0 つまり、パッケージ任せ、べンダ任せではなく、自分たちで考えることが何よりも大切 になります。 システムのトリガーとなる「生産計画」を理解する 需要予測は当たらない ? ( 0 しリ MN 需要予測機能の説明をすると、計画担当者から「どうせ占いのようなものでしょ ? 」 という冷めた反応が返ってくることがあります。 需要予測には、ますは過去のデータが必要になりますが、最近のように製品のライ フサイクルが短くなってくると、情報量が少なく分析が困難になります ( 類似の特徴 を持った製品のデータの抽出などの工夫が必要になります ) 。 異常値の排除や、季節変動による特異点の排除、季節 ( 周期 ) の算出、トレンド ( 変 化率 ) の算出などの機能を活用して、効果的な分析ができる製品 ( 業種 ) もあるの ですが、 " 計画担当 XX 年のおしさんの ( 理論化できない ) 長年の勘 " を凌駕するこ とはなかなか難しいようです。この辺が、需要予測システムがいまだに広く普及して いない原因でしようか。 そのため、需要予測を凝ったロジックで作り込むのではなく、本文で説明した需給 調整 (PSI) とうまく組み合わせることで解決していこうという事例が増えてきてい ます。 0 生産計画の流れ① ~ 中長期計画 ~ 図 1 に生産計画立案の大まかな流れを示しています。 ①から④までは、それぞれが対象とする期間や管理レベルにより異なる生産計画にな りますが、それぞれの計画の呼び方は各社によってまちまちですので、担当している案 件に合わせて該当する名称に置き換えて考えてみてください。 また、このうちのある計画が省略されている、あるいは別の種類の計画が存在するケー スもあるので、あくまでも 1 つのモデルとして捉えてください。 53
3 「モノ」を管理するため ? 補助的なマスタ CHAPTER 前章は生産管理システムの基礎知識として、バッケージのキモとなる「モノ」に関わる マスタデータについて解説しました。本章では「モノ」を管理するための補助的なマス タである、「時」「人」「場所」について説明し、それぞれに関連するマスタを設計して ER 図にまとめます。これらは生産管理システムの主役となる情報ではありませんが、 必す必要な情報になりますのできちんと理解しておきましよう。 0 システムの奥行きを担う「時」「人」「場所」 、・モノ " を管理するための情報にはどんなものがあるのでしようか。 いつ作るか ? 誰が作るか ? どこで作るか ? そうです。「時」「人」「場所」ということですね。これをまとめると次のようになります。 時 : カレンダー、就業時間 人 : 作業者、購買担当者、 場所 : 部門、部署、取引先、機械、倉庫 生産管理システムはあくまでも「モノを作る」ことを管理するシステムであり、部署 や人を管理する人事システムや得意先 / 仕入先との取引を管理する販売管理システムほ ど、たくさんの情報を管理する必要はありません。しかし、「モノ」に関する情報が生産 管理システムの「広がり」を担うとすれば、この「時」「人」「場所」の情報は生産管理 システムにとっての「奥行き」を担っているのです。システムにとっての主役となるマ スタたちではありませんが、決しておろそかにはできない重要な情報です。「たかが x x マスタ、されど xx マスタ」なのです。 34
です。 また、製造指図の登録に対して、「調達部門に手配を促すための通知をメールで配信 する」というような通知機能を実装できるように、メールアドレスも登録しておくとシス テムに奥行きを持たせられます。 「適用開始日」と「適用終了日」は、第 2 章のまめ知識「適用開始日をキー項目に入 れる場合、入れない場合』 ( 21 ページ参照 ) で説明した「適用開始日」と同じで、異動 や組織変更のために必要な項目です。 図 7 : 生産管理の「担当者マスタ」 更新者名 更新日時 適用終了日 メールアドレス 部門コード カナ 担当者名 適用開始日 (FK) 担当者コード (FK) 担当者マスタ ・知新担当者情報と人事情報の分離 ているのです。 より、生産管理や販売管理など多くのアプリケーションでデータ連携できるようにし ではテープルを分割しています。必要最小限の項目で「社員基本」を構成することに どのマスタの標準規格を策定しているのですが、そこでも「社員基本」と「社員人事」 本書の執筆者陣が参画している MIJS コンソーシアムでは、「社員」や「部門」な 管理するほうが無難です。 て社員マスタとしていましたが、個人情報管理が厳しくなってきた昨今は切り離して な個人情報です。以前は社員コードが一緒なので個人情報も一緒のテープルに収め 考えましよう。例えば、社員の住所情報や家の電話番号は人事管理目的のみで必要 社員 ( 担当者 ) のデータ構造では、誰がという担当者情報と人事情報を区別して して一元管理されるデータとなります。 当者 ) で、生産管理だけでなく販売管理や会計、人事などすべての基幹業務に共通 示者が誰で、実施者が誰かという視点が重要です。この「人」に関する情報が社員 ( 担 基幹業務システムは企業内の業務処理伝達を司るシステムなので「人」、つまり指 3 モ ノ を 39 タ ス マ な 的 助 補 の め た る す 理
