來ればうがひ薬の病ある 夏休み果ててそのまま歸り來ぬ 何思ひけむーー玩其をすてて、おとなしく、・ 何、 力、かう、書いてみたくなりて、。ヘンを取りぬー 何がなく初戀人のおくつきに 〔何がなしに頭のなかに崖ありて〕・ 何がなしに息ぎれるまで驅け出して 何がなしにさびしくなれば出てあるく・ 何がなしに肺が小さくなれる如く 何か一つ大いなる惡事しておいて、・ 何か一つ騷ぎを起してみたかりし、・ 何かひとっ不思蟻を示し人みなの・ 何事か今我つぶやけり。かく思ひ、 何事も思ふことなくいそがしく 何事も思ふことなく日一日 何事も金金とわらひすこし經て ・全何すれば此處に我ありや時にかく・ 何となく、 案外に多き氣もせらる、・ 何となく汽車に乘りたく思ひしのみ ・大三何となく自分をえらい人のやうに 何もかもいやになりゆくこの氣拝よ。 何もかも行末の事みゆるごとき・ 何やらむ穩かならぬ目付して : 一奕名のみ知りて縁もゆかりもなき土地の なみだなみだ不思議なるかなそれをもて 波もなき二月の灣に白塗の 五四汝三度この咽喉に劍を擬したりと・ 名は何と言ひけむ。﨡は鈴木なりき。・ : 一一 0 一一何となく明日はよき事あるごとく : 一交何となく、今朝は少しくわが心・ 何となく、今年はよい事あるごとし。 何となく、自分を嘘のかたまりの : 三呈 にぎはしき若き女の集會の・ 西風に内丸大路のさくらの葉・ 庭石にはたと時計をなげうてる ・ : 一大四 : 四大 : 五五 : 四四

318 庭のそとを白き犬ゆけり。ふりむきて、 人間のその最大のかなしみが・ 人間のつかはぬ言葉ひょっとして 盗むてふことさへ惡しと思ひえぬ・ 猫を飼はば、その猫がまた爭ひの 猫の耳を引っぱりてみて、にやと啼けば、 : 寐つつ讀む本の重さにつかれたる・ 眠られぬのかなしさよ ! すこしで 咽喉がかわき、まだ起ぎてゐる果物屋を・ 乘合の砲兵士官の劍の鞘・ 肺を病む極道地主の總領の・ 函館の靑柳町こそかなしけれ・ 函館の臥牛の山の半腹の・ 函館のかの燒跡を去りし夜の・ 函館の床屋の弟子をおひ出でぬ・ 箸止めてふっと思ひぬゃうやくに はづれまで一度ゆきたしと思ひゐし・ はたはたと黍の葉鳴れるふるさとの はたらけどはたらけど猶わが生活・ 八年前の今のわが妻の手紙の束、 はてもなく砂うちつづく女壁の野に はても見えぬ眞直の街をあゆむごとき・ ・四三話しかけて返事のなきによくみれば・ 放たれし女のどときかなしみを・ 放たれし女のごとく、わが妻の、 ・ : 一一 0 四花散ればまづ人さきに白の服・ 島の松のなみ木の街道を・ 腹すこし痛み出でしをしのびつつ 腹の底より欠伸もよほしながながと 春の街見よげに書ける女名の 春の雪銀座の裏の三階の・ 春の雪みだれて降るを熱のある・ : ・一 0 八馬鈴薯のうす紫の花に降る 馬鈴薯の花朕く頃となれりけり・ 晴れし空仰げばいつも口笛を・ 睛れし日のかなしみの一つ ! 病室の 晴れし日の公園に來てあゆみつつ 火をしたふ蟲のごとくにともしびの ひさしぶりに公園に來て友に會ひ ひさしふりに、ふと聲を出して笑ひてみぬ ・九三 プしノしプく ノヾユこプし : 八ル : 四大 : 四四 : 五四 ・五八 ・ : き三

