日本現代文學全集・講談社版 31 小杉天外 木下尚江 上司小劍集

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目次 社區幻 小杉天外の思い出 : ・ : : : 三澤嶽郎 ・ : 八田元夫 火の柱の思い出 : 淺井洌と木下尚江 : : : : 山田貞光報談 都 上司小劍先生のこと : : ・安部宙之介 京 ・幅田淸人 小劍。天外斷想 月講東音 題字・谷崎潤一郞 食、夜は、ひとり書齋にこもって、心の向くままに讀書か書き物を しているようであった。いっさいの食事はかう夫人ご自慢の手料理 で、とくにオムレツ・ビフテキ・さしみは們父の好物であった。彼 は、夕食につけられる一合の酒を樂しみに、朝から食事や運動の量 三澤嶽郎 に細心の注意を拂っていた。散歩のコースは、・ハスのほこりを避け 小杉天外は母方の旧父である。大正生まれの私が彼を身近の人とて、たいてい八幡宮の境内であった。件はふだんは母であった して意識するようになったのは、天外宅が芝白金にあった頃からが、私が遊びにゆくと何時もより遠くまで杖をひいた。 である。經質で何となくこわい人というイメ 1 ジが、子供心に植晩年の天外を襲った最大の悲慘事は、昭和二十三年に一人娘の文 えつけられていた。中學生の頃、成績簿に保證人の印をもらうため子に先立たれたことである。なきがらの枕元で、彼は「親孝行な子 學期の終りごとに訪ねると、書齋に通されて、「君はね : : : 」とかだった」と言いながら聲をあげて泣いた。その傷心の様子は、まこ みしめるような口調のお説敎を、鼻眼鏡の伯父からきかされるのがとに痛々しかった。當時私に書いてくれた一枚の色紙には、「香烟 常であった。また、菓子を食べるこちらの一擧一動を、「ふんふん」は長袴曳き蝶を追い保名舞い舞い軒からえる」とある。華かであ となにか感心しながら、じっと眺めていられるのには閉ロしたものった頃の愛娘の舞姿を、香煙のなかに追い求めていたのであろう。 である。 しかし、天外は、悲しみのなかにも、自我をつよく主張する持ち 天外は、昭和十年頃から鎌倉雪の下に住み、靜かに老後を樂しむ前の氣質を失わなかった。娘の遺骨が火葬場から戻った時、彼は祭 ようになった。彼は、年をとるにしたがい圓味ができて、近付き易壇の配置をあれこれと指圖していたが、突然「どうも眼障りでいか い人となった。身寄りに若い世代が少ないこともあって、晩年にはん」と言って、十字架をどけさせようとした。文子は、若い頃か ら、熱心なカトリックの信者であった。天外も日頃それを十分に承 私たち夫婦の言うことにもよく耳を傾けた。 鎌倉に安住するようになってからの伯父の生活は、毎日規則正し知し、また奪重していた。が、毎朝佛前に淨土を祈願することを缺 あれい い日課の繰返しであった。寢室での冷水摩擦、亞鈴體操、佛間におかさなかった彼には、祭壇の中央に据えられた十字架がどうしても ける靜座、朝の散歩、朝食、讀書、晝食、午後の散歩、そしてタ納得できなかったに相違ない。鎌倉のカトリック敎會で葬儀が滯り ホ袋學公專 小杉天外の思い出

小杉天外集目次 卷頭寫眞 はやり隕 伊豆の賴朝 作品解説・ 小杉天外人門 一 1 = ロ 參考文獻 : : ・稻垣逹郞四三 : 瀬沼茂樹四一一一 : 四元 : 四四四

木下嗇江集目次 卷頭寫眞 火の柱・ 革命の序幕・ 作品解説 : 木下尚江人門 參考文獻・ 薹ロ ・ : 稻垣逹郞四一五 ・ : 瀬沼茂樹四一一三 ・四三四

上司小劍集目次 灰燼・ 鱧の皮・ 太政官・ 新聞年代記・ 卷頭寫眞 筆蹟 1 、 作品解説・ 上司小劍人門 : 年譜・ 參考文獻・ ・稻垣逹郞四一五 : 瀬沼茂樹四一一六 ・四四六

奥付

日本現代文學全集 小杉天外・木下尚江・上司小僉リ集 整郎夫謙吉 伊龜中平山 昭和 43 年 3 月 10 日印刷 昭和 43 年 3 月 19 日發行 定價 6()0 圓 0 KODANSHA 1968 こ すぎ がい てん 天 小 杉 きの した なお 著 者 江 下 尚 木 けん かみ つかさ しよう 上 司 小 野 間 省 者 行 發 衞 北 島 織 者 印 刷 所 株式會社講談社 行 發 東京都文京區音羽 2 ー 12-21 電話東京 ( 942 ) 1111 ( 大代表 ) 振替東京 3 9 3 0 大口本印刷株式含社 刷 印 寫 眞 製 株式會社興陽社 印 版 本 製 株式會瓧大進堂 函 株式會社岡山紙器所 製 背 皮 株式會社石 井 表紙クロス 日本クロス工業株式會社 ロ繪用紙 日本加工製紙株式會社 本文用紙 本州製紙株式會社 函貼用紙 安倍川工業株式會社 三菱製紙株式會社 見返し用紙 扉用紙 神崎製紙様式會社 落丁本・亂丁本はお取り替えいたします今