哩段取り 資源の日程を管理するにあたり、「段取り」という言葉が出てきます。第 2 章にも「段 取り」という言葉は出てきましたが、プレス機を例にしてもう少し詳しく説明しま しよう。 プレス機は金型を上下から圧縮することで鉄板などを加工する機械です。何がで きるかは金型で決まります。したがって、製造する品目を変えるときは、この金型の 交換が必要になります。この金型を変更する作業が「段取り」です。つまり段取りと は、製造前または製造後の準備作業を指します。製造前の段取りを「前段取り」、製 造後の段取りを「後段取り」と言います。プレス機で言えば、金型を外す作業が「後 段取り」、金型を付ける作業が「前段取り」です。金型の交換には数時間を要するも のもあり、日程を精密に管理するスケジューラソフトでは決して無視できません。 の段取りにかかる時間は金型によって、あるいはプレス機によって変わってきますの で、品目および資源に従属する情報となります。 スケジューラソフトを使用する場合には、さらに別工ンティティとして「品目ー資 源マスタ」を設けて、段取り時間やリードタイムなどを管理する必要があります。 0 「人」を管理するためのマスタ 生産管理システムでは「人」を管理するためのマスタは、「担当者マスタ」という名 称にしていることが多いようです。それは、「作業担当者」や「購買担当者」といった、 作業を行なう担当者に関する情報を管理することが多いからです。 「人」に関する情報の主な目的は、生産管理システムでは、「誰が発注したのか ? 」「誰 が製造作業を行なったのか ? 」「誰の製造実績工数か ? 」といった作業や業務の実績を、 「誰が」行なったのかが追跡できるようにすることです。 したがって、図 7 のように担当者の名前が分かれば住所や電話番号などの情報は不 要なため、シンプルなマスタとなります。 図 7 では、担当者がどの部門に所属している社員であるのか分かるように、部門コー ドを持たせています。実際に大阪支店長が関西営業本部長を兼務するといったように、 複数の部門に所属することはよくありますが、生産管理システムは人を管理するための システムではありませんので、生産管理システムにとっての主担当部門が分かれば十分 38
本章では生産管理システムの「時」「人」「場所」に関する、「カレンダーマスタ」「担 当者マスタ」「倉庫マスタ」「部門マスタ」「資源マスタ」「取引先マスタ」「場所マスタ」 を設計しました。ここで設計したマスタを画面に ER 図としてまとめておきます。 本章で生産管理システムのマスタの設計は終了です。次章からはいよいよ、生産計画 0 まとめ では、マスタ設計の終了を祝って「かんば ~ い ! 」。 を皮切りに業務の流れに沿った説明に入ります。 回 SI Obiect 0 物奮 e 【 ER 、 - [5 ラ片第 2 回 Ve れ 3 上 dm ーメインモテ ) 月 ー引ファイル編集表示揮入のモデル圓テータベースツール (I) ウイン崢 言目朝議冨 0 ズ = : 気气夜第、ま鑒論理モデルま、・ 第、物ロロ 2 ロロ 0 \ T ヘルプ ( 印 日ディクショナリ ドメイン デフォルト まゴ工ンティティ づビュー 日、」データモデル を一コメインモデル カレンダー 一三一資源マスタ 目資源マスタ [ 引取引先マスタ 目取引先マスタ を [ 倉庫マスタ 目怠庫マスタ { 担当者マスタ 、一三一部門マスタ 目部門マスタ 生部門系 ER 図 0 ゴ朝第コ デ : : 林接肉 場所マスタ 場所コード 場所名 更新者名 更新日時 用問始日 (FK) 部門コード (FK) 取引先コド (FK) 場所種コード 5 マスタ 適日 上位部門 郵便番号 住所 1 住所 2 住所 3 電話番号 F AX&# 更新日時 更新者名 取引先マスタ 引先コード 適用ド台日 適用了 取引先名 取引先名カナ 取引先担当部門 取引先担当者名 更新者名 更新日時 FAX 住所 3 住所 2 住所 1 都道府県 郵使番号 就業日パターンコード (FK) ヨ朝目 : 盟ロコ シフトコード (FK) 就業区分 就業日パターンコート 就業日マ 更新日時 適用終了 用始日 (FK) 資源コ、一ド (FK) 部門コード (FK) 更新者名 更新日時 言庫名 透用問始日 (FK) 部門コード (FK) 倉庫マスタ 更新者名 更新日時 担当者マスタ 担当者コード 部門 : 1 ード (FK) 担当者名 メールアドレス 適用問始日 (FK) 適終了日 更新日時 更新者名 資源マスタ 源コード 登源名 適用終了 適用問始日 更新者名 更新日時 時則 TO 時刻 FROM シフトコード 就業時問マスタ 更新着名 更新日時 就日パターンコード (FK) 画面 : 「時」「人」「場所」に関するマスタの ER 図 46