319 引越しの朝の足もとに落ちてゐぬ、・ びっしよりと盗汗出てゐるあけがたの・ ひでり雨さらさら落ちて前栽の 人ありて電車のなかに唾を吐く・ 人がいふ鬢みほっれのめでたさを・ 人がみな同じ方角に向いて行く・ ひと塊の土に涎し泣く母の・ 人氣なぎ夜の事務室にけたたましく・ 人ごみの中をわけ來るわが友の・ ひとしきり靜かになれるゆふぐれの 人といふ人のこころに一人づっ ひとところ、疊を見つめてありし間の 人とともに事をはかるに適せざる 人並の才に過ぎざるわが友の・ ひとならび泳げるごとき家家の ひと晩にかせてみむと、梅の鉢を・ 人ひとり得るに過ぎざる事をもて・ 人みなが家を持ってふかなしみよ・ ひと夜さに嵐來りて築きたる・ 皮膚がみな耳にてありきしんとして 非凡なる人のどとくにふるまへる 百﨡の多くは酒をやめしといふ。・ ひやひやと夜は藥の香のにほふ・ ひややかに淸き大理石に春の日の・ ひややかに罎のならべる棚の前・ : 一大病院に人りて初めての夜といふに・ 病院に來て、妻や子をいつくしむ・ 病院の窓によりつつ、いろいろの ・八三 病院の窓のゆふべのほの白き・ 剽輕の性なりし友の死顏の・ : 一七 0 病室の窓にもたれて、久しぶりに・ 憲然と家を出でては融然と・ 氷嚢の下よりまなこを光らせて、 氷嚢のとけて温めば、おのづから・ 漂泊の愁ひを敍して成らざりし・ ・ : 一三五 平手もて吹雪にぬれし顏を拭く・ ひる寐せし兒の枕邊に人形を・ フ ふがひなきわが日の本の女等を・ ふくれたる腹を撫でつつ、病院の・ : 八五藤沢といふ代議士を弟の・ 二晩おきに夜の一時頃に切通の・ 二三こゑいまはのきはに微かにも 二日前に山の繪見しが今朝になりて・ ふと思ふふるさとにゐて日毎聽きし ふと深き怖れを覺えちっとして・ ふと見ればとある林の停車場の 船に醉ひてやさしくなれるいもうとの ふるさとを出て來し子等の相會ひて・ : ・一七五 : 突 : 三 0 七 : 大四

320 ふるさとを出でて五年、病をえて、・ ふるさとに入りて先づ心傷むかな・ ふるさとのかの路傍のすて石よ・ ふるさとの空遠みかも高き屋に・ ふるさとの村醫の妻のつつましき・ ふるさとの父の咳する度に斯く ふるさとの土をわが踏めば何がなしに・ ふるさとの停車場路の川ばたの ふるさとの寺の珥のひばの木の ふるさとの寺の御廊に踏みにける・ ふるさとの訛なっかし停車場の・ ふるさとの麥のかをりを懷かしむ・ ふるさとの山に向ひて言ふことなし 古新聞 ! おやここにおれの歌の事を・ 古手紙よ ! あの男とも、五年前は、・ 〔解剖せし蚯蚓のいのちもかなしかり〕・ へ へつらひを聞けば腹立つわがこころ 燈影なき室に我あり父と母・ ほそぼそと其處ら此處らに蟲の鳴く・ ほたる狩川にゆかむといふ我を ほとばしる喞筒の水の心地よさよ・ : ・一九一一類にったふなみだのごはす一握の・ ほのかなる朽木の香りそがなかの ・大三類の寒き流離の旅の人として・ : 七八 ポロオヂンといふ露西亞名が、何故ともなく、・ 本を買ひたし、本を買ひたしと、あてつけの・ ぼんやりとした悲しみが、夜となれば、・ : 七四 マ : 七五 : ・一九三舞へといへば立ちて舞ひにきおのづから・ 卷煙草口にくはヘて浪あらき・ まくら辺に子を坐らせて、まじまじと・ : 九五 枕辺の障子あけさせて、空を見る・ : 七五 負けたるも我にてありきあらそひの 眞白なる大根の根の肥ゆる頃・ 眞白なるラムプの笠に手をあてて・ ・契眞白なるラム。フの笠の瑕のごと マチ擦れば二尺ばかりの明るさの・ 松の風夜晝ひびぎぬ人訪はぬ・ ・一三待てど、待てど、來る筈の人の來ぬ日なりき、・ 窓硝子塵と雨とに曇りたる・ 眞夜中にふと目がさめてわけもなく・ 眞夜中に供知安驛に下りゆきし・ 眞夜中の出窓に出でて、欄干の まれにあるこの平なる心には ・ : 一 0 三 : ・一五四 : ・一大四 : 犬

