目次 恩師ケーベル先生・ : : ・久味 : 佃實夫 モラエスの眼 : : ・山室 タゴール雜想 : ジョン・ハ・ーシーの ヒロシマとその後 : ・ : 谷本 小泉八雲のよろしさ あわせて二葉亭・ケーベル・太宰 月 田切秀雄 題字・谷崎潤一郞 た印象は、既に圓熟淨化しきった人格者という感じであったが、また 恩師ケーベル先生 先生の聽講者でない學生の多數にとっても、敬慕の的になっていた。 久保勉 極めて義務に忠實であり、何事も決して疎かにしない先生は、講 ケーベル先生が他界せられてから、早くも四十六年の歳月が流れ義の準備もずいぶん良心的であったが、餘り得意でない英語 ( 大學 。今日では直接先生の謦咳に接した人はもう極めて少なくなっとの契約に從って ) の草稿によられた。その英語は、言い廻しも、 た。それにも拘らず先生の氣高い人格を深く敬慕する人は今なお案發音も ( アグリーをウグリーと、ネー・ハルをナー・ハルと發音すると 外多いのである。それらの人は、先生の人柄と風格の如實の表現でいう風に ) ドイツ語流で、かなり變にひびいたものであるが、英米 あるケーベル博士小品集三卷の愛讀者なのである。 人の正しい發音よりも、却って聽きとり易かったのである。 學問や文藝の上で我々が先生から學びとったものは各人各様であケーベル先生の私生活は、衣食住とも隨分古風なものであったの ったが、とにかく我々は皆先生によって、學問研究の根本的態度をみならず、極めて簡素で、寸毫の贅澤をも許されなかった。それは 敎えられたが、更に重要なのは、眞の敎養の何たるやと、眞正の人西洋人の同僚たちの目には恐らく野暮と映ったに違いない。家の中 間とはどういうものかを、單に言葉によってではなく、身を以て示を見ると、床に絨毯が敷かれているのでもなく、食堂の四壁に多く されたことである。ところがこのような人格ないし個性の本質と心の大音樂家の額がか又っている以外は、どこにも裝飾らしいものは 情の機微を窺知することは不可能と思われる。凡そ個性は究明し得なく、ピアノその他の家具什器も實に質素そのものであった。服も ないものだからである。 必要以外は、勸めても容易に新調せられなかった。ところが一方あ それで私は、十數年に亙る共同生活の間に積んだ體驗から「先生れほど惜しみなく且っ快く金品を與える人も珍しい。例えば、たゞ の人格の顯現である生活態度や折にふれての言行の一端を述べて、敎え子だけではなく、困っている學生があると聞くと、仲介者を通 その人柄を偲びたいと思う。私が初めて先生に接したのは、その講して數年間も學資の補助をしてやったことも少なくなかった。また 義を聽き、その後間もなく友人と一緖にタ食に招かれた時である私逹はクリスマスによく書物を頂いたものであるが、中には萬年筆 が、それは先生がちょうど六十の坂をこえた頃であった。その時そ ( 古風な先生は自分は決して使われなかったが ) とか、時計を買っ の品位ある風貌と、温雅な態度と悠揚迫らざる擧止とから私の受けて貰った者もあった。たゞ食生活だけは、豐かというほどではなく 東京都文京區 音羽 2 ー 12 ー 21
外國人文學集目次 卷頭寫眞 藤野先生 : 「小さき者へ」・ : 同志小林の死を聞いて : ラファエル・ フォン・ケーベル 余の觀たる日本・ 余の學生に曰 余の學生に : 余の學生に国 : 思出の爲に : ピエール・ロティ お菊さん :
ラビーンドラ・ナート・タコール 日本の精神 : ヴェンセスラオ・デ・モ一フェス 德島の盆踊抄 德島のつれづれ : おヨネと小春抄 おヨネだらうか ? 小春だらうか : 正午の號砲 ( またも小春 ) : わが追慕の庭で : ・ : 一九四 ・一七 0 ・一八四 ・一九 0 ポール・クローデル 女とその影 : 江戸城内濠に寄せて : エドマンド・プ一フンデン 日本遍路 : ジョン ノ ヒロシマ抄 詳細は目下調査中 :
泉八雲 怪談抄 耳なし芳一の話 : 鏡と鐘の話 : 食人鬼 : ろくろ首 : 雪おんな : 靑柳ものがたり : 安藝之介の夢 : : 一一九四 影抄 和解 : 衝立の娘 : 辨天様のおなさけ : 鮫人の恩返し : 人生と文學抄 文學と世論・ 讀書論・ 創作論・ 生活及び性格の文學との關係 : : 一一三七
知られざる日本の面影抄 私の極東第一日・ 狐 : 日本人の微笑 : ・ 神國日本その他 風變りなものとその魅力 : 天の川のロマンス : 餓鬼 : : 三四九 : 三七四 : 四 8 作品解説 : 外國人文學人門 年譜 : 參考文獻 : ・ : 伊藤整四 0 四 ・ : 太田三郎四一一 ・・四四三
日本現代文學全集 15 外國人文學集 昭和 44 年 3 月川日印刷 昭和 44 年 3 月 19 日發行 定價 600 圓 0 KODANSHA 1969 冫ドーノレ・クロ 工ドマンド・プ フンフーン ンヨン・ノ、一シ いすみや こ 整郎夫謙吉 集 本 伊龜中平山 ラフア、エノレ・フォ 著 者 ピ . 工ーノレ・ロフーイ ヴェンセスラオ モラエス フー フビーンドン ナート・当ゴール 刷 大日本印刷隊式會社 寫眞製版 株式會社興陽瓧 本 株式會瓧大進堂 製 函 株式會社岡山紙器所 背 革 株式會社石 表紙クロス 日本クロス工業株式會社 ロ繪用紙 日本加工製紙株式瓧 本文用紙 本州製紙株式會社 函貼用紙 安倍川工業株式會社 見返し用紙 三菱製紙株式會瓧 扉用紙 神崎製紙株式會瓧 發行者 野 印刷者 北 島織衞 發行所株式會社講談社 東京都文京區音羽 2 ー 12 ー 21 電話東京 ( 942 ) 1111 ( 大代表 ) 郵便番號 1 1 2 振替東京 3930 落丁本・亂丁本はお取りかえいたします。