作業指示明細データ 作業指示番号 (FK) 工順 工程コード (FK) 作成者 作成日時 更新者 更新日時 工数実績データ 工数実績番号 作業指示番号 ( FK ) 品目コード ( FK ) 工順 (FK) 工程コード 部門コード (FK) 担当者コード (FK) 作業日 工数 作成者 作成日時 更新者 更新日時 担当者マスタ 担当者コード 担当者名 カナ 部門コード メールアドレス 適用開始日 適用終了日 更新日時 更新者名 部門マスタ 部門コード 適用開始日 適用終了日 上位部門 部門階層 部門名 部門略称 カナ名 郵便番号 住所 1 住所 2 住所 3 電話番号 FAX 番号 工賃 更新日時 更新者名 品目マスタ 品目コード 使用開始日 使用停止日 品名 規格 図番 / メーカー 版数 品目区分 品目グループコード 単位コード 場所コード リードタイム 安全リードタイム 安全在庫数 歩留率 最小口ット数 刻みロット数 最大口ット数 有効期間 作成者 作成日時 更新者 更新日時 図 8 : 「エ数実績」の ER 図 0 まとめ 132 設計は大きく異なるものになってしまうということです。 て実績計を計上するという関係では同じですが、それぞれの業務の特徴によって DB の 合には「発注→入荷」に対して、工程管理では「作業指示→完成計上」と指示があっ 一方、実績の計上についての DB 設計では、かなり相違点があります。外注委託の場 扱えるようにしておく必要があるということです。 行なえるシステムにしておく必要があります。社内も社外も、単なる場所の違いとして ても外注に委託する場合があります。よって MRP は、社内 / 社外の切り替えが柔軟に 製造現場では、製造ラインや設備の状況によって、通常は社内で作業する工程であっ
支給データ 支給番号 発注番号 ( FK ) 発注行番号 ( FK ) 取引先コード (FK) 支給日 支給担当者コード 就業日バターンコード 支給明細データ 支給番号 ( FK ) 支給行番号 品目コード ( FK ) 図 8 : 「支給データ」の ER 図 支給数 支給単価 支給金額 品目マスタ 品目コード 使用開始日 使用停止日 品名 規格 図番 / メーカー 版数 品目区分 品目グループコード 単位コード 場所コード リードタイム 更新日時 更新者 作成日時 作成者 有効期間 最大口ット数 刻みロット数 最小口ット数 歩留率 安全在庫数 安全リードタイム 取引先マスタ 取引先コード 適用開始日 適用終了日 取引先名 取引先カナ 取引先担当部門 取引先担当者名 TEL 住所 3 住所 2 住所 1 都道府県 郵便番号 更新日時 更新者 作成日時 作成者 FAX 発注明細データ 発注番号 ( FK ) 発注行番号 (FK) オーダ番号 納入場所コード 品目コード ( FK ) 諸ロ品目区分 受入予定日 回答納期 発注単価 発注数量 明細備考 入荷済数量 検査済数量 検収済数量 発注金額 消費税金額 更新日時 更新者 作成日時 作成者 備考 発注部門コード 発注担当者コード 取引先コード (FK) 発注日 発注番号 発注データ 更新日時 更新者 作成日時 作成者 完了フラグ 0 「払出データ」と「支給データ」の統合 144 合した「払出データ」の ER 図を示します。 ましたが、実際のシステム設計の際には統合するべきです。図 9 に「支給データ」を統 こまでは説明のしやすさから、「払出データ」と「支給データ」を分けて設計してき
この部品 C は、通常はすべてを社内の製造現場で製造するのですが、場合によって は穴を開ける機械が混み合っていて、この穴を空ける工程だけを外注委託せざるを得な いということがあります。これが「工程外注」です。この場合の発注品目は、「部品 c の「穴を空ける」工程の品目』となり、支給品は『部品 C の「曲げる」工程の品目』と なります。これを管理できるように、図 3 の ER 図の発注明細データと支給明細データ に「工程コード」を加えます ( 図 6 ) 。 