321 大潦暮れゆく空とくれなゐの 水のどと身體をひたすかなしみに みすぼらしき鄕里の新聞ひろげつつ、 みそれ降る石狩の野の汽車に讀みし 三度ほど汽車の窓よりながめたる・ 路傍に大ながながと呻しぬ 路傍の切石の上に腕拱みて 見てをれば時計とまれり吸はるるごと 港町とろろと鳴きて輪を描く 見もしらぬ女敎師がそのかみの 脉をとる者護婦の手のあたたかぎ日あり・ 脈をとる手のふるひこそかなしけれ 風流男は今も昔も泡雪の 見よげなる年賀の文を書く人と ム 六年ほど日毎日毎にかぶりたる・ 胸いたみ、春の霙の降る日なり。・ 胸いたむ日のかなしみも、かをりよき むやむやとロの中にてたふとげの むらさきの袖垂れて空を見上げゐる・ 目をとちて口笛かすかに吹きてみぬ 目を閉ちて傷心の旬を誦してゐし 眼を病みて黒き眼鏡をかけし頃・ 目を病める若き女の倚りかかる 目さまして直ぐの心よ ! 年よりの 目さまして猶起き出でぬ兒のは 目さましてややありて耳に入り來る 目さませば、からだ痛くて動かれす。・ 珍らしく、今日は、議會を罵りつつ 眼閉づれど心にうかふ何もなし。 目になれし山にはあれど秋くれば 目の前の菓子皿などをかりかりと もうをいはじと思ひきーーーそれは今朝 もうお前の心底をよく見届けたと、 若しあらば煙草惠めと寄りて來る 物怨するそのやはらかき上目をば ものなべてうらはかなげに暮れゆきぬ 百年の長き眠りの覺めしごと 盛岡の中學校の・ ( ルコンの 九七森の奥遽きひびきす木のうろに 森の奥より銃聲聞ゅあはれあはれ ャ : 七四 さ : 七ル : 一五四 ・五八 : 一七五

322 やとばかり桂首相に手とられし やまひある獸のごときわがこころ やまひえす、死なず、日毎にこころのみ 病のごと思鄕のこころ湧く日なり 山の子の山を思ふがどとくにも やみがたき用を忘れ來ぬーーー途中にて 病みてあれば心も弱るらむ ! さまざまの 病みて四月ーーーそのとぎどきに變りたる 病みて四月ーーその間にも、猶、目に見えて 病むと聞きえしと聞きて四百里の やや遠きものに思ひしテロリストの やや長きキスを交して別れ來し やはらかに積れる雪に熱てる類を やはらかに柳あをめる北上の ュ ゅゑもなく海が見たくて海に來ぬ ゅゑもなく憎みし友といっしかに 雪のなか處處に屋根見えて煙突の 夢さめてふっと悲しむわが眠り ゆるぎ出づる汽車の窓より人先に ョ 夜明けまであそびてくらす場所が欲し 醉ひてわがうつむく時も水ほしと 用もなき文など長く書ぎさして よく怒る人にてありしわが父の : 一一実よく此る師ありき髯の似たるより : 五 0 よく笑ふ若き男の死にたらば よごれたる足袋穿く時の氣味わるき よごれたる手を洗ひし時のかすかなる よごれたる手を見るーーちゃうどこの頃の よごれたる煉瓦の壁に降りて融け 世におこなひがたぎ事のみ考へる 世の中の明るさのみを吸ふごとぎ・ : 一突夜の二時の窓の硝子をうす紅く 世のはじめまづ森ありて半神の よりそひて深夜の雪の中に立っ 夜おそくっとめ先よりかへり來て 夜おそく停車場に入り立ち坐り 夜おそく戸を繰りをれば白きもの 夜おそく何やらの室の騷がしきは : 一四五夜寢ても口ふえ吹きぬロ笛は 世わたりの拙きことをひそかにも : 六 0 : 一九 0 龍のごとくむなしき空に躍り出でて ロ 浪物沙ながくも聲をふるはせて : 発 : 一大七

