目 區 大正デモク一フシ ! と文學細田民樹 あの頃 「辻馬車」の仲間たち藤澤桓夫報秋 : 牧屋善三 晩年の岡田三郎・ 京羽 東音 「亠円果の市」の頃 : : : : 芝木好子 月 題字・谷崎調」郎 のだから、もちろん「文章世界」や「秀才文壇」などの投書欄でア ドレッスを調べ、全國のめぼしい文學靑年たちに送られたものにち がいあるまい。そんなわけで幸德事件は、中學最末期の私に大きな 細田民樹衝激を與えたと同じように、老若の全國民を震撼した大事件であっ た。この事件こそ、續いて勃興してきた大正時代の民本主義發展の ここの編集部から、こういう表題について、何か書くように言わ起爆裝置ともいうべきものだった。 れたのだが、ちょうど大正の初期から文壇に顔をのぞかせ、まった大正三年 ( 一九一四 ) の夏には、第一次世界大戦が勃發した。日 くその渦中でうごめいていた私などにとっては、今や歴史的にも、本はいわゆる連合國がわに加擔してこれに加わったが、日本の戦爭 ひとつの慣用語となった「大正デモク一フシー」というような言葉分擔は東亞だけに限られ、大きな出兵をする必要がなく、その代り が、妙にそらぞらしい空疎なレッテルのように聞えるのである。年連合國がわの軍需物資の調逹を促されたので、この時とばかり、大 月が經っと、どんな激動の時代でもどういう大事件でも、歴史的符財閥を始め日本の有力な産業資本家は、勞働者の犠牲においてこの 楪のような慣用語でかたづけられるものだが、しかしその渦中で生大戰で、しこたま緒けた。しかし大戦の終った途端、軍需の必要が きて苦しみ、生きて戦っていたものにとっては、一片の慣用語でかなくなると、まだ歐米ほどに資本主義機構の強大でない日本は、は たづけられるような、そんななまやさしいものではなかったはずやくも阯界不況の波に呑みこまれ、各方面で資本主義の露骨な矛盾 を暴露した。したがって勞資の階級鬪爭は激しくなり、わが國の勞 まず明治末期の「大逆事件」幸德秋水以下一一十六名の無政府主義働運動史上でも有名な八裕製鐵や東京電鉞など幾多の大ストライキ 者が檢擧されたとき、私は廣島中學の五年生であったが、その前かが始まったものだ。そこ ( ちょうど、地球の六分ノ一の領上を持っ ら田山花袋を主幹とする「文章世界」に、文藝評論や短篇小説を技ロシャが、大戦末期には勞農革命に成功するというような世界未曾 書していた私の手許には、どこからともなく、クロ。ホトキンの「。 ( 有な歴史變革があらわれた。日本の瓧會もその影響をうけて、民主 ンの掠取」抄譯の祕密出版。 ( ンフレットなどが、ときたま送られて主義運動は、たんに政治經濟の上ばかりでなく、學界や文壇にも強 一來ていた。田舍中學生の私の名前なんか、東京でわかるはずはないく波及してきたのであった。 大正デモクラシーと文學 ホ矍學公集
現代名作選一目次 卷頭寫眞 矢崎嵯峨の屋 初戀・ 江見水蔭 女房殺し : 白柳秀湖 驛夫日記 : 長田幹彦 平出修 零落・ 逆徒 : 相馬泰三 六月・ 中村星湖 女のなか・ 宮島資夫 坑夫 :
吉田絃二郎 島の秋 : 宮地嘉六 煤煙の臭ひ : 中戸川吉二 イボタの蟲・ 武林無想庵 ピルロニストのやうに・ 細田民樹 多忙な初年兵 : ・ : ズ四 新井紀一 怒れる高村軍曹 : 島勗 地平に現れるもの : 松永延造 ラ氏の笛・ 龍膽寺雄 放浪時代・ 中村正常 アミコ・テミコ・チミコ・ ・ : 孟三
佐々木俊郎 熊の出る開墾地・ 藤澤桓夫 傷だらけの歌 : 深田久彌 あすならう : 和田傅 村の次男 : 十和田操 判任官の子・ 鶴田知也 コシャマイン記 : 石上玄一郎 クフーク氏の機械 : 岡田三郎 伸六行状記・ カ . 《月イ . ・白 乳の匂ひ : 芝木好子 靑果の市 : : ・三三七 ・ : 三四三 : ・三六 0
作品解説・作家入門・ 年譜 : 參考文獻・ 小田切秀雄三九七
日本現代文學全集 105 現代名作選 ( 一 ) 整郞夫謙吉 光健 集 龜中平山 昭和 44 年 4 月 10 日印刷 昭和 44 年 4 月 19 日發行 定價 600 圓 ◎ KODANSHA 1969 矢崎嵯峨の屋 え み 水 蔭 江 見 しら ゃなぎ しゅう 著 者 秀 湖 白 柳 た 田 幹 彦 長 しゅう 修 平 出 間 省 野 行者 發 島 織 北 衞 印 刷者 行所 株式會社講談社 發 東京都文京區音羽町 2 ー 12 ー 21 電話東京 ( 912 ) 1111 ( 大代表 ) 郵便番号、 1 1 2 振・替東京 3 9 3 0 すい いん みき ひこ な ひ いで 印 刷 大日本印刷株式會社 寫 眞 製 株式會社興陽社 版 印 製 本 大製株式會瓧 製 函 株式會社岡山紙器所 背 革 小林榮商事株式會社 表紙クロス 日本クロス工業株式會社 ロ繪用紙 日本加工製紙株式會社 本文用紙 本州製紙株式會社 函貼用紙 安倍川工業株式會瓧 見返し用紙 三菱製紙株式會社 扉用紙 溿崎製紙株式會社 落丁本・亂丁本はお取りかえいたします