発注データ 発注番号 発注日 取引先コード (FK) 発注担当者コード 発注部門コード 備考 作成者 作成日時 更新者 更新日時 発注明細データ 発注番号 (FK) 発注行番号 (FK) オーダ番号 納入場所コード 品目コード ( FK ) 諸ロ品目区分 工程コード← 受入予定日 回答納期 発注単価 発注数量 明細備考 入荷済数量 検査済数量 検収済数量 発注金額 消費税金額 完了フラグ 作成者 作成日時 更新者 更新日時 支給データ 支給番号 発注番号 (FK) 発注行番号 (FK) 取引先コード (FK) 支給日 支給担当者コード 支給明細データ 支給番号 (FK) 支給行番号 品目コード ( FK ) 工程コード← 支給数 支給単価 品目マスタ 品目コード 使用開始日 使用停止日 品名 規格 図番 / メーカー 版数 品目区分 品目グループコード 単位コード 場所コード リードタイム 更新日時 更新者 作成日時 作成者 有効期間 最大口ット数 刻みロット数 最小口ット数 歩留率 安全在庫数 安全リードタイム 取引先マスタ 取引先コード 適用開始日 適用終了日 取引先名 取引先カナ 取引先担当部門 取引先担当者名 更新日時 更新者 作成日時 作成者 就業日バターンコード FAX TEL 住所 3 住所 2 住所 1 都道府県 郵便番号 図 6 : 工程外注対応の ER 図 1 12
0 取引先マスタ 取引先コード 適用開始日 適用終了日 取引先名 取引先カナ 取引先担当部門 取引先担当者名 郵便番号 都道府県 住所 1 住所 2 住所 3 TEL FAX 就業日バターンコード 作成者 作成日時 更新者 更新日時 支給データ 発注データ 発注番号 発注日 取引先コード (FK) 発注担当者コード 発注部門コード 備考 作成者 作成日時 更新者 更新日時 支給番号 発注番号 (FK) 発注行番号 (FK) 取引先コード (FK) 支給日 支給担当者コード 購買管理 ( 外注委託 ) の業務と設計 支給明細データ 支給行番号 品目コード (FK) 支給数 支給単価 支給金額 品目マスタ 品目コード 使用開始日 使用停止日 品名 規格 図番 / メーカー 版数 品目区分 品目グループコード 単位コード 場所コード リードタイム 安全リードタイム 安全在庫数 歩留率 最小口ット数 刻みロット数 最大口ット数 有効期間 作成者 作成日時 更新者 更新日時 発注明細データ 発注番号 ( FK ) 発注行番号 (FK) オーダ番号 納入場所コード 品目コード ( FK ) 諸ロ品目区分 工程コード 受入予定日 回答納期 発注単価 発注数量 明細備考 入荷済数量 検査済数量 検収済数量 発注金額 消費税金額 完了フラグ 作成者 作成日時 更新者 更新日時 図 3 支給品の ER 図 0 預け在庫 「無償支給品」に関して、もう 1 つ考慮しなければならないポイントがあります。それは、 「預け在庫」の管理です。要は、いろいろな部品に共通して使用される購入材料は、個 別に支給する手間を省くため、あらかじめまとめて支給し、外注委託先が随時使用する という管理を行なう場合です。この場合は原価上の考慮が必要になります。つまり、外 注先に預けた時点では在庫資産となり、「資材倉庫からは出庫されているものの仕掛に は計上されていない」状態で管理される必要があるのです。本書第 3 章のまめ知識「仕 掛への投入タイミング』で、「仕掛への計上は、資材倉庫から製造現場や外注委託先へ の投入 ( 払出 ) 」であると説明しましたが、これにも例外があるということです。 109
入荷 / 受入データ 入荷番号 発注番号 (FK) 発注行番号 ( FK ) 入荷日 入荷担当者コード 入荷受入区分 品目コード ( FK ) 諸ロ品目区分 入荷数量 入荷備考 作成者 作成日時 更新者 更新日時 図 7 : 消費の ER 図 消費データ 消費番号 入荷番号 ( FK ) 消費日 取引先コード (FK) 消費明細データ 消費番号 ( FK ) 消費行番号 品目コード ( FK ) 消費数量 品目マスタ 品目コード 使用開始日 使用停止日 品名 規格 図番 / メーカー 版数 品目区分 品目グループコード 単位コード 場所コード リードタイム 更新日時 更新者 作成日時 作成者 有効期間 最大口ット数 刻みロット数 最小口ット数 歩留率 安全在庫数 安全リードタイム 取引先マスタ 取引先コード 適用開始日 適用終了日 取引先名 取引先カナ 取引先担当部門 取引先担当者名 更新日時 更新者 作成日時 作成者 就業日バターンコード FAX TEL 住所 3 住所 2 住所 1 都道府県 郵便番号 「入荷 / 受入データ」に対して、「消費データ」と「消費明細データ」があるという構 造となります。「消費データ」の「取引先コード」が消費場所となり、「消費明細データ」 の「品目コード」が消費された品目を表わします。「消費数量」は受入することで減少 する数量ですから、マイナス値としたほうが扱いやすいでしよう。 1 14