323 「勞働者」「革命」などといふ言葉を ワ といふ符牒古日記の處處にあり わがあとを追ひ來て知れる人もなき わが抱く思想はすべて金なきに わが從兄野山の獵に砲ぎし後 わが思ふことおほかたは正しかり 若くして數人の父となりし友 わがををはじめて友にうち明けし わがこころけふもひそかに泣かむとす わが去れる後の噂をおもひやる・ わがためになやめる魂をしづめよと わが妻に着物縫はせし友ありし わが妻のむかしの願ひ音樂の わが友は今日も母なき子を員ひて わが泣くを少女等きかば病大の わが爲さむこと世に盡きて長き日を わが庭の白き躑躅を薄月の わが髭の下向く癖がいぎどほろし わが室に女泣きしを小説の わが村に初めてイエス・クリストの わが宿のと妺のいさかひに わが病のその因るところ深く且っ わが醉ひに心いためてうたはざる : 一七五 ・四五 ・五九 : 一 0 四 : 一五四 ・七三 わかれをれば妹いとしも赤き緒の わかれ來て燈火小暗き夜の汽車の わかれ來て年を重ねて年ごとに わかれ來てふと瞬けばゆくりなく 忘られぬ顏なりしかな今日街に 忘れをればひょっとした事が思ひ出の 忘れ來し煙草を思ふゆけどゆけど 笑ふにも笑はれざりきーー長いこと われ饑ゑてある日に細き尾を掉りて 我と共に喫毛の仔馬走らせし われと共に小鳥に石を投げて遊ぶ 我に似し友の二人よ一人は死に 我ゆきて手をとれば泣きてしづまりき・ ・八四 : 七 0

奥付

たくばくかしゅう 啄木歌集 1946 年 6 月 20 日 1957 年 8 月 6 1991 年 5 月 15 日 日 第 1 刷発行 第 20 刷改版発行◎ 第 63 刷発行 いし 発行者安 作者石 かわ 川 江 啄 良 木 介 〒 10 ト 02 東京都千代田区ーツ橋 2 ー 5 ー 5 発行所岩波書店 電話 03-3265 ー 4111 ( 案内 ) 定価はカバーに表示してあります 印刷・精興社 製本・桂川製本 落丁本・乱丁本はお取替いたします Printed in Japan ISBN 4 ー 00 ー 310541 ー 9

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三四郎夏目漱石筆まかせ抄則子雄 《現代日本文学》 怪談牡丹燈籠三遊亭円朝それから夏目漱・石歌よみに与ふる書正岡子規 現 ウイタ・セクスアリス森外彼山序過迄夏目漱石俳諧大要正岡子規 夏目漱石墨汁一滴正岡子規 青 年森外 人夏目漱石病牀六尺正岡子規 森鷸外一何 雁 ころ夏目漱石☆仰臥漫録正岡子規 阿部一族他一朝森鷸外こ 山椒大夫 草夏目漱石子規歌集土屋文明編 他四篇森外一廻 高瀬舟 舞 姫 他三篇森外思い出す事など他七篇夏目漱石五重塔幸田露伴 うたかたの記 雲二葉亭四迷硝子戸の中夏目漱石幻談・観画談他三篇幸田露伴 浮 暗夏目漱石北村透谷選集勝本清一郎校訂 野菊の墓他四篇伊藤左千夫明 吾輩は猫である夏目漱石文学評論夏目漱石小説不如帰徳冨蘆花 全二冊 倫敦塔 他五篇夏目漱石漱石文明論集三好行雄編自然と人生徳冨蘆花 幻影の盾 坊っちゃん夏目漱石漱石文芸論集磯田光一編滝ロ入道高山樗牛 夢十夜他二篇夏目漱石漱石日記平岡敏夫編晩翠詩抄土井晩翠 草 枕夏目漱石漱石書簡集三好行雄編武蔵野国木田独歩 れ徳田秋声 虞美人草夏目漱石漱石俳句集坪内稔典編あらく ☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔判、並製・カバー〕もあります

☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔判、並製・カバー〕もあります 蒲団・一兵卒田山花袋春昼・春昼後刻泉鏡花おかめ笹永井荷風 田舎教師田山花袋鏡花短篇集川村二郎編っゅのあとさき永井荷風 在 現 すみだ ー他一篇永井荷風 東京の三十年田山花袋日本橋泉鏡花 新橋夜話 俳句・はかく - 解しかく にごりえ・たけくらべ樋口一葉 高浜虚子雨瀟瀟・雪解他七篇永井荷風 味う 大つごもり 山内義雄訳摘録断腸亭日乗永井荷風 他五篇樋口一葉上田敏全訳詩集矢野峰人 全二冊磯田光一編 カインの末裔 荷風随筆集野口冨士男編 有島武郎 藤村詩抄島崎藤村自選 クララの出家 全二冊 小さき者へ 長塚節 有島武郎土 破 ~ 双島崎藤村 生まれいずる悩み 春 高村光太郎詩集高村光太郎 島崎藤村借みなく愛は奪う有島武郎 ・光斎藤茂吉 千曲川のスケッチ島崎藤村一房の葡萄他四篇有島武郎赤 夜明け前島崎藤村寺田寅彦随筆集小宮豊隆編斎藤茂吉歌集齟生田稔編 全五冊 全四冊 佐藤佐太郎 阿川弘之 編 藤村文明論集 + 川信介編元禄忠臣蔵真山青果斎藤茂吉随筆集 杜夫 全二冊 藤村随筆集 + 川信介編与謝野晶子歌集与謝野品子自選 小僧の神様他 + 篇志賀直哉 志賀直哉 高野聖・眉かくしの霊泉鏡花与謝野晶子評論集鹿野政直編大津順吉・和解 歌行燈泉鏡花鏑木清方随筆集山田肇編暗夜行路志賀直哉 ー東京の四季 全二冊 海神丸野上弥生子 夜叉ケ池・天守物語泉鏡花随筆集明治の東京山田肇編 路野上弥生子 草迷宮泉鏡花腕くらべ永井荷風迷 全二冊

谷崎潤一郎宮沢賢治詩集谷川徹三編 友 情武者小路実篤卍 ( まんじ ) 宮沢賢治庫 白秋抒情詩集北原白秋谷崎潤一郎随筆集篠田一士編童話集風の又三郎他 + 八第 谷川徹三編在 宮沢賢治現 銀の匙中勘助小出楢重随筆集芳賀徹編童話集銀河鉄道の夜四第 谷川徹三編 鳥の物語中勘助竹沢先生という人長与善郎古句を観る柴田宵曲 菩提樹の蔭他一一篇中勘助或る少女の死まで他二第室生犀星俳諧随筆蕉門の人々柴田宵曲 他一篇中勘助室生犀星詩集室生犀星自選ゼーロン・淡雪他 + 一篇牧野信一 日 輪 他八篇横光利一 提婆達多中勘助出家とその弟子倉田百三 春は馬車に乗って 中勘助随筆集渡辺外喜三郎編苦の世界宇野浩二山椒魚・遙拝隊長他七篇井伏鱒二 釣り井伏鱒二 蜜蜂・余生中勘助羅生門・鼻・芋粥・偸盗芥川竜之介 伊豆の踊り子 地獄変・邪宗門・好 芥川竜之介 端康成 若山牧水歌集若山喜志子選 色・藪の中他七篇 温泉宿他四篇 蜘蛛の糸・杜子春・ 国川端康成 芥川竜之介雪 啄木歌集石川啄木 トロッコ 他十七篇 時代閉塞の現状 大導寺信輔の半生 端康成 他十篇石 啄木 他十一朝芥川竜之介 , 山の立日 手巾・湖南の扇 食うべき詩 桑原武夫 選 童他一一篇芥川竜之介三好達治詩集 萩原朔太郎詩集三好達治選河 大槻鉄男 郷愁の詩人与謝蕪村萩原朔太郎侏儒の言葉芥川竜之介三好達治随筆集中野孝次編 谷崎潤一郎 蓼喰う虫 歯 車他一一篇芥川竜之介詩を読む人のために三好達治 出楢重画 吉野葛・蘆刈谷崎潤一郎 冥途・旅順入城式内田百閒中谷宇吉郎随筆集樋口敬二編 ☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔判、並製・カバー〕もあります

編 日大・唱歌隹木堀内敬三 ・冬の日他九篇梶井基次郎 熊秀雄詩集岩田宏編日本童謡集与田準一編 蟹工船小林多喜二 旧聞日本橋長谷川時雨 風立ちぬ・美しい村堀辰雄 みそっかす幸田文 近代日本人の発想の 伊藤整 他四篇 諸形式 小説集夏の花原民喜 伊東静雄詩集杉本秀太郎編 中原中也詩集大岡昇平編 富嶽百景 他八篇太宰治 走れメロス 陽他一篇太宰治 人間失格 他一篇太宰治 グッド・ 野火・ハムレット日記大岡昇平 立原道造詩集杉浦明平編 青年の環野間宏 全五冊 ' 91 , 1. 現在在庫 B-4

井原西鶴 千載和歌集久保田淳校注好色一代男 《日本文学古典》 横山重校訂 古事記倉野憲司校注新訂山家集佐佐木信綱校訂好色五人女井原西鶴庫 万葉集佐佐木信綱編新訂新古今和歌集佐佐木信綱校訂好色一代女井原西鶴現 全二冊 井原西鶴 斎部広成撰 新訂方丈記市古貞次校注日本永代蔵 古語拾遺 東明雅校訂 西宮一民校注 曾根崎心中 近松門左衛門 竹取物語阪倉篤義校訂金槐和歌集斎藤茂吉校訂 祐田善雄校注 冥途の飛脚他五篇 久松潜一校注 ~ 無村俳・句一隹尾形仂校注 伊勢物語大津有一校注建礼門院右京大夫集 久保田淳 ー付「春風馬堤曲」他一一篇 うひ山ふみ本居宣長 西尾実 古今和歌集佐伯梅友校注新訂徒然草 安良岡康作 鈴屋答問録村岡典嗣校訂 日鈴木牧之 越雪 土左日記紀之新訂閑吟集浅野建二校注 : ロ岡田武松校訂 枕草子池田亀鑑校訂御伽草子市古貞次校注東海道中膝栗毛 + 返舎一九 全二冊 和泉式部集 清水文雄校注王朝秀歌選樋口芳麻呂校注新訂一茶俳句集丸山一彦校注 和泉式部続集 和泉式部日記清水文雄校注王朝物語秀歌選樋口芳麻呂校注山家鳥虫歌浅野建二校注 ー近世諸国民謡集 全二冊 源氏物語 = 。山岸徳平校注芭蕉紀行文集中村俊定校注南総里見八犬伝亭碼琴 全六冊 紫式部日記池田亀鑑 校注芭蕉おくのほそ道萩原恭男校注元禄期軽ロ本集武藤禎夫校注 ー近世笑話集 ( 上 ) 更級日記西下経一校注芭蕉俳句集中村俊定校注安永期小咄本集武藤禎夫校注 ー近世笑話集 ( 中 ) 鏡松村博司校注芭蕉七部集中村俊定校注化政期落語本集武藤禎夫校注 大 ー近世笑話集 ( 下 ) 新訂梁塵秘抄佐佐木信綱校訂芭蕉書簡集萩原恭男校注江戸怪談集高田衛編・校注 全三冊 ☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔判、並製・カバー〕もあります

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飯田泰三 編南無阿弥陀仏付心偈柳宗悦忘れられた日本人宮本常一 長谷川如是閑評論集 山領健二 ロ河上肇 貧乏物 柳宗悦民藝紀行水尾比呂志編家郷の訓宮本常一 二ロ大内兵衛解題 在 現 河上肇評論集杉原四郎編柳宗悦茶道論集熊倉功夫編 そう 古代国語の音韻に就 橋本進吉歌集形 相南原繁 他二篇 菊栄 石橋湛山評論集松尾尊兊編武家の女性山 菊栄 湛山回想石橋湛山わが住む村山 臨済・荘子前田利鎌山川菊栄評論集鈴木裕子編 酒の肴・抱樽酒話青木正児林達夫評論集中川久定編 華国風味青木正児女工哀史細井和喜蔵 君たちはどう生きるか吉野源三郎 日本の民家今和次郎 「いき」の構造他一一篇九鬼周造阮籍の詩」について吉川幸次郎 ー付・阮籍伝 中国文学における 斯波六郎 丐↑和辻哲郎 古寺巡し 孤独感 風 土和辻哲郎暗黒日記清沢洌 ー一九四一一 ~ 一九四五 「きけわだつみのこえ 日本戦没学生記念会編 子和辻哲良 ー日本戦没学生の手記 日本戦没学生記念会編 民一四事ー年柳宗悦第 = 集きけわだつみのこえ 手仕事の日本柳宗悦原爆の子長田新編 ー広島の少年少女のうったえ全二冊 ☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔判、並製・カバー〕もあります

「一身独立して一国独立す。は、福沢の基本理念である。その一身 ~ 山住正己編 を独立させるために生涯を捧げた彼の教育論を、えらび収める。 福沢諭吉教育論集 〔青一〇一下四〕定価五七〇円四 ささやかな喜びを糧に生きる平凡な小学校教師の人生をユーモアと・ ジャン・パウル作 / 岩田行一訳 アイロニーたつぶりの筆致で描く。併収「シュメルツレの大用心」。 陽気なヴツツ先生他一篇 〔赤四五八ー一〕定価四六〇円一 どこから読んでも面臼く、当時の高級旗本から下層の庶民までの生 新根岸鎮衛著 / 長谷川強校注 き方・考え方がよくわかる江戸の世間話集。巻四ー巻七を収録。 ( 全一 最耳嚢 ( みみぶくろ ) 用 三冊 ) ー一 l) 定価七七〇円 〔黄一一六一 庫 幸福の穫得はいかにして可能か。たくましく、しなやかに生きるた一 文安藤貞雄訳 波 一フッセル ~ 辛倡ム刪め 0 知恵が、こ 0 幸福 0 処方箋にはた「ふリと書き込まれて」る。 岩 : 今月の重版再開・ 一ポール・ヴァレリー著 / 山田九朗訳定価五ニ〇円ベーコン著 / 桂寿一訳 定価五ニ〇円一 レオナルド・ダ・ヴィンチの方法〔赤五六 9 二〕ノヴム・オルガヌム ( 新機関 ) 〔青六一七三〕 小林登美枝・米田佐代子編 定価六ニ〇円マックス・ウーバー著 / 林道義訳定価三一 0 円 平塚らいてう評論集〔青一七ニ・一〕理解社会学のカテゴリー